あの日たすけた少女が強すぎる件   作:生き残れ戦線

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四十七話

「おいおい、こりゃ何にも見えねえぞ」

 

誰かがそう言った。自分は黙々と足を進めながらそれに同意する。

周囲を警戒しながら歩くのは連邦軍第33装甲大隊所属歩兵小隊第六班。

現在、帝国軍と交戦中であり、その最中、大規模に発生した霧のせいで。交戦する敵部隊を見失い。他にも部隊との連絡も取れない出来ない状況にあった。

 

白い霧が邪魔で視界はゼロと言ってもいい。

いつ敵が目の前から現れてもおかしくない状況だ。おっかなびっくり進むしかなく、小隊の歩みは遅かった。

 

それでも敵のいる方向に進むのは、今だ指揮官である大佐からの後退命令が出ていないからだ。

命令がない以上、進まなければならない。

戦争を継続しなければならない。

 

耳を澄ませば、混乱と怒号が辺り一面から聞こえてくる。敵と交戦しているのか銃を乱射する音も。中戦車の荒々しい苛烈な砲撃もまだ続いている。

自分達はその音を頼りに前を歩いていた。

 

緊張で汗が滲む。霧が出る前でさえこれほどの緊張感はなかった。目に見える敵と戦う事は怖くはあったが恐怖はなかった。視界が遮断され、敏感になった聴覚だけで戦場に立つ事がこんなにも恐ろしいなんて思わなかった。

霧は幽鬼が住まう世界と言われる。

成る程、その通りだ。

今にも直ぐそこから人ならざる者達が出て来てしまいそうな予感を覚える。

 

早く慣れ親しんだ世界に戻りたい。

帝国兵を撃ち殺す。ただそれだけを考えていればいい楽な世界に。

敵を殺すだけの兵士に恐怖は余分だ。

少なくとも自分には必要ない。冷たく、どこまでも深く。殺す事だけを考える。

 

恐怖を思い出せば、人を殺す恐怖も思い出してしまうから.....。

 

「おい、大丈夫か顔色が悪いぞ」

「問題ない.....。いや、本音を言うと、今すぐにでもここを出たい」

「無理もないぜこんな状況じゃな、それと気づいたか?敵はどうも逃げてるようだぜ。さっきから帝国兵を一人も見ない最前線だっていうのに」

[.....」

 

言われてみれば確かにそうだ。霧が出る前は30秒で帝国兵が何十人も目の前に現れたが、もう小隊が進み続けて五分は経とうとしているのに、一向に敵が出てくる気配はない。

 

「この霧だ、おかしくはない。前にもう一つ部隊が進んでいるはずだ。彼らが戦っている様子もないし、敵は予想よりも戦場を後退しているかもしれない」

「それだけの後退は撤退と同義だ。という事は俺達の勝ちか?エンデルセン」

 

緑色の戦闘服に身を包む兵士の男――友人でもあるアレクス=マルコ一等兵の顔に笑みが浮かぶ。

自分もその可能性を考えていた。

だが、

 

「油断は禁物だ、敵の罠かもしれない」

 

結局はそこに帰結した。

状況が読めないからないからこそ、気を緩めるべきではない。

敵を最後の一兵まで残らず殺すまでは安心できない。

それが敵愾心からくるものなのか臆病からくるのか今となっては分からない。

 

「お前は昔から慎重だな」

「そういうお前は気楽すぎる。ここは戦場だぞ、もっと用心しろ」

「この状況じゃそれも難しいぜ、何にも見えないんだからよ。だったらもっと楽にしようぜ、いま根を詰めていたら持たねえよお前」

「.....良いんだよ俺は帝国兵を殺せれば体がどうなったって」

「親父さんの仇だってことは分かる、俺だってそうだ。でもお前が死んだらミリアはどうなる?本当に一人になるぞ」

 

