死にたくない凡人の物語   作:はないちもんめ

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初めて3000字書いたら時間かかりました


0.4 嘘も言い続けてると真実になるっていうけど、嘘は嘘だから

「俺が何であんな時間にあんな場所にいたのか・・ですか。そんなもん簡単ですよ」

俺は真剣な目でリンディさんとクロノを見てはっきりと答える。

 

「窓の外に竜の巣が見えたんで、思わず追いかけちゃいまして」

 

「艦長。この不審人物を拘束しましょう」

 

「すいません、嘘です。許してください」

 

俺は即座にDOGEZAの体勢に移行し、誠心誠意謝る。クロノどころかリンディさんまで呆れたように俺を見ている。

 

チッやっぱりこんなふざけた言い訳では見逃してくれないか。

 

適当にユーノの声が聞こえたから出かけたとか、本当っぽい話をでっちあげても良いんだが、後になって嘘だとバレたら面倒なことになりそうだしなー

 

なによりそんな話を作る時間がない

 

考えた末に俺は

 

「何か俺にも良く分からないんですけど、俺って未来予知?に近い能力があるみたいなんですよ」

 

本当のことを話すことにした。

 

とは言っても、全部話すわけではない。今回の話に関係ない前世のこととかについては言わないつもりだ。

 

まあ、嘘はついてないから別に良いよね?

 

「未来予知だと?どういうことだ?それと君があの場所にいたのと何の関係がある?」

 

クロノが聞いてくる。

 

「未来予知って言ったら未来予知だよ。と言ってもこの先のことが全部分かる訳じゃない。これから起きる事件とか、まだ会っていない人とかの知識を断片的に持ってるってだけだ」

ただ、今回のジュエルシード事件のことは知ってたけどなと付け加えて言う。

 

ジュエルシード事件という言葉にクロノがピクっと反応した。

 

「じゃあ、雄太君があの時あの場所にいたのにはジュエルシードが関係してるのね?」

流石リンディさん。メチャクチャ鋭い

 

「はい、そうです。俺は知識としてジュエルシードの暴走体が暴れるのを知ってました。ただ、同時に何とかなるのも知ってたんで最初は特に関わる気もなかったんですけど、実際に起きると流石に気になっちゃいましてね。そんで、遠目で確認しようと出かけたら偶然ジュエルシードの暴走に巻き込まれちゃってこの様です」

俺はため息をつきながら言う。

 

「じゃあ、君はジュエルシードが暴走することを知っていたんだな?」

 

「あー、そーだよ。ついでに何でジュエルシード何て危険なもんが地球に流れてきたのかも知ってる」

この情報には驚きを隠せないクロノ。しかし、リンディさんは特に変化も見せずに質問をしてくる

 

「雄太君はこの事件に関してどこまで知っているの?」

 

「んー、俺が知っているのは海鳴市には今ジュエルシードが散らばっているってことと、そのジュエルシードを使ってプレシア・テスタロッサが娘であるアリシアを生き返らせようとしているってこと。後はそのために、プレシアはアリシアの遺伝子を元に作り出された人造生命体であるフェイト・テスタロッサにジュエルシードを集めさせようといているってことくらいですね。ついでに言うと、フェイトはアリシアのことなんて知らなくてただ母親であるプレシアのためにジュエルシードを集めているだけです。うろ覚えの知識ですから細かいところは違うかもしれませんが、大体は合っているはずです」

 

多分という言葉は心の中に閉まっておく

 

「プレシア・テスタロッサだと?」

リンディさんよりも先にクロノが反応した。

 

「あー、そうだ。ついでに言っとけばプレシアはフェイトをアリシアの偽物だと言って虐待している。自分で作って、自分で否定するなんて自分勝手にもほどがあるけどな」

ただ、それでもフェイトはプレシアのことが大好きなんだよなあ。確か昔は優しかったとかそんな設定があったような気もするが、どっちにしろ俺には理解出来んな

 

「君は何時からそのことを知っていたんだ?そもそもどうしてそんなことを知っている?」

 

「具体的には言えんが、物心がついたころには知識として頭の中にあったな。そして何で俺がそんなことを知っているのかということについてだが」

 

