やはり俺が入隊するのはまちがっている。   作:ユンケ

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比企谷八幡は鍛錬の中、自信をつけている

5月6日木曜日、正式入隊日は9日の日曜日なので3日を切っている。

 

今のところ、辻との戦いに備えての太刀川さんとの模擬戦、照屋との連携の訓練、俺個人の実力の向上などは割と順調に進んでいると自分でも思っている。ボーダーでの活動については上手くいっている。

 

ボーダーでの活動については。

 

 

 

「ねぇ待ってよヒッキー!」

 

「だから俺は怒ってないから礼は要らないって言ってんだろ!本人が要らないって言ってんなら話を切り上げるのが筋だろうが!」

 

「それじゃあ私の気が晴れないんだし!」

 

「知るかぁーっ!」

 

放課後、俺は由比ヶ浜から逃げている。これで何回目か数えてない。アレから俺は何度も気にしてないから気にするなと言っているが、由比ヶ浜は礼がどうこう言ってきて諦めないのだ。俺自身はマジで礼を要らないので辟易している。

 

ちなみに三上は既にボーダー基地に行っている。火曜日から追われているが待たせては迷惑がかかるからだ。

 

(仕方ねぇ、これ以上時間を食うのも嫌だし一気に撒くか)

 

そう判断した俺は男子トイレに入る。ここなら入ってこないだろう。俺が入る直前に違う男子も入ってたし。

 

 

「あー、ズルいし!」

 

トイレの外からそんな叫び声が聞こえてくる。上手くいったようだ。

 

俺は内心ほくそ笑みながらトイレの窓から外に出る。一階だから飛び降りないで済んだぜ。

 

そのまま上履きのまま昇降口に向かう。奴のことだからトイレの前で待ってるだろう。学校に通うようになってからわかったが、アイツは間違いなくアホの子だし。

 

そう思いながら昇降口に向かうと知った顔がいた。

 

「おー、ハッチ君じゃん。今帰り?」

 

「というか何で比企谷君は上履きを履いて外からやって来たの?」

 

そこに居たのは風間隊オペレーターの宇佐美栞と嵐山隊オペレーターの綾辻遥がいた。しかし綾辻はいつもと違っていた。

 

「色々あったんだよ。ところで何で綾辻は眼鏡をかけてんだ?」

 

なぜか綾辻は眼鏡をかけていた。普段は綺麗で可愛いお姉さんの雰囲気を持つ綾辻だが、今は可愛さの色は薄く、知的の色が強く見える。

 

「これ?今日私が遥ちゃんに布教した伊達メガネだよ。中々似合ってるでしょ?」

 

宇佐美がドヤ顔でそんな事を言ってくる。

 

「確かに似合ってるな。てかお前は伊達メガネは邪道とか思ってないのか?」

 

宇佐美が眼鏡オタクなのは知っているが伊達メガネをどう思っているか気になる。

 

「いやいや、メガネがファッションとして取り入られるのは歴史の必然であり自然の摂理だからな問題ないよ」

 

「よくわからん世界だな……」

 

「大丈夫。私もよくわからないから」

 

綾辻はそう言ってくる。少なくとも俺には一生理解出来ない事だろう。

 

「そういえば歌歩ちゃんにも伊達メガネをあげたんだけどさ、何で今日は歌歩ちゃんと一緒に基地に行かなかったの?」

 

「用事があって長引きそうだから先に行かせた」

 

「そうなんだ。あ、じゃあハッチ君にもあげる」

 

宇佐美がどこからともなくメガネを差し出して俺の手に持たせてくる。予想以上の手際の良さに思わず驚いてしまった。返そうにも宇佐美の手は俺から離れていて返せない。

 

というか幾つ持ってんだよ?さっきの話から察するに綾辻と三上と俺にあげたのなら最低3つ持ってんだよな?

 

どうしたものかと悩んでいると宇佐美がキラキラした表情で俺を見てくる。かけろと?伊達メガネをかけろと?

