黒江が好きぃぃぃぃぃ!!   作:ユルい人

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第1話

俺は天使と会った。

 

 

 

後の大侵略と呼ばれるネイバーの大進行。町をぶらついてた俺は運悪くネイバーに襲われた。見たことも無い化け物に震える体を必死に動かし力の限り逃げる。火事場のバカ力なのか普段では考えられないスピードで破壊された町を駆け抜ける。そのまま暫く走った所でこれのら大分距離を離せただろうとちらりと後ろを振り返る。

 

「あ……」

 

足が止まった。自分ではかなり距離を取れた、もしくは逃げ切れたと思った化け物は俺のすぐ後ろに悠然と立っていた。足を止め立ち尽くす俺に化け物が腕を伸ばす。ああ、俺死んじゃうのか……

 

伸ばされる腕を他人事のように見ながら全てを諦めたかけたその時、一人の少女が空から舞い降り化け物を切り裂いた。

 

「大丈夫ですか?」

 

化け物が動かなくなったのを確認した女の子が俺を見て心配そうに問い掛けてくる。

危険が無くなった事の安堵からか全身から力が抜け今すぐにでも倒れそうになったが、命を救ってくれた恩人に礼も言えない奴にはなりたくないと体に活を入れ、疲れきって回らない頭で女の子にお礼を言う。

 

「結婚して下さい」

 

ちょっと間違った。ドン引かれた。頭を心配された。

 

「こちら双葉。強く頭を打ち混乱していると思われる住民を発見。保護をお願いします。場所は……」

 

鈴の鳴るような声で天使が誰かと話しているとモデルの様な女性が天使の隣に降り立った。

 

「双葉。その子大丈夫だった?」

 

「大丈夫ですけど大丈夫じゃなさそうです」

 

天使の言葉に頭を捻るモデルさん。

 

「どういうこと?」

 

「頭を打ったのか、まともな受け答えが出来なくなってるみたいなんです。今ボーダー本部に連絡して保護をお願いしました」

 

モデルさんはそう、と呟いた後俺の前でかがみ頭の上に手を置く。

 

「私達が来たからもう大丈夫よ。安心して」

 

モデルさんが優しく微笑みながら俺の頭を撫でてると天使やモデルさんと同じ制服を着た人が数人こちらに向かってきた。

 

「あの人達の指示に従って下さい。加古さん」

 

「ええ」

 

こちらに向かって来る人達を指差しそう言った天使はモデルさんを連れ何処かに飛び去って行った。

 

保護され避難地区まで誘導された俺は、あの天使がボーダーの隊員である事を知り。両親に土下座して頼み込みなんとかボーダーの入隊試験を受ける許可を得た。

 

その後入隊試験に辛うじて受かる事が出来た俺は嵐山隊長にボーダーに居るであろう天使の居場所を聞いたが、ボーダーには天使は居ないよと優しく諭されてしまった。隣に居た小虎さんには可哀想な目で見られた。それでも尚食い下がり天使の特徴を事細かに説明すると、木虎さんがそれもしかして双葉ちゃん?と呟いた。呟いた木虎さんを押し倒さんばかりの勢いでその双葉さんの居場所を教えて下さいと言おうとした時、背中から天使の気配がした。

 

「……なんでここに居るんですか」

 

驚いたような呆れたような声で俺を見つめる天使に気付いた俺はすぐさま振り返る。するとそこには相も変わらず天使している私服の女の子がなんだこれ可愛い過ぎじゃね?なんだこれ、これはもうあれだな。

 

「結婚してください!」

 

「嫌です」

 

フラれた。

 

「彼女になってください!」

 

「嫌です」

 

またフラれた。

 

「と、友達になってください!」

 

「…………なんか恐いので嫌です」

 

死にそう。でも諦めない。

 

「それならせめて知り合いになってください!」

 

「……まあ、それくらいなら」

 

「いよっしゃああああああ!!」

 

突然叫んだ俺にビクッとする天使さんに若干申し訳ないと思ったがこの喜びは止められない。テンションMAXのままドン引いてる天使さんに近付き手を伸ばす。

 

「俺は田仲亮平14歳です!天使さんに会う為にここに来ました!よろしくお願いします!」

 

「…………黒江双葉、13歳。天使じゃなくて加古隊隊員なので、その呼び方は止めて下さい」

 

「分かりました!黒江双葉さんですね!脳と心に刻み込みました!もう忘れません!」

 

「なんかこの人危ない気がします……」

 

再び会えた天使、もとい双葉さんと知り合いになれ有頂天になったが、そんな俺にドン引いた顔をする黒江さんに気付き咳払いを一つし気を落ち着かせる。

 

「お見苦しい所を御見せしました」

 

「今更だと思いますよ」

 

上がったテンションを無理矢理抑え落ち着いた男を演じたが黒江さんには効果が無かった。急に態度を変えた俺をジト目で見詰めてくる黒江さん。ジト目も可愛いなぁ、天使だなぁ、ちっちゃいなぁ可愛いなぁ…………あぁ

 

「やっぱり結婚してください」

 

「嫌です」

 

「すみません間違えました、握手して下さい!」

 

「………」

 

凄く嫌そうな顔をしながらおずおずと手を伸ばし俺の手をちょこんと握ってくれた黒江さんに俺のパストは爆発した。

 

「好きだぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「嫌ぁぁぁぁぁぁ!!」

 

熱きパトスに従い抱き締めたら、その小さい体から放たれたとは思えない程の力でビンタされ壁に激突した。黒江さんって強いんだなぁ。


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