インフィニットミッション   作:のんびり日和

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5話

3rdside

タバネとマドカの前には織斑千冬と篠ノ之箒がいた。

 

「久しぶりだな。」

 

「ホントだね。死んでてほしかったよ。」

 

タバネは真顔になりながらそう言い、武装を展開した。

 

「一夏はどこだ、屑。」

 

「教えるわけないだろが糞モップ。」

 

マドカにそう返された箒は睨みながら武装を展開してきた。

双方武装を展開したまま睨みあっていた。周りではグリプスの隊員達が模造コアのISの対処をしており、2人の援護をするために全力で対処していた。

 

「さてとマーちゃん。こいつらさぁ。」

 

「うん、分かってます。」

 

「「ちゃっちゃと倒していっくん(兄さん)達に追い付くよ(追い付きましょう)。」」

 

そう言われた2人は

 

「「やれるもんならやってみろ!」」

 

そして双方の武器が衝突した。

 

マドカはBT兵器を展開しながらナイフを箒に向けて攻撃をした。

 

「くっ!貴様ごときにやられるような私ではない!あの時とは違うんだ!」

 

そう言って箒はブレードを振り下ろしたり横に振ったりとしたが所詮は剣道の基本的攻撃のためマドカは難なく躱していく。

 

「クソ!なんでだ、私は強くなったんだ。それなのになんでたやすく躱されるんだ!」

 

「お前の攻撃は教本通りすぎるんだよ!」

 

そしてマドカはBT兵器で箒の両肩を打ち抜き、攻撃できなくなったところをナイフで止めをさした。SEがなくなり箒はISを強制解除され床に転がった。

 

「クソ!まだだ、まだやれ・・うっ?!」

 

急に箒は頭を押さえ出し苦しみ始めた。

 

「うあぁぁぁぁ、頭が!頭が痛い!」

 

何が起きたのかマドカは最初は分からなかったがブリーフィングの時にこっそりとアリスに聞いたことを思い出した。

 

~回想・出撃前のブリーフィングルーム~

「ねぇアリス、そのヴァンパイアズってさ、どういった人物がいたのか分からないの?」

 

[残念ながら人物の情報は何一つありません。ヴァンパイアズは機体が大破した場合すぐに自爆用の爆薬が起爆するようになっていて、情報は一切取れないようにしているのです。]

 

「へぇ~、用心深いんだね。」

 

~回想終了~

アリスとの会話を思い出し、マドカはISが大破したため頭に仕掛けられていた爆薬が起爆するのだろうと思った。

 

「どうやらお前を手術した奴らは用心深いやつらだったようだな。」

 

「うぅぅぅぅ、な、なんだとぉ。」

 

マドカは冷ややかな笑みを浮かべながら箒の体に何が起きているのか教えてやった。

 

「お前の頭の中に爆薬を仕掛けといたんだろうな。お前が私たちに捕まった場合に備えていたんだろうな。」

 

マドカにそう言われた箒は信じられないと言わんばかりの顔で見ていた。

 

「とりあえずお前はもう死んだも同然だよ。」

 

そう言ってマドカはタバネの援護に行こうとしたが向こうも終わろうとしていた。けど油断できないから援護に向かった。

 

「じゃあな篠ノ之箒。恨むんだったら自分の行いを恨むんだな。」

 

「く、くそーーーーー!」

 

そう叫んだ後、箒の頭は爆発し残ったのは首から上がない体のみだった。

 

時間は戻り、タバネと千冬との戦いは肉弾戦が主だっていた。千冬は剣でタバネに切りかかるが、タバネはそれをシールドで躱しメイスで殴り掛かるなどだった。

 

「いい加減墜ちろ!」

 

「お前が墜ちろ!」

 

双方一進一退を繰り返していた。

 

(もう何なんだよあいつのISは!普通のコアならもうSE切れ起こしてるはずなのに。うん?普通のコアなら?・・・?!あいつ!)