 

「ねえハッチ君、是非かけてよ」

 

遂には口を出して言ってくる。口調はいつもと変わらないが妙にプレッシャーを感じる。理由はないが何故か逆らえん。

 

「……了解」

 

逆らえないと判断した俺はため息を吐きながら伊達メガネをかける。俺のメガネ姿なんて誰得って思いながら。

 

「……かけたぞ。これで文句は……って、どうしたお前ら」

 

何故か宇佐美と綾辻はポカンとした表情で俺を見てくる。優秀なオペレーターである2人がこんな表情をするとは思わなかった。

 

「えっ?あ、ううん。なんでもないよ」

 

「そうそう。あ、後写真を撮っても良いかな?私があげた眼鏡をかけてる所を記録したいから」

 

「私も撮って良い?」

 

「別に構わないが、SNSとかに上げるなよ?」

 

ポカンとした表情から一転、2人は若干顔を赤くしながらそんな事を言ってくる。2人が良い奴なのは知っているが、念には念を入れて釘を刺しておく。

 

「いやいや、そんな事はしないからね」

 

言いながら2人は写真を撮る。シャッター音が聞こえたのでメガネを外そうと思ったがメガネケースが無い事に気がついたので外すのを諦めた。

 

「なら良いが……ところでお前ら基地に行くのか?」

 

話しながら靴を履き替えて外に出る。早めに出ないと由比ヶ浜に捕まって再度平行線の話し合いをする事になるだろうし。

 

「ううん。私は非番だし今日は家に帰る。遥ちゃんは上層部から広報部隊の話について呼ばれてるから基地に行くよ」

 

「広報部隊?名前から察するに市民にPRする部隊って事か?」

 

「うん。ボーダーのPRをして、入隊志願者やスポンサーを増やすのを目的としてて、上層部からウチの隊に誘いが来たの」

 

まあ嵐山隊は基本的に顔が良いし性格も問題無いからな。妥当な判断だ。ウチの隊の場合隊長の俺が論外だから誘いは来ないだろう。

 

「それで?その誘いを受けるのか?」

 

「決めるのは嵐山さんだからわからないな。私個人としては受ける事を視野に入れてるな」

 

ご立派な事で。自分から進んで公に出るとはな。まあ世間では未だにボーダーに対しるアンチ勢はいるし、それを対処する方法の1つとして大衆を味方につける為の広報部隊は必須だろう。

 

「まあ広報部隊になったら頑張れ。それより俺も今から本部に行くが乗ってくか?」

 

言いながら自転車の鍵を解除する。

 

「え?良いの?」

 

「別に構わない。毎日の行き帰りに三上を乗せてるし」

 

月曜日に三上を自転車に乗せて以降、俺は毎朝小町を送った後に三上を後ろに乗せて登校して、防衛任務で早退する時や下校する時も同じ部隊のメンバーだから三上を後ろに乗せて基地に行っているし特に問題ない。

 

行き先が同じだから三上と同じノリで尋ねたが引かれてないよな?

 

そんな事を考えていると……

 

「じゃあ、お言葉に甘えて……」

 

綾辻は後ろに乗って三上と同じように腹に手を回してくる。その際に背中に柔らかな膨らみを感じる。三上より柔らかく感じるのは大きさがちが……ゲフンゲフン。

 

「お、おう。じゃあ宇佐美、またな」

 

「また明日」

 

「じゃあまたねー。2人とも眼鏡似合ってるよー」

 

そんな風に挨拶を交わして俺は綾辻を後ろに乗せながら自転車を漕いで校門を出る。

 

「しっかし宇佐美はああ言っていたが、俺に眼鏡なんて似合わないだろ」

 

校門を出て視界の先にある巨大な建物ーーーボーダー基地を見ながらそう呟く。改めて見ると本当バカでかいな。

 

「そうでもないよ。見てみなよ」

 

信号が赤になったので自転車を止めると綾辻が後ろから携帯を見せてくる。先程撮影した写真だろう。見てみると……

 

「これが俺?」

 

そこには眼鏡をかけている俺が写っているのだが、本当に俺か?何て言ったって……

 

「目がそこまで腐ってない……!」

 

俺の特徴である目の腐りが少しだけなくなっている。完全に腐りが取れた訳ではないが少しだけ目に輝きがある。

 

何だ宇佐美の眼鏡は?魔法でもあるのか?

