ペラペラ
「.......」
カチカチ
「.....」
暇。俺入った意味あるの?加藤もなんかさっきからずっとスマホ触ってるだけだし。何このサークル?
「あれ?比企谷、その本....」
「ん?あぁ恋するメトロノームってやつだ。ちょっと前に発売されたやつだけど、たまたま目に留まったから読んでるんだ。結構面白いぞ?読むか?」
「いや、俺も読んだことあるよ。しかもその作者、霞ヶ丘先輩だし」
「.....え!?」
そういえば著者も霞詩子って書いてある。霞ヶ丘詩羽から霞詩子ってことか。
「まじか....っていうか霞ヶ丘先輩、頭も良くて小説もかけるってやばくない?」
「ちなみに英梨々もうちの学校の美術部エースだぞ?賞も何回もとってるし」
「まぁ裏では18禁の同人作家だけどね」
「....は?」
.....何このサークル?オタクに小説家に18禁専門の同人作家にモブ女子にぼっちって..-カオスすぎるだろこのサークル。
結局今日も何もせず、1日が終わった。と思いたいのだが、
俺は今バイトもしている。働きたくないがモットーの俺が。引越しして少しお金に余裕が無いらしく、俺も少しバイトをすることになったのだ。
「いらっしゃいませ」
「ひっ」
.....これも何度目だろう。店に入ってくる度俺を見て悲鳴をあげる。まぁもう慣れてるけどね。
「いらっしゃいませ」
「あれ?比企谷くん?」
「....加藤」
偶然とはほんとにあるんだな。
「?恵ちゃんの彼氏?」
そして、となりには男性が1人。俺の観察眼からしてなかなか親睦が深いと思われる。
「ちがうよ。同じサークル仲間。比企谷くん」
「....加藤、彼氏か?」
「ちがうよ。いとこ」
「ふーん。どうでもいいけど。っていうか今バイト中だった。こちらへどうぞ」
まぁこんな偶然もあるよね。
翌日
視聴覚室
「なぁ、加藤。思ったんだけどさ、お前一応今作ってる作品のメインヒロインなんだろ?なのにいとことデートなんていいのか?」
「なにっ!?どういうことだ加藤!?」
「え?ダメだった?」
「....いとこだよ!?一番危ないボジションだよ!?」
「安芸、多分こいつに行ってもわからん」
「うん。なんなら次の休みの日も一緒に買い物いくよ?」
「はい、アウト〜!!」
おいキャラおかしいぞ。っていうか霞ヶ丘先輩と澤村、普通に作業してるけどすごいな。これがプロか。
「終いにはショッピングとか、加藤!お前はメインヒロインとしての自覚が足りない!」
「えー?めんどくさいなぁ」
「めんどいってお前....よし!加藤!その買い物、いとこじゃなくて俺と行こう!」
ドンガラガッシャーン
「な、なななにいってんのよ!?倫也!」
「え?だめ?」
「私は別にいいよ?荷物持ち欲しいだけだから」
「だいたい、倫也3次元の女子には興味無いんじゃなかったの!?」
「いや、そうだけど。いとこだよ!?いとこ!ダメでしょ!」
「ならこういうのはどうかしら?比企谷くんが加藤さんと行くの。比企谷くん、いつも暇そうだしよく分からないポジションだし丁度いいんじゃない?」
「確かに....」
え?何この流れ?もしかして俺の休日が潰れようとしてる?
「ま、待ってください。今週はあれがあれであれなので」
「つまり予定がないのね」
「.....はい」
なんかこわい。なにかを阻止しようとしているような....
「もしかして、霞ヶ丘先輩と澤村って安芸のこと....もがっ!?」
「比企谷くん?その邪魔な口をとってあげましょうか?ついでに腐った目も」
「あんたその先いったら社会から抹殺するわよ!」
「ふぁ、ふぁい!ふみまへん!」
「?何やってんだ?3人とも」
「なんでもないわ」
「....あの〜結局買い物は...」
「安心して加藤さん。そこの比企谷菌が行ってくれるから」
「ちょっと待て。なんで俺の小学校の頃のあだ名知ってんすか」
「.....ごめんなさい。本当に言われてたなんて....」
「そんなガチで謝らないでくださいよ!?なんか俺が悪いみたいじゃないですか!?」
「そう。じゃあ比企谷くんよろしくね」
「.....はぁ。行けばいいんでしょ、行けば」
「じゃあ比企谷くん、メアド交換しよっか。連絡する時必要だし」
「そうだな。俺、登録の仕方知らないから頼む」
「あんた....」
「憐れむような目で見るな」
「....はい。じゃあ当日はよろしくね?」
「おう」
....っていうか女子とデートなんて初めてじゃね?
続く