夏休み1話
イチカside
~夏休み前~
臨海学校が終わり学業で一番憂鬱な期末テストが待っていた。もちろん全員あるため赤点取らないように必死に勉強していた(本音は夏休みの赤点者のための補講に行きたくないために人一倍必死になっていた。)
そして結果はみんな赤点回避しており有意義な夏休みが送れると喜んでいた。
~夏休み~
さてどうしたものか。今俺の前に見えるのはでっかい木造の門で表札には【更識】と書かれていた。そう、刀奈さん達の家の前にいるのだ。
「何してるのイチカ君?早く入りましょ。」
「イチカ、早く。」
「い、イチカさんどうぞお入りください。」
「イッチーはやくはやく~。」
そうせかされて俺は緊張した面持ちで門を抜けるとそこにはきれいに整備された日本庭園が広がっていた。
「大きいお屋敷ですね。」
「そうでしょ、そうでしょ。」(いつかこの大きなお屋敷でイチカ君と暮らせると思うと胸がドキドキするわね。)
「私は広すぎると思うけどね。」(イチカと結婚したらここで一緒に暮らすことになるのかなぁ?そしたらいつかイチカの子供と一緒に縁側でお茶したりしたいな~。)
「先祖代々からこのお屋敷は受け継がれているので、私たちはこれが当たり前だと思っておりますがね。」(イチカさんと私たちといつか生まれる子供たちと暮らす場合、このお屋敷がきっと丁度良い広さになるんでしょうね。)
「広いから探検のし甲斐があるんだ~。」(いつかイッチーとの子供達と探検したいな~。)
なんかみんな何かを想像をしているのか顔を赤くしたりしているようだ。数分後もとに戻ったから何を想像したのか聞いたが秘密と言われた。
そして入口に着き、刀奈さんたちは中に入り
「「「「ただいまーー。」」」」
すると奥から足音が聞こえてきた。そして現れたのは左目に縦傷が入った大柄な着物男性と、刀奈さんと簪と同じ水色の髪をした長髪の着物女性がやってきた。
「おお、刀奈、簪、虚、本音おかえり。」
「おかえりなさい。元気にしていたかしら?なかなか連絡も寄越さないから心配してたのよ。」
「もちろん元気にしてたわよ。」
「私も。」
「はい、お嬢様共々元気にしておりました。」
「はい!元気にしてました~。」
そう言われ二人はそれはよかったと言い、笑顔で出迎えていた。そして男性の方が俺に気づいた。
「それで、君はいったい誰なのかな?返答次第では・・・。」
そう言って男性は着物の懐に手を入れて睨んできた。
「ちょっとあなた、お客様に対して失礼でしょ!」
そう言って女性はどこからか取り出したハリセンで男性をしばいた。いい音が鳴ったな~。
「い、痛いではないか藍!あれほどハリセンでしばくなと言ったでは「あなたがいきなりお客様に睨むからです!もしまたしたらもう一度喰らわしますよ!」・・・・はい。だがこいつが一体何者か聞かねばならん!」
「だから睨もうとしない!」
そして二人は口論をし始めた。なにこの状況、置いてけぼりを喰らった俺はどうしろと。
「あ、イチカ君紹介するね、男の人が私と簪ちゃんのお父さんの更識源三郎で、女性がお母さんの更識藍なの。」
「あ、ご両親だったんですね。」
するとまた足音が聞こえてきた。現れたのはまた着物姿の男女で男性の方は眼鏡をかけたキリッとした目の男性で、女性はほんわかしていてまるで本音の様な女性だった。
「源三郎様、藍様お客様の前でケンカはよしてください!」
「いいじゃない。この二人はケンカしてもすぐに仲が戻るんだからそっとしておきましょう~?」
「だがな、仮にも元更識家当主なんだぞ。お客様の前でこのような口論など恥ずかしすぎるだろ!」
そして出てきた二人も口論?をはじめた。またか。
「えっと、今出てきたのは私と本音の両親です。男性の方は布仏真実で、女性の方は布仏詠美です。」
「あ、こっちは虚さんたちのご両親ですか。」
それにしてもこの口論みたいなのはいつまで続くんだろう?すると刀奈さんが前にでて
「ねぇ、紹介したい人がいるんだからいい加減ケンカは止めてよ。」
すると口論は止まり双方のご両親は衣服を正し始めた。
「いや~、すまんすまん。つい藍とのじゃれ合いが楽しくてなぁ~、はっはっはっは!」
「はぁ~、まったくあなたという人は/////。」
「お恥ずかしいものを見せてしまい申し訳ないお客様。」
「ごめんなさいね~、みんないつもこんな感じだから気にしないでね~。」
「あ、いえ気にしてないので大丈夫です。」
そうして俺は家に上がらせてもらい奥の広い和室に案内された。
そして中に入ると上座には先ほどの源三郎さん達がいた。下座の方には刀奈さん達がいた。
