クイーンのバルバドロから退避しているアレクトラ達は物陰に燃え盛る住宅街に隠れる。
「クソッ!」
アレクトラはヴィルキスを動かし、ラツィーエルでバルバドロに斬りかかるが、バルバドロの装甲が固く、ラツィーエルの刃が掻けた。
「チッ!固すぎる!」
その直後、バルバドロの有線式クローアームが伸び、アレクトラを囲む。
「アレクトラ!!」
バネッサが叫び、アレクトラは死を覚悟した直後、別のビームが有線式クローアームを破壊した。
「何っ!?」
クイーンはビームが飛んできた方角を見ると、ホットスクランブルガンダム、ノイエ・ジール、フェニックスガンダムとフェニックス・ゼロ、ハルファスガンダム、バルバトスガンダム、レギナ、護衛のグレイズが飛来した。
『助けに来たぞ!!』
イシュトヴァーンが愛するバネッサを守ろうと、有線式クローアームでバルバドロを攻撃する。アネーシャ達がグーサインや大声で助けに来てくれた貴族連合やユリウス達に言う。
「ナイス!!」
「ありがとう!」
「おっし!行くぞぉぉぉっ!!」
アネーシャ達が一気に、モビルスーツがある格納庫へと前進する。
イリスはレギナの背部に搭載されている武装『バインダーシールドライフル』でバルバドロのスラスターを破壊する。ロバートはフェニックスガンダムのフェザーファンネルで追撃してくるオルガノスとジェネファーを撃墜していく。アリサとユーシスもハルファスガンダムとバルバトスガンダムでバルバドロのIフィールドジェネレーターを破壊していく。
「小賢しいドブネズミがぁっ!!!!」
クイーンが怒りだし、バルバドロの小型のメガ粒子砲を一斉に発射する。敵も味方も問わず、モビルスーツが破壊されていく。イシュトヴァーンはノイエ・ジールのIフィールドでバネッサやアレクトラを守り、ユリウスもフィン・ファンネルでイリスを守る。バルバドロが粒子砲を発射しながら、大型クローアームを展開して、応戦する貴族連合のグレイズやパラメイルを破壊していく。
「こうなったら!」
ユーシスがバルバトスガンダムが、ピーコックモードへと変形し、20門のビーム砲をバルバドロへ発射した。
「確かにIフィールドはビームを拡散、無効に出来る!ならそれを........押し出すまでだ!!!」
ユーシスとアイリス、アストラが連携でビームを集中攻撃する。バルバドロに発射し続けると、バルバドロのIフィールドジェネレーターがオーバーヒートし始めた。
「皆!頼む!!」
ユーシスの命令に、生き残ったパラメイル隊がある武器を取り出す。
「了解!全機、イオン・ビーム発射!!」
パラメイルの先端に装備されているライフルの銃口からビームが発射された。ビームはバルバドロの装甲に命中し、電磁波が波のように機体に回り込む。
「何だ!?」
バルバドロの機能が停止し、ビーム砲の発射が納まる。
「何で動かないの!!?」
クイーンが必死に機能を回復させようとしているが、何も反応しなかった。
「バルバドロとクイーンを仕留めたぞ!!モーガン、頼む!!」
『応!!』
そこに貴族連合艦隊が飛来し、イシュー家の旗艦の船頭部にメリーの父親『モーガン・ラッセル』のグレイズが特殊弾丸『ダインスレイヴ』を構えていた。
「何時でも射てるぞ!!」
モーガンがバルバドロのコックピットに狙いを定める。
「集中して........ただ、引き金を引くだけ.......」
皆の思いを胸に、アダムスの号令と共に、モーガンはレールガンのトリガーを引いた。
『喰らえ!!スーパーギャラクシーカノン!!!』
砲口から槍状の弾丸『ダインスレイヴ』が射出され、音速を越えて針が布を縫うように、バルバドロの装甲やフレームごと貫いた。
「あああああああああっ!!!!!!!」
クイーンは断末魔の悲鳴をあげ、バルバドロが大爆発を起こした。それと同時に貫通したダインスレイヴがそのまま司令塔に直撃し、下で配備されていたディーラトルーパー達は崩れる司令塔の残骸に潰されていく。
「前進!!!!」
アネーシャ達が残存しているトルーパーのブラスターを避けながら、前進する。
「突撃!!悪魔を奪え!!」
ユリウスの号令と共に、全勢力が格納庫へと向かう。
