ふとコメントとか見るとまだコメントがあって。申し訳ない感じでして。
当時は批判とかあって、やめるつもりではありましたが
そもそも当時、もともとあった思考の中で、ちょっと暗い部分もありまして
それを見せるあたりでもありまして、その上反響もなんか思ったよりもあったので
最初といっきに転換を加えるこの話の投稿がすごく怖くて……。
はっきり言いますと、じゃれてる感じの罵倒からいっきに現実味を浴びせたらなにか批判を言われるんじゃないか怖かったので投稿しなかったんですけど、いっそ開き直ってコメント見ないでいきます。
投稿頻度は最悪。
最悪半年に1度。海外にいくこともあるのでその期間はできていても投稿はできないです。
後久しぶりすぎて書き方がわかりません。
幻想郷の朝。朝もやは当たり一面を広がり、しっとりとした空気は息苦しさもなく澄んでいる。
朝食の準備を終え、手拭きで手のひらをぬぐいさり、屋敷の外へと出た。
「ふぁ……」
眠い。昨夜床に就いたのはいつだっただろうか、主人の前ではあくびなどしないが、今この時だけは少し気を緩めたい。
振り向けば真っ赤な血のような色をした館がある、荘厳で派手。二つの相反するようで両立できることを示す館の名は紅魔館。
強大な力を持った吸血鬼であり、私の主人であるレミリア・スカーレットの住まう館だ。
「眠そうですね?」
「ええ、昨晩はすこしやることがあってね」
「やること?」
美鈴が花壇をいじりながら声をかけてくる。趣味なのだろう、門番をやっている彼女よりかは楽しそうに見える。
彼女はにこやかに大輪を咲かせるひまわりの茎をなでている。
「昨日、大穴が開いたじゃない?」
「……あぁ~」
美鈴は苦笑いを浮かべた。パチュリー様が混乱し、「あぁ!あぁ!窓に、窓に!」というクトゥルフ神話かな?というセリフを叫びながら魔理沙と魔法合戦をしていた。
クトゥルフ神話にでてきそうな顔面は集結してるけども。
思い浮かべるのは涙目でミニ八卦炉をパチュリー様へと向ける魔理沙。
「わたしが恋をして何が悪い!」
「ふんぐるい!うぐるふなふ!」
「誰が顔面ショゴスだ!」
魔理沙が魔法によってあげられた土煙を抜けて叫ぶ。小悪魔は図書館の被害を抑えようと、力は弱いが結界を張っている。
咲夜は二度目の爆発音と同時に図書館へと突入し、目の前の光景を見た。
「パチュリー様! 何ごとでしょうか!」
「――起きながらの夢は妄想っていうのよ」
「妄想を見るのが癖になったら、現実がおろそかになるということです!」
どうしよう全然わからない。咲夜はナイフを用意しながら魔理沙を見る。
すねているような感情がわかる。となると――と咲夜はちらりとパチュリーを見た。
「魔理沙、なにがあったの?」
「わたしが恋をした事実をカグヤゲロマゲドンと同等といったんだ」
「加勢するわ。魔理沙」
「待ちなさい何を即断して主の友人を裏切っているの」
「だからといってカグヤゲロマゲドンと一緒にしてはいけません」
見て吐いて。思い出して吐いて。夢にでてきて吐く。もはや吐しゃ物の社会現象とまで言われたものと同じにしてはいけない。
半径100メートルはなにもわからずに吐き気を覚えるとか。
「そ、それは言い過ぎだったかもしれないわね――」
「それでもっ」
咲夜は怒りの表情を浮かべ、ぐっと両こぶしを固く握りこみ。
「女の子は恋をする生き物なんです!」
「おぼろろろろろ」
「パチュリー様ぁ!?」
頬を赤らめて高らかに叫ぶ。彼女は彼女の部屋にある少女漫画のような出会いに憧れている。
「曲がり角で男の子とぶつかって、その人が転校生とかで!しっ下着とか見られて険悪になったりとか!」
「げぶぼぼぼぼ」
「意識がー!やめてー!」
「壁ドンされて『おい、俺の女になれよ』とか言われたいんです!」
「べべべべべべ」
「痙攣が!パチュリー様がげろ濡れのブスに!」
パチュリーが白目を剥きながら痙攣をおこしている。口からは蛇口のない水道のごとく漏れ出していた。なにをとは言わない乙女の尊厳のためである。手遅れだろうが。
咲夜は振り向いて魔理沙の両手をつかんでいた。その真剣なまなざしに魔理沙は驚き固まっていた。
