バカと9人の女神と召喚獣 バカテス×ラブライブ!   作:星震

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投稿遅れてしまいました!!

今回はファーストライブです。
さてさて明久たちはどうするのか…
新たにお気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます!!




僕とμ'sとファーストライブ

 

「雄二。

 今日は僕用事があるから先に帰ってて。」

 

なんて言ったって今日は高坂さんたちの初ライブだもんね。

…………………え?

先輩に言っておかないでいいのかって?

どうせ勝手に食いついて来るよ。

あの先輩だよ?

アイドル関連のことに首を突っ込まない筈がないでしょ?

 

「奇遇だな。

 俺も今日は用事があって学校に

 居残りなのさ。」

 

「雄二が居残り?

 あ、もしかしてまた補習とか?」

 

「いや、もう南のコーチは終わってる。

 ただまぁ…あるんだよ用事が。」

 

何か隠し事してるなコイツ。

僕は今の雄二の態度で察した。

 

「分かったよ。

 じゃあ康太たちにも言っておかないと。」

 

「そうだな。

 …何て言ってあいつらも用事

 あったりしてな。」

 

「あるかもね。あはは……」

 

「ワシらに何か用があるかの?」

 

「うおっ!?秀吉に康太。」

 

「……何かあるのか?」

 

「うん。

 僕たち今日用事があってさ。

 少し帰るのが遅くなるんだけど…」

 

「そうか。

 なら丁度よかったのじゃ。」

 

「え?何が?」

 

「……俺たちも用事がある。

 ……帰る時間は合わせられる。」

 

「なら良かった。

 俺としてもバラバラに帰るのは

 ちょっとばかし面倒だからな。」

 

「面倒?何が面倒なのじゃ?」

 

「最近FFF団が張り込んでやがってな。

 秀吉がいないと追っ払えなくて

 困ってんだよ。」

 

「…遂にこっちまで手を伸ばしてきたか」

 

「全く須川君も馬鹿だなぁ。

 いつも通り鉄人に連行されるに

 決まってるのに。」

 

「…同感」

 

「さて、んじゃそれぞれの用事に

 向かうとすっか。」

 

「そうだね。

 また帰りにね!」

 

「うむ。」

 

「…了解」

 

僕たちはまだ知らなかった…

全員同じ目的で同じ場所に向かうことを。

 

 

 

 

 

 

 

 

音楽室

 

「西木野殿、失礼するぞい。」

 

「殿ってやめてください。

 なんか私が偉そうにしてるみたい

 なので。」

 

「違うのかの?」

 

「違います!!」

 

こんな感じでいつまでもお互いの呼び名が決まらない二人である。

秀吉は休み時間に突然真姫に放課後に音楽室に来いと言われたのだ。

 

「それで今日は何故に呼び出された

 のじゃ?

 今日は帰ると言っておった筈じゃろ?」

 

「今日は……その…

 先輩たちのライブに行くから……

 先輩も来てください。」

 

「男のワシが行っても嫌がられると

 思うんじゃが…」

 

遠慮する秀吉。

だが次の瞬間真姫の口からNG発言が

出された。

 

「先輩の性別は秀吉だって一番馬鹿な

 先輩が言ってたみたいですよ?」

 

「明久じゃな。

 後で覚えておれ………!!」

 

秀吉は今だ何人か(主に明久)に性別不明なために性別は『秀吉』と把握されているのだ…

 

「とにかく同行してください。

 あの先輩たちの曲を作ることに

 なっちゃったのは先輩のせいでも

 あるんですよ?」

 

「要するに高坂たちの前に顔を出すの

 が恥ずかしくて同行人が欲しい訳

 じゃな。」

 

「ち・が・い・ま・す!!」

 

「図星じゃな」

 

「何でよ!?」

 

「しかし……

 あのときのお主は楽しそうじゃった

 ぞい。

 この際言ってしまえばいいじゃろ。

 作曲は自分にやらせてくれと。」

 

「そんなこと言える訳ありません!」

 

「まだ長引きそうじゃの……

 いいじゃろう。

 今回は同行させて貰うことにする。

 スクールアイドルとやらにも芸術は

 あるかもしれんからの。」

 

秀吉と真姫はライブが行われる講堂に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生徒会室

 

「…………」

 

生徒会室で黙って作業をする三人の

生徒がいた。

一人は男子、二人は女子である。

 

「やっぱり気になるん?」

 

「それは…まぁ…………」

 

「なら行けばええやん?

 後押ししてあげたいんやろ?」

 

「後押しなんて…しないわよ」

 

「いつまでそれが続くんやろね。

 やっぱり吉井君やないとえりちの

 壁は崩せんなぁ~…」

 

「よ…吉井君は関係ないでしょ!

