書く方法はノリと勢い
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プロットがない
東方美醜逆転ものが欲しいです。
知っている方がおりましたら、教えていただければ幸いです。
たぶん明日明後日余裕があれば修正させていただくと思います。
巧が目を覚ますと、まず知らない天井であることに気づいた。
いつ出張になったのだろうか、と記憶を探っていると、そんな事実はなかったことに気づいた。
さぁっと血の気が引くのを感じる。
「やべぇ!」
いつ眠ってしまったのだろうか、昼休憩も終わる間近だったはずだ。
午後からの営業についていくはずの先輩と、課長と部長の三連星にキレられる。アムロみたいに土台にしたら、社長がでてきそうだ。
勢いよく巧は立ち上がり、周囲を見回した。純和風な室内。小さなアパートはフローリングのみだし、実家も畳を無くして久しい、懐かしい祖父母の家独特のい草の香りを感じる。
ここはどこなのだろうか――。
「すいません!」
大声で何者か居ないか呼びかける、返ってくる言葉はなく、沈黙だけがそこにあり続ける。
とりあえず外へと出ると、鬱蒼と生い茂る木々があった。東京にこんな場所があるとしたら――神社の周辺ぐらいなものだろう。縁側を歩いていくと、予想通りに鳥居があった。
そのまま道なりに行くと、自分の革靴を発見した。砂埃を手で払い、履いて外へと出る。
家の主人はどこにいるのだろうか、神社の敷地内を歩いていると、一人の少女と目があった。
「ん?」
饅頭らしき白く丸いものをほおばる、金髪の少女だ。服装は魔女のようなで、とんがりハットをかぶっている。
巨大な体躯と華奢な少女だ。怯えさせぬよう、遠くから声をかける。
「えぇと、神主さんとかですか?」
「ひょ、ひょっほまっへふへ」
少女は慌てたように饅頭を咀嚼すると、勢いよく飲み込んだ。ふぅと息を付いて、彼女と目があう。
「男……?なんだって顔面黙示録の集う妖怪神社なんかに、男がいるんだよ!」
「いや、その……」
なにやらボソボソとしゃべっているので、巧は再び声をかけると、彼女は帽子の両端の鍔を掴むと、顔を隠すようにぎゅっと下におろした。
巧は不思議には思ったが、まずは横を置いておくことにした。
「な、なんだ?」
「……いえ、ここはどこかなぁと」
「どこかって、神社だろう?ぐーたらで顔面ブラクラな巫女が住まう由緒正しくも、祀る神様もよくわからない、博麗神社だ」
「博麗神社?」
秋葉原近辺だったし、秋葉原神社だと思っていたのだが、そうではなかったらしい。
となると、なかなか遠い場所にあるのかもしれない。
遅刻も遅刻だ――と思ったところで、スマホの地図アプリを見ればいいではないか、と気が付き、ポケットから取り出す。
が、圏外だった。
「……お前、もしかして外来人か?」
「外来人?」
「その返しとなると、正解か」
はて外来人とはなんだろうか――?
巧の疑問に気づいたのか、少女はゆっくりと説明を開始する。
「外来人ってのは、この妖怪跋扈する幻想郷の外から来た奴らのことをさす。基本的な原因は八雲紫だ」
「八雲紫……」
「金髪、長い髪。基本はゆったりとした服装をしていて――」
「あぁそれなら――」
会ったかな、と言おうとして、少女の声により遮られる。
「そして目を合わせただけで相手は吐しゃ物をまき散らして死ぬ宿命を背負ってる女だな」
「……俺があったのは美人だったんだけど。金髪で長い髪で……」
「じゃあ違うな、出会った男は悲鳴を上げて泣き出すからな、美人なんて言葉をアイツに吐いたら、言霊の効果が『腐り落ちろ』に変わるからな」
「ひどい言われようだ……」
クトゥルフで出てきそうなイメージしか湧かない。
呪文とか覚えておけばよかっただろうか……と、失礼なことを巧は考える。
「外来人なら話ははやい、霊夢に頼んで外に出してもらったらいい、その場合この場所を口外しない契約、もしくは記憶を消されることになるが、帰れないよりかはマシだ。慣れるまで吐き気がお友達になるからな」
できればその友達とは絶交させていただきたい。
「霊夢……」
「博麗の巫女だ。脇を出して、人の里に行けば周囲三百メートルにいる人の精神を消し飛ばす邪悪なる巫女さ」
(す、すごいワキガなのか……?)
