バカと9人の女神と召喚獣 バカテス×ラブライブ!   作:星震

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おさらい!バカライブ世界観

[文月学園クラス分け方法]
入学、進級と同時に振り分け試験と呼ばれるクラス分けテストが行われる。
その成績の点数においてA~Fの6段階に分けてクラス分けされる。
最高成績のAクラスは最高の設備、
最低成績のFクラスには最悪の設備が用意されており、試験召喚戦争を行う際の拠点ともされる。
なお、各クラスの代表は最高成績の者に与えられる。

[音ノ木坂クラス分け方法]
ごく一般的に各クラス成績が良い者、悪い者が等しく分配される。
A~Fクラスの6クラスがあるものの、設備の差や成績の差は全くない。
明久や穂乃果たちがFクラスになったのはたまたま………だと思われる。






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今回もよろしくお願いします!!


僕と初陣と一日目

「ふぅ…やっと終わった…

 心身共にボロボロだよ………」

 

「おう。よく帰ったな」

 

学力強化合宿の本来の目的である授業を終えた。

学習時間は普通の学校の授業と大差はないけど学年が違う小泉さんと手が繋がっているために一日で二回の強化合宿授業に参加しなくてはならない。

それは僕だけじゃなくて小泉さんもなんだけどね。

 

「明久先輩大丈夫ですか……?」

 

「うん…なんとかね………」

 

「お前の点数がこの二回でどれだけ蓄積

 されたか楽しみだな。

 今回は期待してるぜ?」

 

「任せてよ雄二。

 こんなくだらない戦いは僕たちの手で

 絶対に終わらせる!!」

 

「そろそろ時間じゃぞお主ら。

 音ノ木坂一年女子の入浴時間じゃ」

 

小泉さん以外の音ノ木坂の一年生が

入浴しているこの時間が一番怪しい。

奴等が来るのはこのタイミングだろう。

 

「さて、作戦のおさらいだ。

 康太と秀吉、文月学園生徒会が

 先頭に出て突破口を開く。

 そんでもって俺はお互い利き手が

 塞がってて召喚獣が操作しにくい

 明久と小泉の支援だ。

 そして今回の切り札は明久、お前だ」

 

今の僕には学力強化授業二回分の点数があるからね。

今の僕の召喚獣には点数だけでいってしまえば文月学園Bクラス並みの力が備わっている。

本当に強化授業のテストが回復試験と同じで召喚獣の点数に追加されるシステムで助かったよ。

 

「そして小泉。

 お前は戦況次第では明久を無理矢理

 にでも連れて逃げてくれ。

 明久の点数は明日も必要になる。

 一日目で派手に消費するのは惜しい」

 

「分かりました。

 明久先輩、そのときはきちんと約束

 守ってくださいね……?」

 

「うん。

 けどこれは凛ちゃんや西木野さんの

 運命が掛かっていることでもあるんだ…」

 

握りこぶしに力が籠る。

μ'sがなくなるかもしれない。

彼らはそれを分かっていない。

考えることができないだろう。

 

「そんな顔をするな。

 今回は確かに負けられねぇ、けど

 負けてもお前のせいじゃない。

 全部一人で罪を背負うんじゃねぇよ」

 

「雄二…………」

 

「ま、康太と秀吉から連絡がくるまで

 気長に待とうぜ。

 久保たちも向こうにいることだし、

 秀吉の姉が女子に警告をして数人を

 警備に回していることだし、しばらく

 は安心して良さそうだ」

 

雄二は部屋にある自分の布団に座った。

そんな雄二の余裕を見て少し安心していた。

安心しすぎていたのだ。

部屋の扉が勢いよく開き、数人の生徒が侵入してきた。

 

『そこのバカ二人!!

 手を頭の後ろに組んで伏せなさい!!』

 

「な…なんだぁ!?」

 

『やっぱり!!

 木下さんの手紙にあった通り!!