「イチカ君、こっちこっち。」
刀奈さんに手招きをされ指定された場所に座った。
「さて、客人よ。君は一体何者で刀奈たちの何かね?」
そう言われ俺は答えようとしたが
「あぁ~思い出したわ。あなたもしかして今巷を騒がしているISの男性操縦者のイチカ・ラムゼイ君でしょ?」
そう言ってきたのは虚さんたちのお母さんの詠美さんだった。
「なに?ほぉう君が噂の男性操縦者の。それで刀奈たちとはどういう関係だ?一応言っておくが刀奈たちには婚約者がいる。」
俺はそれを聞き、もしかして俺がその婚約者だと知らないのか?と思い、刀奈さんに目を向けると目線が合うがすぐ逸らされた。伝えてなかったのかい!すると虚さんが
「お嬢様、まさか源三郎様達にお伝えしていなかったのですか?」(ゴゴゴゴ
「えっと~、ごめんなさい。デートのことが頭一杯で忘れてました。」
刀奈さんは正直に話し、虚さんは盛大な溜息を漏らしていた。簪も同じように漏らしていた。本音は母親と一緒にお菓子を食べていた。ここでもマイペースだな。
「何を伝えていなかったのだ?お父さんたちにも分かるように教えなさい。」
そう虚さんのお父さんである真実さんに言われ虚さんは俺が刀奈さんたちの婚約者であることを伝えた。
「それは確かなのか?確か虚たちの婚約者に選ばれたのは織斑一夏と言う名前のはずだが。」
「あ、そのことなんですが。」
俺は昔の名前が織斑であることを包み隠さず喋った。話を聞いた源三郎さん達は驚いた顔になっていた。
「君が本当に刀奈たちと婚約を結んだ織斑一夏という証拠はあるのかね?」
そう源三郎さんに言われ俺は腕にいつもつけているブレスレットを見せた。
「このブレスレットは幼少の時に刀奈さん達にあげたブレスレットと同じものです。」
そう言うと刀奈さん達も腕に手けているブレスレットを見せていた。
「そのようだな。しかし、なぜ今まで見つからなかったんだ?私もこれでも情報収集は得意なのだが君の情報は一切見つからなかったんだが。」
どうしよう、異世界に行ったなんて信用してもらえるわけないのにどうしたら。
「イチカ君は今まで別の世界に行ってたのよ。」
「ちょっ、刀奈さん?!」
「ど、どういうことだ刀奈?別の世界とはいったい?」
「イチカ君、下手に嘘つくより真実を話した方がいいと思うわよ。」
俺は刀奈さんにそう言われ俺はウソ偽りもなく話した。源三郎さんたちは納得したような顔になっていた。
「なるほどな、それならあの時君の情報が集まらなくなったのは納得いくな。」
「そうね。」
「その通りですね。あの時はかなり焦っておりましたしね。」
「そうね~、私も久しぶりに焦ったわよ~。」
それぞれが感想を言っている中、刀奈さんは
「それじゃ、イチカ君は我が家の家訓通り婚約者にしてもいいよね?」
そう言うと源三郎さんたちは一斉に会話を止めこちらに顔を向けた。まさか反対なのか?刀奈さんたちもそう思い始めたのか不安そうな顔になり始めた。するといきなり
「「「「いいぞ(わよ)(でしょう)(わよ~)、許可する(します)(しま~す)。」」」」
・・・・・・・マジで?
「本当に?やったー!これからよろしくねイチカ君!」
「イチカ、幸せにしてね。」
「不束者ですがよろしくお願いします。」
「い~~~~っぱい、幸せにしてねイッチー!」
そう言って刀奈さん達に抱き着かれた。それを微笑ましく見ていた源三郎さんたちに俺は
「本当に俺でよかったのですか?」
「もちろん。昔刀奈と簪はよくケンカをしていたのだが、君と会ってからウソのように仲が良くなってな。私はその時君に会ったことがないからわからなかったが、今君を一目見て君なら娘たちを任せられると思ったからな。はっはっはっはっは!」
「そうですね。あの時刀奈達がこのまま大きくなった時、仲違いのままだったらどうしようと思っていたけど君と会って仲が良くなってくれたからね。君には感謝しきれないしね。」
「私も、料理が苦手な虚が君のためにお菓子作りを頑張っていたのは知っていたからな。君なら虚や本音をまかせても大丈夫だと判断した。」
「わたしも~、君なら本音ちゃんたちを任せても心配ないと判断しました~。」
なぜか知らないが高評価だった。
「さてイチカ君、君のご家族は血の繋がった妹と、血の繋がりの無い姉とご両親でいいのかね?」
「えぇ、両親は向こうの世界ですがこっちの世界には姉と妹がいます。」
「そうか。できれば君の姉妹にはご挨拶をしないといけないな。」
「あぁ、妹は今母親のところにいると思います。姉は仕事で忙しいからしばらく無理だと思いますよ。」
「妹さんの母親とは誰なんだい?」
