Fate/VR   作:ヴィヴィオ

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第10話

 

 

 ショッピングモールに到着した俺とかなでは早速、レストラン街にやって来た。先ずは食事をしてからショッピングという事だ。

 

「さて、どっちがいい?」

 

このショッピングモールにあるレストラン街には、食べ放題の店が三件ある。串カツと焼き肉、60種類の様々な物を食べられるビュッフェだ。

 

「……どれも高いけれど、いいの?」

「ああ、構わない」

 

高いといっても、2000円から4000円までだ。どう考えても、あの食事量から計算すると安くつく。

 

「じゃあ、焼き肉がいいわ。今まで食べた事はないから」

「そうなのか?」

「シチューやスープにお肉が入っているだけで御馳走よ?」

「そうか。じゃあ、今日はたっぷりと堪能するといい」

「ん、ありがとう」

 

入る店が決まったので、お嬢様をエスコートするために手を繋いで進んでいく。回りから視線が集まるが、無視して進む。焼き肉・蔵ノ炎へと入っていく。

 

「いらっしゃいませ。何名様でしょうか?」

「二人で」

「かしこまりました。こちらへどうぞ」

 

幸い、待つ事もなく案内されていく。かなではきょろきょろと興味深々な様子で見ている。

 

「注文はタッチパネルからお願いします」

「わかりました」

「それではコースはどのようになさいますか?」

「安いのでいいわ」

「いや、せっかく今日から一緒に住むんだ。一番高いコースにしようか」

「いいの?」

「ああ。すいません、プレミアコースでお願いします」

 

この店は三段階の種類があり、一番安いので2500円くらいで、次が3000円。最後に4000円だ。4000円のを選んだ。二人で8000円になるが、安い物だろう。

 

「畏まりました。特選プレミアムコースですね。それではごゆっくりどうぞ」

 

店員が戻っていった後、早速パネルで食べる物を注文する。時間は100分しかないのだ。

 

「取り敢えず、何からがいい?」

「なんでもいいわ。適当にお願い」

「わかった」

 

タッチパネルを操作して、タン塩を5人前、豚トロを5人前注文する。その後にビビンバとご飯ものを注文する。

 

「そういえば、辛いのはいけるのか?」

「大好物よ。あの渡された食糧は大好き」

「なるほど。辛さはこのコチジャンで調整できるからな、好きにしてくれ」

「わかったわ」

 

俺はタッチパネルを更に操作して、どんどん注文していく。特に野菜もだ。ある程度、注文してから席を立つ。

 

「?」

「かなで、こっちに飲み物がある。セルフだけどな」

 

かなでを連れて、ドリンクコーナーへと向かう。

 

「ここで好きなだけ飲んでいいんだ。酒は駄目だが」

「天国ね」

「だろうな。で、どれにする?」

「取り敢えず、ジュースを全部」

「わかった」

 

席に戻るとすでに野菜が運び込まれていた。かなではそのまま野菜を食べていく。

 

「ドレッシングやたれにつけてもうまいぞ」

「そうね。孤児院じゃ調味料は贅沢品だから、気にしなくていいのは嬉しいわ」

「なくなれば頼めばいいだけだしな。しかし、普段の食事はどうしていたんだ?」

「敷地内にある畑で作っていたわ」

 

孤児院の事を聞いていると、お肉が運ばれてきた。量が量なので、豚トロを皿から網へと一気に投入する。次にタン塩を焼いていく。

 

「まだ?」

「駄目だ。豚トロは時間がかかる。だが、タン塩はいけるか」

 

豚トロの油で火力が上がっているので、タン塩を片面だけ焼いて、かなでの皿に入れてやる。かなでは嬉しそうに箸でタン塩を掴んで食べる。そして、次の瞬間には次を期待してこちらをみている。

 

「あ~ん」

「はいはい」

 

塩味がついているので、そのまま口に入れてやる。なんというか、俺は焼きに徹した方が良さそうだ。まあ、幸せそうに食べている美少女のかなでを見ていられるのは幸せな気分になるから、よしとしよう。

 

 

 

30分で皿がどんどん運ばれてきては持って帰られていく。店員はほぼ俺達の席と厨房を行ったり来たりしている。かなでの食べる速度は圧倒的で、火力を上げる為に常に油が落ちる豚トロ系を焼いている。周りも俺達を……いや、かなでをみていたりする。

 

「あんな美少女が……信じられねぇ……」

「何処にあんなに入るの?」

「フードファイターの人?」

「応援をっ、応援を呼んでください!」

「もう呼んでいる!」

 

厨房の方からも悲鳴が聞こえてくる。

 

「コウ、カルビとハラミをもっとちょうだい。後、お米も」

「わかった」

 

俺は適度につまみながら、焼いていく。やっぱり、食べ放題じゃないと駄目だな。

 

 

 

 

 

 

「ら、ラストオーダーで、おっ、お願いします……」

「どうする?」

「じゃあ、全部5人前ずつ」

「っ⁉」

「わかった」

 

10分前のラストオーダーでもかなでは止まらなかった。牛、何頭分……何十頭分、食ったんだろうな?