 そこの子を人質にとって私たちの

 防衛を突破しようとしていたのね!』

 

「人質!?

 小泉さんはそんなのじゃない!!

 誤解だ!!」

 

『まだ言い逃れするつもり?

 見苦しいわよ、観察処分者』

 

「違う!!

 誰にそんなことを言われたか知らない

 けどやめるんだ!

 君たちは踊らされている!!」

 

『観察処分者の言うことなんて……』

 

このままではキリがない。

そう思ったときだった。

 

「はぁ~あ……………………」

 

雄二が突然大きなため息をついた。

そのため息の大きさに全員が黙った。

 

「おいおい、いきなり人様の部屋に

 許可もなしに入ってきて何様のつもり

 だぁ?

 生憎、こっちは忙しいんだよ…

 邪魔すんじゃ………ねぇッ!!」

 

雄二は近くにあった机を思いきり蹴り飛ばして生徒を威嚇する。

 

「明久、今だ!!

 お前らだけでもあいつらと合流しろ!」

 

「雄二………分かった!!

 小泉さん、いくよ!!」

 

雄二の合図と共に僕は小泉さんの腕を掴んで部屋を出た。

 

『待ちなさい!!

 何してるの!アイツを追って!!』

 

「おい、敵に背中向けるとはいい度胸

 してるじゃねぇか」

 

『何を………するの』

 

*******************

 

 

 

 

 

 

雄二side

 

「分からねぇか?

 お前らの相手は俺なんだよ。

 誰一人生きて帰さねぇぞ……?」

 

『貴方一人でこの人数に勝てるわけ…』

 

俺が見たところ敵は10人くらいだった。

全員女子ではあるがそんなことを気にしている時間はない。

とりあえず早く終わらせて明久たちと合流しなければならない。

 

「あぁ、そうだ。

 冥土の土産にいいことを教えてやるよ。

 その手紙をお前らに渡したのは

 木下姉じゃねぇ。

 覗きの犯人なんだよ」

 

『どういうこと……?』

 

焦ってる焦ってる。

さて、理解のできないコイツらのためにここからはちょっと汚れ役をやるとするか。

 

「いや、ちょっと考えりゃあ分かること

 だろうが。

 敵は覗きをしたい。

 だがお前らという警備が邪魔だ。

 なら誰かに濡れ衣を着せてお前らを

 移動させちまえばいいって考えたんだ。

 こんなのバカでも分かるぜ!!」

 

『そんな………そんなわけ…』

 

俺の前にいた一人がひざまづく。

木下姉に任された任務を放棄して重大なミスまで犯したというのだから当然だろう。

 

「ていうか、この防衛作戦の指導者は

 俺だぞ?

 お前らは兵士の分際で指導者に

 逆らった。

 だからもういらねぇわ。

 代わりの警備は木下姉に頼めば

 いくらでも用意できるからな」

 

『くっ……船越先生!!

 英語の召喚フィールドを!

 この人を倒します!!』

 

ほう、まさか先生を連れてきていたとはな。

どうやら俺に試験召喚戦争を挑むつもりらしいな。

ま、もともと悪役だと思ってた俺たちをこの人数で一網打尽ってところだったんだろうがな………

 

『わ……分かりました。

 承認しましょう』

 

『『『試獣召喚(サモン)!!』』』

 

「ふむ、ざっと200点ってところか。

 全員Cクラスレベルか」

 

『Fクラスの貴方が勝てるとでも?

 Cクラスの方が強いのはわかってる

 でしょ?』

 

「いや、それは昔の話だ。

 言っただろう?今の俺は指導者だと!

 試獣召喚(サモン)!!」

 

俺が叫ぶと俺にそっくりの召喚獣が現れる。

いつものメリケンサックを持ったその召喚獣は何故だかいつもよりもたくましく思えた。

そしてまもなくして俺の召喚獣の点数が表示される。

それを見た途端、敵の顔が恐怖に染まった。

そうだ、その驚く面が見たかったんだよ。

せいぜい見違えた俺の召喚獣の練習台くらいになってくれよな……?

