やはり俺が入隊するのはまちがっている。   作:ユンケ

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いよいよランク戦が始まる

「はい。じゃあこれ」

 

「ありがとうございます」

 

6月2日、今シーズンのB級ランク戦が始まる日である。俺は今開発室にて寺島さんからトリガーを渡される。これは俺達比企谷隊のトリガーであり、隊服がB級に上がった時に使用していた青いジャージではなく新しい隊服となっているのだ。

 

「比企谷隊は今回からランク戦に参加するんでしょ?今シーズンは新しく出来たチームが多いから頑張りなよ」

 

寺島さんの言う通り、今シーズンからB級ランク戦に参加するチームは5部隊もいるのだ。しかも内2部隊の隊長は元A級1位部隊の隊員だし。

 

「そっすね。初っ端からキツイかもしれないですが頑張ります」

 

言いながら俺は端末で対戦カードを見る。

 

6月2日(水)昼の部

 

015比企谷隊

018東隊

019柿崎隊

 

 

いきなり元A級1位部隊隊長の東さんがいる部隊と戦うなんて思いもしないだろう。

 

(だが、まあ……夜の部じゃなくて良かったぜ)

 

言いながら端末を操作すると画面が変わる。

 

6月2日(水)夜の部

013松代隊

014間宮隊

016二宮隊

017吉里隊

 

何せ夜の部には二宮隊がいるのだ。二宮隊はNo.1射手の二宮さんを筆頭にマスタークラスの銃手の犬飼先輩にNo.3狙撃手の鳩原先輩、超大型ルーキーの鶴見とかなりヤバい。ボーダーでも二宮隊のポテンシャルはA級トップクラスに入ると噂されているし。てかマジで二宮隊はA級からスタートしろよ。

 

まあ文句を言ったところで意味ないし言わないけどよ。とりあえず今は目先の試合だ。

 

「まあやるだけやりますよ。俺は最後のミーティングがあるんで失礼します。トリガーに隊服を入れてくれてありがとうございました」

 

「ああ。しっかりやって来なよ」

 

寺島さんから激励を受けた俺は自分の作戦室に向かう。俺のトリガーだけでなく照屋と辻のトリガーも預かっているから急がないとな……

 

そう思いながら全力で走っていると……

 

「うおっ!わ、悪ぃ……って、由比ヶ浜じゃねぇか」

 

「痛た……ってヒッキー?」

 

誰かにぶつかったので顔を上げると由比ヶ浜がいた。しかしいつものC級隊服ではなく柿色の隊服を着ていた。それはつまり……

 

(こいつ……いつの間にB級に上がったんだ……って、今はそれどころじゃないな)

 

「悪い、立てるか?」

 

「あ、うん……ありがとう」

 

手を差し伸べると由比ヶ浜は俺の手を掴んで立ち上がる。

 

「本当に悪かったな。前を見てなかった」

 

「別に良いよ。私も携帯を弄ってたし」

 

「そうか。ところでお前、C級の隊服じゃないがいつの間にBに上がったんだ?」

 

ボーダーで最後に見たのは1週間以上前だが、その時にはまだC級の隊服でポイントは3000ちょいだった。いつBに上がったのかは知らないが相当努力をしたのだろう。

 

「5日前だよ。今は柿崎隊にいるんだ。今日は当たるけどよろしくね」

 

柿崎隊か。柿崎隊は柿色の隊服なのか。意外と似合ってるな。

 

「ああ。でも何で柿崎隊にしたんだ?」

 

「ん?後一歩でB級に上がる時に偶然個人ランク戦のロビーに居た柿崎さんにアドバイスを貰ったの。それでB級に上がった後に柿崎さんがチームメンバーを募集してたから入った訳」

 

なるほどな。確かに柿崎さんって面倒見が良くて偶にC級にアドバイスをしてんだよな。それで由比ヶ浜はチーム入りしたって感じか。

 

「なるほどな……ちなみに由比ヶ浜。今回柿崎隊が選んだステージって何だ?」

 

「うん。それは……って騙されないし!教える訳ないじゃん!」

 

ちっ、後一歩だったのに。

 

ランク戦では1番順位の低い部隊がステージを選択する権利がある。今回俺達比企谷隊が戦うのは18位の東隊と19位の柿崎隊。ウチの隊は15位なのでステージ選択権は19位の柿崎隊にある。