たった一人、故郷に残してきた妹の事を言われると返答に困る。

それを知っててマルコも言うのだから質が悪い。

 

「.....今はそんな事を考えている暇はない。ここに居る以上、俺達は兵士だ余計な事は考えるな」

 

逃げるように自分は戦場に目を向けた。

白、白、白、どこを見ても白一色の世界に閉じ込められた自分達――小隊十二名は戦場に取り残された迷い子だ。いや、あるいは自分だけが迷っているのかもしれない。

故郷のしがらみ、殺された家族の復讐心に自分の心は迷わされている。

 

もう何も考えたくない。ただ、ただ、自分は敵を殺す兵士だと云う事に囚われたい。それだけが自分の心を前に進めてくれる。――――その終着点に辿り着くまで自分はただの兵士だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――そして兵士は終わりをもたらす者に出会う。

 

 

「.......銃声が聞こえる」

 

誰かがそう言った。銃を構えながら自分もそれに同意する。

「密集隊形!」連邦軍第33装甲大隊所属歩兵小隊第六班12名が一斉に人所に固まり。周囲を警戒する。この霧では味方の識別すら難しい、せめて同じ小隊の者だけでも同士討ちを割けるための措置だ。隣で同様に銃を構えるマルコが言う。

 

「........今聞こえたのって前を行っていたもう一つの小隊だよな?」

「音の近さから考えて恐らくは.....」

 

頷きながら呟く。

つまり、敵が近くに居るという事に他ならない。

沈黙が降りる。

誰も何も言わず、動かず、ただ敵が現れるのを待つ。

敵がノコノコと霧の中から出てくる瞬間を待って。

 

やがて前方の銃撃音がふっと途絶えた。戦闘が終わったのだ。

この時、自分はやけに静かに戦いが終わった事に少し疑問を覚える。もしお互いが銃を使い戦っているなら一方が負けても(負けはイコール死)、敵の銃声が断続的に続くはず。今のは一方が死んで銃撃が止んだような静まり方だった。つまり敵は銃を使っていない。

馬鹿な。ありうるのか、そんな事が。

だとしたら敵は......。

 

 

 

 

―――ストン、肉を割く音。

小気味よく聴こえた音に釣られて、横を見る。立っていた兵士の顔に短刀が突き刺さっていた。

信じられないものを見る様な兵士の眼球がグリンとまわり。白目を剥く。銃を手に仰向けに倒れた。あっけなく一人殺されたのだと理解する。全員の意識が倒れた兵士に向かう、無意識の動きであった。その瞬間―――

 

白い(とばり)を切り裂いて黒い獣が眼前に現れた。

 

脳がその事実を受け入れる前に黒い獣――装束を纏った男が飛ぶように迫り。その手に掴む刃で微動だにしない――動揺で硬直した兵士の喉元を切り裂いた。赤い血潮で汚れるのを嫌った獣は流れるように頭を掴み手首を返す。ビチャビチャと遅れて溢れ出す血糊で直ぐ横に立っていた兵士の戦闘服が赤く汚れる。恐怖に彩られた兵士が引き攣った声を出す。

 

「あああ――――グッ!?」奇怪な音が口から漏れる。兵士の背後の霧から現れた装束が刃で背中越しに心臓を貫いていた。

敵は一人ではない。それに気付いた自分が銃口を向け、トリガーに指を掛ける。マズルフラッシュが閃き弾丸を発射する。無数の銃弾が装束に迫り―――心臓を刺され即死した兵士の体を肉の盾にして防がれる。

 

「なっ!?こいつ!」

 

味方を盾にされ怒りに顔を歪ませるマルコが銃を乱射するも、マルコが気を取られた瞬間を狙って最初の敵が刃を肩に突き立てようとする―――。

 

「マルコ、後ろだ!」

「うおっ!」

 

慌てて地面を転がり頭を庇う。咄嗟に偵察銃の狙いを付ける間もなく撃ち続けた。八発の弾道は空を穿ち後方に飛び退いた装束を纏う敵は霧の中に消えていく。見ればもう一人の装束も居なくなっていた。