「ひどい容姿であることは理解してるけどね、アンタに言われたくないわよ」
巧の目の前の少女ではない声がした。振り向くと、箒を肩に担いだ、黒髪の赤い巫女服を着た少女が立っている。脇がでている服装で、すぐに博麗の巫女であると理解できた。
だが、ひどい容姿とはどういうことだろうか。
大きな瞳、綺麗な肌、容姿はかわいらしくも将来とびっきりの美人になることを予感させる。
と、まぁその疑問について考えたくもあるが、巧にとってまず必要なことはお礼を言って、会社に行く方法を尋ねることだ。
「博麗さん、ですよね?」
ええ、と彼女は頷いた。
「大丈夫そうね、気絶したからどうしたものかと思ったわ」
その一言で気絶した自分を助けてくれたのは彼女であると、巧は悟った。
ふかぶかと頭を下げる。
「ありがとうございました。なんか気絶しちゃったみたいで」
「知り合いの尻ぬぐいみたいなものよ、礼を言う必要はないわ。……しかし」
顔を上げると、霊夢はじっと巧を見つめる。
疑問符を浮かべながらもその瞳を見つめる。モテないが、昔から有名人なので女友達は多かった、そのため少女に見つめられても、特に恥ずかしさは感じない。
「顔を顰められないのは初めてね」
「霊夢の顔面ザラキーマを食らってるのに耐えているのか?」
「魔理沙、後でその後ろに隠している、戸棚にあったはずの饅頭について問いただすから覚悟してなさいよ?」
「なんのことだかさっぱりだ。あぁ饅頭が私の口に入ってきちゃったかもしれないが、私は知らないからな?」
話についていけない、だが彼女たちは仲が良いことはなんとなくだがわかる。
――と、まぁ言わなければ、聞かなければいけないことは多いのだ、巧は申し訳なさを感じつつも、少女たちの会話に横やりを入れる。
「すいません、あの――俺があった女性は」
「あぁ、八雲紫?」
「金髪ですごい美人の」
「違うわね、誰かしら?」
美人と言った瞬間、違うと断定される八雲紫さんに同情心が湧いてきた。
と、その時である。空間に亀裂が走り、広がった。
そこへするりと現れたのは、先ほどあった金髪の綺麗な女性と、尻尾が生えた同じく美しい女性である。
「あ、あの人、あのすごい綺麗な人」
非現実的な光景に、驚愕しつつも何とか少女たちに教えることができた。
少女たちの視線が女性たちに向けられると、目を剥いた。
「……は?」
「いやいや、いやいやいや」
沈黙。
なんだ、どうしたと巧が困惑していると、亀裂から現れた女性たちはこちらへと気が付いた。
「……あ、まいだーりん!」
「紫様、死の呪文を唱えないでください」
「大丈夫♪だーりんは死なないの!」
「気色悪いので熱された油に全身浸かって熱消毒されてください」
なんか物騒な会話をしている……。
というより『だーりん』ってのは誰なのだろうか。
巧が周囲を見回し、探していると突如として魔理沙がはじかれたように立ち上がった。
「ィ八雲紫ぃぃぃぃぃ!」
「うぉわぁ!?」
突然の叫び。発生源の魔理沙は少々オーバーなジェスチャーをしながら続けた。
「腐りきった処女をいつかきっと王子様が奪ってくれるなんて、腐れスイーツ脳だと思っていたけど、男を妖術で惑わさないところは尊敬できていた……」
酷い言われようである。
「え?え?どうしたのこれ?どうしてこんなに怒気を持って罵倒されているの私?」
「だけど……ッ!その尊敬さえも今この時消えた!霊夢!」
「えぇ……これは殺るしかないわね……」
「え?え?なんで私完全に見切られてるの?なんで?」
霊夢が二つの玉を放り投げたと思うと、一瞬で頭くらいのサイズに巨大化する。
