なにはともあれ、良くも悪くもやっと話がそれらしくなってくると思います。相変わらずの駄文ですが、楽しんでいってください。
「じゃあお兄ちゃん、行ってきますアンド行ってらしゃい!また事故らないように気をつけてね〜!」
「おう、小町も頑張ってな。」
「当然!」
ふぅ、なんとか小町は遅刻させずに送ることができた。小町も曲がりなりにも受験生だしな。遅刻でも内申だったり滑り止めの私立の推薦が貰えなかったりするかもしれない。俺の時は滑り止めなんて受けさせてもらえなかったが、両親とも小町にはだだ甘だから私立も受けろと言ってるらしい。まぁそれは当たり前だな。あんな可愛い娘が浪人しますなんてあの親、詳しくは父親が許すはずが無い。あれ?俺長男だよね?初めての子供だよね?冷たくね?なにはともあれ、俺の遅刻は決定したのでずっと気になってた疑問を解消しようと思う。
「なんでお前が付いてきてる、死神。」
「ケケケ、なんだやっと俺と話してくれるのかよ。さっきまでずっと無視してたのによ。」
「当たり前だ。公衆の面前でビックリ生物と喋れるか。」
「なんだよ、今は喋ってるじゃねぇか。」
「今は周りに誰もいないからな。つか、だれもお前の事気にしねぇな。もしかしてお前俺と同じくらい影薄いのかよ?」
「いやいや、ハチマンと同じくらい影薄いのとかいないだろ。」
あ?なんだこら。ケンカなら買うぞ?材木座が。って俺じゃないのかよ。しかも全く関係ない材木座。哀れ。
「デスノートに触らなきゃ他の奴は死神は見えない。しかも見えんのはそのデスノートの死神だけだ。まぁ今は俺の姿はハチマンにしか見えないって事だ。」
「なるほどな。ってかそれまだ教わってねぇぞ。もうルールはないんじゃなかったのかよ。」
「別にお前に教える必要はないだろ。」
「じゃあなんで付いてきてるんだよ。待ってろって言ったろ。」
「俺だって待ってるつもりだったけど、お前デスノート持ってきてるだろ。死神はデスノートから離れられないんだよ。」
「また知らないルールだ。」
「なんだよ文句言うなよな。言ったろ。まだルールはあるがそれは死神に関するルールで所有者が大体知っとけばいいのはハチマンの部屋で教えたやつだけだ。」
「はぁ、分かった。ならお前から俺にルールを教えなくていい。だが、俺から聞かれたことは答えろ。それでどうだ。」
「それもハチマンがデスノートをどうするか次第だ。使うならある程度は考えてやる。もし使うとしても教えるかは気分次第だ。俺は所有者に肩入れするつもりはない。お前らで好きにしてくれって感じだ。」
「傍観者ってことか。」
「まぁそうだな。俺は面白いものを見に人間界に来たんだ。俺が関わったら面白くない。だが安心しろ。もしハチマンに敵対する奴がいてもソイツにも肩入れはしない。まぁ初めての所有者だ。気分がいいことの方が多いかもな。」
はぁ、前途多難だ。こちとらまだノートを使うかどうかすら決めてないのにいつの間にか使う方向で話が進んでいる気がする。こういうのを外堀を埋められるっていうのかな。
「まぁ、もうどうでもいいや。もうその条件でいい。ただし学校では話しかけてくるなよ。話しかけてられても無視するからな。」
「さぁ、どうかな。面白そうだったら茶化すかもな。」
コイツ…。ホントにいい性格してやがんな。絶対友達にしたくないタイプだ。あれ?俺どんなタイプでも仲良くできねぇわ。関係なかったか。いやでも戸塚とは仲良くできたな。ああ、なるほど。いわゆる俺に対する相性か。例えば、
葉山→こうかはいまひとつのようだ…。
死神→こうかはいまひとつのようだ…。
戸塚→こうかはばつぐんだ!
やっぱりこの俺に届くのは戸塚タイプだけか…。戸塚以外の敗北を知りたい。もう自分でなに言ってるか分かんなくなってきたところで学校に着いたか。ふぅ、覚悟は決めた。あの鉄拳一撃で小町の遅刻が回避できたなら安いもんだ。さあ、行くぞ結婚できない怪人ヒラヅカ!拳の準備は十分か!
「遅刻するなと何回言ったら分かるんだこのバカ!」ズドン!
「ごほぉ⁈」ガクッ
前言撤回だ。俺に届くのは戸塚タイプだけじゃなかったか。
平塚→いちげきひっさつ!→New!
辛い。
「おいおい、ホントにコイツ人間かよ…。くらったら死神でもヤバそうだ…。」
もう死神ですら平塚先生は人間に見えないのか…。これはタイプとかの問題じゃない。生物カテゴリの違いだったか…。
「はぁ〜。やっと終わった。」
いやマジで地獄かと思った。死神の野郎、面白そうだったらどころか、常に話しかけてきやがった。おかげで授業には集中できねぇわ、眠りたくても眠れねぇわ、こんな時に限って戸部がいつも以上に絡んでくるわで、俺の神経ゴリゴリに削られていったわ!