 

だから柿崎隊の由比ヶ浜にさり気なく聞き出そうとしたが、失敗に終わってしまった。

 

「残念だ。上手くいけばある程度対策が出来たが、簡単にはゲロしないか」

 

「馬鹿にし過ぎだし!これでも私、総武高に受かったんだからね!」

 

言いながら由比ヶ浜はポカポカと叩いてくる。まあ由比ヶ浜の言動はアホだが、総武に受かるならある程度の頭はあるのだろう。

 

しかし今はそれよりもポカポカと叩くのを阻止しないといけない。

 

「悪かったよ。それより柿崎隊の作戦室に行かなくて良いのか?俺もそうだが試合まで1時間を切ってるし早く行った方が良いぞ?」

 

「あ、そうだった!またねヒッキー!もしもランク戦で会ったら鳥の巣にするから!」

 

由比ヶ浜はそう言って走り去って行ったが……

 

「鳥の巣?蜂の巣の間違いじゃないのか?」

 

やはり由比ヶ浜ってアホだろ?鳥の巣って何だよ?イミワカンナイ。……って、それどころじゃないな。最終ミーティングをする為に俺も作戦室に戻らないといけない。

 

今度はぶつからないよう走ってはいけないな。そう思いながら前を見て早歩きで作戦室に向かっていると曲がり角から知った顔がいたので、思わず頭を下げる。

 

「どうもっす風間さん」

 

そこに居たのは前シーズンにA級に昇格した風間隊の隊長の風間蒼也さんだった。

 

「比企谷か。今から最終ミーティングの予定か?」

 

「そうです。さっきまで開発室に行ってトリガーを貰ってきました」

 

「トリガー……ああ、隊服を入れてきたんだな」

 

「まだどんな隊服は知りませんけど」

 

寺島さんは自信作と豪語していたが、どんな隊服か若干楽しみだ。あそこまで自信たっぷりなら酷い物ではない筈だ。

 

「そうか……まあ何にせよ。初めてのB級ランク戦だな」

 

「そっすね。風間さんにケツを叩かれる前は部隊を作るなんて思いもしなかったすよ」

 

あの時風間さんに説教をされなかったら、俺は個人のままだったかもしれない。転機を迎えられたのは間違いなく風間さんのおかげだろう。

 

「俺は当たり前の事を言っただけだ。お前が変わろうとしたから変われたんだ」

 

「いえ。風間さんが居なければ変わろうとすらしなかったでしょう」

 

「ならそういう事にしておこう……比企谷」

 

風間さんはそう言ってから俺を見上げ、小さくフッと笑い……

 

「こっちまで上がって来い。期待しているぞ」

 

ポンと肩を叩いて去って行った。

 

「はい」

 

そう言って風間さんの背中に向けて頭を下げる。本当に格好良いな……マジで憧れるわ。元々A級は目指しているが、今の言葉でより一層やる気が出てきたわ。

 

俺は風間さんが見えなくなるまで頭を下げて、見えなくなってから一息吐いて頭を上げる。何だか今日は試合前だってのに色々な人に会うな。こりゃ作戦室に着くまでに他にも「弟君!」……出会いがあったよ。

 

内心苦笑しながら声のした方向を見ると……

 

「弟君!」

 

義理の姉である綾辻遥姉さんが勢いよく走ってくるや否や俺に抱きついてくるので、俺は慣れた手付きで受け止める。同時に姉さんの良い匂いや柔らかな身体を実感するが、既に数十回抱きつかれた身なので特に焦ることなく抱き返す。

 

「姉さん、前から言っているがいきなり抱きつくのは止めてくれ」

 

俺は既に何十回も言っているが姉さんは止める気配を見せない。理由は色々あるが、1番の理由は……

 

「ごめんね。弟君を見たらつい抱きしめたくなっちゃうの……」

 

「……次からは気を付けてくれよ」

 

俺が甘いからだろう。でも仕方ないだろ?俺が止めろと言ったら泣きそうな顔で謝ってくるんだぞ?ここで拒絶したら罪悪感で胃が死ぬわ。

 

結局今回も拒絶出来ず、姉さんの抱擁を受ける。

 

