ポケモン世界で嫁と生きる   作:夢月一郎

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もっと腕にシルバー巻くとかさ!


あ、割烹にも書いたんですけど日間1位とってたみたいです
皆さんありがとうございます
年明けくらいまでちょっと忙しいので更新遅れるかもしれませんがこれからも読んでいただけると嬉しいです


7話 へぇデートかよ

 ふみが美少女に劇的ビフォーアフターした数日後ふみは人の形に進化したポケモンとして、俺はそれを発見した人物として学会で発表された。

 その際この現象の命名権が与えられたので人に擬態する進化をしたポケモンということで擬人化現象と名付けられた。

 …………最初は萌えもんと付けそうになったのはナイショだ。

 さすがに萌えもんは不味いでしょと思いとっさに出てきた擬人化ポケモンというフレーズに理由を後付けした結果そうなったという感じである。

 

 このように世間に公表された擬人化現象だが思ったより騒ぎにも話題にもならなかった。

 へー、新種すごいね。じゃあ発表しようかくらいのノリで受け入れられていた。

 この世界の住人の適応力高過ぎである。なんなの? タイプ一致技の威力が上がるの? ポリゴンZなの?

 とまあそういうことでふみが人間の姿になっても俺たちの日常にあまり変わりはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 朝、差し込む朝日を感じ目が覚める。ゆっくりと体を起こしぐっと伸びをする。

 今日もいい天気だ。今日はなにをしようか。

 

 もぞもぞ

 布団の中でなにが動く

 

 …………さーて、今日はなにをしようか。

 そうだ、みやびにふみの居場所を教えてもらったお礼をしなくちゃな。

 育てているきのみもそこそこに増えたのでそれを持っていこうかな。

 あいつはわりと食いしん坊だからいろいろ持っていこ「むにゃむにゃ、えへへマスター」

 

 …………

 

 無言で布団を捲る。

 

「きゃん、マスターそんなとこさわっちゃらめれすよ、むにゃむにゃ」

 

 布団の中にはオレンジの髪をした美少女の姿が!!

 …………いや、朝チュンじゃないよ。精神はともかくこの体はまだ10才なんだし。

 

「ちょっと前まで普通のポケモンだったのになぁ」

 

 こんなかわいい女の子になっちゃって。

 ちなみにどのくらいかわいいかというと前世で見たアイドルのざっと100倍はかわいい(当社比)

 女性に免疫がない俺はもうなんか近くにいるだけでドキドキする。なんか甘い感じのいいにおいがするし。

 

 そんなDT感溢れる思考をしているとふみの目がふわぁと開いた。

 

「おはよう、ふみ」

「おはよ~ございましゅ」

 

 眠気眼でぽけ~としているふみはその寝ぼけているその瞳でこちらを見る。

 

「あぁ、ましゅたーだー。ちゅ~」

 

 ああ、完全に寝ぼけていらっしゃるご様子。

 目をまた閉じ唇をこちらへ突きだした格好、いわゆるキス顔でこちらを待っていた。

 ど、どうすればいいんだ。

 本当なら軽く唇にキスをして愛してるよとか歯の浮くようなセリフを言えればいいのかも知れないがそれを俺のDT力が邪魔をする。

 いや、だって無理でしょ、こんなん。前世含めてまともに女の子と話した経験がないのにそんなん出来るわけないでしょ。

 そう俺が考えている間もふみはキス顔をキープ。

 くっ、キスするまで意地でも動かないってか。

 よし、やるぞ。

 

 覚悟を決めた俺はふみに顔を近づけちゅっと

 

 

 

 

 

 

 額に口づけをした。

 

 よし、頑張った。俺は頑張った。十分頑張った。

 へたれだと言う声が聞こえてくるような気がするが俺は俺のベストを尽くした。ふみもきっと満足してくれるだろう。

 

「……………………」

 

 無反応!?

 これはダメなのか? 唇以外は認めないという抵抗なのか!? くっ、仕方ないやってやるさ。その前に落ち着かせてくれ落ち着いたら俺は「すぅ、すぅ」…………え?

 

 …………寝てんじゃねぇか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱりな、一緒に寝るのは止めようか」

「えっ? いやですけど」

 

 寝るとき起きるときにドキドキするのはさすがに持たないと感じた俺は別々に寝ることを提案したのだがふみにはあっさり却下されてしまった。

 

「あのな、ふみ。俺今10才だからいいけど体が大人になっていったら…………な、分かるだろ」

「大人になったマスターもきっと素敵だと思います!」

 

 そんな話はしていない。

 

 なんていうか男の性欲周りの話を直接的な生々しい単語を使わずにオブラートに包んで伝えることはできないだろうか。

 ちっちゃなときから可愛がっているふみをそういう対象として見てもいいのかという葛藤もありどうしたらいいか分からないというのが現状である。

 