「あったぞ!!」
アネーシャが格納庫で双極の紅い悪魔『レオス』と同型の悪魔『エクセリア』、そして『∀ガンダム』をイシュー家の旗艦に運び出す。
「良し、後はイクスだけだ!」
フェイリンが言うと、バネッサが上空に何かに気付く。
「あれは何!?」
皆は上空を見る.......黒い雲から蒼く輝く悪魔がゆっくりと舞い降りてきた。
「イクスだ!!乗っているのはネロスだ!!不死鳥の三銃士、イクスを撃って!!」
ロバートとアリサ、ユーシス、アストラが迎撃に向かう。
するとイクスが不気味な音声を発する。
『ファンネル進化 イグニス・フェイズ』
イクスの真後ろから、白いドレスアーマーが現れ、イクスはドレスアーマーを装着する。
「ファンネル」
ドレスとなっているスタビライザーが分離し、大型のフィン・ファンネルが不死鳥の三銃士に襲い掛かる。アリサのハルファスがイクスのファンネルで翻弄され、破壊された。
「アリサ!!クソォォッ!!!」
ユーシスがバルバトスをピーコックモードへ変形し、全周囲に拡散ビームを放つ。しかし、ファンネルは糸も簡単に回避し、バルバトスを破壊した。
「ユーシス!!この野郎!!!」
ロバートはフェザーファンネルを展開し、イクスのイグニスファンネルと応戦する。
「アレクトラ、今だ!!ネロスを撃て!!」
アレクトラはヴィルキスを動かし、ライフルを構えるが、
「どうしたんだ、アレクトラ!!?」
どういうことか、アレクトラはイクスを撃たなかった。そして1基のイグニスファンネルが真っ先にフェニックスガンダムのコックピットを貫いた。
「ゴブッ!!!」
「隊長ぉぉぉぉぉ!!」
アストラがロバートを助けようとするが、イグニスファンネルで両腕を切り落とされ、墜落する。
「「アストラ!!」」
ユリウスとイシュトヴァーン、バネッサとイリスは機体を起動し、イクスに攻撃する。
「ファンネル!!」
ユリウスはファンネルを展開した直後、ネロスは言う。
「やれやれ、君達は本当に.......」
『神馬進化 ミスティック・フェイズ』
イクスの後ろから、今度は白銀の人馬のアーマーが現れ、イクスはイグニスからミスティックへと変わった。
「君達には......本当の絶望を味会わせてやるよ♪」
ネロスは不気味な笑顔で返すと、ミスティックの背部から虹色に輝く蝶の羽を放出する。
「我が広げるは、明日無き翼!!」
ネロスは絶望蝶をゆっくりとユリウスの方向へ向ける。
「退避!!」
ユリウスの号令と共に、レオスやエクセリア、∀を乗せた貴族連合の輸送機が特異点を開き、中へ入っていくが、イシュー家とウォーレン家の艦隊があっという間に絶望蝶のナノマシンで原子分解されていった。一瞬で仲間が消されたことに、ユリウスは叫ぶ。
「クソォォォォォォォォォッ!!!!!!!!」
生き残ってしまったイシュトヴァーン、バネッサ、アレクトラ、アストラは悔やむ。
「これがイクスの力........."絶望"!!」
イシュトヴァーンはその仲間の死に、ネロスを睨み付ける。
「ネロスゥゥゥゥ!!!!」
イシュトヴァーンはビームサーベルを展開し、イクスへ降り下ろした。しかし、イクスのレーザーランスがノイエジールのコックピットを貫いた。
「貴方ぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
白銀のが叫ぶと、ネロスはノイエ・ジールを放り投げた。するとネロスは笑いながら言う。
「愚かな旧世界の猿達よ........塵に変えれ!!!」
空が暗黒に染まり、周りから嵐が吹き荒れる。
「まさか!?」
「その通りだ、ユリウス君♪.......時空融合だよ」
時空融合の磁気乱雲が全てを呑み込む。そして死体が石の中に埋まっていく。バネッサとイシュトヴァーン、ユリウスとイリスは時空融合に巻き込まれる寸前にまで来ていた。するとユリウスがネロスに言う。
「ネロス!」
「?」
「お前の野望.....そして創った世界は........俺の息子『マサト・ブライス』が仇を取る!!"ニュータイプ"である私と......."イノベイド"であるイリスの子であるぞ!!それは忘れるな!!」
