マインドクラッシュは勘弁な!   作:あぱしー

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再現デュエルはもうしばらくお待ちください

前回のあらすじ
ヤツが生き残っただと――クソッ! 未来が……




第4話 動き出す世界

 

 

 無事ペガサスに「デュエルモンスターズ」制作の約束を取り付けたが、安心してばかりはいられない状況だった。「デュエルモンスターズ」が世界に広まるにつれて起こる闇のゲームへの対処である。

 

 

 闇のゲームは武藤遊戯の持つ千年パズルを含めた七つの千年アイテムの周りだけにとどまるものではない。

 

 闇のアイテムを所持していれば誰にでも可能なのである。

 

 

 その闇のアイテムも遊戯王GXに登場した影丸理事長がその配下セブンスターズに配っていたように、手に入れようと思えば手に入る代物である。

 

 さらに厄介なことに闇のアイテムを持つものと持たないものがデュエルした場合、持たないものが不利になる。ゆえに対抗手段が必要になるのである。

 

 

 しかし「対抗するために闇のアイテムを所持すればいい」とはいかなかった。

 

 闇のアイテムはものによっては敗北した際に最悪の場合「死」の危険があるため、容易に手が出せるものではない。よって別の手段としてまたもや「デュエルモンスターズの精霊」の力を借りることになった。

 

 

 ようは「助けて~ツバェも~ん」――ツバインシュタイン博士の出番である。

 

 

 まだデュエルモンスターズは完成してはいないが闇のアイテムを作るという難しい課題ゆえに余裕をもって取り掛かるべきだと神崎は考えていた。

 

 だがその予想を裏切りあっさりと完成した。――「さすツバッ!!」である。

 

 

 

 

 懸念事項も解決し、社畜よろしく世界を飛び回りつつ、デュエルマッスルをアホみたいに鍛え、さらにはある人物のために内戦が続く国々を片っ端からKCのBIG5と共に片付けその成果をBIG5に譲ったり、燃やされた孤児院の人々を救出し、代わりを用意したりと破竹の勢いで神崎は進んでいく。

 

 そんな神崎に「今後について話がある」と剛三郎から呼び出しがかかる。

 

 その呼び出しに「遂にこの時が来たか」と死刑台に赴く心情で神崎は応えた。

 

 

 

 

 

 

 会議室に入った神崎を迎えたのは剛三郎と彼の率いる5人の重役、通称BIG5。

 

 剛三郎は上機嫌に語る。

 

「貴様は十分すぎるほど役立った。結果としては文句のない活躍だ。これで貴様は……」

 

 懐の銃に手をかけ、「用済みだ」と言葉を続けようとした剛三郎に神崎は笑みを深め問いかける。

 

「この程度でよろしかったでしょうか?」

 

「……ほう。その物言いだと貴様にはこれ以上の成果を出すためのプランがあると聞こえるが」

 

 神崎の入社時に剛三郎に定められた結果をクリアできたかの問いに対し剛三郎は若干ずれた答えを返す――これが遊戯王名物、「言葉のドッジボール」である。

 

 今現在の神崎の立場上肯定する以外にない。プランが一応あることもそれを後押しした。

 

「もちろんです。近々大きな動きがありますから……」

 

「ふむ……ならばどこまで行けるか見届けてやろう」

 

 剛三郎は引き金を引かなかった――始末するのはいつでもできる。それ故にまだ利用価値があるのならば利用すべきだと考えた。

 

 

 

 そして剛三郎はこれまでの成果から神崎をBIG5と同等に扱う旨を神崎とBIG5に告げる。

 

 それはBIG5達に神崎の行動を牽制させ、不測の事態の際の盾にする思惑があったためである。

 

 

 しかし、この提案を神崎は拒否。自身はまだ新参者であり、長らくKCを支えてきたBIG5の方々と肩を並べるなどおこがましいことだと、それらしい理由を並べ別枠での扱いを求めたのである。

 

 それはBIG5には反発を避けるための方便として、そして剛三郎自身には「お前の下に付く気はない」という意味が込められていることに剛三郎は忌々しさを感じていた。

 

 

 実際は海馬瀬人体制に移行される際に粛清される可能性のあるBIG5との距離を開けたいというだけだったのだが。

 

 

 こうして神崎はKCの「BIG5」と呼ばれる5人の重役が一目置くもう一人の重役

幻の6人目(シックスマン)」となったのである。

 

 

 

 

 知らぬうちに殺されそうになっていたことに気付かない神崎は入社時に剛三郎に定められた課題をクリア出来たと安心していた。これでとりあえずは安心だと。

 