 

「待ってろ、すぐに追い付くぜ明久!!」

 

[英語]

坂本雄二 420点

 

*******************

 

 

 

 

 

 

明久side

 

「吉井先輩、あれを!!」

 

「もう制圧されてるなんて動きが

 速すぎるよ…

 一体どうしてこんなことに…?」

 

廊下についた僕たちは倒された女子生徒の召喚獣を見て言った。

見渡す限りでもかなりの人数が倒されており、敵が誰もいないことからすでに目標地点である四階までたどり着いていることを悟る。

思い出す限りでは彼らにそんな力、

もとい点数はなかった筈だ。

それがしばらく見ない間にどれだけ強化されたというのだろう。

 

「とにかく急いで秀吉たちと合流

 しないと……」

 

『『ちょっと待ったぁ! 』』

 

「なに!?今忙しいんだけ…うわっ!?」

 

僕の右横をカッターナイフが通り過ぎて行った。

この刃の欠けたカッターナイフ…

奴等か!!

 

「くっ!!待ち伏せがいるなんて!」

 

「ど…どうすれば………」

 

『待ち伏せておいて正解だったぜ』

 

『ここを通りたければ俺たちを倒して

 から行け吉井!!』

 

「き…君たちは………!!

 ……………誰だっけ?」

 

盛大にずっこけた。

いや、本当に誰だっけ?

二年前同じクラスだったの田中君?

山田君だったっけ?

 

『Fクラスの朝倉と柴崎だ!

 去年同じクラスだっだろ!!』

 

「そ…そうだった!!

 朝崎君と柴倉君だったね!

 久しぶりじゃないかー!」

 

『お前業とだろ!?シバきてぇ!!

 お前をいますぐシバきてぇよ!!』

 

おや、火に油を注いだようだ…

き…きちんと覚えていたじゃないか!

大事な汚友達(おともだち)なんだから!

 

『くそっ!!

 こうなりゃあ試験召喚戦争で決着を

 つけてやる!』

 

「無理矢理すぎない!?ちょっと作者!

 もっと小者感消してあげて!?」

 

なんて理不尽なことを彼らにやらせているんだ、うちの馬鹿作者は!!

小泉さんが話のスピードについていけずにいるじゃないか!!

……慌てていて可愛いじゃないか

 

『行くぜ!試獣召喚(サモン)!』

 

[現代国語]

文月2-F 柴崎功   51点

文月2-F 朝倉正弘  41点

 

柴崎君と朝倉君がそう言うと彼らにそっくりな小者感たっぷりの召喚獣が現れる。

 

『やっぱお前シバいていいか?』

 

「ふっ…今の君に僕は倒せないよ」

 

『な…なんだって!?』

 

やれやれ、やっぱり最後は僕がやらなきゃいけないようだね……

そろそろ僕の真の力を解放してもいいよね?

 

「君たちに見せてあげよう。

 音ノ木坂でモテるため……じゃなくて

 最強の座に君臨するために勉強した

 僕の力を!」

 

『聞いてるこっちが恥ずかしいから

 はやく召喚しやがれ』

 

「試獣召喚(サモン)」

 

わけのわからん数字や英語の書いてある魔法陣から僕の召喚獣が現れる。

 

[現代国語]

音ノ木坂2-F 吉井明久   201点

 

「ふっ…!

 これが僕の真の力さ!!」

 

『『………………』』

 

あれ?どうして相手は二人とも黙ってるのかな?

あぁ、そうか。僕の圧倒的力に怯えて…

 

『吉井、保健室に行ってこい。

 保健室は一階の入り口付近にあるから』

 

『吉井、俺たちは頭悪いけどよ、

 カンニングはどうかと思うのだよ』

 

「さっきの君たちの台詞を借りよう。

 お前らをいますぐシバきたい!!」

 

カンニングなんてできるもんか!!

