「そんな訳で艦長室にやってきました」
「何を言っているんだ君は」
「いや、何て言うか............ノリ?」
クロノの素早いツッコミに俺がそう返すと、クロノは疲れたように「はあ……」
とため息をついた。俺の気のせいかもしれんが、クロノの俺への態度が会ってから僅かの間で随分と適当になった気がしてならない。
そんな俺たちのやり取りを俺を地球へと送り届けてくれる船(ぶっちゃけアースラである。初めて見たときは思わず写真を撮ってしまった)の艦長であるリンディ・ハラオウンさんは楽しそうに笑いながら見つめる。
「会って間もないのに、とても仲良くなっているのね、あなたたち」
「艦長。良く見てください。これが仲が良い人との会話に見えますか?」
「ええ、見えるわよ。そもそも、あなたがそんなに楽しそうに会話をしているのを久しぶりに見たわ」
クロノの質問にも一切笑顔を崩すことなく質問に答えるリンディさん。その笑顔を見て更に深いため息をつくクロノ。
何というか大変だな、こいつ。将来絶対ハゲるだろと思い、ハゲになったクロノを想像したら思わず吹き出してしまった。そしてそんな俺を睨み付けるクロノ。だから何で分かるんだよ。
ちなみに今地球の文化を勘違いしまくってる艦長室にいるのは、俺とクロノとリンディさんの3人だけ。せっかくだからエイミィにも会いたいが、まあ、その内会えるだろう。
「ふふ。クロノとお友達になってくれてありがとう雄太君。今更だけど、自己紹介ね。私はこの船アースラの艦長であり、クロノの母親でもあるリンディ・ハラオウンよ。よろしくね」
クスクスと笑いながら自己紹介をしてくれるリンディさん。原作で見たことがあるから知ってはいたが、こうして改めて見るとすっげー美人だな。これでクロノくらいの年の子供がいるとかマジで詐欺だろ。アポトキシン4869飲んだって言われても信じるぞ。
ちなみにどうでもいいが、俺は蘭が特別嫌いなわけじゃないけど、コナン君には灰原といい感じになって欲しい・・・・・・マジでどうでもいいな。
「初めまして。俺は長峰雄太って言います。わざわざ俺を地球まで送ってくれてありがとうございます」
「あらあら、別に気にしないでいいのよ?もうクロノから聞いているかもしれないけど、私たちには雄太君のことがなくても地球に行く用事があったし、そもそも困っている子供を助けるのは私たち大人の義務よ。雄太君が気にすることは何もないわ」
とウインクしながらリンディさんは言う。
俺は思わず見惚れてしまった。美人がするウインクにこれほどの破壊力があるとは。
元の体であれば、年の差も子供(クロノ)のことも関係なく惚れてしまっているに違いない。
「それで今から地球に向けて出発するわけだけど、その前に雄太君に聞きたいことがあるんだけど」
言いかしら?と聞くリンディさんの眼は優しい口調とは裏腹に先程とは異なり真剣そのものだった。
「何ですか」
俺も妄想を振り払い答えた。
「地球で雄太君がジュエルシードの暴走に巻き込まれた魔力波を調べたんだけど、その結果この魔力波が発生したのは深夜の時間帯だということが分かったの」
そっち系の質問か。クロノもリンディさんの言いたいことが分かったらしく訝しげな顔で俺のほうを見ている。
「つまり、雄太君がこの魔力波に巻き込まれたということは雄太君は深夜の時間帯に家を外出していたということになるわ。雄太君の年齢からすると、雄太君は小学校3年生よね?外出する時間帯としては遅すぎるわ。そこで教えてくれないかしら」
一拍おいてリンディさんは尋ねる
「なぜ、深夜の時間帯にジュエルシードが発動したあの場にいたのかを」
心なしか場の緊張感が高まった気がする。クロノは念のためかデバイスに手をかけている。
俺としては別に本当のことを言ったって良いのだが、本当のことを言ったところで信じて貰える気がしない。ぶっちゃけ俺なら信じない。
最悪、頭の心配をされて病院のお世話になることもあり得る。
さて、どう答えるのがベストかな
いつになったら主人公が出てくるんだよ・・・