あれから5年経った。
体も十分大きくなり、気分はもう大人である。5年で成人って、寿命30年くらいか?
え?ああ、成人まで早いけど、そこから延々と生き続けられるんだ。ナメック星人パネェ。
開拓農業作業の間に、修行を行いつづけたおかげで、身体能力もかなり上がり、開墾作業も時間はどんどんと短縮化=修行時間増加のスパイラルで上がっていく。
最近のマイブームは瞑想です。そして、エネルギー弾の発射です。
ツーレ長老が開拓の際、転がり落ちてきた岩をエネルギー弾で破壊してから、その方法をまとわりつくようにお願いして根負けさせて修得。
ちなみに、修得した際に調子に乗って撃ちまくっていたら、地形が変わって長老にしこたま怒られた上に、元に戻すために一人で干拓作業をさせられた。
他にも、開墾作業でクワとか道具が面倒なので、鍛錬を兼ねて素手で掘り返したりしたのだが、ツーレ長老もこれには呆れていた。一応、亀仙流の伝統ある修業方法なんですけどね。
「なにがお前をそうさせるのやら…」
もちろん健康の為…ではない。生きるためだ。ついでに言うと、ナメック星人に健康志向とか皆無である。なんせ、酒も煙草も食料も無用の植物みたいな生き物で、必要なものは水オンリーである。さあ、我が体の葉緑素よ。光合成でエネルギーを生産するがいい。
さて、少し滑るギャグで、現実から目を背けていたが、最近事実を受け入れる事が出来てきた。
つまり俺は、ボッチだ。
おっす、おらボッチ。最近村人の視線が痛いぞ。
いやいや、これは現実逃避だな。ちゃうねん。なんというか、同年代の若者のコミュニティーから離れているだけやねん。いや、同年代ってオレの他に2人しかいないんだけど。他の若者は、職人という感じで、建築や裁縫なんかして村の為に貢献している。
オレは肉体労働オンリー。
うん、そりゃハブられるわな。
しかも、最近やってる事が座禅組んでプカプカ浮きながら瞑想なんだから、そりゃ話しかけづらいわ。
でもね、これ結構重要な事なのよ。
ナメック星人と言えども、体を鍛えなければならないわけで、でも鍛える方法というのは限られてくる。そうでなくてもナメック星人の身体能力は(多分)高い。
つまり、何かというと。
正拳の練習で木の幹をたたくと、幹が吹っ飛び。
岩を蹴ると粉砕爆裂。
そしてツーノ長老の100万ボルト+お説教がオレを直撃する。
ちゃうねん。別に自然を破壊したかったわけやないねん。
ナメック星の自然環境復活の為、住人が日々努力してるのは知ってるよ。おれだって、それを無駄にすることに喜び見出すような外道じゃないわけで、つまりこれは不幸な出来事という事だ。
まあ、結果だけ見れば自然破壊である訳で、言い訳はできない。
つまり、肉体鍛錬に限界が来ているわけだ。才能とか戦闘能力的な意味ではなく訓練環境的な意味で。そうなると、内面の鍛錬に移行せざるをえなくなる。
つまり、気の力だ。
エネルギー弾や舞空術を習う際に、気の使い方も修得している。それを体に廻らせることで爆発的なパワーを持つことができるのだ。ドラゴンボールの世界の『気が強い=強い』とか『戦闘力が高い=強い』というのはその辺の理由である。
で、この瞑想もその修行の一環だ。
原作の主人公もしていたが、気を抑える事で通常時の浪費を抑え、全力状態の気の効果を高める技術らしい。まあ、風船を膨らませて空気を抜けば、次回は空気を入れるとき簡単に膨らむというわけだ。まあ、その分脆くなるんだが、それを鍛えて丈夫にするという話である。
その為に、気をコントロールする能力は必須である。原作的には、そういう事をできるのは特殊な才能という事になっているのだが、ナメック星人は地球人と同じでそういう事ができる種族なので問題はない。
あれかね?気をコントロールできない種族は、最初からパンパンに膨らんだ風船ってところなのかね?
まあ俺は膨らませて空気を抜いた風船って事で、修業を続けよう。
というわけで、一日中気を抑え、ある一点で一気に解放。
ドン!!
周囲に走る衝撃波。
今のは失敗だ。体の中に貯めておく気が外まで解放されている。これは無駄な力と言わざるを得ない。口から風船に入れる空気が横に漏れてる状態だ。気のコントロールはまだまだ課題が…
「る~ん~が~!!!!」
見ると長老の家の入口に立つツーノ長老が、額に血管を浮かばせてこちらを睨んでいた。
流石に、周囲を更地にするほどの威力はなかったが、周囲に置かれていただけの物は、大きく吹っ飛び、中には壁や家に当たって破壊されたものまである。
ちゃ、ちゃうねん。これは未熟なオレのせいだけど、未熟である事は認めるけど、成功の元となる失敗であって、若さの暴走とかそういうのじゃないから!
「バカもーーーん!!」
ツーノの100万ボルト。効果は絶大だ。