 

「その顔ようやく気が付いたか。そうだ、こいつに積んでいるコアはお前が最初に作った白騎士のコアだ!」

 

その言葉を聞いた瞬間、タバネは頭の中で何かが切れた。

 

「貴様ぁーー!」

 

そう叫びながらタバネは銃火器を大量に取り出し、千冬に向かって攻撃した。

 

「無駄だ!」

 

千冬は弾丸を切りながら前進し、タバネに迫った。

タバネは内心焦りながら後悔していた。

 

(こんな奴に、こんな奴にISを。私の大切な娘を託すんじゃなかった!)

 

そう後悔していた時、急に頭の中に声が響いた。

 

[・・・・お・・・おか・さん・お母さん。]

 

(え?だれ?)

 

そう聞き返すと今度ははっきりと聞こえた。

 

[私です。貴女が最初に作ってくれたコアの白騎士です。]

 

タバネは驚いていた。コアには人格があることは予想されていた。けどまさか自分が最初に作ったコアから語り掛けてくるとは思わなかったからだ。

 

(そっか。ごめんね、そんな奴にこき使われるようになって。本当にごめんね。)

 

タバネは心の中で謝罪をしながら迫ってくる千冬をどう切り抜けるか考えていると。

 

[私がISを強制解除します。その隙に攻撃を。]

 

(けど、そんなことをしたら白騎士が!)

 

[私のことはいいのです。私の手は既に汚れています。せめてこれ以上妹たちの手が汚れる前にすべてにケリをつけてください。]

 

(本当にいいんだね?)

 

タバネにそう聞かれた白騎士は覚悟を決めていたかのように同意した。

 

[はい、妹たちのこと頼みました。お母さん。]

 

そう言うと同時に千冬のISが強制解除された。

 

「なに?!」

 

「いけぇぇーー!」

 

タバネは残った弾丸を撃ち込んだ。弾丸はすべて千冬に命中し、そのまま肉塊となった。千冬が乗っていたISの待機形態は見るも無残に壊れており、コアも無事ではなかった。

 

「うううぅ、ごめんね白騎士。本当にごめんね!」

 

タバネは泣きながらその壊れたISの待機形態を抱きしめていた。

マドカは箒との戦闘を終え、援護しようとしたが千冬のISが強制解除されたところで決着がついたため援護をしなかったがタバネが急に壊れたISを抱きしめたためどうしたのかわからずただ立ち尽くしていた。

 

「タバネさん、大丈夫?」

 

ひとしきり泣いたタバネはうんと小さくうなずき立ち上がった。

 

するとグリプスの隊員が駆け寄ってきた。

 

「すいません、お二人の援護ができず。」

 

「ううん、別に大丈夫だったよ。そっちは大丈夫?」

 

そう聞かれ隊員は後ろにいる隊員たちの姿を見せた。所々ケガをしているが、命に関わるケガはしている様子ではなかった。

 

「はい、皆命に関わるケガはなく無事です。」

 

「そっか、それじゃあオーちゃん達に追い付こうか?」

 

「「「「はい!」」」」

 

そして全員イチカ達が先に行っている3階を目指した。

タバネは心の中で

(白騎士、この事件が終わったら絶対に君の妹たちを宇宙(そら)に上げるからね。)

そう決意したそうだ。

 

その頃、先行したイチカ達はダクトから出て3階の住居区画に来ていた。それぞれの部屋は幹部クラスの部屋と思われ、中の調度品などは最高級の品で備わっていた。

 

「ずいぶんと贅沢な部屋なことで。」

 

「まったくだ。この部屋のほとんどの調度品が悪どい稼ぎで買ったんだろうな、胸くそ悪いぜ。」

 

そしてその区画にある部屋をすべて調べたがデュノア夫妻と技術主任と残りの2名は見つからなかった。

そして下に下りるとまた広そうな部屋に出た。そして目の前には2機のISが鎮座していた。

 

「何だありゃ?」

 

「ISのようだが、デカいな。」

 

その大きさはタバネが開発したビューレンとは違い、一方は大きなキャノンを頭だと思われる部分に載っている。もう一方は大きなキャノンを両腕に付けていた。

 

「あれはコングにホーネットですね。」

 

イチカがそう答えるとオータムは全員に警戒するように伝えた。すると

 

「ようやく来たか。」

 

