死にたくない凡人の物語   作:はないちもんめ

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やっと原作主人公が喋ります


0.5 女の子は笑顔が一番

「これがアースラという名前の僕たちの艦だ。皆忙しくてもてなすことはできないが、安全だけは保証する。ゆっくりとくつろいでくれて構わない」

現在クロノは高町とユーノを連れてアースラ内へと戻ってきて、俺がいる艦長室のドアの向こう側で会話をしている。クロノは先ほど戦闘でフェイトを圧倒していたが、原作通り逃げられてしまったようだ。俺としても、ここでフェイトが捕まったら原作とかけ離れてしまうので、良かったのだが。

 

「え…と…くつろいでいいと言われても…」

 

「ああ、すまない。その反応が普通だな。最近一緒にいる地球人が2日ほどしか経っていないのに、何食わぬ顔で艦内を歩き回っていたものでね。少し感覚がおかしくなってしまったらしい」

 

「そんな人と私を比べないで下さい!というか、そんな人がいるんですか⁉︎」

 

「僕としてもあまり認めたくないが確かに存在している。まあ、そいつも感覚と神経が常識から少しばかり外れているだけで悪い奴ではない。それに高町なのはだったか?君も知っている男だぞ」

 

「えぇ⁉︎そんな人周りにいたかなぁ」

 

高町は必死で考えているが思い当たらないらしい。まあ、クラスメートと言っても、あまり関わりはないし、しょうがないね。しかし、クロノの俺への態度が日に日に悪くなっている気がしてならない。失礼な奴だ、こんな普通人はそうそういないと言うのに

 

「まあ、考えるより見た方が早いな。来たまえ。艦長と一緒にこの部屋にいるはずだ。艦長。失礼します」

 

「し、失礼します」

 

「失礼します」

 

どうやら入ってくるらしい。さて、どんな反応をするかな

  

「え・・・ええーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!????????????????ななななななななな、長峰君!!!!!!!???????」

 

「よう、久し振り」

 

「軽いよ!?というか、急性胃腸炎じゃなかったの!!!???」

 

「五日振りならこんなもんだろ。そしてその話は嘘だ」

 

「嘘!!!???」

 

うん、素晴らしい反応である。予想はしていたが、その予想を超えてくるとは、やるな高町。

 

「なのは、他に聞かなきゃいけない話があるんじゃない?」

 

「あ、そーだよ!長峰君急性胃腸炎じゃなかったら何で学校を休んでるの?それと何でここにいるの?そもそも長峰君は魔法使いなの!?」

 

「いっぺんに聞くな、いっぺんに。まあ、いいか。実はかくかくしかじかでな」

 

「分からないよ!?」

 

またも素晴らしい反応である。こんな逸材だと知っていれば、もっと早くから関わって(からかって)いたのに。

 

「悪いな、高町。実は長峰雄太というのは仮の姿でな。本当の俺は、海鳴の街の平和を影から守る管理局員だったのさ」

 

「「嘘!!!???」

 

「うん。嘘」

 

「「一体どっちなの」さ!!!」

 

今回はユーノまで加わった。しかし、初対面でここまで合わせられるとは。意外と俺たち良いトリオになれるかもしれない

 

「おい、いい加減からかうのはやめたらどうだ?」

 

「いや、良い反応をするからつい」

 

「からかってたの!!!???」

 

当たり前である。とはいえ、流石にそろそろ本当のことを話すか

 

 

10分後

 

「・・・というわけだ」

俺はこの五日間の出来事を高町とユーノに話した。未来予知についての話は除いてだが。リンディさんとクロノにも高町たちには俺の能力を言わないように頼んでいる。

 

「そうだったんだ・・・ごめんね、長峰君」

 

「?何で高町が謝るんだ?」

 

本気で高町が何で謝るのかが分からない。今の話のどこに高町が謝る要素があったのだろうか

 