どうしようもなく非現実的すぎる光景に、巧は唖然とするしかない。
そこへ一人の女性が躍り出た。
「待ちなさい!紫様へ危害を加えることは許されない!」
「ら、藍……!」
紫は感動したように目を潤ませる。
霊夢と魔理沙が必死の形相で叫ぶ。
「どけ!そいつ殺せない!」
「どきなさい!そいつ殺せない!」
「いやいやいや!なんだこの展開!?」
巧のツッコミは虚しく消えるのみだった。
心の中で巧は事態の収拾を願うと、それに応えるかのように、藍はさらに一歩前に進んだ。
藍は至極冷静な声色で、睨むように目を細めて二人を見据える。
「もとより私は長く紫様と共にいた。術を使おうものなら、その妖力の気配をしる私が感知できないというのは、少々おかしくは思わないだろか?」
「……それは確かにそうね」
冷静な女性がいたようだ――巧は少しばかりホッとする。
『妖力』とか『術』とか、非現実的な言葉が出てきたが、もうこの際無視しておくことに決めた。
と、落ち着いたところで藍が巧へと近づいていく。後ろから突き出る金の絹糸のように美しい尾が、歩みを進めるたびに揺れている。
「確かめることがひとつ」
切れ長の瞳。自らよりも小さな存在だというのに、巧は思わず一歩下がった。彼女の持つ年季というものを、本能的に感じ取ったためかはわからない。
ただ、彼女の行動は完全に予想外だった。
ありえない速度で背後へと回り込む。全盛期で会っても反応できたかもわからない。
で――彼女は尻を揉んだ。
「うひぃ!?」
巧は驚き飛び上がり、離れようとする。が、逃げられなかった、抱き着くようにしてその体を抑える。
彼は二年とアメフトから離れ、筋肉も衰えてはいるだろう、だが目の前の女性にまともな抵抗ができないほどではない……かと思っていた。結果はどうだろうか、がっちりと抑えられ、恐ろしいほどに整った容姿が彼の顔の前に出された。
「ほうほう……いいケツし」
どこのセクハラ親父か、という発言をする前に藍は後方に吹き飛んだ。木々を二三と折り地面へと転がる、すぐに起き上がったが額から血を流している。
巧が地面へと尻餅をつき、呆然とそれを見送ると、きりりとした表情をした紫が巧の肩に手を置いた。
「大丈夫かい?マイダーリでゅふふ」
色々と台無しである――。
「だ、大丈夫なんですか、あの人」
「そんなヤワじゃないさ」
答えたのは藍だ。地面へと転がったというのに、砂埃一つ無い服で、こちらへと近づいてくる。
額からの流血すら、マボロシだったかのように消えている。
「少々痛かったですが――正体だけは理解しました。貴方はいわゆる三千年に一度の存在であると」
「何言ってるんですかこの人……」
「三千年に一度――まさかッ!」
目を見開いて、紫は声を大にして言った。
そんなことより肩に置かれた紫の手つきが、なんだかねっとりといやらしくて、美女に触れられている興奮よりも、なんか恐怖を感じる巧だった。
「そんなまさかだ!」
「ありえないわ――」
魔理沙と霊夢は追従する。
なんか変な劇が繰り広げられているんだが――巧はどうしようもない気持ちでそれを眺める。
いい加減、会社に帰りたい。
「そう彼はブサイクを愛する男なのです」
「えぇ……」
なんでこんな話になってんだよ……巧は頭が痛くなるのを感じた。
彼の周囲にたつ三人は口々と「なん……だと……」やら「だ、騙されないわ」やら「うふふ、ふひひ、極寒の冬から春ね……」やら意味わからないことを言っている。
(さっきから聞いていればなんだ、ここは『美醜逆転世界』とでも言うつもりか?)
