インフィニットミッション   作:のんびり日和

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臨海学校準備編まで行きたかったが眠むすぎて変な文章になるかもしれないので次回に回しました。


12話

3rd side

タッグマッチ戦の日となりイチカと本音はISの整備をしていた。本音が乗る打鉄の装備にはイチカのブリザイアに載せてあったルジアンカを貸してある。最初は不利になるからやめといた方がいいんじゃないか?と言ったのだが本人がこれがいいと聞かないから貸している。

 

「本音、そっちの準備はできたか?」

 

「うん。予備の弾もいれたし準備オッケーなのだ~。」

 

「よし。それじゃ、対戦相手を見に行くか。」

 

イチカと本音は一緒に対戦相手の確認をしに待機室に行くと簪たちがいた。

 

「よう。そっちの準備はいいのか?」

 

「あ、イチカ。うん、準備できてる。」

 

「兄さん、今日は手加減なしで行きますので覚悟してくださいね。」

 

「こっちも本気で行くから覚悟しろよ。」

 

喋っていたら待機室に設けられているモニターに対戦表がでた。マドカたちはBブロックでイチカたちはDブロックだった。対戦相手はラウラと箒だった。

 

~もう一方の待機室~

 

「ほう、奴とか。」

 

余裕綽々といった感じで言ったのはラウラだった。

 

「邪魔だけはするんじゃないぞ、篠ノ之。」

 

「貴様こそ私の邪魔だけはするなよ。」(一夏、なぜあんな奴と組んだんだ。お前は私と組んだ方がいいに決まっているというのに。この試合でそれを証明してやる!)

 

そして二人は互いに邪険しながら試合に挑んだ。

 

~アリーナ~

イチカと本音が出たと同時にラウラと箒も出てきた。

 

「今日こそ決着をつけてやる!」

 

「はいはい。」

 

イチカは流すようにそう答えていた。

 

「貴様さえいなければ一夏の隣にいられるんだ。貴様たち姉妹はどんなことをしてでも潰してやる!」

 

「イッチーが自分の意思で決めたことなんだからほかの人がどう言おうと何も変わらないよ。」(イッチーは私たちの大切な人。お前みたいな暴力女に絶対に渡してたまるか。)

 

箒がそう怒声で言ってくるが本音はどこ吹く風と返しているが、内心大切な人を奪おうとする箒に怒りがこみ上げていた。

 

そしてブザーが鳴り響き試合が開始された。

ラウラの相手はもちろんイチカだった。

 

「イッチー、こっちが終わったらすぐ援護するから頑張ってね~。」

 

「おう、そっちもすぐ終わると思うが油断すんなよ。」

 

そう言って互いの相手に向かっていった。

 

「覚悟!」

 

そう言って箒は打鉄に装備されているブレードで本音に攻撃をしてきた。本音はそれを難なく躱していた。

 

「無駄、無駄~。」

 

「えぇい避けるな!」

 

完全に遊ばれている箒であった。

 

「それじゃ、そろそろこっちから行くよ~。」

 

そう言って本音は攻撃を避けながらルジアンカを箒に照準を合わせ狙撃した。一発一発が外れることなく箒の打鉄に命中しSEを削っていった。

 

「飛び道具なんて卑怯だぞ!」

 

「うるさいな~、それだったらお望み通り近接でやってあげる!」

 

本音は瞬時加速(イグニッション・ブースト)で一気に間合いを詰めた。

 

「貰った!」

 

そう言って箒はブレードを叩き込もうとしたが本音は素早くそれを回避してブレードを取り出して篠ノ之を思いっきり叩き切った。ブレードは見事に箒に当たり箒の打鉄の残りのSEを削り取った。

 

『篠ノ之箒、SEエンプティー!』

 

そうコールされ本音は満足したようにイチカの援護に向かった。

 

「負けた・・・・。ギリ」

 