俺は肩を竦めるようにして言う

「そんなことはむしろ俺が聞きたいくらいだ」

 

これはまごうことなき俺の本心だ。本当に何で俺にこんな知識があるのかが分からん。仮に神様のような存在が未来(原作)を変えるために俺を転生させたとしたら、俺みたいなダメ人間を選ぶ必要がない。俺よりマシな人間などいくらでもいるだろう。

まあ、分からないことはいくら考えても分からないか。自分で自分を傷つけるのもなんか空しいし。

 

「そう。分かったわ。ごめんなさいね、雄太君。変な質問をしてしまって」

リンディさんが謝ってくる。とりあえずは信じてくれたと思っていいのか?

 

「まあ、俺としても怪しい行動はしてた自覚はあるし、別にいいですよ。特に不快な質問をされた訳でもありませんし」

 

「そう言ってくれると嬉しいわ。それじゃあ、そろそろ出発するから雄太君はこの部屋のドアの向こうに立ってるエイミィっていう女の子にこの艦の案内をして貰ってきて。エイミィには既に私から話を通してあるから」

 

「分かりました。じゃあ俺はこれで」

やっと終わったという安心感を持って俺は部屋を出る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ、高町の話をするの忘れてた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「艦長。今の話を信じるんですか?」

二人きりになった艦長室で僕は母さんに尋ねる。

 

「そーねー。クロノはどう思った?」

 

「今の状況では否定も肯定もできません。情報が少なすぎてあいつが言ってた情報が嘘か本当かも分かりませんから。ただ、あいつに僕たちに嘘をついて何か得があるとも思えませんし、話していた時の表情からは嘘をついている様子は見受けられませんでした」

 

「私も同意見よ。確かに、未来予知はかなり珍しいレアスキルだけど、確認されている例がないわけじゃないわ。確認したところ、あの子には家族も戸籍もあったしね」

どうやら母さんも僕と同意見のようだ。9歳にしてはこんな状況にも関わらず妙に落ち着いている変な奴だったが、まあ、とりあえずは信じていいだろう。

 

「ただ、かなり変な子みたいだけどね」

苦笑しながら母さんが言う。どうやらこんなことまで同意見のようだ。

 

「ですね。とりあえずは信じてやりますが、別の意味で問題があります」

きっぱりと言うと、母さんが笑う。

 

「ふふ。本人が聞いたら怒るわよ?」

 

「事実ですから」

どこかでクシュンとくしゃみの音がしたような気もするが、気のせいだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして二日後 海鳴市上空のアースラ内にて

「懐かしき海鳴。我が故郷よ」

 

「五日振りくらいで大げさな」

 

「こういうのは雰囲気が大事なんだよ」

俺が何となく言ったセリフにクロノが反応する。五日って言ったら短いように感じるかもしれないが、密度が半端なかったんだよ

 

「ん?誰かと誰かが戦っているぞ?」

 

「え?何処?」

 

「あそこだ」

指で教えてくれるクロノ。そこでは高町とフェイトが全力で戦っていた。ここでクロノが止めに入れば原作通りだな。

 

「フェイト・テスタロッサは分かるが・・・あの茶色い髪の女の子は誰だ?

 

「高町なのは。俺のクラスメートにして、今回の事件の立役者になる女の子だよ」

そして同時に、この物語の主役にして、ヒーローである

 

「そんなこと君から聞いた覚えがないんだが?」

 

「聞かれなかったからな」

 

実際は言い忘れただけだけど。横目で睨んでくるクロノに対してそんなことを思う。

 

「はあ。まあいい。僕はあの二人を止めてくるから君はここで大人しくしておけ」

 

「アイアイサー」

 

ビシッと敬礼しながら答える。クロノはため息をつきながら出ていく。そして・・・

 

「ストップだ!ここでの戦闘は危険すぎる」

 

クロノが高町とフェイトの戦闘を無理やり止める。

 

「時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ!詳しい事情を聞かせてもらおうか」

 

俺の原作への突入が始まった。

 

 

 




やっと主人公登場(なお、喋ってはいない)

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