するとユリウスが自分の左腕を引っ張る。すると左腕の皮膚が引きちぎれると、それはレイヴニウムで出来た腕であった。
「アレクトラ!!」
ユリウスは左腕をアレクトラに渡す。
「このレイヴニウムを.......レオスのコックピットに置いてくれ!いずれレオスとマサトは革命を起こす『極限の希望』!ネロスみたいな『極限の絶望』の野望を打ち砕く者だ!!」
ユリウスはそれをアレクトラに言い伝えると、イシュトヴァーンとバネッサ、イリスと共に時空融合に巻き込まれる。それから数分後、右腕を失い、指輪をなくしたアレクトラがヴィルキス共に瓦礫の中から出てくる。すると何処からか少年の泣き声が聞こえてきた。
「父さん!......母さん!」
その声の正体は幼き頃のタスクであった。どうやら、貴族連合の戦艦の積み荷に紛れ込んでいたのか、ネロスの時空融合から免れていた。タスクは時空融合によって石の中に埋められたイシュトヴァーンとバネッサの亡骸を見て、泣いていた。そこに負傷したアレクトラが近付く。
「すまない、タスク..........私じゃダメだった........私じゃ、ヴィルキスを........皆を..........お前の父と母を助けられなくて.........!!」
アレクトラはそう言うと、タスクを置いて、ヴィルキスに騎乗し、アルゼナルへと向かった。置いていかれたタスクは悲しむ。すると瓦礫の中から血だらけのモーガンが出てくるモーガンは壊れかけのグレイズを動かし、タスクを乗せ、孤島へ向かっていった。アストラは時空融合によって、運良くサラマンディーネの世界に飛ばされており、そこでまだ7歳になるサラマンディーネやドラゴンに助けられた..........。
10年前の悲劇を知ったマサトはアストラが預かっていた四人が写っている写真を渡した。タスクも父と母の勇敢差に泣き崩れる。オルトとマナミアは涙を流していた。
「ごめんなさい......マサト...........ごめんなさい............貴方のお父さんとお母さんや仲間たちを助けられなくて.......!」
「........良いよ、母さん.......俺がユリウスとイリスの子供だとしても、俺はオルト・ラスタルとマナミア・ラスタルの息子.......アストラ・ラスタルとリナ・ラスタルの兄弟.......それが事実だよ.....」
「う、うぅぅぅ........!」
慟哭するオルトとマナミア.......事実を知ったマティス達も号泣する。
その後、宮殿に戻って、気を失ったアンジュを医務室へと連れて行ったマサト達、タスクはアンジュのそばにずっと居て、マサト達は近くの壁にもたれ、左腕を見る。
「この左腕........まさか俺の本当の父さんの左腕だったなんて........」
「ビックリ?」
セリカが壁にもたれているマサトに問う。
「うん......それと俺の本当の母さんがイノベイド(人造人間)だったなんてなぁ.......」
「だから、ガデラーザを動かせたんだ......」
マサトはそう考えていると
「おーい! 皆~♪」
マサト達は聞き覚えのある声が聞こえて、その方を振り向くとアウラの民の服装を着たヴィヴィアンがやって来た。
「ヴィヴィアン!」
「ヤッホー!ヴィヴィアン!! どうやって戻ったの?」
「さあ~ここでクイズです、私はどうやって人間に戻ったでしょうか!」
ここでヴィヴィアンのお得意のクイズが出て来て、それにマサト達は少々困った。理由は簡単.....何も知らないのにどうやって人間に戻ったか分からないからだ。
「ぶ~!残念! 正解は.....え~と~....何だっけ?」
《だぁ~~!!?》
「分からないなら、クイズ出すなよ!」
マティス達がずっこけ、マサトがツッコミを入れる。っとそこに医者の『ドクター・ゲッコー』がやって来る。
「D型遺伝子の制御因子を調整しました、これで外部からの投薬なしで人間の状態を維持出来る筈です」
「ニャハハ!、って事でした~♪」
「いやいやいや、ヴィヴィアンが答えた訳じゃないでしょ....」
リクトの言葉にヴィヴィアンは舌をペロっと出しながら笑う。