逃げた訳ではないだろう。こちらを襲う機を窺っているはずだ。

その間にマルコを助け起こす。

 

「大丈夫か」

「ああ.....いったい何なんだ?さっきのは帝国兵とは思えんが」

「分からん。だが敵なのは間違いない」

 

それまで戦ってきた帝国兵とは明らかに異質。だが敵である事に違いはない。

ならば自分のやるべきことは決まっている。敵は殺す。

 

「今ので何人殺された」

「三人だ。あっという間だった」

 

あまりにも突然の事で誰も反応できなかった。自分もそうだ。

一瞬の事ではあったが戦い慣れしている印象を受けた。

それだけではない、

 

「なぜこちらの居場所が分かった。物音ひとつ出さなかったっていうのに!」

 

敵はまるで自分達が待ち構えている事に気づいていたかのようであった。ありえない。この霧で数メートル先も見えない悪視の状況下。敵も状況は同じはずなのになぜ手に取る様にこちらの居場所が分かった?。

考えても答えは出ない。

それどころか状況はなお悪くなる一方だった。

 

こちらの態勢が整う前に敵は襲いかかって来た。やはり霧の中から忽然と飛び出して来たかと思うと、驚かされた。なぜなら襲撃者は九人いたからだ。ちょうど生き残っている数と同じで。これを偶然と思うほど甘い性格ではない。思い知った。敵は戦闘のスペシャリストだ。逃げるべきだったのだ。集団組織としての格が違い過ぎる。

目の前に敵が迫ってくる、銃弾は先程使い切って再装填していない。

 

......ああ、やはり恐怖は余分だ。

 

死への恐怖は、故郷に帰りたいと思わせる。もう一度、妹に会いたいと渇望させる。復讐に逃げてきたのに。戦場に逃げてきたのに。最後に帰結するところは結局そこだったのだ。

 

生きたい、生きて故郷に帰りたい。

 

「うおおおおおお!!」

 

気付けば叫んでいた。喉元目がけて迫り来る刃を前に、空の銃で防ぐ。木目を切り裂き半ばで止まる刃。勢いよく銃を振り払って刃ごと放り投げた。霧の中に消えるのを無視して目の前の襲撃者に殴りかかる。顔面目がけて突き出した拳を払うように交差させる襲撃者の手。一瞬の事だった。チクリと腕を刺す痛みが襲う。見れば腕には深々と針が差し込まれていた。あの一瞬で撃ち込まれたらしい。腕に力が入らない。

ならばと蹴りを叩き込もうとするが、その前に足を潰された。甲ごと踏み抜く勢いで落とされた足が爪先を潰したのだ。ベキリと骨が折れる音と激痛が走り、悲鳴を―――上げる暇もなく喉を掴まれた。握りつぶす勢いで呼吸も出来ない。

強すぎる、文字通り手も足も出なかった。

 

「あ......かは」

 

急速に視界が暗転していくのを感じ、これで終わるのだと思った。

だが違った、こいつは正真正銘の悪魔だった。

 

ふと喉を締める力が緩む。

 

「私の質問に答えろ。お前は誰だ」

 

やけにはっきりと聞こえたその声に、正直なんと言えばいいのか分からなかった。

 

「.....し、質問の意味が分からない。哲学を語れと言うのならグラマトロジーを読むんだな。そうすれば....グァッ!」

「舌は回るな。ならば教えろお前の名前、所属部隊名、認識番号をだ」

「誰が言うか....馬鹿が」

「そうか。だが直ぐに教えたくなるはずだ」

「なに.....?」

 

訝しむ自分の横に誰かが連れて来られるのが分かった。

 

「っ!マルコお前か?」

「すまねえ、ドジ踏んじまった」

 

