イチカside
詠美お義母さんから一枚のチラシを渡された。そこには
「夏祭りですか?」
「そうなの~。この近くのお寺で毎年開かれているお祭りでね、そこに虚ちゃんたちとどうかな~と思って持ってきたのよ~。」
夏祭りか。確かに中学にあがってからは全然行かなくなったな。よし、みんなを誘って行くか。
「そうですね。早速みんなを誘ってみます。」
「それがいいわ。あ、そうそう聞きたかったことがあるんだけど~?」
「はい?何ですか。」
「孫はいつになったら抱けるのかしら~。できればよぼよぼのおばあちゃんになる前に抱きたいのよね~。」
「ぶっ!?な、な、なに言いだすんですか!そんなのまだ先ですよ!」
「えぇ~~」
「えぇ~じゃありませんよ。まだ自分たち学生ですよ。学生で子持ちは流石にシャレになりませんよ。」
「もぅしょうがないな~、じゃあ卒業したら子作りしてね?」
「いや、なんでそうなるんですか!てかどんだけ抱きたいんですか!」
「因みに源三郎様と藍様、それと真実さんも楽しみにしているから出来るだけ早くね。」
そう言って詠美お義母さんは部屋から出ていかれた。なんか卒業したらあの手この手で子作りをするように仕掛けてくるな。
~数分後~
仕事が終わった刀奈さん達が戻ってきてさっき詠美お義母さんと話していた夏祭りに行かないかと誘ったらもちろん行くと返事をし、浴衣の準備をしてくると言って4人は出ていった。さて俺も出かける用意をするか。
~夕方~
さて、夕方になり遠くの方から太鼓の音が鳴り響いているのが聞こえてきた。ちなみに俺は先に更識家から出発しており、4人はあとから合流する予定だ。そして神社に着くといろんな出店が出ているのが見えた。
「へぇ~、結構大きな祭りなんだな。」
俺は神社の前の鳥居の前で4人を待っていると
「あれ、イチカじゃねえか。」
「うん?なんだ弾じゃねえか。なんでここに居るんだ?」
そこには弾がいた。まぁ大方荷物持ち的な何かだろう。
「そりゃこっちのセリフだ。もしかして一人で回るのか?」
「いや、婚約者の4人と待ち合わせ。そしたら一緒に回る予定だ。」
「相変わらず羨ましすぎるぞ!」
弾とわいわい喋っていると後ろから下駄の音が聞こえてきた。ふと後ろを振り向くと浴衣姿の虚さんと刀奈さんがいた。あれ、簪たちは?
「あれ簪たちは?」
「ちょっと本音ちゃんの着付けに手間取っててね。もう少ししたら来るわ。」
「そうですか。」
「おい、イチカちょっと来い。」
「あ、なんだよ。」
俺は弾に引っ張られながら少し離れたところに連れていかれた。
「あの美人は誰だ?お前の知り合いか?」
「どっちの方だ?」
「あのメガネの掛けた女性だよ。」
「まぁ、知り合いというより「知ってるんだな!」お、おう。」
「よし、ぜひ紹介してくれ!」
「いや無理だし。」
「なんでだよ!お前と俺の仲だろ、いいじゃねえか。」
「いや、あの人俺の婚約者だから。」
「な、なんだと。じゃあもう1人の方は?あっちだったらまだ大丈夫「いや、そっちも無理だ。」・・・・ま、まさか。」
「そのまさか。」
「ハハハハハハ、イチカ面白いジョークだ。」
そう言うと弾は刀奈さん達の方に戻った。俺も一緒に戻ると
「あのすいません。」
「はい?もしかして私?」
そう言って刀奈さんが自分に指さすと弾は頷いていた。
「一目ぼれしました、ぜひ付き合ってください。」
そう言って弾は腰を90度曲げて手を差し出していた。嫌だから無理だって。
「ごめんなさい。」
刀奈さんにそう言われると弾は膝をついて崩れ落ちった。
「あ、あの大丈夫?」
「楯無さん、そっとしといてあげて下さい。しばらくしたら復活するはずですから。」