 それに吉井君にだって………

 この意思は変わらないわよ…」

 

「はぁ…康太君。

 うちらだけでもいくで。」

 

「……どこに」

 

「あの子たちのライブ。

 今日が初なんよ。」

 

「……俺は今日生徒会の仕事をやると

 聞いていたのですが」

 

「これが仕事なんよ。

 頑張る生徒を後押しするのも仕事や♪」

 

「……理不尽」

 

「えりちも気が向いたら来ればええ。

 仕事はそんなにない筈や。」

 

「…俺の拒否権は………?」

 

康太は引っ張られるようにして連れていかれる。

生徒会室にただ一人残された絵里は

呟いた。

 

「変えられないわよ…

 今更…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

講堂

 

「海未ちゃん……?」

 

「ひゃ…ひゃい!?」

 

「大丈夫…?

 手、すっごく震えてるよ…?」

 

「だ…大丈夫です………」

 

穂乃果は海未の手が震えていることに気がついた。

だがその震えていた手が暖かい温度に

包まれた。

穂乃果が海未の手に自分の手を重ねたのだ。

 

「穂乃果………?」

 

「大丈夫。

 海未ちゃんは一人じゃないよ。

 私達は三人でμ'sだよ。」

 

「穂乃果…ありがとうございます……」

 

「始まるんだね…

 私たちのスタートが………」

 

 

「こういうときって何て言えば

 いいのかな…?」

 

「う~ん……

 μ'sファイ、オー!!!」

 

「それは運動部ですよ?」

 

「あ、そうだった!!」

 

「ふふっ…

 ありがとうございます穂乃果。」

 

「えっ?何が?」

 

「もう大丈夫です。

 だから…行きましょう。」

 

「うん!

 じゃあ………はい!!」

 

穂乃果は指をピースのようにして二人の前に出した。

 

「こういうときは番号を言うんだよ!

 ほら!二人も!!」

 

「こ…こうですか?」

 

「これでいいの?」

 

「うん!

 これで番号を言うの!!」

 

三人のピースが繋がった所で穂乃果は番号を言った。

 

「1!!」

 

「2!!」

 

「3!!」

 

「「「………」」」

 

しばらく沈黙が訪れた。

講堂に三人の声が響く。

 

「何だか恥ずかしいねこれ…」

 

「けどいいと思うな。私は。」

 

「うん!じゃあライブの前はこれだね!

 μ'sのファーストライブ、

 最高のライブにしよう!!」

 

ライブ開始のブザーが鳴る。

ゆっくりと幕が上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

だが幕が上がってすぐ異変に気づいた。

いくらなんでも静かすぎる。

穂乃果はそう思い目を開いた。

 

「あ…………」

 

目の前に広がっているのは空席の山。

前から後ろまで全ての席が空席だったのだ。

 

「ごめん……頑張ったけど……」

 

ライブの手伝いをしてくれたヒデコが言う。

穂乃果は目の前が歪んでいるのを感じた。

それにより今自分が泣きそうになっているということを知らせられた。

 

「そりゃそうだよ!!

 世の中そんなに甘くない…っ!!」

 

「穂乃果…」

 

「穂乃果ちゃん……」

 

横にいる二人でも穂乃果が泣くのを堪えているのに気がついた。

誰もが諦めかけたそのときだった。

講堂の扉が勢いよく開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめん!!遅れちゃった!!」

 

「明久君……?」

 

扉を開けた人物は他でもない。

吉井明久。

つまり僕だ。

 

「遅いです!!明久!!

 私たちがどれだけ………」

 

涙を目に浮かべながら言う園田さん。

遅れちゃうなんて最低だよね、僕。

 

「ごめんね園田さん。

 途中で色々あって…」

 

弁解しようとした矢先、

再び勢いよく音を立てて扉が開いた。

 

「あれ……?ライブは…?」

 

「あっ!君は……」

 

「せ…先輩!?

 どうしてここに………?」

 

現れた人物は明久が以前押し倒してしまった女の子だった。

そしてもう一人。

長身の男が入ってきた。

 

「ったく明久の奴……

 講堂の場所くらい書いておいてくれよ…

 場所分かんなくて遅れちまった

 じゃねぇか…」

 

「坂本君!!」

 

南さんが雄二の方を見て叫んだ。

 

「よぉ。約束通り来たぜ。

 それで…

 これは遅刻してねぇってことでいい

 のか?」

 

雄二は空席だらけの場所を見て言った。

 

「雄二!?

 一体どうしてここに……!?

 それに用事って……」

「明久!?

 お前こそなんでここにいるんだ!?

 それにどうしてって……

 これを俺に送ってきたのはお前じゃ

 ねぇのか!?」

 

雄二は初ライブのチラシを見せる。

 

「それってライブの……」

 

「お前じゃないってことは誰か別の

 人物ってことか。

 くそっ……

 こうなりゃ帰る!

 …って言いたい所なんだが……」

 

今言ったけどね。

 

「で?どうすんだμ'sの皆様方?