「うん。次からは気を付けるね」

 

途端に姉さんは満面の笑みでギュッと抱きしめる強さを強める。ちくしょう、可愛いから怒れねぇ……

 

「はいはい。てか何で姉さんが基地にいるんだよ?嵐山隊の試合は夜の部だろ?」

 

今日は水曜日で平日なので普通に学校がある。昼にランク戦がある俺はともかく夜にランク戦がある嵐山隊の姉さんがここにいるのはおかしい。

 

「私は広報部隊の仕事の打ち合わせ。打ち合わせが終わったら雑誌の取材を受けてその後にランク戦に出るって予定なの」

 

「随分大変だな」

 

「まあね。弟君は今からランク戦でしょ?お互いに頑張ろうね」

 

そう言って姉さんは顔を寄せて……

 

ちゅっ……ちゅっ……

 

いつものように両頬にキスをしてくる。キスをされた当初はメチャクチャ恥ずかしかったが今はそうでもなく、寧ろ元気が出てくる。慣れっていうのは恐ろしいな……

 

「ありがとな姉さん。俺も頑張るから姉さんも頑張れよ」

 

「うん……あ!そうだ!弟君も私に激励のキスをしてよ?」

 

すると姉さんはいきなりとんでもない事を口にしてくる。激励のキスだと?それはつまり……

 

「俺も姉さんの両頬にキスをしろと?」

 

 

いやいやいや。それは無理だろ。キスをされる事は慣れても、する事はした事がないし無理だ。

 

そう断ろうとするも姉さんは不安げな表情のまま……

 

「うん。私も本格的な広報の仕事は今日が初めてだから緊張しちゃってるの……」

 

そのまま俺を抱きしめる力を強め……

 

「だから……弟君から元気を貰いたいんだけど……ダメ、かな?」

 

上目遣いでそんな聞き方で聞いてくる。姉さんは卑怯だ。そんな風に頼まれたら普通の人は断れないだろう。ぶっちゃけ俺もかなり揺らいでいるし。

 

即座に断る事が出来ずに悩む中、姉さんは更に抱きしめ……

 

「お願い……!」

 

ウルウルした瞳で俺を見てくる。あー!ちくしょうっ!やる!やるからその目は止めろ!

 

内心俺は思い切り叫びながらも姉さんの顔に近寄り……

 

ちゅっ……ちゅっ……

 

そのまま両頬にキスをする。躊躇ったら出来なくなるのは目に見えていたので速攻でキスをした。

 

キスをされた姉さんは不安げな表情を消して、ウットリした表情をして俺の首に腕を絡めてきた。

 

「……ありがとう弟君。今ので元気が一杯出たよ……」

 

「そ、そうか。てかそろそろ行って良いか。最終ミーティングをしたいし、隊服が入ったトリガーをチームメイトに分も持ってんだよ」

 

流石にこれ以上時間を使うと試合前のミーティングに支障が出るし。

 

「あ、うん。そうだね。私も集合時間まで余りないし」

 

姉さんも納得したのは俺から離れる。が、胸にあるドキドキは未だに残っている。

 

「じゃあ私は行くね弟君。どうもありがとう」

 

ちゅっ……

 

姉さんは最後に俺の右頰にキスをして走り去って行った。やれやれ、試合前なのにこんな恥ずかしい思いをするとはな……

 

(だが、今ので大分緊張は取れた……)

 

姉さんはそんなつもりだったとは思えないが、俺としては緊張が取れたのでありがたい。姉さんには感謝しておこう。

 

ありがとう姉さん。でもキスを要求するのはもう勘弁してくれ、マジで恥ずかしいから。

 

 

 

 

 

 

それから5分、色々な人と会ったが漸く自分の作戦室に到着した。俺は集合時間ギリギリだが、他のチームメイトは全員真面目だしもう集合しているだろう。

 

そう思いながら作戦室の扉を開けると案の定3人がいた。

 

「悪い、遅くなった」

 

軽く謝ると1番近くにいた三上が笑顔で首を横に振る。

 

「ううん。集合時間には間に合ってるから気にしな……い……で?」

 

すると三上は徐々に声を小さくしてくる。あ、何かデジャヴを感じる。

 