「そ、そう。」
するといきなり弾は立ち上がり、
「どうしてイチカがモテて俺はモテないんだぁーーーーー!」
「叫ぶな。」
俺は弾の後頭部を思いっきりしばき、黙らせた。
「チキショー、どうしてこんな奴がいいんですか?」
弾は後頭部をさすりながら刀奈さん達に聞いた。
「それはもちろん昔私と妹を仲直りさせてくれたし、いろいろ甘えさせてくれるしね。」
そう言って刀奈さんは言うと次は虚さんが
「そうですね。けど偶には私たちにも甘えてきてほしいんですけどね。」
そう言えば俺から4人に甘えることってなかったな。今度試してみるか。
「そ、そうですか。・・・・・俺の春は一体いつになったら来るんだ。」
「さぁ~何時なんだろうな。」
「言い方が腹立つぞイチカ。」
弾が睨んできてもどこ吹く風としていると向こうから簪と本音がやってきた。
「イッチーお待たせ~。」
「イチカお待たせ。あれあなたは。」
「あ、どうも。お久しぶりです。」
「あら、簪ちゃん知り合い?」
「この前イチカ達と買い物に行った際に会った。」
「え?もしかして妹さん?」
「えぇ、そうよ。」
「もしかしてこっちも?」
「そっちの眼鏡を掛けた方は私のお姉ちゃんだよ~。」
「そ、そうなのか」
そう言うと弾はまさかの姉妹丼、しかもダブルでと言って真っ白になった。とりあえず行くか。
「イッチーほっといてもいいの~?」
「大丈夫、大丈夫。後でショック療法(物理)で生き返らせる人が来るはずだ。」
俺はそう言ってみんなと神社に入りお祭りを楽しみ始めた。【因みに弾はその後、蘭ちゃんの手によって復活したそうだ。ただし、ケツがサルみたいに赤くなったと嘆いていたそうだ。】
さて神社に入って最初にしたのは金魚すくいだった。本音は開始早々ポイを水に突っ込んで追いかけまくったからすぐに破れた。簪はひょいひょいッと金魚をすくっていた。
次に行ったのが射的だ。何を狙おうか見ていると猫、狐、犬、ウサギの大きめのぬいぐるみがあった。よしあれを狙うか。
結果は全部命中。まぁぬいぐるみを取るため全弾使ったため他の景品は取れなかった。ちなみに隣で同じようにやっていた本音は景品として置かれているお菓子を落としまくっていた。
その後はリンゴ飴をみんなと食べたり、たこ焼きを買って食べようとしたら刀奈さんに横取りされたり、綿あめを虚さんと一緒に食べていたら、簪も食べたそうにしていたから食べさせたりとなかなか楽しめた。
そして最後の花火を見に見晴らしのいい場所に移り、大空に輝く花をみんなと見て家に戻った。
イチカside end
3rdside
所変わってここは篠ノ之箒が入院している病院。看護師がいつもの定期検診をしに病室を回っていた。そして最後の病室に着きドアをノックして入ろうとした。
「篠ノ之さん、定期検診のお時間ですよ。・・・あれ?」
看護師が中に入るとそこに篠ノ之の姿はなかった。看護師は慌ててほかの看護師に連絡して、病院中を探したが見つからなかった。病院側はすぐさま警察に連絡した。
~某国某所~
「さて、篠ノ之と言ったかな?君は復讐したいか?」
男が篠ノ之に聞いていた。
「あぁ、復讐したい!だがこの腕では・・・。」
「そんな君に力をあげよう。だがそれには手術が必要だ。どうする?この手を取るか振りほどくか君次第だ。」
男にそう言われた篠ノ之は膿や血で包帯がべちょべちょになった腕でその腕を掴んだ。
「あぁ私にその力をくれ!」
「いいだろう。ようこそヴァンパイアズへ。」
新たな火種がチラチラと燃え盛ろうとしていた。
今回は短くなってしまった。
次回新学期~学園祭準備~
誤字等あったら報告お願いします。