「あれ、アンジュは?」
「まだ、目ぇ覚めてないよ」
そう言ってるとドクター・ゲッコーがマサト達に問いかけて来た。
「失礼ですが、貴方のどちらか私の所に来てくれませんか?」
それにマサト達は考えていると、何か悪巧みを閃きをタスクを見る。
「それなら、タスクが行くって♪」
「えっ!?」
「ありがとうございます、ではこちらへどうぞ」
ドクター・ゲッコーの案内に付いていくタスク、それにはマサト達はタスクの行く姿に、笑う。この後、宮殿内からタスクの悲鳴と笑い声が聞こえてきたのであった。
「あ~.........御愁傷様......♪」
そして夜になり、アウラの塔で皆が集まっていた。そこにサラマンディーネが儀式用の蝋燭を手に持ち、皆の前に姿を現す。
「サラマンディーネ様よ!」
「サラマンディーネ様~!」
サラマンディーネの後ろにヴィヴィアンとその母『ラミア』が共に居た。
「何をするの?これから」
「サラマンディーネ様のマネをすればいいだけよ」
ラミアがそうヴィヴィアンに言ってほほ笑む、そしてレオンはその様子を人混みの中で見ていた。
「殺戮と試練の中、この娘を悲願より連れ戻してくれたを感謝いたします」
そう言った後にサラマンディーネは儀式の蝋燭を空へと舞い上げ、それに皆も同じように舞い上げる。
「アウラよ!」
『『『アウラよ!』』』
ラミアも同じように舞い上げ、隣に居るヴィヴィアンも同じように舞い上げる。
そしてマサトとナオミの所にアンジュ達がやって来る。
「綺麗な光景だね」
「おう、やっと来たか....アンジュ♪」
マサトがそう言ってる中でアンジュはマサトとタスクの方をずっと睨みつけ、それにマサトは少々苦笑いしながら謝る。
「機嫌治してよ~あれは本当に事故なんだから~」
「体の方は別でしょ?」
「え、嫌.....ハァ~」
アンジュは腕を組みながら今だに睨みつけ、それにマサトは少々ため息をしながら呆れる。
「笑わないでよ!」
「嫌、別に.....♪」
するとタスクは月を見て呟く。
「同じ月だ。もう一つの地球.....か」
「夢なのか現実なのか、分からないわ」
「だが、現実だ......全てが」
「えぇ、ヴィヴィアンが人間で良かった」
アンジュはヴィヴィアンの方を見ながら言い、それにマサト達は頷く。するとアンジュは不安に思っている事を言う。
「これからどうなるの? 私達、こんな物を見せて、どうするつもり?」
「知って欲しかったそうです、私達の事を」
っとそこにナーガとカナメがマサト達の元に来ていて、カナメがマサト達に話し続ける。
「そしてあなた達の事を知りたいと、それがサラマンディーネ様の願い」
「俺達の.....事を?」
「知ってどうするの? 私達はあなた達の仲間を殺した。あなた達も私達の仲間を殺した、それが全てでしょ?」
アンジュがそうナーガとカナメにそう言うも、カナメは頭を横に振る。
「"怒り"、"悲しみ"、"幸福"。その先にあるのは滅びだけです、でも人間は受け入れ、許す事が出来るのです。その先に進むことも....全て姫様の請け売りですが、どうがごゆるりとご滞在下さい....っと姫様の伝言です」
二人は頭を下げて、その場から離れて行く。
「信じるの?」
「私は信じる......人間は過ちに気付けば、受け入れ許す事が出来る......そう言う生き物だから♪」
ナオミはそうアンジュに言い、その中でタスクが月を見ながら言う。
「.....帰るべきだろうか」
「何?」
「アルゼナル、リベルタス、ネロス.......もし.....もう戦わなくて良いのだとしたら.....」
タスクのそれを聞いたマサト達は少々思いつめる表情をして空に浮かぶ儀式の蝋燭を見ながら考え込むのだった。
「ん?」
マサトがアウラ民の中に、あの時見た赤い少女が蝋燭を見ていた。
「あの娘は....!?」
すると赤い少女はマサトが此方を見ていることに気が付き、その場から離れる。
「待って!」
マサトは急いで赤い少女を追う。その様子を見ていたナオミが見ていた。
想像ですが、イシュトヴァーン役の声優は『速水奨』さんで、バネッサ役の声優は『嶋村侑』さんです♪