嫌な予感がすると同時に三上の目が冷たくなる。

 

「ねぇお兄ちゃん。頬にあるキスマークって遥ちゃんのだよね?」

 

「……あ」

 

しまった。遅刻しないように急いだから落とすのを忘れてた。前にもあったな……

 

内心後悔していると照屋の目も冷たくなり、辻は鞄から本を出して逃げの姿勢になる。

 

「……へぇ、八幡先輩は試合前なのにイチャイチャしている余裕があるんですね。そんなに余裕なら試合でも活躍出来ますよね?」

 

「いや、イチャイチャなんてしてないからな。いつものように一方的にキスをされただけだ」

 

「いつものようにキスをされている時点でイチャイチャしていると思うんだが……」

 

「何か言ったか辻?」

 

「別に何も」

 

ツッコミを入れるなら助けてくれよ。お前援護能力高いだろ?内心辻に文句を言っていると照屋と三上はジト目で俺を見るも、やがて

ため息を吐く。

 

「……まあ、今は試合前ですから問い詰めるのは後にしましょう。三上先輩?」

 

「うん。試合が終わってから逃げないでよ、お兄ちゃん?」

 

「……はい」

 

何だろう。試合より試合後の尋問の方が疲れそうだ。てか姉さんも口紅を塗っている時にキスをするのは勘弁してくれ。

 

「じゃあこの話はここまでにして、トリガーを渡してくれませんか?」

 

「はいよ」

 

言いながら俺は寺島さんに貰ったトリガーを渡す。3つのトリガーにはどれが誰のトリガーかわかるようにマークが付いてある。照屋のトリガーにはハートマーク、辻のトリガーには刀のマーク、そして俺のトリガーには髑髏のマークがある。どうでも良いが俺のマーク不気味じゃね?

 

そう思いながらも俺達はトリガーを握り……

 

「「「トリガー起動」」」

 

そう口にする。同時に身体が光に包まれて、次の瞬間総武の制服から隊服に変わるが……

 

「格好良いな……」

 

俺達が着ているのは黒のボマージャケットで首の部分は真っ白だった。隊服も全体的に黒で、両手足の部分には金属のように見える手甲とブーツがある。そして隊服の両肩部分には髑髏マークが付いてあり……

 

「ん?比企谷の隊服だけ左腕に赤いスカーフが巻かれているな」

 

辻に言われて見ると、確かに俺の左腕には赤いスカーフが巻かれていた。

 

「隊長の証か?まあ良い。それよりこの隊服に不満はあるか?特に照屋」

 

俺としては気に入ったが、女子の照屋からすれば不満があるかもしれない。今日の試合はこれで出て貰うが、嫌なら次以降は違う隊服で挑むのも仕方ないだろう。

 

「はい?動きやすいので特に問題ないですね」

 

「いや、そういう意味じゃなくて見た目的にどうかって話だよ」

 

「特に不満はないですよ」

 

「なら良いが……んじゃ辻は?」

 

「問題ないな。多少目立つかもしれないが不満はない」

 

どうやら2人とも不満はないようだ。なら変えなくて良いか。

 

「良し。じゃあ隊服に不満がないようだし最終ミーティングを始める。三上」

 

「了解」

 

三上の名前を呼ぶと三上が端末を弄る。と、同時に作戦室にあるモニターに東隊と柿崎隊の面々の顔が表示される。

 

「今回ウチと戦うのは東隊と柿崎隊で、3チームとも今回が初陣だ。よって個人ランク戦のデータはあってもチームランク戦のデータはない」

 

「つまり明確な対策は出来ないって事だよな?」

 

「ああ。隊の構成からある程度の対策からしか出来ない。先ずは東隊から」

 

言いながら三上を見ると三上が頷き、端末を弄ると東さんが狙撃をしている映像が映る。

 

「東隊は狙撃手1人に攻撃手2人。隊長の東さんがA級1位に居た時の記録を見ると、安定して結果を出している」

 

何度も記録を見たが、東さんはチームメイトを餌にして敵を仕留めたり、援護狙撃で敵の四肢を穿ちチームメイトに仕留めさせたり、上手く逃げ回って敵チームのエース相手に時間稼ぎをしたりと、素人から見ても狙撃手として一流なのが丸わかりだ。

 