箒は何故負けたのかわからなかった。剣道で優勝出来るほど実力があるはずの自分が普段のほほんとしている奴に負けた。箒は自分が負けたのはこのISが弱いからだと勝手に決めつけ自分だけ力が欲しくなった。だが自分にはそう言った力をくれる人がいない。いや、一人いた。箒は普段恨んでいるくせに都合がいい時だけ頼ろうとしていた。だがその望みが叶わないことに箒はまだ知らなかった。

 

一方ラウラとイチカの方はというと、互いに一歩も譲らない接戦を繰り広げていた。ラウラがワイヤーブレードで攻撃をしてきたらそれを避けイチカはセメテリーで攻撃をすればラウラはそれを避けてレールカノンを打ち込んでくる、そしてイチカはそれをまた避けてミサイルを撃ち込む。互いに一歩も引かなかった。

 

「くっ。貴様いい加減墜ちろ!」

 

「そう簡単に墜ちるか!」

 

ラウラはAICでイチカの動きを止めようとしたが本音の攻撃で阻止された。

 

「なっ!チッ、もう倒されたのか。役立たずが。」

 

「これで2対1だ。もう降参したらどうだ。」

 

「ぬかせ!貴様らごとき私一人で十分だ!」

 

そう言ってラウラはレールカノンで本音を攻撃してイチカに接近してワイヤーブレードで仕掛けてきた。だが本音は焦らずレールカノンから発射された弾を避けてラウラのシュヴァルツェアを攻撃をした。

 

「くっ!すばしっこい奴め!これでも「隙ありだ!」何ッ?!」

 

イチカはラウラが一瞬本音に気を向けた瞬間にパイルバンカーを取り出しシュヴァルツェアに攻撃を加えた。ラウラのシュヴァルツェアはSEを大幅削られ吹き飛ばされた。

 

(私が負けるだと?まだだ!私はあいつを倒して私こそふさわしいことを証明するんだ!)

 

『汝、力を求めるか?』

 

(何?・・・よこせ。その力を私に寄越せ!)

 

『Valkyrie Trace System STANDBY・・・・・OK』

 

3rdside end

 

イチカside

 

<シュヴァルツェア・レーゲンから謎のエネルギー反応があります。>

 

突然なんだ?謎のエネルギー?一体どういう事だ?

 

「い、イッチー。なんか様子がおかしいよ?」

 

そう言って本音が言う方を見ると確かにチビの様子がおかしい。何があったんだ?

 

「おい、どうした?」

 

そう言って俺は近づくといきなりチビが吠えた。

 

「うぉぉぉぉぉ!」

 

そして奴のISから黒いドロドロしたものが出てきた。そしてでてきたのは織斑千冬だった。

 

「な、なんで織斑先生が出てきたの?」

 

本音がおびえた様子でいた。俺も驚いていた。いきなり奴が吠えたらISから黒いものが出てきたと思ったら今度はあいつが出てきたんだ。驚かずにはいられない。

 

『兄さん、そいつには気をつけて!』

 

マドカ?

 

『どういう事だ、あれは一体何なんだ。』

 

『恐らくV.T.システムだと思う。本来はアラスカ条約で禁止されているんだけど、どうやらそいつの機体に搭載されていたみたい。』

 

勘弁してくれよ、こっちは弾薬が乏しいのに。

 

『さらに最悪なことにまたアリーナの隔壁が閉ざされているの。今3年生の技術生がクラッキングで開けようとしてるからそれまで持ちこたえて。』

 

技術生がクラッキングで開けるとするとおおよそ5分くらいか。

 

「イッチーどうしよう?」

 

「大丈夫だ本音。後ろから狙撃で援護してくれ。」

 

俺はそう言って本音を後方に下げた。

 

アリス、E.D.G.Eシステムを起動するぞ。

 

<了解、それと同時に単一機能(ワンオフアビリティ)のフルバーストを使用されますか?>

 

ああ、それとあのチビがどこにいるのかわかるか?

 

<おおよそ中央部分にいます。ですがあのドロドロしたものが邪魔で取り出せないと思います。>

 

そのための単一機能だ。一気に近づいたら発動する。ある程度あのドロドロしたものが取れたら引っ張り出して救出するぞ。

 

<了解です。ですが救出してよろしいのですか?>

 

なんでだ?