「……あの、帰りたいんですけど」
もう話の内容とかは無視して、直接聞かなければ、一生機会など訪れそうにない。
巧はそう判断して、問いただすと、魔理沙が真面目な表情をして振り向きざまに言った。
「霊夢が外へとつながる道を作れると言ったな――」
「だから、帰らせてくれませんか?」
「あれは嘘だ」
「なんでだよ!?」
魔理沙の突然の訂正に、巧は思い切りツッコミを入れる。
と、そこへ霊夢が「嘘はいけないわよ」と割り込んできた。
驚いたように魔理沙は霊夢を見るが、不敵な笑顔を浮かべる彼女を見て、一歩下がる。
「美咲さん、よね?ここが幻想郷であるというのは?」
「えぇ……まぁ」
未だ半信半疑ではあるが、これまでの非常識さを見て信じかけてはいる。
「ここは巨大な結界で現世と区切られた世界なの。しかし、さっき結界に異常が出たの」
「少し出るのが遅れるってことですか?」
話がわかる人のようだ――。
霊夢は頷きを返し、ちらりと紫へと視線をやった。
「で、紫どのくらいかしら?」
「え?これぐらいなら1週――1万年ね」
「死ぬわ!?」
小学生のような話の飛躍をする紫に、霊夢は小声で「1年くらいにしときなさいよ……」と言った。
声がダダ漏れである。
「と言ったところだけど、私なら1年でやれるわ!」
20数年の生きた日々の中で最高のドヤ顔を見た気がする。
こいつらは帰すつもりがない、ここまでくれば嫌でもわかってくる。
幻想郷。美女・美少女四人のいる世界。異世界という枠組みかもしれない。
そして――美醜逆転した世界かもしれない。
とても喜ばしい世界だ。巧にとって自分がイケメンであるかもしれない世界なのだから、それはそれは生きやすい世界かもしれない。
だが、そうだとしても、つらい現実だとしても、巧は両親や、共にプレイすることは叶わずとも、かつては競い合ったチームメイトを捨てることと天秤に乗せて比べると――やっぱりつらくても現実を選びたい。
往復できればいい、ていうか往復できないの?後で聞いてみよう、少なくとも今は外にでられないのは、口ぶりから真実のようだし、時間はあるし、そう往復できれば万事解決だ。往復できてください。
往復――往復できるよな?できないなんて言わないよな?
できなかったらどうしよう――。
と、思考が堂々巡りになったところで止める。
色々と可能性がある、ここが普通に現世である可能性もあるし、美醜逆転した世界じゃなくて、彼女たちがブサイクである巧をからかっているかもしれない。
情報が必要だ。少なくとも彼女たちがいないところで。
往復できないかなぁ……
これはあれだろうか……
一人で五作品くらい設定を変えて、東方の美醜逆転ものを書かなきゃ増えないのだろうか。
ランキング全部東方のあべこべものにならないかなぁ……
後で読んでみてはずかしかったりで書き直すかもしれません
更新とかは気分な感じかもしれません。たぶん週一以上は更新します。
暇があれば限界までやります。週六くらいするときもあります。
はじめに言った通りに長くはなりません、二十話くらいで終わらせます。
東方のあべこべ系列が増えれば満足して消えるかもしれません。
ある程度進むとタグが増えます。タグは秘密です。
いや修正する前に書いちゃったんで書くことにしますヤンデレです。
なんかすごいお気に入りが増えています。これはあれですね、東方美醜逆転ものの波が来たということでしょうか、明日ぐらいには二十くらい小説が増えてそうですね