クロスアンジュ エクストリーマー    作:オービタル

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第22話:ドラゴンの正体

時は遡ること数分前、部屋で寝ていたヴィヴィアン。

っと寝ているハンモックが急に落ちて、それに痛がる。

 

「いった~い、落ちてる~?何で......?うわぁっ!寝過ごシング!」

 

ヴィヴィアンは慌てて皆の所に向かう。しかし、その時に自分の目線が高い事に気が付く。

 

「何か....背が伸びた気がする? 成長期かな?」

 

しかしその時に自分の身体に異変が起きている事にまだ気が付いていない。

そこに通信ができない事に怒っているエマが通り過ぎて、ヴィヴィアンは気づく。

 

「あ!エマ監察官だ! おーい!」

 

「っ!? え!エマ監察官だーー!!!」

 

悲鳴を上げながらエマはそのまま気を失い、慌ててヴィヴィアンは駆け寄る。

 

「うわ!大丈夫....って!うわ!」

 

ヴィヴィアンは自分の手を見て驚く、それは全く自分の手じゃない何かの手だった。

 

「何じゃこりゃ!? …うえっ!?」

 

っとヴィヴィアンは目の前にあった鏡を見て驚く。今のヴィヴィアンは人ではなく『ドラゴン』だったからだ。

 

「これあたし~!!?」

 

「なに?今の」

 

偶然に近くに居たパメラ達が駆け寄り、ドラゴン態のヴィヴィアンを見て悲鳴を上げる。

 

「「「うわあああああああ!!!」」」

 

「うわ~~~!!!」

 

ヴィヴィアンも慌ててその場を離れて行き、パメラがすぐに無線で基地内に知らせた。

 

そして今の時間帯となり、臨時司令部で指揮を暫定副隊長のヒルダは各自に指示を与えていた。

 

「ロザリーとクリスは居住区、ココとミランダは整備区、エルシャはサリアを出してジャスミンモールを捜索」

 

「イエス・マム」

 

「他は此処で警備、ヴィヴィアン?ヴィヴィアンは何処?」

 

ヒルダはヴィヴィアンが居ない事に問い、エルシャはそれに答える。

 

「それが部屋にも居なくて.....」

 

エルシャがそう言ってると、マサト達とアンジュがやって来て、ヒルダが怒鳴る。

 

「遅い!何やってたんだよ!」

 

「すまん!ちょっとね」

 

その頃ヴィヴィアンは何とか食堂の方に逃げ切っていた。

 

『はぁ~お腹空いた~…、う~…何でこんな事に?』

 

すると厨房からなにやら良いによいがし、それにヴィヴィアンはつられて行く。

目の先には土鍋にカレーが入れてあった。

 

『やっぱりカレーだ~! いっただっきま~す!』

 

っが土鍋を持った瞬間につぶれてしまい、それにヴィヴィアンは頭を傾げる。

 

『あれ?、どうなってるの? あっアタシ今この状態だった』

 

自分の今の姿を忘れる所だったのか頭をかきながらつぶやいてる中でメリーとエルマが見つける。

 

「いたいた!」

 

『ふえ?』

 

メリーはスパイクシールドを取り出し、エルマも双銃剣を取り出す。

 

「行くよ~!」

 

「目的を排除する!」

 

エルマが双銃剣を撃つが、ヴィヴィアンは慌てて避けるがメリーのスパイクシールドが地面に炸裂する。地面が我、穴が開いている事に、ヴィヴィアンは驚く。

 

『うわぁっ!!』

 

するとそこにエルシャ、サリアが来る。

 

「居たわ!!」

 

サリア達がドラゴン状態のヴィヴィアンに向けて、ライフルを撃つ。それに慌てて逃げるヴィヴィアンは外へ飛ぶ。

 

『うわ~~~!!』

 

そのままアルゼナルの上部へと到達して追いかける、丁度そこにアンジュとマサトがやって来て、ライフルを構えると、ドラゴン状態のヴィヴィアンが何かを歌い出し、それを見たアンジュはライフルを下ろす。

 

「これは.....?」

 

その歌はアンジュが歌っていた『永遠語り』によく似ていて、それにアンジュは歌い出し歩き出す。

 

「♪~♪~♪~」

 

それにドラゴン態のヴィヴィアンも同じように歌い出しアンジュの元にゆっくりと降りてくる。

 

