インフィニットミッション   作:のんびり日和

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夏休み2話

イチカside

翌日、俺は目を覚ますとなんか胸辺りに違和感があった。いったい何だと思って布団をめくると虚さんが抱き着いていた。俺は驚いて声が出そうになったが目を覚ますと思って手で口を抑えた。

 

「うぅん・・・。スゥー、スゥ―。」

 

本音と同じ寝息が可愛いな。俺はそう思いつつ頭を撫でていた。すると

 

「うへへへへへ、イッチ~もう食べられないよ~。」

 

そう言いながら涎を垂らしながら寝ている本音が見えた。寝言から察すると何か食べているようだが、相変わらず食いしん坊だな。

試しに反対側で寝ている簪たちの方を見ると簪は、

 

「スゥー、スゥー、スゥー」

 

規則正しい呼吸で寝ていた。眼鏡かけていない状態の簪を見るのは初めてだが、結構可愛いな。刀奈さんは、

 

「うへへへへ、イチカク~ンおね~さ~んと楽しいことしましょ~。」

 

なんか良からぬことをしている夢を見ているようだ。とりあえず手近にあった枕を投げて寝たふりをした。

 

「ふみゅっ!・・・ちょっと~誰よ~いい夢見てたのに~。」

 

そう言いながら起きた刀奈さん。寝たふり寝たふり。

 

「あら、まだみんな寝てる。イチカ君もまだ寝てる。・・・・キラーン。チャンス。」

 

細目で刀奈さんを見たけどなんか閃いた顔になったようだ。そして足音を殺しながら俺の寝ている布団に近付いてきた。まずい。

 

「お邪魔しま~す。・・・てっ、虚ちゃん?」

 

あ、ばれた。そしてその呼び声で目を覚ました虚さん

 

「うぅん・・・。・・・・あ、お嬢様おはよ・・・ござ・・・。?!?!?!!?!。」

 

そして飛び起きた。すげぇ~。

 

「お、お、お、お嬢様おはようございます!」

 

「えぇ、おはよう。ってそうじゃない!」

 

「・・・・もぅ、うるさいんだけど。」

 

そう言って簪が起きた。俺も今起きましたという感じで起きた。

 

「あ、簪お嬢様、イチカさんおはようございます。」

 

「おはよう虚さん。それでお姉ちゃん何騒いでいるの?」

 

「おはよう簪ちゃん。聞いてよ虚ちゃんったらイチカ君の胸のところに抱き着いて寝てたのよ!抜け駆けよ!!」

 

「そ、そ、そ、それは寝ぼけていつの間にかイチカさんの布団に入ってしまっていて、私の意思で入った訳ではないのです!」

 

「それでも羨ましすぎるわよ!「イチカ、次私にやって。」簪ちゃん?!なに抜け駆けしてるの!」

 

「早い者勝ち。」

 

そう言って簪は俺に抱き着いてきた。

 

「はふぅ~、すごく落ち着く。」

 

「簪ちゃ~ん早く変わって~~!」

 

そう言われ簪は仕方なく変わると刀奈さんは目一杯抱き着いてきた。

 

「確かに落ち着くわね~。このまま寝ちゃおうかしら。」

 

「あの~、そろそろ起きて服着替えません?そうしないと出発が遅れちゃいますよ。」

 

「それはそうね。」

 

そう言って離れてくれた。すると刀奈さんはいきなり着物の帯を解き始めた。

 

「ちょっ、着替えるのは俺が出てからでもいいじゃないですか!」

 

「えぇ~、婚約が決まってるんだし別にイチカ君に見られても恥ずかしくないわよ。」

 

そう言いながら帯をまた解き始めた。このままだとまずいと思い、俺は服を持って部屋を出ようとしたが足を掴まれそのまま前に倒れた。

 

「ちょっ、足掴んだのはって、簪に虚さん?!な、なにしてるんですか!」

 

「別にイチカになら見られても大丈夫だし今のうちに慣れておかないと。」

 

「そうですね、将来のためにも少しでも羞恥心が出ないようにしなといけませんからね。」

 

ひぃ~~~!この二人もか!さ、最後の希望は本音だが。そう思って本音を見るとまだ寝ていたが急にムクッと起き上がった。起きたか?

 

「あれぇ~、みんなどうしたの~?」

 

「あ、本音。そろそろ服着替えなさい。ご飯を食べたら出発するわよ。」

 

虚さんにそう言われ本音は分かった~と言っていきなり寝巻き(狐)をスポーーーンと脱いだ。はやっ!そして俺がいるのにためらわないのか?!