 

<あいつはマスターを敵対視していた奴です。助ける理由がないのですが。>

 

そうだな。だが俺は今生徒会に所属している。たとえ敵対視してくる奴でも助けるしかないからな。

 

<なるほど、わかりました。では全力でサポートさせていただきます。>

 

おう。

 

俺はE.D.G.Eシステムを起動して一気に接近した。E.D.G.Eシステムの発動時間は約2分が限界だ。その間にケリをつけないと危険だ。

接近した俺を織斑千冬の紛い物は攻撃を仕掛けてきたがそれを躱し、そして単一機能を発動した。セメテリーとショットガンからは大量の薬きょうが飛び出し続けた。そしてドロドロとした中からチビを見つけ出し引っ張りだした。取り出したと同時にシュヴァルツェアは音を立てて崩れた。

チビは息をしておりまだ生きていることが確認できた。

 

「イッチー、大丈夫?」

 

「おう、何とかな。」

 

そしてピットが開かれる音がし、その方向を見るとマドカたちがISを身にまとってこちらに来た。

 

「兄さん、本音義姉さんケガはありませんか!」

 

「イチカ君、本音ちゃん無事?」

 

「マドカ、楯無さん。はい、無事です。後こいつも無事です。」

 

そう言って腕の中で寝ているチビを見せた。

 

「そのようね。あとは教師たちに任せて早くその子を医務室に連れていくわよ。」

 

楯無さんにそう言われ俺たちは途中で試合を観戦しに来ていたスコールさんとオータムさんと合流し医務室に向かった。

 

イチカside end

 

3rdside

ラウラは目が覚めると白い天井が見えた。

 

「ここは?」

 

「ここは医務室よ。」

 

「あ、貴女は?」

 

「あぁ、自己紹介がまだだったわね。初めましてマドカ・ミューゼルの母親で亡国機業で最高司令官を務めているスコール・ミューゼルよ。」

 

ラウラは驚いた。まさか目の前にいるのが国連直轄の機関である亡国機業の最高司令官だと思わなかったからだ。ラウラは慌てて敬礼をしようとしたがスコールが手でそれを止めた。

 

「無理に動かない方がいいわよ。あなた体のあちこち痛めてるようだから。」

 

「そ、そうですか。あの、わたしに何があったのでしょうか?」

 

「そうね、当事者であるあなたには知っておいた方がいいわね。」

 

そう言ってスコールはラウラの機体にV.T.システムが搭載されていたことを伝えた。ラウラは最初こそ驚いていたが自分がその力を望んだから発動したと告白した。するとスコールは

 

「貴女がどれだけ力をつけても織斑千冬には届かないわよ。」

 

ラウラは驚いた顔でスコールを見つめた。

 

「力だけで人は強くなれない。人の想いや自分の命を懸けてでも守りたいもの、人はそれを知ることで強くなれるの。あなたも何か守りたいものや想いはある?」

 

「わ、私はその、部下たちが大切です。こんな私にもついてきてくれる部下たちが。」

 

「そう。ラウラ、貴女は貴女。貴女はその部下たちを守れるくらい体とその守りたい気持ちを強くしなさい。」

 

そう言われたラウラは初めて自分は大きな勘違いをしていたことに気づき、スコールからの言葉に涙を流しながら力強く頷いた。

 

「それじゃ、私はこれで失礼するわね。あとあの子たちにちゃんと謝ればあの子たちは許してくれるわよ。」

 

そう言ってスコールは病室から出ていった。ラウラは心を入れ替えイチカ達と良き友人として接していきたいと考えはじめ部下の一人に電話して相談し始めた。

 

 

 

無人のアリーナに箒はいた。そしてポケットから携帯を取り出し何処かに電話を掛けた。

 

3rdside end

 

束side

いっくんたちの試合を見ていた際、あの銀髪の子が乗っていたISが変なシステムのせいで変化した瞬間に私は急いであのシステムを開発した奴を探しだし、その情報を欧州にある亡国機業支部に伝えた。今頃ドイツ軍の屑とそのシステムを開発した奴は逮捕されいるし、その基地は破壊されているだろう。そう思っているところにスマホが鳴った。