「だってもしあの時私が長峰君の側のジュエルシードの反応に気付いていたら長峰君が巻き込まれることはなかったでしょ?だから・・・ごめん」

 

・・・何を言っているんだ、この幼女は

 

「てい」

 

「痛い!?」

 

とりあえず高町の頭にチョップをしといた。結構痛かったらしく、涙目になっているが気にせず俺は高町のほっぺを両手で引っ張る

 

「おー、良く伸びる」

 

「いひゃいよおー、ひゃにひゅるの!?」

 

「いや、あんまりにもバカなことを言ってるもんだからつい」

 

と言い、高町のほっぺたから手を放す。高町は涙目で少し赤くなった両ほほを押さえている。

 

「たく、何を言っているんだか、この子供は」

 

「長峰君も同じ年でしょ!?」

 

「少しは人の話を聞きなさい」

 

「長峰君だけには言われたくないよ!」

 

肩をすくめながら俺は続ける。

 

「あのな、あれは俺が勝手に出かけて勝手に巻き込まれただけだ。高町が悪いことなんて何一つないんだよ」

 

「でも・・・」

 

それでも高町の雰囲気は暗いままだ。仕方ないな。

 

「それにな。俺は今回の出来事に感謝してるんだぞ」

 

「え?そーなの?」

 

「当たり前だろ!魔法だぞ!!男の子なら一度は憧れるもんだろ」

 

実際これは本当である。魔法を実際に使えたときにはドキドキしたしな。・・・・肉体強化を魔法と言って良いのかは微妙だが。

 

「そうなんだ・・・良かった」

 

ほっと息を吐きだした高町。完全にではないが、多少なりとも明るくなれたのなら良かったかな。

 

「そちらの話は終わったかしら?」

 

ハッとしてみてみたらリンディさんとクロノがこちらを見ていた。しまった、気にしてなかった。

 

「すいません、待たせちゃいまして」

 

「わ、私もすいません。」

 

頭をかきながらの俺と高町が謝る。

 

「ふふ、良いのよ。なのはちゃんとユーノ君はこっちにきて。後、雄太君は後で私と一緒に雄太君のお母さんに会いに行くから向こうで待っててくれる?」

 

「はい。分かりました。それじゃあ、高町は明日学校でな」

 

「う、うん。分かった。後長峰君!」

 

「なんだよ?」

 

「私のことは今度からなのはって呼んで。私もゆーた君って呼ぶから」

 

何がそんなに嬉しいのか分からんが、満面の笑顔で言う高町。

 

「はいよ。なのは。また明日」

 

「うん。ゆーた君また明日!」

 

そのまま俺は部屋を出て行く。とりあえずはまあ、こんなとこか。

ふとにやにやしているエイミィさんが視界に入る。

 

「何ですか、一体」

 

「いやいや、なんだかんだ言って雄太君は優しいなーと思ってね」

 

俺のさっきの行動のどこにそんなもんが見えたのだろうか

 

「雄太君がさっき魔法使えるようになったから結果的におっけーって感じで言ったのは、なのはちゃんのためでしょ?あーゆー風に言えばなのはちゃんも気にしないですむしね。むふふ、口では未来は俺が関わらないでもハッピーエンドで終わるんだから関わる気はないって言ってたのにね」

 

更ににやにやしながら喋ってくるエイミィさん。俺としても心当たりはないわけではなかったので、少し恥ずかしい思いを隠すために視線をそらして言う。

 

「まあ、あれくらいじゃあ、別に未来が変わることはないでしょうしね。それに・・・」

 

「それに?」

 

「いや、何でもないです」

 

「えー、いーじゃん教えてよー」

 

「嫌です。絶対に」

 

しつこく言ってくるエイミィさんをあしらいつつ、自分の部屋に戻る。別に本当に大したことを思っていたわけじゃない。ただ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

できれば女の子には笑っていて欲しいって思っただけだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ちょっと格好つけすぎか・・・

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