 

「ほ、本音俺がいるんだが。」

 

「え?別にイッチーだったら見られてもいいよ~。」

 

おい~~~~!最後の希望もノリノリだったよ!俺に退路はないのか?!

 

{イチカよ、聞こえるか?}

だ、誰だ?

{俺はこの小説の主だ。}

主?主だったらこの4人を止めてくれ!

{そりゃ無理。}

な、なんでだよ!

{だってそっちの方が面白いじゃん。それじゃ、アデューー。}

チキショーーーー!

 

はっ!俺は一体どうしたんだ?確か刀奈さん達がいきなり着物を脱ぎ始めてそれからどうなったんだ?

 

「イチカ、大丈夫?」

 

そう言って心配そうに簪がのぞいてきた。

 

「え、あ、あぁ。大丈夫だ。それでここは?」

 

「もう、ここは別荘だよ。いきなりイチカがソファに倒れこんですぐに寝ちゃうんだからびっくりしたよ。」

 

へ?別荘?いつの間に俺は更識家から出発したんだ?行くときの記憶が全然ないんだが。

 

「あら、イチカ君起きた?それじゃ、ビーチに行きましょうか?」

 

そう言って刀奈さんは俺の手を引いて立たせた。

 

「ビーチってもしかして。」

 

「はい、更識家が所有しているプライベートビーチです。」

 

そう言って虚さんと本音がいた。手には手提げバックを持っていた。

 

「ほぉらイチカ君、早く行きましょ。」

 

「そうですね、行きますか。」

 

俺はそう言って刀奈さん達とビーチに出かけた。着替えられる場所はビーチにあるらしいのでそこで着替えることにした。もちろん刀奈さんには男子更衣室には入らないようにと釘を刺しておいた。めちゃくちゃ悔しがっていた。やる気だったなあれは。

着替えてビーチに行くと真っ白な砂浜に青い海が広がっていた。いいところだなぁ~。

 

「あ、イチカ早いね。」

 

そう声をかけてきたのは簪だった。水着は前回買った水着だ。やっぱり何度見ても可愛かった。だから

 

「相変わらずその水着は簪に似合っていて可愛いな。」

 

「あ、ありがとうね///」

 

「あ、いっち~、かんちゃ~んお待たせ~!」

 

そう言って次に来たのは本音だった。だが前回と違った。

 

「ほ、本音、その水着はまさか・・・。」

 

「ほえ?この水着?そうだよ~、あの着ぐるみ水着に付属してた水着だよ~。」

 

そう、本音は着ぐるみに付属していた眼帯タイプの水着を着ていたのだ。露出が広すぎないか?

 

「けど、なんか胸のあたりがちょっときついんだ~。はずしていい?」

 

「「ダメに決まってるだろ(でしょ)!」」

 

「ちぇ~~~。」

 

なにを言い出すんだこいつは。そうこうしていると刀奈さん達も来た。

 

「あ、イチカく~んどう似合う?」

 

そう言って刀奈さんはその場で1回転して見せた。確かに刀奈さんはスタイルがいいからきれいに見えた。

 

「えぇ、すごく似合いますし、きれいですよ。」

 

「そう?えへへへ、うれしいな~////」

 

「い、イチカさん、どうですか?」

 

そう言って虚さんが聞いてきた。そこにいたのはまさに天女様が舞い降りてきたような感じだった。

 

「き、きれいだ。」

 

「うへ!き、き、き、き、きれいだなんてそんな////」

 

おお、虚さんの頭から原子雲が上がった。

 

「さ~てめいいっぱい遊ぶわよ~。」

 

そう言って刀奈さんは走って行った。

 

「もうお姉ちゃんたら。」

 

そう呟きながら簪は海へと向かった。

 

~海水浴ナウ~

 

思いっきり遊んだため時間が経つのも早くもう夕日が水平線近くまで落ちてきた。そしてその隣には虚さんがいる。他のみんなはまだ向こうで遊んでいた。

 

「みんな元気あるな~。」

 

「そうですね。私なんてもうヘトヘトなんですけどね。」

 

そう言って笑いながらこちらを見る虚さん。海から吹く風にあてられた髪をかきあげる姿はまさに海に住んでいる人魚の様だった。

 

「そ、そうですか。もし疲れていたら肩貸しますよ///」

 

俺がそう言うと虚さんは驚いた表情になり直ぐに赤くなりながら訪ねてきた。

 

「い、いんですか?そ、それなら」

 

そう言って俺の肩に頭を乗せてもたれ掛ってきた。

 

「こんな日がずっと続くといいですね。」

 

「ええ、俺もそう思います。」

 

そうだ。この幸せを俺は守り続ける。どんなことがあっても絶対に。

 