 

「しかし目の濁りが薄まった俺なんて久しぶりに見るな」

 

「久しぶりって事は前は腐ってなかったの?」

 

「ああ。小学校を卒業した頃から腐り始めて、大規模侵攻で親父が死んで完全に腐りきったかんじだな」

 

まあ親父が死ななくてもいずれ腐りきっていたと思うけど。

 

「そうなんだ……ところで比企谷君は復讐とかは考えてるの?」

 

「あん?何だ藪からスティックに」

 

「いや、家族を殺された人は結構復讐を考えてる人がいるから」

 

「特に考えてないな。恨みがないわけじゃないが、近界民を皆殺しにしたところで親父が蘇る訳じゃあるまいし」

 

恨みはあるが最優先は家計を楽にする事た。今後復讐をすると考えるようになっても家計が楽になるまではするつもりはない。

 

「比企谷君は結構ドライなんだね」

 

「否定はしない。復讐心を持つ事を否定する訳じゃないが俺にとっては復讐の優先度はそこまで高くない」

 

そんな事を言っていると青信号になったので自転車を漕ぐのを再開する。

 

(まあもう1人家族を殺されたら復讐に走るかもしれないがな)

 

頼むから運命よ、俺を復讐の道に落とさないでくれよ?

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ私はここで。送ってくれてありがとね」

 

「ああ。じゃあな」

 

基地に着いた俺達はエレベーターに乗って各々が行くべき場所に向かった。俺は8階、綾辻は6階で降りるので綾辻は礼を言ってエレベーターから降りて行った。

 

今日は太刀川さんは防衛任務なので居ない。よって照屋との辻との戦いに備えた模擬戦及び、チームとしての連携訓練をする予定だ。

 

ちなみに太刀川さんは俺や出水にレポートをやらせた事に関して忍田本部長から大目玉を食らったようだか、その翌日……

 

「今後比企谷や出水に頼む時はパソコンを使っても良いレポートを頼むことにする。そうすりゃ筆跡はわからないし」

 

と、ぶっ飛んだ事を言って俺と出水をドン引きさせた。そこは後輩に頼らないようにするべきじゃね?

 

閑話休題……

 

それともしも辻に負けた場合に備えて違うメンバーについても考えなくちゃいけない。正式入隊日に勧誘する事も視野に入れるべきだろう。

 

(全く……隊長ってやる事が多過ぎだろ?高1には結構負担だな)

 

まあ投げ出すつもりはないが。俺自身がA級に上がりたいからという理由もあるが、俺に付いてきてくれて、慣れない隊長業務を手伝ってくれる照屋と三上を裏切るのは嫌だし頑張るつもりだ。

 

そんな事を考えているといつの間にか自分の作戦室の前に到着していた。どうやら長い間考え事をしていたようだ。

 

何時もの様に暗証番号を打ち込んで作戦室のドアを開けると……

 

「うーん……何度記録を見ても先輩と私が近距離の時の連携は結構ぎこちないですね」

 

「栞ちゃん曰く攻撃手の連携は難しいみたい。風間隊は早くA級に上がったけど、まだまだ改善の余地はあるみたいだよ」

 

「そうですか……しかし辻先輩が入ると近距離の連携攻撃の難易度は更に上がりますし、6月のランク戦には到底間に合わないですね」

 

「その辺は比企谷君が来てから話し合おうよ。今日は太刀川さんは防衛任務で居ないみたいだし作戦室に来るでしょうし」

 

そんな会話が奥の部屋から聞こえてくる。どうやら俺が来ない間に作戦会議をやっていたようだ。勤勉な隊員をチームに引き入れることが出来て俺は本当に幸運だな。

 

内心幸せな気分になりながら俺は奥の部屋に向かう。

 