「亡国機業総司令のスコール・ミューゼルさんです。俺がいなくなった後養子になったらしく、妹も本当の母親のように慕っているんです。」
源三郎さんはそうかと言うとポケットに入れていたデバイスが震えた。どうやら電話の様なので画面を見ると“タバネ姉さん”と出ていた。噂をすれば何とやらだな。
「すいません、姉から電話の様なのでちょっと出てきます。」
「あぁ構わないよ。」
俺は断りをいれて部屋を出て電話にでた。
「もしもし、イチカだけどどうかしたの?」
『あ、いっくん、かたちゃんたちとの婚約、正式に決まった?』
「うん、刀奈さん達のご両親に認めてもらえたよ。」
『そっかそっか、それじゃあ今から行くから待っててね~。』
「え!ちょ、ちょっと待って姉さん!『ブツ、ツゥー、ツゥー』切れたし!」
俺はそう言ってデバイスをポケットに戻したと同時にインターホンが鳴った。まさか・・・。
真実さんは部屋から出てきて玄関に向かっていった。どうしよう。俺は考えるのをやめ部屋に戻った。
「おや、イチカ君どうかしたのかね?何やらひどく疲れているようだが。」
「い、いえ。ちょっと姉の行動に驚いているだけですので。」
そう言うと源三郎さんたちは首を傾げていた。すると足音が複数こちらに向かってきた。
「源三郎様、イチカ様のお姉様がお越しになられました。」
やっぱりかーーーー!
「おや、まさか向こうから来られるとは驚きだ。入れてあげなさい。」
源三郎さんがそう言うと襖が開き中に入ってきた人は俺の姉であるタバネ・ラムゼイだった。そして下座に正座で座りあいさつし始めた。
「お初にお目にかかります。SPACE RABBIT社社長のタバネ・ラムゼイです。この度は私の弟とそちらのご息女達との婚約に賛同していただきありがとうございます。」
ごめん、本当にこの人俺の姉なのか?今礼儀正しくあいさつしたんだが。
「ほぉ、貴女がイチカ君の御姉さんか。ところで一つお聞きしたい。」
源三郎さんはそう言うと雰囲気が変わった。
「君は篠ノ之束ではないのかね?」
「確かに以前はそのような名でした。ですが篠ノ之家とは縁を切り、今はイチカの姉として生きていこうとこうしてラムゼイ姓を名乗っております。」
「そうか。」
そう言うと源三郎さんは雰囲気をいつもの感じに戻した。
「では私たちも自己紹介をしておこう。私が刀奈と簪の父親である更識源三郎だ。」
「妻の藍です。」
「布仏真実です。虚と本音の父です。」
「嫁の詠美です~。」
詠美さんがそう言うとタバネ姉さんは詠美さんの手を握りここにものほほん仲間がいた~、と喜んでおり、詠美さんも喜んでいた。
そしてそれぞれの家族と面談が終わり、タバネ姉さんは車に乗って帰っていき、俺たちは別荘に行く準備などをした。
準備が終わり更識家の皆さんと夕飯を食べて俺は用意してくださった部屋に行き、パジャマなどを持って風呂に行き、風呂から上がった後、部屋に戻り襖を開けると
「「「「あ、イチカ(君)(イッチー)(さん)、おかえり。一緒に寝よ?」」」」
「( ゚д゚)ポカーン」
なんでみんないるの。みんな自分の部屋があるんじゃ?
「何でここに?」
「そりゃもちろんイチカ君と寝るためよ。因みにイチカ君のお布団は真ん中のやつね。」
そう刀奈さんが言うとみんなも頷いていた。そこには5つの布団が敷かれており、狐の絵が描かれたものや、白菊の絵が描かれた布団や黒と白の縞色の布団、お花の絵がいっぱい描かれた布団もあった。因みに真ん中の布団にはデカデカとミッ○ーとその仲間たちが描かれた布団だった。気にしたら負けだな。
「よく許可がでましたね。」
「因みにこの部屋に布団敷いたのは私と本音のお母さんだよ。」
簪にそう言われ天井に笑顔でサムズアップしている二人のお義母さんの顔が見えた気がした。
「わ、私は恥ずかしいのでやはり向こうの「お姉ちゃんのお布団はイッチーの隣だけど入らないなら私が入る~。」ちょっ!それを先に言いなさい!そこは渡しません!」
「虚さんのお布団はイチカの左に敷かれてたんだ。右は私なんだ/////。」
「簪ちゃん、そこ代わって一生のお願い。」
「やだ。」
簪にそう言われた刀奈さんはこうなったら武力行使だぁ~と布団の位置をめぐって争い始めた。その後藍お義母さんが来られお説教が始まり、じゃんけんで公平に決めた。結果は左に虚さん、右に簪と最初と変わらなかった。明日行く別荘では本音と刀奈さんが俺の隣で寝るそうだ。
イチカside end
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