「おーす八幡..ってどうした?そんな不機嫌そうな顔して。」
いつも通り、自分の席で1人静かにしていようとしていたらいきなり舞子が話し掛けてきた。ホントやめて欲しい、そういうの。うっかり友達かと勘違いするから。
「俺はいつもこんな顔だよ...。で、何?」
「いや、俺もさっき聞いたんだけどさ、今日うちのクラスに転校生が来るらしいぜ!しかも噂によれば美人!」
はぁ...朝から何かと思えば...
「知らねえし、別に興味もねえよ。どうせ俺とは関わることはないだろうしな。」
「はぁ...相変わらず冷めてるねぇ。」
「違う。別に俺は冷めている訳ではない。ただ過度な期待をしないようにしてるだけだ。」
「そういうのを冷めてるって言うと思うんだけどね。いや、八幡の場合は捻くれてるって言った方が正しいか。」
「うっさい。今回の場合はお前が都合の良い夢を現実と混同させてる可能性を疑っているだけだ。」
「いや、いくらなんでもそれは無いから!」
「おはよう、2人とも。何の話してたの?」
っと、いつの間にやら小野寺と宮本が来ていたようだ。
「あ、おはよう小野寺、るりちゃん。いや、別に?ただ八幡って捻くれてるよねって話してただけだよ。」
「そんなの今に始まったことじゃないでしょう?それに彼の場合捻くれてるというより捻デレなだけでしょう?」
ちょっと宮本さん?さらっと話に入ってきてさらっと俺の心抉るのやめてもらえません?あとできればその造語どこで聞いたのか後で詳しく教えてもらえませんかね?
「あなたの妹さんからよ。」
...俺今声に出してないよね?何この子エスパーなの?
その後も舞子達と話を続けていたら一条がはいってきた。
「..おっす..」
何故か鼻血を流して。
「はぁ?女通り魔にやられた?」
一条が入ってきた後、舞子が鼻血の理由を尋ねたところ、「塀を飛び越えてきた女通り魔に膝げりされた」だそうだ。...はぁ...。
「一条...悪いことは言わん。今すぐ帰って温かくして寝とけ。大丈夫だ。きっと明日にはよくなってる。」
「いやホントなんだって!」
「そんなことより、楽・・・」
一条の話を軽く流して舞子が再び転校生の話を始める。
...どうでもいいけど、小野寺に絆創膏はってもらってからの一条がやたらニヤニヤしてて正直キモい。あれもしかしたら「ちょっとケガして良かったかも」とか思ってんじゃなかろうか?
「ほらー、さっさと席つけー」
そんなことをやってたら日原先生が入ってきた。
「よーし、今日は転校生を紹介するぞー。入って。桐崎さん」
「はい。」
転校生?舞子の都合のいい夢ではなかったのか。
「初めまして!アメリカから転校してきた桐崎千棘です。」
しかも舞子の言う通りえらい美人だった。何か周りは凄い騒いでるし。どうやらハーフということらしい。何、舞子の情報網、超怖え。てか、さっきから一条が鳩が豆鉄砲くらったみたいな顔してるんだが。ついさっきまでニヤニヤしてたくせに。
「「あー!!」」
「あなたさっきの・・・」
「さっきの暴力女!」
は?暴力女?え?何?さっき言ってた女通り魔ってあの人?あの話マジだったの?
混乱している俺や周りの連中を置いて2人の言い合いはヒートアップしていく。
「この猿女!」
プチっ・・・
あ、ヤバい。今何かが切れた音がした気がした。具体的に言うと堪忍袋の尾的な物が。これヤバくね?とか思ってたら転校生の腕が引かれ・・・
「誰が猿女よ!!!」
怒号と共に腕が繰り出され、一条が吹っ飛んだ。距離にしてざっと4~5メートルくらい。
...人間って案外飛ぶもんなんだな...。
ありがとうございました。好評でしたら続けるかもしれないです。