「ちっちゃい頃から一緒に寝てたのになんでそんなイジワルいうんですか、そんなに一緒に寝るのが嫌ですか」

「嫌とかそういうわけじゃないんだ。ただこのままは不味いよなぁとは思うんだが」

 

 どう言ったものかとうなっていると

 

「わかりました、一緒に寝るのは止めてもいいです。その代わりおはようのキスとおやすみなさいのキスをしてください。それならわたしは一緒に寝るのを我慢します。あ、ついでにいってきますとおかえりなさいの分もお願いします」

「一緒に寝るのでお願いします」

 

 DTに能動的なキスは難易度が高過ぎる。無理。

 

「さ、さーて今日も散歩に行こうか」

 

 露骨に話をそらす。

 

「はい、デートですね」

 

 ん?

 

「散歩だよ?」

「? デートですよね?」

 

 話が噛み合っていない。

 もしや俺が散歩だと思っていたものはふみ的にはデートだったのだろうか?

 

「ええと、今日はこの間ふみの居場所を教えてくれたみやびにお礼をしに行こうと思ってたんだけど」

「むー、あの女ですか…………」

 

 お前みやびのことあの女とか呼んでたのか…………

 そんなに仲が良くなかったってことなのかな。

 このままではふみの機嫌を損ねそうだ。うーんでもお礼はしに行きたいしな…………そうだ

 

「お前にもなにかプレゼントをやるよ。出会って5年のプレゼントだよ」

 

 物で釣る作戦、実行。

 本当は5年目の記念日のために用意していたやみのいしを渡して進化させこれからもよろしくなとか言ってトレーナーとポケモンの友情ルートを想定していた。

 しかしどこで歯車が狂ったのかマスター好き好き禁断のトレーナーとポケモンのラブコメルートへ進んでいる現在、プレゼントという選択肢は間違っていないのではなかろうか。

 

「わたしはそんな物で釣られるほど安い女じゃありま…………わかりました」

 

 そんな餌に釣られクマー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 散歩、いやプレゼントを買うんだからショッピングか(ふみが言うにはデート)

 それが済んだらみやびの所へ行くというのが一応の予定となっている。

 

「えへへ、マスター」

「なんだ? ふみ」

「うふふ、呼んでみただけです」

 

 ふみが俺を呼び、俺が返事をする、そしてふみが何でもないと言う。

 このやりとり、家を出てから実に10回目である。

 いい加減にしとけと言おうとおもったが

 

「マスターとお話出来るってとっても素敵ですね。幸せです」

 

 なんて言われたら叱るに叱れない。

 

 そんな会話をして歩いているうちにミナモデパートについた。

 

「ふみ、欲しいものは決まったか? あんまり高いのは勘弁してくれよ」

「はい、その、わたしは…………が欲しいです」

 

 ん? よく聞こえなかった。

 

「もう一回言ってくれ」

「えっとその、……輪が欲しいです」

 

 え? 指輪? 

 

「わたしは首輪が欲しいです!」

 

 …………え? なんだって?(突発性難聴)

 き、聞こえなかったことにしたい。しかし真面目な顔をして言っているので冗談で言っているわけではない様子だ。聞き違いの可能性を考え確認してみる。

 

「く、首輪って聞こえた気がするんだけど気のせいだよね」

「はい、首輪です」

 

 中学生くらいの女の子に首輪をプレゼントする10才の少年。

 

 なんだその鬼畜ショタ!?

 

 どうしよう、出来ればそんな称号欲しくないんだが。

 別の物にしないかと提案しようとするがふみがあまりに嬉しそうな顔をしているので頭ごなしに否定するのは忍びない。

 

「なあふみ、なんで首輪が欲しいんだ?」

 

 聞いてみた。

 

「自分がマスターの所有物なんだって感じられるものが欲しいんです」

 

 お、おう

 

「前から他のポケモンが首輪を着けているのが羨ましかったんです。ヒトモシの時やランプラーの時は首がなかったので諦めていたんです。でも進化したら首があるじゃないですか。だから首輪が欲しいと思ったんです」

 

 うんうんなるほど

 

「ふみ、首輪なんか無くてもお前は俺のポケモンなんだからずっと一緒にいるのは変わらないよ」

「マスター…………はい、ずっと一緒です!

 

 

 

 

 

 

 

 でもそれとこれとは話が別なので首輪は欲しいです」

 

 結局プレゼントは首輪になりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっびわーくっびわーわったしのくっびわー」

「その歌やめない?」

 

 俺と上機嫌なふみは予定どおりみやびに会いに海辺へ来ていた。

 

「ふっふん、わたしは今プレゼントをいただいたのでとってもご機嫌です」

 

 見ればわかる。さっきまであまり他人には聞かせたくない歌とか歌ってたし。

 

「なので多少他のポケモン、あのおん……みやびといちゃつくことに関しては目をつぶることにしました」

 

 いちゃつくって…………絵面的には子供とポケモンの微笑ましいスキンシップなのに…………

 まあ許してくれるならいいか。

 あ、それなら

 

「じゃあみやびを手持ちに加えてもいいか?」

「それはダメ…………じゃ…………ない……………………です」

 

 さっきまでとは一転、とても渋い表情で許可を出された。

 

「わたしは進化してマスターを困らせるようなわがままを言わない大人のシャンデラになりました。だからわたしはちょっと嫌だけど我慢するいい子になります」

 

 わがままを言わない…………?