側に鉄人がいるんだよ!?

何故か知らないけどいつもテストの時間は背後から監視されてるんだもん!!

それも僕だけ!!

 

「私も…試獣召喚(サモン)です!」

 

小泉さんの声で小泉さんの召喚獣が現れる。

小泉さんの召喚獣の姿はRPGなどで見られる賢者のような格好だった。

白をベースにして黄緑色のラインが入った修道服を着ており、眼鏡と手に持っている大きな本が特徴的だ。

小泉さんの召喚獣の点数が表示された。

 

[現代国語]

音ノ木坂1-B 小泉花陽   370点

 

まさに賢者の姿が相応しい点数だ。

300点オーバーの点数というと文月学園ではAクラスに匹敵する点数である。

ていうか僕、後輩に負けてる………

 

『ちょ…ちょっと待て、小泉花陽って……』

 

『μ'sの小泉花陽さんですか…!?』

 

「え………?

 はい……そうですけど…」

 

小泉さんが頷くと相手の二人は震えだした。

彼らの名前?もう忘れちゃったよ。

 

『ま…まじっすか!?

 なんか誰かに似てると思ったんだ!!』

 

『バカ!お前、自分の推しキャラ

 分からないとかふざけてんのか!?

 俺ははじめから分かってたけどな!』

 

「そのわりにはさっきまで僕のことしか

 気にしてなかったような…」

 

『うるせぇ吉井!!

 野郎に用はねぇ!!失せろ!!』

 

「いきなり僕の扱いが酷くなった!?」

 

「私はどんな反応をすれば…?」

 

もうこの会話に完全についていけない

小泉さん。

まぁ僕もこんなノリのいい敵だとは

思わなかったけど……

 

『小泉さん!俺、ずっとファンでした!

 その…よかったらサインを…!!』

 

『あっ!ずりーぞ!!お前だけ!

 小泉花陽さん!!

 俺、小泉さんみたいな人がタイプで──────』

 

[現代国語]

文月2-F 朝倉正弘   0点

 

彼がナンパを終える前に光の魔法が

彼の召喚獣を貫いた。

無論、それは僕の召喚獣の攻撃ではない。

 

「撃って良かったんですよね………?」

 

「あたりまえじゃないか」

 

『正弘ぉぉぉぉぉぉ!!!!』

 

攻撃を受けた後、彼の召喚獣は塵ひとつ残さずに消えていた。

無意識に出た攻撃なんだろうけど少し

恐ろしい……

 

「さ…さぁ!!

 とにかくこれであとは君だけだ!!

 僕の真の力をとくと見せてあげよう!」

 

『くっ…………!!

 よくも…!よくも正弘を…!!』

 

残された相手が歯を食い縛り僕たちの召喚獣にその武器を向ける。

 

「行くぞ!!

 僕の召喚獣──────────」

 

『小泉さぁぁぁん!!

 俺も倒してぇぇぇぇぇぇ!!!』

 

「「え」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一体なんだったんでしょう……?」

 

「全く役に立たない時間稼ぎ要員

 だったね……

 いや、ノリツッコミその他もろもろで

 しっかり時間稼がれてる!!

 急がなきゃ!!」

 

僕たちは四階に続く最後の階段を登っていく。

さて、移動している間にあの後さっきの残された相手がどうなったか教えよう。

 

『小泉さぁぁぁん!!