「うぃーす」

 

「あ、比企谷君。お疲れさ……ま?」

 

「先輩、こんにちは。今ちょうど連携についての話し合いをして、い……て?」

 

奥の部屋に入るとそこにいた三上と照屋は笑顔を浮かべるも直ぐにポカンとした表情を浮かべてくる。三上は眼鏡をかけているが宇佐美から貰った伊達メガネだろう。

 

(この表情……さっき綾辻や宇佐美がしてた表情に似てるな)

 

と、そこで俺は伊達メガネを掛けっぱなしだった事を気がついた。度がないから忘れてたぜ。

 

「……一応言っとくが俺は比企谷八幡だからな。偽物じゃないからな?」

 

「えっ?!も、もちろんわかってるよ!」

 

「ええ!ただ普段の比企谷先輩とは結構違うので驚いただけです!」

 

2人は真っ赤になって否定をしているが、その反応から察するに少なくとも疑っていただろ?

 

(まあ怒りはしないけどよ……俺自身も一瞬、本当に俺なのかと疑ったし)

 

「まあ何でも良いけどよ……それより遅れて悪かったな。あいつを撒くのに手間取った」

 

由比ヶ浜も頼むから割り切ってくれよ……俺自身お前に思うところはないんだし。

 

「あ、うん。それは良いよ。その時に栞ちゃんから眼鏡を貰ったの?」

 

「まあな。お前も宇佐美から貰ってるのは聞いていたが似合うな」

 

三上も眼鏡をかけるといつもより頭が良さそうに見える。まあこいつの場合元々頭は良いけど。

 

「あ、ありがとう。でも比企谷君の方が似合うと思うよ」

 

「いや俺の場合完璧に別人じゃね?」

 

綾辻に写真を見せて貰った時は疑ったくらいだし。

 

「ううん。違うのは目だけで後は同じだよ」

 

「その目が違いすぎるけどな」

 

「あー、それは……まあ、ね」

 

三上は苦笑いしながら否定をしない。隣の照屋も似たような表情を浮かべていた。分かってはいたが、俺の目は眼鏡をかけると大きく変わるようだ。

 

「はぁ……まあ良い。それより訓練をやろうぜ」

 

「あ、うん。その前に写真を撮って良いかな?」

 

「私も良いですか?」

 

「何でだよ?さっきも宇佐美と綾辻に撮られたが、俺の眼鏡姿なんて撮っても意味ないだろうが」

 

「えっと……何というか……(凄く格好良いし)」

 

ん?最後だけ声が蚊の鳴くように小さい声だったが何て言ったんだ?

 

「はぁ……SNSやネットにupしないなら構わない」

 

こいつらなら宇佐美達同様大丈夫だとは思うが念の為に釘を刺しておく。

 

確認しながら2人を見ると、2人は頷き携帯のカメラで写真を撮る。俺の写真なんて価値がある訳ないのに……そんなに目が腐ってない俺が珍しいのか?

 

「撮ったか?じゃあトレーニングステージの製作を頼む」

 

「了解」

 

三上も俺が命令するとオペレーターとしての意識に切り替わり、真剣な表情になりパソコンを操作し始める。

 

少しすると俺と照屋はトレーニングステージに転送される。

 

「んじゃ照屋、やろうぜ」

 

「はい。よろしくお願いします」

 

既に何百回も模擬戦をしている為、慣れた動きで互いに武器を顕現する。

 

チームを結成してから1週間も経っていないが、俺はトレーニングステージで照屋と軽く500回は模擬戦をしている。

 

その為互いの手札は全て把握しているので、勝ちを得る為には常に新しい戦法を模索しないといけない状況にある。

 

これは実に素晴らしい環境だ。おかげで俺も照屋も戦いの中で様々な戦法を身に付ける事が出来た。

 

しかし俺達が戦ってる場所はトレーニングステージーーー自分の隊の作戦室であり記録が残る個人ランク戦ブースではないので、辻は俺が照屋や太刀川さんとの戦いの中で会得した戦法を知らないのだ。

 

これは間違いなく3日後の辻とのランク戦で大きなアドバンテージになるだろう。

 

 

そんな事を考えていると……

 

『模擬戦開始』

 

三上の落ち着いた声がステージに響き、同時に俺と照屋は距離を詰める。

 

(さて、今日こそは完成させてやる……!太刀川さんとの訓練で磨いた『乱反射』を………!)