「クソが、てめえの所為で普段より疲れたわ!どんだけ話しかけてくんだよ!」
「いやだって面白かったろ?あの戸部って奴の後ろからあいつの体に合わせてすり抜けて話すの。」
いやそうだけど!戸部のいつもの分かりづらいジェスチャーに加えて、戸部の顔が全然体に合ってない死神の顔なんだぞ!しかも死神がいう言葉が「りんご食べたい」だぞ!面白すぎて声出ちまったわ!おかげで常に変な目で見られてる俺がさらに冷たい目で見られたわ!まあ別にいいんだけどね!あんまり関係ないし!あんまりどころか全く関係ないか。
「ところで、使うかどうかは決まったのか?」
「うっ。」
やべー。全然考えてなかった。いや言い訳をさせてもらうとね、死神が話しかけてくるじゃん?普通に会話する訳にもいかないから基本無視するんだけど、無視するとコイツめっちゃ悲しそうな顔のフリすんだぜ?考え事できる状況じゃなかったんや!あの悲しいフリバレバレの顔はズルい。ズルいったらズルい。異論は認めん。
「いや、それは家に帰ってからのお楽しみだ。元からそのつもりだったんだから…」
ん?嫌な感じのオーラがこの先で出ている。これはあれだ。あいつらだ。メンドくさい。少し遠くなるが回り道して…
「あら?どこに行こうというのかしら。この比企谷菌は。」
「もう、そうだよヒッキー。部室はあっちだよ?」
はぁ、やっぱりこいつらか。もうホントいいよ。正直もう構ってやる余裕が全然ないし。
「ケケケ、なんだよこいつら。ハチマンのメスか?」
よし、ちょっと黙ってろ死神。お前にも構う余裕はない。ないっつうか構いたくない。今日もうお前かなり遊んだろ。我慢してくれよ。つか、メスって言うな。
「何か言ったらどうなのかしら?私達がわざわざ迎えにきてあげたのよ?泣いて感謝しなさい。」
「あのな、雪ノ下。もう俺は部活に行くつもりはな…」
プルル、プルル
なんだよホントに今日は。俺がなんかしようとすると絶対邪魔入るよなぁ。今日は厄日か!で?電話か。誰だ?って母さんか。なんか足りない調味料でもあったっけ?。まだ仕事中のはずだけど。
「はいよ。なんの用だよ?」
『八幡⁉︎大変よ!』
はい?大変?醤油と塩とソースがいっぺんになくなったのだろうか?だとすれば確かに大変だ。今日の夕飯はマヨネーズとケチャップで味付けしなければいけなくなる。さすがの小町もそれでは美味い飯を作れないだろう。
『お父さんが車に突っ込まれたの‼︎今仕事抜け出して小町迎えに行ってるからあんたは直接○○病院に行って!』
………え?親父が事故った?まずい、本当に今日は厄日だ。目の前が真っ白になる。ダメだ。ここで焦ってもなんにもならない。確か○○病院なら総武高校からはすぐ近くだ。俺も入学式に事故った時に入院していたから場所はわかる。と、とりあえず急がなくては。
「わ、悪い雪ノ下、由比ヶ浜。親父が事故った。すぐに病院に行かないといけない。そこを退いてくれ。」
「はぁ?貴方ついにお父さんを事故に合わせてまでも部活に来ない言い訳にするの?流石に見損なったわよ?」
「そうだよヒッキー!お父さんの所為にするなんてサイテー!」
っ!
「もう、なんでもいい。俺は行くぞ。」
「あ、待ちなさい!比企谷くん!」
「ヒッキー!」
くそッ、親父が突っ込まれたってどんな時にだよ!まさか営業回りで歩ってる時か⁉︎だとしたら最悪だ!まず助からないだろ!
「おい死神!親父が死にそうかどうか分からないか⁉︎」
「んーまぁ、俺たち死神は人間の名前と寿命が分かるがそれは顔を見ることが条件だ。今の状況じゃ分かんないな。」
ちっ!死神も万能じゃないって事か!もうすぐで病院に着く!急げ!
「親父‼︎」
なんとか病院について中に入るとすぐに母さんと小町を見つけた。
「八幡…。」
母さんは目に涙を溜めていて、すぐに泣き崩れてしまいそうだったが、その腕の中で号泣している小町をなんとか慰めている。
「ああ、ご家族の方揃われましたか。」
振り返ると丸顔のふくよかな医者らしき人が話しかけてきた。
「今、全力でお父さんを手術をしていますが、道を歩っている途中でいきなり普通車に引かれたそうですから、かなりひどい状態です。覚悟を、決めておいたほうがよろしいでしょうな。」
「そんな…。」
母さんは呆然といった表情になり、小町はさらに激しく泣いた。かくいう俺は、悲しみと、突っ込んだ車に対する怒りが湧き上がってきていた。
「どうにも、飲酒をしていたそうでね、ぶつかった運転手。会社の仕事がうまく行ってこの昼間から酒を会社の全員で飲んでいたそうなんですよ。そして運転手は酒が入ったまま追加の酒を買いに行ったときに…。なんにしても許される事ではありませんな。」
飲酒運転だと?酒を飲んで、車を運転して、親父をひいたっていうのか?
…………。
「ごめん、ちょっとトイレ行ってくる。」
「おい死神。」
「なんだ。」
「決めたぜ。」
「俺にデスノートを使わせろ。」
「なんだ、親父をひいた奴でも殺すのか?今のその一時の怒りで使うのか?」
「ああ。でも勘違いするな。別に復讐しようって訳じゃない。自分のすべき事に気がついただけだ。」
「ほお?」
俺は…………
「俺は、デスノートを、俺の大切なものを守る為に使う。だから、お前の期待している様な面白い事はほとんどない。それでも、俺に使う権利をよこすのか?」
「最初に言ったろ。この人間界デスノートをお前が拾った時点でそれはもうお前ものだ。お前のものをお前がどう使おうとそれはお前の勝手だ。それに、それはそれで面白そうだ。人間が、自分の欲望の為にじゃなく、人の為にそのノートを使うのは初めての事だからな。俺はその大切なものを守るっていうお前のもがく姿を見て楽しませてもらう。」
「へ、いい趣味してんなお前。いいぜ、楽しみにしとけよ、リューク。面白いもん、見せてやるよ。」
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