「あぁ~~~!お姉ちゃんずるい~~!」

 

そう叫んできたのは本音だった。その周りには刀奈さんたちもいて羨ましそうにこちらを見ていた。

 

「ちょっと虚ちゃんなに羨ましいことしてるのよ~!」

 

「虚さんずるい。」

 

「こ、こ、これはその・・・。い、今だけは譲りません!」

 

そう言って虚さんは俺の腕に抱き着いてきた。もちろん腕にはふたつの丘が当たってます。それを見た刀奈さん達はもう片方の腕を巡って争い始めた。結局こうなるのね。

そして海水浴を終えた俺たちは別荘に戻り夕飯をみんなと作り仲良く食べた。風呂はもちろん別に入ろうと、先に入り鍵を掛けたのだが合鍵を使われ結局みんなと入ることになった。もちろんみんな水着着用だが。(刀奈さんは脱ごうとしたが虚さんの笑顔でやめたそうだ)

 

風呂から上がり寝室に行くとなぜか真ん中にキングサイズのベットでその左右にシングルベッドがあった。あれ数が合わないぞ(すっとぼけ)

 

「刀奈さん、ベットの数が合わないんですけど・・・。」

 

「え?あぁ、別に間違ってないわよ。昨日は簪ちゃんと虚ちゃんがイチカ君の隣で寝たからね。今日は私と本音ちゃんの番ってことでこれにしたのよ。」

 

えっへんといった感じで胸を突き出すがその後ろからはジト目で見ている簪と虚さんだった。

 

「私たちはイチカの隣で布団を敷いて寝ただけなのにこれはずるくない?」

 

「確かにそうですね。」

 

「べ、別にいいじゃない!」

 

「そうだそうだ~!」

 

「ともかくもう寝ませんか?明日には更識家に戻るんですから。」

 

「そうね、と言うわけでイチカく~ん真ん中に寝転がって~。」

 

「言っておきますが変なことしたらしばらく口聞きませんからね。」

 

「ちぇ~~、イチカ君が寝たらあんなことやこんなことをしようと思ってたのに。」

 

そう言って刀奈さんは真ん中のベッドの右に寝転がり、本音は左側に寝転がった。

 

「イチカ、お姉ちゃんたちが何かしたら言ってね。何とかするから。」

 

「イチカさん、本音達が何かしたら言って下さいね。家に戻り次第、お説教をしますから。」

 

そう言って二人はシングルベッドに入り眠った。俺も疲れていたからそのままベッドに入ると眠気が襲い、眠った。

 

~次の日~

朝起きると刀奈さんと本音が抱き着いていた。う、動けない。すると簪が起きた。そして俺が見ていたことに気づくとそのまま近づいてきた。

 

「どうしたの?」

 

「動けないんだがどうしよう?」

 

そう言うと簪は布団を引っぺがすと二人が抱き着いているのを見つけそのまま部屋を出ていった。まさか見捨てられた?そう思っていると何かを手にして戻ってきた。すると簪は二人の鼻に何かをかがせると二人は飛び起きた。

 

「「ふぎゃーーーーーー?!」」

 

「起きた?」

 

「何嗅がせたんだ?」

 

そう言うと簪が見せてきたのは【デンボー~怒りのデスソース~】と書かれた瓶だった。何それ?

 

「これね、お母さんがお父さんがお酒に酔って暴れるのを防ぐために買っておいたって言ってたの。」

 

「そ、そうか。」

 

二人は鼻が~と言いながら涙目になっていた。なんかドンマイ。

 

ハプニングはあったものの朝食を食べ、帰り支度を済ませて更識家に帰宅した。帰り際に刀奈さんにもたれ掛られたが眠っているようなのでそっとしておいた。

更識家に着き刀奈さんを起こして部屋で寝させようと思って部屋の場所を藍お義母さんに聞いたが

 

「あら、刀奈の部屋はイチカ君と同じ部屋よ?」

 

「はい?」

 

「婚約者同士同じ部屋の方がいいじゃない。大きすぎる荷物は前の部屋とかだけど手頃な荷物とかはイチカ君と同じ部屋に移されてるわよ。」

 

俺はその答えに口が閉じることができず、仕方なく部屋に行くと確かになんかみんなの私物らしきものがいくつか見つかった。

 

「これ、いいのかな?」

 

「「「別にいいと思う(います)(よ~)、むしろやったーと思う。」」」

 

「さいですか。」

 

そう言いながら虚さんが用意してくれた布団に刀奈さんを寝かせた。

 

別荘に行く旅行はなかなか楽しめたからまた行きたいなと思った。

 

イチカside end

 

 




次回夏祭り~弾、儚く散る~


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