 俺もあいつにやったように冷たく

 倒してぇぇ!!』

 

「そう言われても………

 先輩、どうすればいいんでしょう?」

 

「………きっと踏んで倒してあげるのが

 彼にとって一番の幸せさ……」

 

「私の召喚獣魔法専門なんですけど……」

 

「大丈夫、物理攻撃力が低くても回数を

 重ねればダメージは入るから」

 

「それじゃあ……こう…ですか?」

 

『あふぅん!』

 

「もう気持ち悪いし見てられないから

 僕が倒すよ」

 

結局、最後は小泉さんの召喚獣が一回踏んだだけで痙攣を起こした相手の召喚獣の頭を僕の召喚獣の木刀が切り裂いて終わった。

いやぁ、実にむなしいよ。

僕の新たな力の初戦がこんな汚いことに使われるなんて……

始末が終わったあと僕の召喚獣が僕を睨みつけてきた。

『こんなことに俺を使うな』ってね。

 

さて、こんなことを話しているうちに

四階についたね。

秀吉たちは無事だろうか………?

 

「明久、こっちじゃ!!

 救援を要請する!!」

 

「秀吉!!」

 

四階について僕たちが見た光景は

敵の大群によって倒された女子生徒の召喚獣だった。

 

「どうして……?

 奴等は点数が低い筈……!!」

 

だが僕は敵の召喚獣の点数を見て気がついた。

敵の召喚獣の得点はFクラスのものではなかった。

 

「くっ!!

 こやつら一体どこにこんな力が!」

 

『どいてくれ秀吉!!

 いくら君といえど、男の誓いを折る

 わけにはいかない!!』

 

「しょうもないわねっ!!

 こんな奴等に手間取ってんじゃないわよ!

 私の弟でしょ!?」

 

『うわぁぁぁぁぁぁ!!!』

 

流石はAクラスの木下さん。

弟のピンチに駆けつけ召喚獣が持つ

その槍で周囲の敵を一撃で葬り去った。

 

『見つけたぞ吉井!!』

 

「うわぁっ!?今度は誰だ!?」

 

僕の前に死神のローブのようなものを被った男が現れる。

彼の召喚獣の攻撃を咄嗟に僕の召喚獣を召喚して防ぐ。

この召喚獣の姿にこの武器の鎌は…!?

 

『俺を忘れたとは言わせないぞ!

 俺の名前は……』

 

「須川君でしょ?

 木下さーん、この人が首謀者でーす!」

 

『え、おい!!

 正々堂々と………』

 

「うおりゃぁぁぁ!!」

 

『危ないっ!!

 なんと危険な一撃…!!』

 

須川君がそう言い終わる前に木下さんの召喚獣の攻撃が炸裂する。

その攻撃を無駄に軽快な動きで避ける須川君の召喚獣。

 

『お…俺だって召喚獣の操作が

 パワーアップしたんだ!

 やってやる!!

 Dクラス隊の諸君!!

 生徒会をできる限り足留めしろ!!』

 

「もう!!邪魔よ!!

 退いて!吉井君が見えないでしょ…!!」

 

「数ばかりが多いな……

 面倒だ………!!」

 

須川君の合図でDクラスと思われる男子生徒たちが木下さんや久保君たちを包囲する。

 

『さぁ、これで邪魔はいないな。

 さて吉井。お前の罪は二つある』

 

「二つ………?」

 

『一つは我々を裏切り、生徒会に情報を

 漏らしたこと……』

 

「いや、そもそも仲間じゃないし」

 

『そして二つ目は………』

 

「綺麗に無視しやがったよ…」

 

『俺がお前に聖書(エロ本)と交換で

 くれてやったチケットで女の子と

 デートしたことだぁぁぁ!!!』

 

「「……………………」」

 

僕も小泉さんも黙ることしかできなかった。

だってもう僕を狙う理由がしょうもないんだもん!!