その声を聴いた瞬間亡国側は驚いた。まさか男の声だとは思わなかったからだ。

 

「てめぇは誰だ!」

 

「私かね?私はモーガン・ベルナンド。ただのテロリストさ。」

 

そう言うと、イチカ達はすぐさま臨戦態勢に入った。

 

「やれやれ、あの世界からこっちに来たがまた戦争か。まぁ私は金がもらえればなんだっていいさ。」

 

そう言うモーガンをイチカ達は睨んでいると、オータムから

 

「イチカ、お前はグリプスを3部隊ほど連れて下に行け。」

 

「けど、相手は2人ですよ。全員でやった方が「馬鹿野郎、さっきタバネが言ってた通り消耗した状態で下に行ったところで返り討ちに会うかもしれねぇだろ。だったら少しでも消耗が少ない方がいい。分かったか?」・・・了解。」

 

イチカは苦渋の想いでグリプスの3部隊を率いて扉に全速で向かう体制に入った。

 

そしてオータムさんとジェシカさん達が一斉にモーガンに攻撃を仕掛けた瞬間にイチカは3部隊を連れて扉をくぐり、下に向かった。

 

イチカが下に行ったのを確認したオータムはモーガンともう一機と戦闘を開始した。

 

「なかなかやるな貴様ら。」

 

モーガンはまだ余裕そうに対処していた。

 

「てめぇさっきからちょろちょろと動くな!」

 

オータムはアラクネに装備されているワイヤーを引っ掛けようとしたが、ちょろちょろと動いて捉えられなかった。

 

ジェシカはもう一機の方と戦っていたが、巨大なキャノン砲を撃たれたりして避けたりするのに必死だった。

 

「もう何なのよこいつ!」

 

そう言っているとコングはミサイルを発射してきた。ミサイルは誘導性でジェシカに迫った。

 

「ジェシカを援護しろ!」

 

グリプスの隊員がそう叫び、アサルトライフルで援護を始めた。グリプスの隊員たちの攻撃はミサイルに当たり、爆発した。

 

「助かりました!私が引き付けるのでグリプスの皆さんはあいつに飽和攻撃をしてください!」

 

「了解した!野郎ども、俺の後に続け!うおぉぉぉぉぉぉ!」

 

隊員たちは攻撃をしつつ、その場から移動を繰り返した。コングはそれにイラついたのかミサイルを発射した。

 

「ジャマー用意!」

 

隊員の一人がそう叫び、ミサイルの方向を変えた。

ミサイルはあらぬ方向に飛んで行き、爆発した。

そして飽和攻撃を続けていった結果、コングは大破した。

 

一方オータムの方はちょこまかと逃げるモーガンを必死に追いかけていた。

 

「てめぇおちょくるのはいい加減にしろよ!」

 

「ふん、おちょくってなどいないさ。そろそろ君もバテてくるはずだからね。それを待っていたんだよ。」

 

そう言ってモーガンは疲れて動きが鈍くなったオータムに両腕のキャノンを撃った。弾はそのままオータムに当りそうになったが、突如飛来したシールドに防がれた。

 

「なに!?」

 

「ナイスだジェシカ!」

 

シールドを投げたのはジェシカだった。

 

「隊長、とっとと終わらせてください!」

 

「当たり前だ!」

 

そう言ってオータムはワイヤーをホーネットの首に掛けた。

 

「くっ!離せ!」

 

「離すかよクソッタレのテロリスト野郎が!そのまま打ち首だ!」

 

そう言ってオータムはワイヤーを引っ張り、モーガンの首を切り落とした。

 

「はぁ~~、やっと終わった。」

 

「隊長、終わってませんよ。」

 

「分かっている。急いでイチカ達に追い付くぞ。」

 

「「「了解!」」」

 

そしてオータム達はイチカ達の後を追いかけた。

 

3rdside end




グリプスの隊員隊とコングの戦闘シーンはFMOのワンシーンです。(本来はヴァンツァー同士がやり合うシーンなのですが、歩兵とヴァンツァーとでやり合わせてみました。普通なら死ぬな。)

次回決戦~後編~

誤字等あったら報告お願いします。

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