するとそこにヒルダ達もやって来る。

 

「何やってんだよお前!」

 

するとマサトは義手からブレードを展開して、ヒルダの首に突き付ける。そしてライフルをロザリーの足元目掛けて撃つ。

 

「っ!?」

 

「うわっ!! 何すんだよお前!!」

 

ロザリーが怒鳴ると、マサトが金色の目でロザリーに睨み付け、威圧させる。

 

「ヒィッ!!?」

 

アンジュが後ろを向くも、すぐに前を向いて歩く。その時にサリア達が来て、サリアがライフルを構える。

 

「離れなさい!!」

 

っがその時にジルがサリアのライフルを下ろさせて、それにサリアは見る。

そしてアンジュはドラゴンと向き合い、アンジュが触れた瞬間ドラゴンは一瞬に霧になって行った。すると霧の中から、

 

「ここでクイズです!人間なのにドラゴンなのってな~んだ?」

 

元の人間に戻ったヴィヴィアンにアンジュは唖然とするしかなかった。

 

「あっ違うか、ドラゴンなのに人間....? あれれ?意味分かんないよ....!」

 

自分がドラゴンだった事に戸惑うヴィヴィアンは泣いて混乱している中で、アンジュは優しく声を掛ける。

 

「分かったよ私は.....ヴィヴィアンだって......」

 

ヴィヴィアンはアンジュに抱き付いて泣き付く。そしてマティス達もやって来る。

 

「どうなっているんだ.....?」

 

「ドラゴンが.....ヴィヴィアン?」

 

ロザリーとアイカがその光景に驚いていると、そこにマギーがやって来て、ヴィヴィアンに麻酔を撃ちこみヴィヴィアンを眠らせて、マギーはヴィヴィアンを抱いてその場から去って行く。見送ったマサト達はアルゼナルの抉られた場所に捨てられているドラゴンの死体の山を見る。その時マサトとアンジュはヴィヴィアンの言葉を思い出す。

 

『人間なのにドラゴンなのってなーんだ? ドラゴンなのに人間…?あれれ?』

 

「っ!? まさか.....!!」

 

マサトとアンジュは思わずドラゴンの死体のある場所に行き、マティス達も付いていく。

 

そしてジャスミンが死体を集めた所でガソリンをまき、ライターに火をつける、っとバルカンがレオン達に向かって吠え、それにジャスミンは振り向く。

 

「来るんじゃないよ!」

 

そう言ってジャスミンはライターを死体の山に投げ、死体を燃やし始めた。マサト達は燃えている死体に驚きの光景を目にする。ドラゴンの死体の中に人間の姿も紛れていた。

 

「何......これ.....?」

 

マサトが目の前の光景に驚くと、駆け付けたアストラが慌てる。

 

「(何て事をっ......!!!)」

 

それと同時にマティス達も来る。

 

「おい!一体何が....っ!?」

 

「何.....これ?」

 

「ドラゴンが...人間に!?」

 

その光景に皆がくぎ付けられてる中で煙草を持っているジルが来る。

 

「よくある話だろ?『化け物の正体は人間でした』…なーんて」

 

それにアンジュは息を飲み、再びドラゴンを見る。そして今までの事を思い出す。自分がドラゴンを殺し……そして倒していく光景に。マサトもレオスに乗って、握力でドラゴンの頭部を握り潰したり、ビームサーベルで切り殺した事、そして返り血がレオスに付着していたことも、

っとアンジュは思わず口を抑え、地面に向けて嘔吐する。

 

「ア、アンジュリーゼ様!」

 

モモカがアンジュの背中を擦ると、マサトは膝を地面に付き、頭を抱え、身体を震わし、涙を流す。そして頭の中で浮かんだ物は、レオスに乗っているマサトがドラゴン......いや、今まで『人間』を殺してきたことに、そしてアンジュの救出の時、人間を殺すとき、自分が殺すのを楽しんでいる事に思い出す。

 

「ハァ!........ハァ!......ハァ!.....ハァ!......俺は!....今まで人間を......!!う、うう....あ...あああ!............あああああああああぁぁぁぁぁぁぁっ~~~~!!!!!」

 

マサトは自分の罪悪感に泣き崩れ、ナオミが心配する。マティス達も、自分達がやって来た事を思い出し、悔やむ。

 