デートって高坂さんと葉月ちゃんとスカイタワーに行ったときのことだよね…

やっぱり知ってたんだ……

 

「文月学園の人たちって変わった…

 じゃなくて面白い人たちが多いんですね」

 

「どうかそれをここにいるバカ全員に

 聞かせてあげてほしいよ」

 

面白いというよりイカれた奴と女の子に飢えた奴等が多いと言った方がいいんだけどね。

小泉さんは気を使ってくれているんだよね……ありがとう。

 

「もういいや。

 それで勝負するの?しないの?」

 

『すでに俺の意思は示しているだろう』

 

「あぁ、そう。

 なら……本気で行くよ!!」

 

須川君の攻撃を押さえたままだった召喚獣に命令を送る。

すると僕の召喚獣は須川君の召喚を足ばらいする。

体の支えを失って倒れる須川君の召喚獣。

 

『やるじゃないか吉井。

 同志でないことが本当に残念だよ』

 

「須川君こそ。

 一体どうやってこんなにも召喚獣の

 操作を上達させたんだか…」

 

『エロのためならどんな努力だってする!

 それが男だ!!』

 

「全国、いや全世界の熱き漢たちに謝れ」

 

テスト上位者には特典としてエロ本を与えれば彼らは最強なんじゃないだろうか?

意外と僕も負けそうで怖い。

 

「その根性を違うことに使え!」

 

『無理だ!!』

 

木刀と鎌がぶつかり合う。

点数は須川君の方が下。なのにどうしてか僕と同等の力を発揮していた。

 

「そもそも先生たちは何をやってるんだ!

 僕たちがこんな大変な思いを

 しているときに!」

 

そんなときだった。

 

「明久!!」

 

僕の背後から聞き覚えのある声が。

全く、いつも遅いんだから…

 

「遅いよ雄二!!」

「そんなことよりも大変だ明久!!

 待機していた先生たちなんだが

 この馬鹿共に監禁されてやがる!!

 こいつらは最初から教師たちが邪魔を

 することを悟って封じやがったんだ!」

 

「そんな………」

 

僕たちの防衛陣営の生徒の顔が絶望に染まる。

それと同時に敵の顔は笑みが浮かぶ。

 

『諸君!!

 我々の目的までもう少しだ!!

 降りきれぇぇ!!』

 

『『『『オォォォォォォ!!!』』』』

 

「しまっ…!!」

 

「きゃぁぁ!」

 

「霧島さん!!木下さん!!」

 

敵の士気が上がったためか、霧島さんと木下さんが倒されてしまった。学年首席の霧島さんまでこんなにあっさり倒されてしまうなんて……!!

 

「くそっ!!

 遅かったか!!

 翔子がやられちまうなんて…!

 俺も参戦する!!喰らえ!!」

 

雄二の召喚獣は敵の召喚獣を蹴散らしていく。

目の前に大量の敵をつき抜け風穴を開ける雄二の召喚獣の拳。

その拳は怒りを表現しているようだった。

だが、よく見ると雄二の召喚獣の武器が変わっていた。

いつものメリケンサックではなく、何かが高速で回転していた。ドリルだ。

メリケンサックがドリルに変わっていたのだ。

 

「これが俺の召喚獣の腕輪の力、

 『突貫』だ!!」

 

『『『うわぁぁぁぁぁ!!!』』』

 

バタバタと倒れていく敵。

ほとんどの敵を一掃した後、僕ら防衛側にも希望が見えた。

だが、雄二の召喚獣に変化が訪れた。

 

「雄二…召喚獣が光って………!」

 

「悪い、明久。

 この腕輪、『突貫』は自分の召喚獣の

 点数さえも破壊力に変える。

 言わば諸刃の剣なんだ。

 俺はもう…………」

 

「雄二………」

 

「だからよ、明久。

 絶対その目の前の馬鹿を叩け!!」

 

「……あぁ。わかったよ!!」

 

僕は目の前の須川君に向き合う。

 

「イチかバチか、やってみるか…!」

 

『吉井、覚悟!!』

 

「くっ!!」

 

須川君の鎌が僕の召喚獣の腹を斬る。

フィードバックにより僕自信もダメージを喰らう。

だが、これは狙ったことである。

 

『なっ!?吉井、まさか………!!』

 

「これで君の鎌は使えない…!!