生きていた事に安堵する。だが直ぐに、なぜ殺さないのかという疑問が襲ってきた。

いや、考えるまでもない。

 

「人質のつもりか」

 

情報を吐かせるために、仲間を人質に取ったのだ。

そう思ったのだが、そんな考えは甘すぎた。敵は自分が考えるよりも悪辣だった。

黒髪の男は首を振って、

 

「違う。見せしめだ」

 

そう言うと自分の首から手を離して、崩れ落ちる自分を一瞥もせず、腰のベルトに掛かっていた黒い手袋を取り出すと嵌める。手術を開始する前の医者の様に、マルコの前に立った。

そして、黒手袋を嵌めた手でベタリと顔に触る。

何をしている......?

 

一分もしない内に変化が起きた。

 

訝しんでいたマルコの顔がいきなり引き攣った様な表情に変わり、異常な程の発汗が始まる。ガタガタと体が震え始め―――途端に口から泡を吹いて、ゆっくりと地面に倒れた。

ピクリとも動かない友人の姿を見て、

 

「マルコ.....?」

 

呼びかけるも反応はない。明らかに死んでいる。

あっけなく友人が目の前で殺されたのを呆然と見ていた。

マルコを殺した張本人は平然とした様子で、

 

「理解したな。毒を塗っている、今のように死にたくなければ話しなさい全てを」

「お、お前はその為だけに殺したのか.....」

 

毒の有無を自分に見せるという、ただそれだけの行為の為にマルコは死んだ。

 

「恐怖すれば人は良く喋る、効率的に考えればおかしなことではない」

「ふざけるな!なんでそんな事ができる。お前達帝国は何で平然と人を殺せるんだ!」

「さて、元から私はこういう人間ですので分かりかねます」

 

男の目には底のない黒があった。

自分はその目に心底、恐怖を覚える。その人間性に、死を感じたよりもなお深い恐怖を。

同時に湧き上がる生の渇望。どうしようもないほどに恐怖は生を求める。

 

「それよりもどうぞ、早く喋って下さい。こう見えて急いでいますので、さもなくば我が黒指はお前の心臓を掴む事でしょう......」

「待て!近づけるな!喋る。貴方に教える!だから......殺すな!」

「ええ、良いでしょう私はお前を殺さない、我が主の御名に賭けて誓いましょう」

 

触れそうな程に近い黒き手が離れていき安堵する。

情けない、あまりにも情けない。友人を殺した敵を目の前にして助けを乞う事しかできないなんて。

だが自分は生きて故郷に帰りたいんだ。兵士としての今までを全て投げうってでも。

待ってくれている家族がいるから。

だから俺は......。

 

全てを話した。自分の名前から第33装甲大隊の事も大佐を含めた全てを俺は、男に話した。

 

靴を舐めろと言われれば靴だろうが舐める勢いで喋る俺を冷えた目で見下ろしながら黙って聞いていた男はやがて首を縦に振った。

 

「いいでしょう。所々、混乱する箇所が見受けられましたが。必要な事は全て分かりました」

「なら、これで助けてくれるんだな!?」

 

縋るような目で見上げる俺を、男はキョトンとした目で見る。不思議で仕方ないとばかりに。

背筋に冷たさが走った。

 

「助ける?いいえ、いいえ。私は殺さないだけです.......私はね」

 

俺が何か言おうと口をひらき―――視界が捻じれる。最後は骨が折れる音を耳にしながら、視界が闇に閉ざされていくのを感じていた。

最後に思うのは何てことない。故郷の風景......俺はただ帰りたかっただけなんだ。

 

ここが、兵士になりきれなかった俺の終着点。...............................................

...........................................................

...................................

.......................