 ライブ…見せてくれんのか?」

 

雄二の声が講堂に響く。

「穂乃果ちゃん…」

 

南さんは不安そうな顔をする。

 

「……やろう」

 

「えっ?」

 

「ここまで練習してきたのはライブを

 やるためだもん!!

 明久君たちだって来てくれたんだ!

 だから……」

 

「穂乃果ちゃん!!海未ちゃん!!」

 

「……はい!」

 

講堂の証明が暗くなる。

ステージにスポットライトが当てられる。

優しいメロディーと共に曲が始まった。

 

観客は少ないかもしれないけれど

これがμ'sの始まりのライブ。

残酷な現実を目の前にして出てしまった涙は踊る三人をより一層輝かせるものへと変わっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つ…土屋君?

 どうしたん?いきなり………」

 

「シッ!!…………」

 

ライブを後ろで見ていた希と康太。

ライブが始まって直ぐに康太の表情が真剣なものへと変わった。

手元のビデオカメラにライブを収める

康太。

その表情はかつて彼が『ムッツリーニ』と呼ばれていた時代の撮影の時の表情そのものだった。

 

(…こんなに意味のあると思える撮影は

 いつ以来だ…?)

 

康太は自問する。

今まで撮影という生き甲斐から距離を

置いた自分。

その自分がこんなにも真剣に撮影をする理由は一体何故なのだろうか。

自分でも分からない。

だが康太は最後まで真剣に撮り続けた。

そしてライブが終わるとまるで全ての

力を使い果たしたかのように康太は

その場に崩れた。

 

「土屋君!

 どうしたん!?」

 

希は康太の背中を揺する。

だが彼の口から飛び出た言葉は意外すぎるものだった。

 

「くっ……

 もっとマシな資材を持ってきていれば…」

 

「え……?」

 

自分の心配よりも康太は最大限の力を

発揮してライブを録画できなかったことが悔しいようだ。

これには希も目を丸くしている。

 

「その………一旦帰ろな?」

 

「あ…………」

 

康太の鼻から少しだが鼻血が出ていた。

更に顔や耳も真っ赤で熱を出した病人のようになっていた。

 

「保健室……行こっか。」

 

希は康太の手を引いて保健室に連れていった。

勿論だが康太の手当てしたのは先生ではない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お主が作った曲が実際にライブと

 いうもので使われてると感慨深い

 ものじゃな。」

 

「…そうですね」

 

ライブを見終えて全てが終わったと

達成感に浸っていた秀吉だったが

真姫の顔は寂しげであった。

 

「なぜ元気のない顔をしておる?

 お主の曲が三人の始まりを作った

 というのに…」

 

「げ…元気です!!

 元気じゃないわけが………」

 

「もしやあの曲を自分で使いたかった

 のかの?

 お主も本当はあの三人の中に…」

 

「違います!」

 

真姫はそう言うと秀吉の頬を引っ張った。

 

「わ…分かった!!

 分かったから頬を引っ張るでない!!」

 

「…………ぷい」

 

秀吉の言葉に腹を立てたのか

見破られたのが気に入らないのか

真姫はそっぽを向いてしまった。

 

「ワシが悪かった!!

 悪かったからこっちを向け!!」

 

「先輩は……」

 

「?」

 

 

 

 

このとき真姫は初めて本音を隠さずに

秀吉に告げた。

 

「先輩はこれからも私の傍でピアノを

 聞いてくれますよね………?」

 

「む……?」

 

なぜそんなことを?

そう思う秀吉。

真姫が寂しげだったのは秀吉の言葉に

腹を立てた訳でも自分の考えが見破ら

れたからでもなかったのだ。

 

『寂しい』

 

その気持ちが真姫の心にはあった。

ライブのための曲を見届け終えた今、

秀吉が真姫のピアノを聞くこともなく

なってしまうのではないか?

そう思うと真姫の心は不安で押し潰されそうになった。

 

だが……………

 

 

 

「聞かせてほしいのじゃ。」

 

「え…?」

 

秀吉から出た言葉はYesでもNoでもなくPleaseだった。

 

「お主はピアノを弾いているときは

 全てを話してくれる。

 ピアノという翻訳機を通して。

 ワシはそんな全ての感情を乗せて

 出てくる音が好きじゃ。

 お主のピアノが大好きじゃ。

 だから……聞かせてほしい」

 

「なっ…///」

 

普段は女と見間違われる秀吉だが

このときだけは真姫の目には異性として写っていた。

 

「な………何それ……

 どういう意味ですか……」

 

「そのままの意味じゃ。」

 

秀吉は笑って言う。

 

「ふふっ…」

 

自然と真姫は笑う。

まるで肩の荷が降りたかのように。

 

「な…何じゃ………?」

 

 

 

 

 

 

 

「何それ……意味分かんないっ!」

 

真姫は満面の笑みでそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回はまきりんぱな辺りですかね。
そして秀吉たちがまさかの………!?


今回もありがとうございました!!

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