「一方の奥寺と小荒井はまだそこまで強くないから、東隊はおそらく釣りの戦術を使用してくるだろう」

 

「奥寺君と小荒井君を餌にして?」

 

「多分な。だから奥寺や小荒井と遭遇した場合は狙撃を警戒しながら戦え。勝負を急いだらこっちの負けだ。三上も狙撃手の警戒を重視してくれ」

 

俺は奥寺と小荒井とは戦っていないが、辻が2人と戦って奥寺相手に8ー2、小荒井相手に9ー1で勝っている。相手が2人で来たらともかく、タイマンなら負ける相手じゃない。狙撃を警戒しながら戦っても充分に勝機はあるだろう。

 

「「「了解」」」

 

「良し。んじゃ次は柿崎隊だな」

 

同時にモニターには柿崎さんが映る。

 

「柿崎隊の構成は万能手1人に銃手2人。由比ヶ浜は知らんが巴は弧月も使う万能手寄りの銃手。まあこれは同期の照屋なら知ってるよな」

 

「はい」

 

「個人ランク戦の記録を見る限り、柿崎さんと巴は照屋や辻のようにバランスタイプだ。どんな作戦を立ててくるかはわからないが十中八九3人合流して一斉に攻めてくるだろう」

 

「そうなるとこちらも合流しないと厳しいな……」

 

辻の言う通りだ。東隊にしろ柿崎隊にしろ先ずはチームメイトと合流しようとするだろう。裏をかいて合流する前に潰しに行くのも戦術の1つだが、初陣でそんなリスクの高いことはやりたくない。

 

「ああ。だからこっちも合流優先。その前に敵と邂逅したら、やられない事を最優先に戦え。そしたらそこを合流地点にする。戦端が開かれたらどのチームも現場に行くと思うからな」

 

「「「了解」」」

 

転送位置にもよるが合流前に戦端が開かれたら、そこに早く介入出来るのは長距離攻撃が出来る東さんとグラスホッパーを2つ持ち機動力の高い俺だろう。ウチのメンバーが合流前に敵と邂逅したら、早い内にそいつを撃破して主導権を握りたい。

 

そこまで考えていると端末に通知が来たので見てみると、ボーダー本部からで柿崎隊の決めたステージの発表だった。ステージは……

 

「今本部から連絡が来た。柿崎隊の選んだステージは市街地Aだ」

 

「市街地A……またシンプルなステージですね」

 

「多分巴君と由比ヶ浜さんは初めてのチームランク戦だからじゃないの?」

 

「俺も三上と同じ意見だ。だがこれは俺達にもありがたい話だ」

 

「俺達の隊もチームランク戦はやった事がないからな」

 

ついでに言うと東隊も2人が今回の試合が初陣だし。柿崎さんは多分巴と由比ヶ浜にチームランク戦の空気に慣れて貰うために市街地Aにしたのだろうが、こちらとしてもありがたい。無駄に凝ったステージにされるよりはずっとマシだ。

 

「ああ。だから初陣だし基本に忠実に行くぞ。改めて言うが、先ずは合流。その前に敵と邂逅したらやられない事を最優先に戦闘。味方の合流を待つ。良いな?」

 

「「「了解」」」

 

「良し、そろそろ時間だ」

 

言いながら立ち上がり出撃場所に立つ。三上だけはオペレーターデスクに向かい会釈をする。

 

「私は戦えないけど、支援頑張るからね」

 

「それも立派な戦いだ。戦えないなんて言うな」

 

冗談抜きでオペレーターの存在は必要不可欠だ。防衛任務でも重要なのだ。ランク戦ではもっと必要とするだろう。

 

「え?……あ、うん。ありがとうお兄ちゃん」

 

「気にすんな。それより支援頼むぞ」

 

「了解」

 

そうこうしている内にいよいよ転送時間となった。これがA級に向けた第一歩だ。ここで勝って勢いをつける……!

 

 

同時に俺の身体は光に包まれて、気がつけばマンションの屋上にいた。無事仮想ステージに転送されたようだ。

 

 

さあて……戦闘開始だ。




比企谷隊の隊服はあるアニメのあるキャラの衣装がモデルです。全体的に黒い衣装で左手に赤いスカーフ……わかる人はわかると思います

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