「私....人間を殺していた....?この手で.....?」

 

「気に入ってたんだろ?ドラゴンを殺して金を稼ぐ、そんな暮らしが♪」

 

ジルの言葉に、アストラは怒鳴る。

 

「ジル!!あんたは!!」

 

「言ってどうする?お前も知っていたじゃないか........♪」

 

「くっ!!」

 

アストラは拳を握り締めると、ガイはジルに言う。

 

「お前!アンジュやマサトの心を弄んでいたのか!!?」

 

ガイ達はそれぞれの武器を取り出し、ジルに向ける。

 

「止めろ......」

 

アストラがガイ達を止める。

 

「だけど!アストラさん!」

 

「止めるんだ!......本当は......あの場で皆を落ち着かせて言うべきだった.........悪いのは俺も同じだ......その結果、マサトの心を乱してしまった........」

 

アストラは暗い表情で、皆に謝る。

それでもマティス達の怒りは収まらず、そしてアンジュはジルを睨みながら怒鳴る。

 

「くたばれクソ女!!!もうヴィルキスには乗らない!!ドラゴンも殺さない!!! 『リベルタス』なんてくそくらいよ!!!」

 

その事にサリアはアンジュが知らないリベルタスを知っている事に思わず反応する。

 

「『神様』に買い殺されたままで良いなら、そうすればいい」

 

そう言い残してジルは去って行く。アストラはマサトの元に近付く。

 

「すまない、マサト........」

 

「.........」

 

しかし、マサトの返事はなかった。彼の表情は薄暗く、瞳の輝きも失っていた。

 

「......出来れば、こんな形で真実を話したくなかった......それだけは避けたかった.......「決めた.....」え?」

 

「結局は.........人間は争いを止めないんだ..........差別、平等、平和......何一つも変わっていない........」

 

「マサト?」

 

「だから決めたの.........」

 

するとマサトの額から青筋が浮かび上がり、目と鼻、口から血が流れ出てくる。

 

《っ!!!?》

 

皆は驚くと、マサトがゆっくりと振り向く。

 

 

 

 

 

「マナを使う人間こそが...........人の生皮を被った"化物"だから、皆殺しにしなきゃ......♪」

 

 

 

 

マサトの不気味な笑みにアストラ達は恐怖心を抱える。

 

《!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!》

 

「マサト........!」

 

アストラは心配し、皆も心配しながら、マギーのいる医務室へと連れられる。アストラはジルの後を追う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジルが臨時司令部に戻って行く所だった。

 

「『神様』か…」

 

っと誰かの声が聞こえ、ジルは足を止めて振り向くと、そこにはネロスが立っていた。

 

「僕は自分から名乗った事は一度もないぞ?『創造主』と言う意味であれば.....正解かもしれんがなぁ♪」

 

世界最高指導者がアルゼナルに居た事にジルはすぐさまマグナムを取り出してネロスに撃ちこむ、しかし弾丸はネロスの身体をすり抜ける様に後ろに木に当たり、ジルはネロスを睨む。

 

「ネロスッ....!!!」

 

「怒った顔も素敵だよアレクトラ.....、今は司令官のジルかな?それと.......」

 

ネロスは、別の方を向く。彼の目先に、アストラが鬼神の如く眼差しで、ネロスを睨んでいた。

 

「おや、おや、おや?あの戦場にいた臆病者か......」

 

「黙れ、偽神が......」

 

「まぁ、そうだろうなぁ♪不死鳥の三銃士の一人.......『紅炎のアストラ』君♪」

 

ネロスの言葉に、アストラは怒り、銃剣付きマグナムを構えた直後、マナの映像が映し出される。

 

『こちらはノーマ管理委員会直属、国際救助艦隊です。ノーマの皆さんドラゴンとの戦闘....』

 

「救助?」

 

アストラは放送を見て、驚くと、既にネロスはその場から消えていた。

 

一方、アルゼナル付近の海域で、ミスルギ艦隊がアルゼナルへと進攻していた。その艦の中で旗艦『エンペラージュリオ一世』に乗艦しているジュリオが笑みを浮かばせていた。

 

「さあ、最後の再会と行こうじゃないか。アンジュリーゼ」




さぁ!次回はあの糞兄貴を地獄へ送る話です!勿論、格納庫にある三機のガデラーザを起動させます!

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