「魔理沙、応援するわ……でも心配でもあるのよね騙されてないかって……」
「それは大丈夫だ。紫や藍とあっても気持ち悪がってないし……そのむしろ紫のこと美人って言ってたし」
「脳が腐ってたりするの?」
「かもしれない」
かもしれなくないから、と巧がいたら声をあげていただろう。
「でも、わたしを見て――ほかの人とは違う反応をしたんだ。苦痛そうな顔をしなくて」
「そう――私は応援するわ」
「咲夜、ありがとう」
いつもは皮肉屋な魔理沙だが、今の彼女はだいぶ素直に見えた。
帽子のつばをぎゅっと掴み、ぐいと下に押し込んだ。こうするのはパチュリー様が彼女の努力を認めたときと――人里のときぐらいだと咲夜は思った。
人里にいる彼女はどこか小さく見えたが、今の彼女はどこかやわらかく嬉しそうだ。
「その男性は今どこにいるの?」
「今日は博麗神社に泊まるはずだ」
「そう、じゃあ明日にでも会いに行かなきゃ」
「……なんでだ?」
少し疑わしそうな表情で魔理沙は咲夜を見た。
ふふ、と笑みを浮かべて
「魔理沙を幸せそうにしてくれてありがとうって挨拶しないとね」
そんな優しい言葉を彼女は放った。
「さて、博麗神社にいってくるわね」
「わかりました。お嬢様がはやめに起きられた場合は用意した朝食を出し、妖精メイドを一時的な門番にしてからお嬢様のメイドとして働きますね」
「大体夕方の少し前くらいだろうから、その前には帰るわ」
「わかりました」
美鈴は私よりも昔からお嬢様に仕えているから、信頼は強い。
大丈夫だろうと判断して、用意しておいた茶菓子を手に取り空へと浮かぶ。能力を駆使しながらできるだけ最短で博麗神社へと向かった。
降り立ったのは朝もやがほぼ無くなったぐらいで、早すぎたかもしれないと少し不安であった。
どこかで暇つぶそうかしら、と考えていると神社の扉が開く、霊夢の寝室近くの扉だったために彼女だろうなと考え近づいていく。
時をとめ、縁側で待機し、時間を動き出す。
あくびをしながら男性がそこに立っていた。
思わず目線を下に降ろす。びくん、と肩を揺らす。思い出されるのは人里の出来事。
男性の店番は汚物でも見るかのような目で私を見ていた。買い物が終われば塩をまかれた。子供が泥団子を投げてくる。
耳を澄ませば噂話、聞こえるように話される嘲笑。
「ご、ごめんなさ――」
「えっと、すみませんここになにか御用ですか?」
「え……」
顔を見あげる。優しい笑顔で出迎える男性がそこにいた。
あぁ、この人だ。魔理沙が恋した男性は。するりとその事実が心に溶けていった。
どう話したものか、私は今顔が紅潮しているだろう。恥ずかしさと緊張で声がでない。
霊夢はいないかしら、とそう考えてみるとその内心にこたえるように霊夢は現れた。
「おはよう、巧さん」
「あ、おはようございます霊夢さん」
霊夢に向かっても嫌な顔はしなかった。咲夜じゃないと霊夢は少し不思議そうに言った。
「土産の茶菓子を持ってきたわ」
「あぁ魔理沙の話を聞いたってことかしら」
行くって言ってたものね、と霊夢はひとり頷く。
「あぁごめんなさい巧さん。彼女は十六夜咲夜」
といったところで思わず手を挙げた。それに気づき、霊夢は私の紹介を止める。
それを確認したのち、スカートの両端を上げる。
「はじめまして、紅魔館、レミリア・スカーレットがメイド長十六夜咲夜と申します」
「は、はじめまして……美咲巧です」
そういって美咲巧さんは名刺を出した後、恥ずかしそうにしまった。いつもの癖なのだろうとすぐにわかった。
かわいい。かわいい。かわいい。そう思いながらも顔にはださない。なにかが自分の中で変質していく気分だった。
受け入れられるとはこれほどまでに心地いいものだったのだろうか。手放したくないと思ってしまうほどに。
「咲夜。お茶でも飲んでいく?」
霊夢の提案は渡りに船だった。えぇと頷くと敷居をまたぎ畳の部屋へと入る。
ちゃぶ台を挟んで座る彼は美しかった。発達した筋肉はエロティックで、はじめての刺激に頭がクラクラとしはじめる。