 そう安堵する神崎に連絡が入る。「今度は誰なんだ……」と思いつつも連絡相手の正体を知りまたしても現地へ飛んでいく必要が出て来たのである――忙しい男だ。

 

 

 

 

 

 件の相手、ペガサスに呼び出しを受けた神崎はインダストリアル・イリュージョン社――通称I2社に向かい、「原作」が大きく動き出すことを知る。

 

 そうペガサスが「デュエルモンスターズ」を完成させたのである。

 

 

 I2社でペガサスは自身が作り出した「デュエルモンスターズ」について神崎に語る。しかしその胸中は「彼の満足いく出来に達しているか」という不安から揺れ動いていた。

 

「――以上デース。何か質問はありマスカ?」

 

「素晴らしいですね。ただ一つだけご提案があるのですが……」

 

「Oh! ソレは一体なんデスカ」

 

「ルールに関することになります。これではいささか自由度が高すぎると思われます」

 

「Um……デスガ今から作り直すとなると」

 

「ええ、ですのでこちらで用意したものを参考にしていただければ……」

 

 そう言ってペガサスにいわゆる「マスタールール」を提示する神崎。

 

 

 ペガサスはパラパラと読み進めるにつれ、えも言われぬ不気味さを感じる。生まれたばかりの「デュエルモンスターズ」を神崎は熟知し過ぎている。

 

 だが、得体が知れないのはいつものことだと自身に言い聞かせ動揺を悟られぬように語る。

 

「Wow! よく考えられてマース。しかしライフ8000は少し多すぎデハ?」

 

「そうでしょうか? まあそのあたりはこれから詰めていくということで……」

 

「そうデスネ。ではプロモーションの話デスガ――」

 

 

 そうして「ルールの明確化」をメインにこれから世界に羽ばたく「デュエルモンスターズ」について話し合われるのだった。

 

 

 

 ペガサスと別れた神崎は「ライフ4000にされちゃったな~、一撃死怖いな~」などと思いながら「ルール明確化」に関してやれるだけのことはやったと考えていた。

 

 神崎が「ルールの明確化」でペガサスに直談判してまでこだわるのには理由がある。

 

 

 

 いずれ「デュエルモンスターズ」の勝敗があらゆる場面で重要になってくること――大企業の進退をデュエルの勝敗が左右することなど――を知っていたからである。

 

そのため「原作初期」のような

 

「装備魔法《魔性の月》を出せばフィールド魔法の《海》の効果が広まる」

 

「《海月-ジェリーフィッシュ-》がおるかぎり雷攻撃は無効ぜよ」

 

「《海竜神》の攻撃でフィールド魔法の《海》の効果が広まるぜよ」

 

「フィールド魔法の《海》の効果が広まると海に関するモンスター以外を召喚するモンスターカードゾーンが減る」

 

「《岩石の巨兵》が装備魔法《魔性の月》に攻撃――月を破壊するぜ!」

 

 などのその場の雰囲気で裁定が決まる「俺ルール」をどうにかしておきたかった。

 

 ちなみにこれらは一回のデュエル中での出来事である。

 

 

 

 そうして去っていく神崎を鋭く見据えていたペガサスは手元の三枚のカードに目を落とす。

 

 当初は生み出すつもりはなかったが、今日のやり取りも踏まえやはり必要になってくるだろうとペガサスは確信していた。しかし神崎もそれらのカードは「あるべきところに」とこれらの存在に勘付いている節があったと警戒する。

 

 実際は「千年眼(ミレニアム・アイ)なくて余計に危ないから早く手放しなさい」とハラハラしていただけなのだが。

 

 そんなことともつゆ知らず神妙な面持ちで連絡を取る。彼の地――エジプトへ。

 

 

 

 




強欲な壺「生まれた時から牢屋の中でした……」

強欲なカケラ「割れれば出られるよ!」

強欲なウツボ「壺とウツボをチューニング!!」

貪欲な壺「俺とお前でオーバーレイ!」




クリッター「辞めろ(人造人間-サイコ・)ショッカー! ぐぁあああぁあーー! エラッタされるぅううぅーー!」

キュィイイイイイイイイイン!! ガガガッ! バチバチッ!!!

人造人間-サイコ・ショッカー「……術式完了」

お注射天使リリー「次の方~、どうぞ~」(ガシッ)

キラー・スネーク
「離してくれ! いやだ! 俺は……まだ――ぎぃいいゃぁああぁあーー!」

混沌の黒魔術師((;゜Д゜)ガクガクブルブル
混沌帝龍 (((;゚ρ゚)))アワワワワ



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