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

背後の『左手』によって首を捻じ曲げられた兵士の死体が、地面に転がるのを何の感慨もなく見下ろしていたギュンターは。早々に準備に取り掛かる。

兵士の衣服を剥いでそれを自分に纏う。遺体は泥の中に隠した。

連邦軍特有の戦闘服に身を包んだギュンターは振り返る。

見ればもう一人が同様に戦闘服に着替え終わる所だ。

周囲に九人、いやそれ以上の影が霧の中にあった、

 

「これで8隊目、紛れる為の容れ物は十分でしょう。それでは作戦通り二人一組となって敵部隊に紛れて下さい、その後、負傷兵として隊を抜け国境で落ち合いましょう。我らの任務は敵後方の兵站拠点の偵察です。あまり目立たぬよう心がけてください。それでは.....行け」

 

影絵のようにあった人影が消える。残った九人のうち戦闘服に着替えた者を除き八人に命令する。

 

「お前達は北に向かいなさい、集合場所に私達が戻らなければ失敗と見なし、その後、長と合流を図るのです、手順はルート22を使いなさい」

 

八人も無音で霧の中に掻き消えた。

その場には二人だけが残る。ギュンターは相方に視線を向けて、

 

「それでは私の事はコレからエンデルセンと呼びなさい、部隊は全滅し撤退を余儀なくされ、精神に異常をきたした我々は後方の野戦病院に送られる事になるでしょう。脱走はその時です。顔が割れる前に逃亡すれば問題ないはずです」

「はい、分かりましたエンデルセン、俺はマルコだ」

 

顔に包帯を巻きながらマルコが頷く。

 

「それにしても、この霧のおかげでだいぶやりやすくなりましたね」

 

本来の作戦では東の森で決行する手筈だった。時間も手間も掛かると思われていたのに、今のところこちらはほとんど犠牲なく任務を進める事に成功している。全てはこの白い濃霧のおかげだ。敵の気配を感知する術に長けている自分達にとって、これほど適した状況もそうはないだろう。戦場においては猶更だ。

だがなぜかギュンターはふと何か遠くを見るような目で霧の向こうに視線を移していた。

疑問に思ったマルコが問う。

 

「何を考えておいでですか?」

「あの男の事だ」

「例の殿下のご友人の方ですか。試しに行ったそうですね、貴方の目から見て如何でしたか?」

「分からない、あの男の底が見えなかった」

 

その言葉に驚いた表情になるマルコ。この人がそこまで言うなんて初めて聞いたからだ。

黒き死と帝都で恐れられた鬼人の目にすら力の底を映させないとは、いったいどんな人間なんだろう。

 

「この霧も奴は読んでいた。近くに卿の生家があるらしく、幼い時から母親と住んでいた。森と共に生きた事から自然の移り行きが読めると言っていた。だがそんな不確かなものを頼りに自らを含め大勢の人間の命を危険に晒し、自らを疎ましく思う臣下の命を救った、利益と損害の天秤が(いびつ)だ。一歩間違えれば自分も臣下も全てを失っていてもおかしくはなかった、だが卿はか細い可能性の糸を掴んだ。自らの運と天性の勘によって」

「良く分かりませんが、つまり御眼鏡に適ったと云う事ですか」

「......」

 

そこを踏まえて分からない。一物を含む味方でも助けに向かうその在りようは正しく英雄そのものだが、同時に危うい。我が主はその辺りを好んでいるようだが、万が一でも危険に晒すわけにはいかない。もう少し調べて見る必要がある。

 

「監視対象の一つに据えるべきだな.....」

「そうですか。そこまで貴方が人を評価するとは初めての事では?」

「......そうでもないさ。これで三人目だ。底すらないと思わせた化け物は存外居るものだ」

 

そういえば、計画通り事が進めば、その三人がこの地に揃う事になる。

そうなればこの地は正しく連邦にとっての地獄となるだろう。

どれだけ生きて帰れるか。

 

「行くぞ」

 

微かな笑みを浮かべていたギュンターとマルコの二人は歩き出す。

連邦軍の本隊がある西に向かって。

 

やがて直ぐに二人の体は霧の中へと消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 


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