少女漫画を読んで、女性という感覚を知ったような気分だったが全く違った、メイド長としての責任感を楔にしなければころりと彼に落ちてしまうだろう。
霊夢も魔理沙も、妖怪の賢者でさえもそうだろう。
彼に悪意はない、だが沼のように深く。母の胎のように安心できる存在はまさしく麻薬のようである。
「ええと、十六夜さん」
「咲夜で、いいですよ」
「じゃ、じゃあ巧で大丈夫です――」
理性が吹き飛ぶという話ではない。
これは甘い甘い蜜のようであった。堕ちる前に彼は私を諭すだろう、善良そうな顔立ちからはそんな安心感をうかがえる。
彼に少女漫画のようなことをされれば、ドキドキではすまない気がする。
そう予感せずにはいられなかった。
昼前には咲夜さんは去っていった。ちらりちらりと後ろを振り返りながら、仲良くなれたかなと思いながら手を振った。
すると咲夜さんは嬉しそうに手を振ってくれた。
――世界を自由に超える方法ないかなぁ……。銀髪メイド美少女……。
コトンと霊夢が巧の前にお茶を置いた。はっとした彼は礼をいって口づける。
熱さに思わず口を離した。
「巧さん、どこか行きたいところはあるかしら」
「行きたいところ?」
霊夢はうなずく。
ふと思い出したのは真っ赤な館。神様のいる場所。というと神社だろうか。
と考えた後にふと思う。
「人がいる場所って……」
「人里のことかしら?」
「人里……」
「いえ、その前に行ってほしいところはあるわ」
そこに行きたい、と巧が言う前にさえぎられる。瞬間、裂け目が現れ空間が割れる。
八雲紫はにょきりと飛び出す。
「だーりん☆らぶらぶはにぃなゆかりんがきたもん☆」
「死ね」
「直球!?皮肉もなく直球ね!?」
「あの映像を人類に放映したらゲロ吐きすぎて呼吸困難になって死ぬわよ」
「断定するの!?……とまぁいいのよ」
いいのかよ、と巧は思うが口にはしない。彼女たちの感覚にはまだ慣れていなかった。
「まず永遠亭にいってほしいのよ。異世界だから、できれば健康診断を受けてほしいの。一応調整はつけたから……」
「……病原菌とかですか?」
大学生の時代、歴史の講義で講師が語った言葉が思い出される。
移住した後、先住民は移住民が免疫で影響のなかった病原菌で死ぬことがあったと。
そうなれば今この時も影響があるかもしれない、そう考えれば心臓が締め付けられる。
「むしろ粘膜同士で感染☆らぶちゅっちゅ☆してほしいにゃん☆」
「いい加減私が吐くわよ」
「巧さんはかわいいと思ってくれるわ……!」
「えっと……露骨すぎるかもしれませんけど……好きな人は好きかもしれません……」
一瞬、時が停止する。
そうすれば紫は髪をふわっと書き上げてクールな仕事人のごとく告げる。
「さて、異世界だからこそ可能性は色々とあると考えられるわ。さきほど藍を向かわせて調整しているからすぐに行ってほしい。昨日は舞い上がって可能性を考えてることができなかった、それは霊夢、……ごめんなさい私の落ち度になるわ。今から永遠亭と繋げるから通っていただけるかしら。霊夢もいっしょに行っていって欲しいんだけど……」
「……」
「……」
「……なにか言ってほしいんだけど……」
「えーりん、えーりん!」
「なんですかカグヤゲ姫様」
「今カグヤゲロマゲドンって言いかけたわよね」
「……言ってませんわ」
「言ってないけど言おうとしたわよね」
「言おうとしましたわ」
「言おうとしてないなんて嘘……あれ、今認めた?認めたわよね?」
「……」
「ギギギ……顔面デスサイズ……!」
「カグヤゲロマゲドン」
「が、顔面核爆発」
「カグヤゲロマゲドン」
「……ぐすん」
「それで、どうかなさいましたか?」
「健康診断する男性がくるって聞いたんだけど……近づけないようにね」
「……はい」
永琳は申し訳なさそうに頷く。
それを受けてかぐやは笑う。
「大丈夫よ。……いつものことだし」
永琳は静かに戸を閉める。残るのは泣き声。
数千年もの歳月、閉じ込められるしかなかった少女の悲痛な泣き声だった。
本編は20話くらい。
本当に最初のころしか知らないので許して
やるといっても番外編で書くかもしれない。