 いい子になると言っているからまあいいか。

 でもなぁ

 

「そのうちみやび以外も捕まえて手持ちを増やすと思うがだいじょうぶか?」

 

 そう、ポケモントレーナーになるのだから手持ちは6匹は揃えたい。

 そんなに増えてもだいじょうぶか聞くと

 

「え? 嫌で………………わかりました。なら我慢するので頭を撫でてください」

 

 なにがならなのか分からないがそれで我慢すると言うなら撫でておこう。

 ふみは小柄だが10才の俺より身長が若干高いので屈ませて頭を撫でた。

 

「ふへへへへ、これで我慢できます」

 

 ふみも納得してくれたようなのでみやびを探そうかと海を見渡す。

 いつもなら2、3匹のラプラスが陸地の方まで遊びに来ていてそのどれかがだいたいみやびなのだが…………

 

「あれ? いない」

 

 一匹のラプラスもいない。

 なら沖の方だと見渡す。

 こちらもいつもなら2、30匹のラプラスの群れが見えるはずなのだが…………

 

「え? いない?」

 

 ラプラスのラの字も見えない。

 いまここで見えるのは隣にいるふみと海を眺めているらしいセーラー服の女子高生だけだ。

 

「あの、すみません」

「なーにー?」

 

 青と白のセーラー服の学校なんかこの辺りにあったかなと思いつつその青い髪の女子高生に聞いてみた。

 

「この間までラプラスの群れがこの辺にいたと思うんですがどこ行ったか知りませんか?」

「群れのみんなはねー、昨日旅に出ちゃったよー」

 

 ええっ?

 

「どこに行ったか分かりませんか?」

「えっとねー、暖かいところへ行くって言ってたよー。今ごろは海の真ん中かなー?」

 

 ああ、しまった。

 2年もこの辺りにいたから群れが移動する可能性をすっかり失念していた。

 手持ちに入れられないのはともかくお礼が言えないのが申し訳なくてもやもやする。

 うーとかあーとか俺がうなっていると女子高生はニコニコと笑ってこちらを見ていた。

 困っている俺を見て笑っているのなら趣味が悪い。

 

「なんで笑ってるんですか?」

「ゆーとが私にいつ気付くかなーって思ってねー」

 

 ? 気付く? なんの話だ。俺とこの人は初対面のはずだが。

 

「ねー、ふみちゃん。ゆーとはいつ気付くかなー?」

「ふんっ、わたしは気付かなくてもいいと思うんですけど」

 

 …………あれ? 俺名乗ったっけ?

 名乗ってないしふみのことも呼んでないはずだ。

 なのに俺の名前もふみの名前も呼んでいた。

 ふみの態度とげとげしいが知っている相手への態度に見える。

 ふみはわりと人見知りをするので気にくわない相手がいても知らない人なら俺の影に隠れてにらむ程度なのでさっきの態度からふみの知っている相手と言うことになる。

 ってことは…………

 

「みやび?」

「ぴんぽーん、せーかいー」

 

 そう言うとその女子高生風の少女、みやびは俺を抱きしめてきた。

 なにとは言わないが大きくて柔らかいものがちょうど俺の顔あたりにあたる。

 

「あー! あー! 何してるんですか!? 何してるんですか!?」

「んー? この間のふみちゃんのまねー」

 

 ふみが騒ぎだすがみやびはあまり気にした様子はない。柔らかい。と言うかこの間のこと見られてたのか。大きい。

 だめだ思考が汚染されてまともな思考ができない。

 

「あ、そーだ。どーせならこれもしてあげるねー」

 

 と、柔らかい感触が離れたと思うとみやびが俺の顔に顔を近づけると

 

 

 

 ちゅ

 

 

 

 軽く唇に触れるような口づけをした。

 

 放心する俺

 

 フリーズするふみ

 

「あ、モンスターボールだー。これでわたしを捕まえてくれるんでしょー?」

 

 そういうと固まる俺たちを尻目にみやびは俺のバッグのなかにあった空のモンスターボールを手に取り。

 

「えいっ」

 

 自分の頭にこつんとぶつける。

 するとみやびはモンスターボールに吸い込まれていきボールが3回揺れ、止まった。

 

 …………みやびGET…………だぜ?




美少女の唇GETだぜ!!

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