 

 

 

食事が終わり、会計へと移動する。店員は涙目になりながら、代金である8000円と税を告げてくる。支払い終わってから、隣のかなでを見るが、その()()は一切代わっていない。おそらく魔力に変換されたんだろう。そうでも考えないと有り得ない。

 

「どうだった?」

「満足よ」

「それは良かった」

「でも、辛さが足りないわ」

「それはまた今度だな」

 

かなでと手を繋ぎながら、彼女の服や組み立て式のタンスなどを選んでいく。歯ブラシやコップなども買い終えると、かなでが俺を連れてきたのはちょっと、男がいけない所だった。

 

「ごめん、お金を渡すから買ってきてくれ」

「何故? 選んでくれたらいいのに」

「下着とかそっち関係は自分で頼む」

「そっち?」

「月々の物とか」

「わっ、わかったわ……」

 

顔を赤らめるかなでに二万ほど、渡して待ち合わせ場所を決める。俺は明日の食料を買い込んでいく。後はかなでにプレゼントするための指輪もだ。もっとも安物になるが、後でいいのを買おう。なに、サーヴァントを狩ってクラスカードを売ればいいんだからな。っと、ジャックやジャンヌちゃん達へのお土産も買わないといけない。あちらで使えそうなアウトドア用品もだな。貯金がどんどん減っていくが、仕方ない。

 

買い物を終えて、二人で帰宅する。それから、シャワーを浴びて服を洗濯する。ぶかぶかの俺のワイシャツを着るかなでと向かい合って座り、買ってきたケーキを取り出す。

 

「こんなの初めてよ」

「そうなのか?」

「本物のケーキは高いから」

「なるほどな。っと、プレゼントがある。手を出してくれ」

「ん」

 

かなでの左手薬指に指輪を嵌める。

 

「エンゲージリング?」

「そうだな。まあ、安物だから、お金が出来たらちゃんとした物を送るよ」

「要らないわ」

「え?」

「これがいいわ。他のなんていらない。大切な物は一つでいいの。沢山あったら、気持ちが薄れてしまうわ」

「わかった。じゃあ、こっちはかなでが嵌めてくれ」

「ええ」

 

指輪を交換した後、一緒にケーキを食べてから歯磨きをして、一つのベッドで抱き合って眠った。眠るのはまた悪夢を見るかもと、怖かったが……かなでの温もりで眠る事が出来た。

次の日、問題なく爽やかな目覚めが出来た。一人で寝ると悪夢を見るのかも知れないな。

 

「おはよう」

「おはよう」

 

起きたのか、俺を下から見上げてきたかなでは、自分からキスをしてきた。

 

「目覚めの挨拶。こういうものだって、本で読んだけど……違った?」

「いや、全然。問題は俺が我慢できずに襲いそうになる事だ」

「別に襲ってもいいわ。私は貴方のモノだから」

「だっ、駄目だ」

「そう、残念ね。これはヘタレというの?」

「違う」

「それとも、やっぱり私には魅力が無い?」

「断じて違う。婚前交渉が駄目だと思っているだけだ」

「そう。じゃあ、今日は市役所に行きましょう」

「え?」

「魔力が足りないの。もっと、ご主人様のをちょうだい」

「っ⁉」

 

驚いてかなでの顔をみる。無表情でよくわかっていないようだ。だが、彼女をよく見ると、スマホの画面をちらちらと見ていた。

 

「それは?」

「友達に男の人を喜ばせる方法を聞いているの」

「それが原因かっ!」

「でも、魔力が足りないのは事実よ」

「……わかった。今晩、しようか」

「ええ。それで食費もましになると思うわ」

「じゃあ、いくか」

 

市役所に行って婚姻届を提出。これで晴れて夫婦になった。その夜は初夜を迎えて、やる事をやった。なんというか、最高で何度もしてしまった。だけど、かなでも貪欲に求めてきた。それはまるで食事みたいに。そう、たっぷり吸い取られたのだ。色々と。

 

 

 

 

 

 

 


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