 

「うん?誰だろう。・・・・チッ。もしもしひもねす。束さんですけど何か。」

 

『切りますよ。』

 

「切ってくれると嬉しんだけど。」

 

『まぁいいです。実はお願いがあります。』

 

「ねぇ、束さんの話聞こえてた?」

 

『私だけのISをください。』

 

こいつ都合がいい時だけ頼ってきやがって。

 

「分かった。考えといてあげる。」

 

そう言って私は電話を切った。もしあいつにISを渡したらまたいっくんたちに迷惑を掛ける。しかも今度は私の義妹たちにその刃を向ける。そんなこと絶対させない。もうあれしかない。

私はスマホの電話帳を開き長らく掛けていなかったあの人に電話を掛けた。これであいつのことでいっくんたちに迷惑を掛けることはないし、私の贖罪はできる。

 

束side end

 

イチカside

次の日クラスに着くとデュノアの姿がなかった。なんとなく想像はついた。そして教室の扉が開くとやつれた山田先生が入ってきた。

 

「はいぃ、皆さん今日は転校生が来ます。というかこれは転校生というのでしょうか?とにかく入ってきてください。」

 

そう言って入ってきたのはスカートをはいたデュノアだった。

 

「シャルロット・デュノアです。改めてよろしくお願いします。」

 

「えっとデュノア君はデュノアさんということでした。はぁ~、寮の部屋決めないといけなくなりました~。」

 

そう言って山田先生は凹んでいた。頑張れ山田先生。

 

女子たちは終わったや、もう原稿間に合わないなどそこかしこで聞こえてきた。けど大きな騒ぎはなかった。(女子たちは男子寮は一人一部屋だと知っているから、イチカは別の部屋だったからデュノアの女装は知らなかったと思っている。)

 

「遅れて申し訳ありません。」

 

そう言って入ってきたのはあのチビだった。

 

「あの、山田先生。ちょっとお時間いただいてもいいでしょうか?」

 

「え?あ、はい。どうぞ。」

 

チビは山田先生にお礼を言ってみんなの前で思いっきり頭を下げた。

 

「みんなに酷いことをしてしまい本当に済まなかった!」

 

「「「・・・・・。」」」

 

「こんなことで許されるとは思っていない。その、あの、これから一人のクラスメイトとしてここにいてもいいだろうか?」

 

そう言うとクラスの全員が優しい声で答えていた。

 

「もちろんだよ。みんなもいいよね?」

 

「もちろん。ラウラさん軍人さんだからちょっと世間に疎いんじゃないかと思ってたんだよねぇ。」

 

「そうだよね。それにクラスメイトじゃなくて友達としていこうよ?」

 

「み、みんな。ありがとう。それとイチカ・ラムゼイ、マドカ・ミューゼル。」

 

「なんだ?」

 

「お前たちには特にひどいことを言ってしまい本当に済まなかった。」

 

「まぁいいよ、許してあげる。お母さんからもちゃんと謝ったら許してあげなさいって言われているし。これからよろしく。」

 

「そうだな。ちゃんと謝れたから俺も許してやるよ。これからよろしくなボーデヴィッヒ。」

 

「ああ、よろしくな盟友!」

 

盟友?

 

「なぁ、ボーデヴィッヒ。その盟友ってなんだ?」

 

「うん?私の副官が言うには特に親しい者にはこう呼ぶと聞いたぞ。」

 

いや、それ違うだろ。まぁ、いいか。

 

「イチカ。」

 

そう呼ばれ後ろを向くとデュノアがいた。

 

「お前が発表するということは亡命が正式に受理されたということか。」

 

「うん、ありがとうね。イチカ達のおかげで自由に生きていけるよ。」

 

「そうか。まぁまた相談事があるならまた生徒会に来たらいい。」

 

「そうさせてもらうね。それじゃあね。」

 

そう言ってデュノアは自分の席に戻り、ボーデヴィッヒも自分の席に戻っていった。

イチカside end




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