 

「グラスホッパー!」

 

そう叫びながら俺はジャンプ台トリガーを起動して飛び乗って照屋に突っ込んだのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

1時間後……

 

 

「お疲れ様」

 

トレーニングステージから出ると三上が労いの言葉をかけてくる。

 

「おう、お前もオペレートありがとな」

 

「気にしないで。それにしても比企谷君、いつの間にあんな技を身に付けたの?」

 

あんな技とはグラスホッパーを敵の周囲に展開して撹乱する技だろう。出水が『乱反射』と名付けた技だが中々ネーミングのセンスはあると思う。

 

「完全に完成したのは今日だ。それまでは太刀川さんとの模擬戦で練習をしていて、照屋との模擬戦で使ってなかっただけだ」

 

「そうなんだ。まあアレは直ぐに対処出来ないよね」

 

「はい。おかげで序盤は黒星をあげすぎました」

 

今日の模擬戦の結果は100戦73勝27敗で俺の勝ちだ。その内30勝は照屋が『乱反射』に翻弄されているが故の勝ち星だ。しかし後半になるにつれてちゃんと反撃してきたので明日やる時は模擬戦の勝率は間違いなく下がるだろう。

 

「明日までにまた新しい戦法も考えないとな……とりあえず今日の訓練はここまでだな。俺は15分後に防衛任務に行かないといけないし」

 

「お疲れ様でした。連携の訓練は明日にしましょう」

 

「ああ。6月までにどこまで伸ばせるやら……」

 

残念だが照屋との連携の訓練はまた今度だ。警戒区域でトリオン兵相手に訓練したいのは山々だが、照屋は今週一杯は比企谷隊のシフトでなく、個人の時のシフトをこなさないといけないので無理だ。

 

「可能な限り頑張りましょう。ランク戦の中で新しい戦術を見つけられるかもしれないですし」

 

「そうだな。そん時は協力を頼む」

 

「はい。……そういえば先輩に聞きたい事があるんですけど良いですか?」

 

「何だ?」

 

「いえ。つまらない質問なんですけど、先輩は隊服を作らないんですか?」

 

隊服とは文字の通り戦闘服だ。しかしこれは部隊によって大きく異なる。大半の部隊はジャージタイプだが、太刀川隊はロングコート、風間隊は宇宙スーツに近い隊服と千差万別だ。

 

「隊服は考えてない訳じゃないが隊員の意見も聞きたいし、辻が入ってから話し合って決めるつもりだ。隊服のデザインがダサいから嫌だと拒否られたら笑えないし」

 

「なるほど……確かにそうだね。でも比企谷君はやる気があって良かったよ」

 

「待て三上。今の発言のどこからやる気が伝わったんだ?」

 

「だって比企谷君今、『隊服は辻が入ってから話し合って決める』って言っていたじゃん。それはつまり辻君に勝ってチームに引き入れるって事だよね?」

 

「確かにそうですね。自信があるようで何よりです」

 

照屋がそんな事を言ってくる。自信か……

 

正直に言うと確かにある。圧倒的な力を持つ太刀川さんとの模擬戦、実力が拮抗する事で毎回戦法の幅が広がる照屋との模擬戦。

 

それらは1日100回以上やっているからか、柄じゃないが今の俺は……

 

「そうだな……負ける気がしない」

 

自信を持ってそう答えた。何が何でもA級に上がるんだ。こんな所で躓いてなどいられない。

 

自信を胸に秘めながら俺は防衛任務が始まるまで三上と照屋の3人で今後の方針について話し合っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして3日後の5月9日

 

遂に正式入隊日を迎えたのだった。

 


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