比企谷八幡は失踪することにした。(渋滞中)   作:amedama

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こちらの方では、かなり久しぶりとなります。

まず、更新を長期にわたって見合わせることとなったことを、心よりお詫び申し上げます。

もともと心がやみかけていたような時期に書いた、私にとっては一種の中二病的存在な作品でありました。評価は賛否両論ということですが、それでも評価していただけることが私にとっては大きな存在でもありました。低評価でも高評価でも、評価する、感想を書くという行動をしていただいた皆様には心より御礼申し上げます。

しかし、大学に進み、憑き物のような病みもいくばくか取れてきた状況下で、あまり物語の展開が思いつかず、行き詰りました。更新について厳しいお声もいただきました。返す言葉もありません。

今回はもともと頭の部分を書いていた2つのエピソードを、1つにまとめてお送りいたします。

今後の更新については、現状ではあまり明るい兆しが見えない。ということだけ、まずは素直に申し上げます。
そのうえで、利用規約などに抵触することがないと判断できた場合には、作品に関する情報などを提供し、譲渡も視野に入れております。
詳しい事項については、メッセージなどでお聞きいただければ幸いです。

至らぬ点もあるかと思いますが、何卒宜しくお願い致します。詳しくは、後日掲載予定の活動報告をご覧くださいませ。


#14 場所は違えど、時計の針は再び動く。

八幡side

 

「お久しぶりです、叔父さん」

「ああ、久しぶり。まあ、座れや。あと、敬語なし」

「わかったよ」

そう言って、俺は座布団の上であぐらをかく。

「にしても、災難だったな。まさか、あんなことになってたとは」

「まあ、俺に大元の原因があるけどな」

「いや、原因は他のやつらだ。お前は悪くないさ、むしろ、よく頑張った方だと思うがな。贔屓目なしで」

「そう言ってもらえると、ありがたい」

暫く話してると、鍵が開く音がした。

「あ、萌が帰ってきたわね」

「・・・っ!?」

「八幡、どうかしたか?」

「・・・いや、どうしようかと」

「隠れたりしなくても良いと思うが」

「そうか」

・・・萌はどんな反応をするだろうか。

「ただいまー」

「お帰り萌。八幡君来てるわよ」

叔母さんが玄関に出ていった。

「え?もう来てるん?」

「ええ」

「そっか」

・・・なんか、あまり動じてないようだ。

それはそれで悲しいのだが。

「八幡君、久しぶり!」

満面の笑みで萌が現れた。

「久しぶりだな、萌」

 

 

陽乃side

 

あの会談から1週間が経った。

比企谷本家との会談の後は、ものすごく忙しく、あっという間に1週間が過ぎていった。

そして今、私は京都へ向かう新幹線の中にいる。

「比企谷君・・・」

・・・彼は京都にいると聞いた。今何をしているのだろうか。

 

彼にもう一度会いたい。そして彼に謝りたい。

・・・彼は私のことを許してくれるだろうか。

・・・いや、そんなこと考えてはいけない。許される許されないといったことを考える権利すらも、今の私にはない、いや、あってはいけないのだ。それ程の事をしてしまったのだから。

私が文化祭の時、委員長を唆さなければ。文化祭で雪乃ちゃんを煽るような真似をしなければ。文化祭で彼が悪役になってヘイトを向けられる引き金を引いたのは私なのだ。修学旅行の一件は隼人が元凶だが、文化祭においては責められるべきは私だ。・・・今更ながら、後悔している。彼を追い詰めてしまった。取り返しのつかないことをしてしまった。

だからこそ、彼には謝らなければならない。心の底から、誠意を込めて、これまでの事を詫びたい。

「とはいえど・・・本当に馬鹿だな、私・・・。どうして彼のことを考えて動けなかったのか・・・」

彼のこれまでの言動とか、私や雪乃ちゃんへの態度からも、こうした結果になることはある程度考えられたはずなのだ。それなのに、私は・・・。

言い訳ができるとしたら、少しばかりは考えの中にあったが、四菱を牽引する比企谷一族との関係が、親と本家筋が薄くとも、比企谷八幡本人と本家筋とのつながりが予想外に強力であった・・・。

これを言い訳としても所詮は言い訳。しでかしたことが消えるわけでもないし、免罪符にすらならない。

考えすぎるときりがない。車内の喧騒から意識を切り離すために、イヤホンをつけて適当に音楽を聴くことにする。

 

『嫌いを100と40字 鍵付きの心 言葉とナイフ

泣き言で着飾って お化粧は大層綺麗だろうな

あやとりをしましょうか 赤い糸に隠れるピアノの線

貴方はもう共犯者 手に取った凶器の 言い訳をどうぞ』

 

・・・今のメンタルだからこそだろうか。かなり心にいたく来る。自動選曲だったからか。曲名を見てみる。

 

「『メリーバッドエンド』か・・・。ははは・・・」

 

・・・彼に強化外骨格ともいわれた、壁とも呼べる心の防壁が、音を立てて崩れ去っていく気がした。




今回登場した楽曲
「メリーバッドエンド」まふまふ

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