「オレに構わず撃てーーーー!!」
オレの言葉に、悟空はオレの意図に気が付く。そして、フリーザもまた、異変に気が付いた。
「…!?」
周囲を見回し、そして空に浮かぶそれに気が付く。
「なんだ、あの光…まさか!!!」
驚いて、オレと悟空を見る。気が付いた時にはもう遅い。
悟空に一瞬の躊躇があった、ナメック星人の超感覚が、彼の「すまねぇ」という言葉を拾う。
いいんだよ。覚悟の上なんだから。
それに、オレの仕事はまだ終わっていない。
振り下ろされる悟空の両腕と共に、上空に作られた超元気玉が降下する。
「こ、こんなもの…こんな…」
降下する巨大なエネルギー『元気玉』。それを受けとようと両手を突き出すフリーザ。
しかし、突きだそうとする両手を後ろから飛びついたオレが抑える。
「おいおい。ナメック星全部からの歓迎だ。遠慮なく受け止めてくれよ。全身でな!!」
「き、貴様!?」
「うおおおお!!!」
そして、残りの気を一気に解放する。
これがオレの狙った唯一のフリーザを倒す方法だ。
原作では、超元気玉をもってしてもフリーザを倒すことはできなかった。しかし、十分なダメージを与える事は出来た。倒せなかった理由は、フリーザが防御していたからだ。
なら、それを阻めばいい。
その為に、エネルギー波のような気を消費する技を極力使わずに、近接攻撃のみで気を温存していた。
能力の強化もパワー特化にした。多少戦闘力が上がったところで、フリーザにかなわないことはわかり切っていた。
だが、パワー全振りのこの体なら、戦闘力で勝る相手をわずかな間だけなら抑え込むことができるはずだ。ラディッツを抑え込んだ孫悟空のように。
その一瞬に賭ける!!
「う、うわああああーーーー!!!」
フリーザの断末魔の悲鳴を聞きながら、オレは笑みを浮かべつつ超元気玉のエネルギーに飲み込まれた。
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「ご、悟空!」
歓喜の声と共にクリリンが飛び出す。後を追おうとして悟飯の動きが止まった。
「ピッコロさん??」
ピッコロの目から一筋の涙が流れていた。
ピッコロの中にあるネイルの心が流した涙であった。
フリーザの前に姿を現した時、それがルンガである事を察知したネイルであった。
自分よりも確実に強い。戦闘型である以上に、何があったのだか分からないが、恐ろしいパワーだ。
しかし、同時にフリーザとの実力差があることも読み取っていた。
フリーザと戦う悟空の全力にも届いていない。
それでも戦う理由がわからなかった。
最後の最後まで。
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…両腕の感覚はない。
動く余力もない。視界はかすれてほとんど見えないし。鼓膜が破れたのか耳鳴りがひどい。
視覚も聴覚も嗅覚も利かない中、オレの上にあった圧迫する感覚が消えた。
それが何か、オレは理解した。
つまり、オレの決死の試みは失敗に終わり。
グシャ。
オレは死んだ。
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「あ…ああ…」
二人が遅れたが故に、一人が先に到着し。
それに気が付いた。
それ故に
「ご、悟空ううううう!!!!!」
ドーン!
物語は進む。
あるべくして…