 ぐっ…!!滅茶苦茶痛いけどね…!」

 

腹に斬り込みを入れられたまま、僕の召喚獣の点数はどんどん減っていく。

 

『馬鹿め!!

 これでは自分の意識が消えるのを

 待つか、自分の召喚獣の点数が

 無くなるかのどっちかだ!!

 俺の勝ちだ!!』

 

「残念。

 僕たちは一人じゃないんだよね」

 

『何!?』

 

須川君が僕の背後を見るとそこには

小泉さんの召喚獣がいた。

 

「私の召喚獣の一番強い魔法を使います!

 吉井先輩!」

 

「悪いけどチャンスは一回きりだから

 的確に頼むよ、小泉さん!」

 

『くそっ!!

 抜けないだと!?』

 

僕は召喚獣に鎌を離さないように操作する。

 

「これが僕の決死の作戦さ!!

 武器をここで捨てて誰かにやられるか

 武器と一緒にやられるか好きな方を

 選びなよ」

 

『くっ!!

 お前の召喚獣の点数を0にして

 武器を回収するまでた!!』

 

「もう遅いよ、小泉さん!!」

 

「いきます!!」

 

小泉さんの召喚獣が持っている本から

巨大な魔法陣を発生させる。

発生した魔法陣から光の柱がつきだした。

次の瞬間、僕がフィードバックで痛みを感じる間もなく、僕と須川君の召喚獣は跡形もなく消え去った。

 

『そんな……須川がやられた!?』

 

『う……うわぁぁぁ!!』

 

敵の残党もリーダー格であった須川君が倒されたことによって逃げていった。

 

「終わったんですか………?」

 

「多分、ね………」

 

「あう………」

 

「小泉さん!大丈夫!?」

 

小泉さんは疲労と緊張でその場で倒れてしまった。

なんとか受け止めその場に座らせた。

 

「あれだけの魔法を使えば相当な

 集中力を必要とする。

 緊張しすぎたんだろう」

 

雄二は息を切らしながらそう言った。

雄二も腕輪を使ったことで相当疲労が貯まっていた。

 

「僕たちはあと二日もこんな敵と

 戦わなきゃいけないのか……」

 

「ここまで疲労感を感じたのは

 久しぶりじゃ…」

 

「……もう動けない」

 

「おう……お前らが無事でなによりだ…

 しかし、そもそもおかしいな。

 召喚許可も無しにどうやって

 試験召喚フィールドを展開できる…?」

 

確かにそうだ。

彼らは教師がいないというのに召喚獣を召喚していた。

それは絶対に出来ない筈である。

 

「…何であれ私たちは勝たなきゃいけない。

 今日は雄二たちに迷惑をかけちゃった。

 明日はもっと頑張る」

 

霧島さんの言うことはご最もだ。

僕たちは勝たなければならない。

例えどんな手を使われても。

謎は終わってから解明すればいい。

今は目の前の問題を解決する。

それが僕たちのやるべきことだ。

 

「学年首席が集まってもこんなに苦労

 するなんて……

 僕たちはどうすればいいんだ…」

 

秀吉と康太も疲れきっていた。

木下さんや久保君たち生徒会メンバーも同様だ。

 

改めて敵の強大さを知った僕たちの

学力強化合宿一日目はようやく幕を閉じたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふと思ったんだけど吉井君」

 

「何?工藤さん」

 

「二人ともその手が繋がれた状態で

 どうやってお風呂に入るの?」

 

「「…………あ」」

 

どうやら本当に大変なのはこれから

らしい。

 




次回は二日目ですね。
明久と花陽はどうやってお風呂やトイレに入るんでしょう…?
正直、最後にふと思ったので愛子ちゃんに言ってもらいました…
最近仕事が忙しく投稿ペースが微妙になってきています。
どうかご了承ください。
今回もありがとうございました!!

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