アースラでティーダさんに会った日の夜。
「はぁ」
アースラでティーダさんと会ってからというもの、俺のテンションは降下の一途を辿っていた。なぜなら、これで俺が関わらなくてもティーダさんという不確定要素が闇の書事件に関わることが、ほぼ確実になったからだ。
「本当にどうすんだ、これ…」
こうなれば、俺が関わらずに勝手な変化が起こるよりも、原作を知る俺が原作通りに進むように、もしくは原作通りではなくとも解決できるように事件に関わった方が良いかもしれない。
「しかし、そうなると、どう関わるのかが重要になるな」
闇の書事件は色々な考えの者たちが、それぞれの正義の為に行動しているという非常に面倒臭い事件だ。ジュエルシード事件のような悪者(まあ、実際にはプレシアは悪者ではなかったのだが)が存在すれば楽なのだが、そうも言ってられない。その癖、事件を解決できなかった時の被害は恐らくジュエルシード事件の比ではない。…ヤバい、泣きたくなってきた。
話を戻そう。とにかく闇の書事件は色々な考えの者たちが出てくるので、俺がどのサイドに立つかが非常に重要になってくる。簡単に分けると俺が取れるパターンは4つだ。
パターン1 普通になのは達と行動してシグナム達と戦って原作通りに進める
パターン2 はやてと会ってシグナム達に蒐集するのを辞めさせて、管理局に協力させる
パターン3 グレアム提督に計画を止めるように助言する
パターン4 クロノ達に全部話して丸投げする
しかし、この4つどれも一長一短である。
パターン1は簡単にできるが、この場合事態がどう動くか全く分からなくなるのでダメだ。
パターン2は実現可能だが、シグナム達を説得できる自信がない。俺が未来を知っていると言っても信じてくれるとは思えないしな。
パターン3はパターン2と同じようにグレアム提督を説得できる自信がない。
パターン4もパターン1と同じように簡単にできる上に俺がほとんど何もしなくて良いという素晴らしい作戦だが、これまたクロノ達が信じてくれるかどうかが分からない。ジュエルシードの一件があるから信じてくれるとは思うが、あのグレアム提督が事件に関わっていると聞いたら微妙な所だ。それに俺の勘だが、クロノの言葉では、グレアム提督に計画を止めさせることはできない気がする。グレアム提督のような自分が悪いことをしていることを承知の上で、行動を起こしている人はクロノが言う正論では動かない。
「となると、俺が取れる選択肢は自信がないパターン2と3しかないわけか…」
更に、はぁとため息を吐く。ああ、面倒臭い。俺は、ただ普通に生きて、可愛い彼女と嫁がいればそれで良かったのに、どうしてこうなった。
まあ、今更文句を言っても仕方があるまい。この事件が終わったら、今度こそ俺は平凡に生きてやる。そのためにも、今はこの問題を解決せねば。
「しかしはやてに会うのは何とかなるとしても、グレアム提督にはどうやって会えば良いのやら」
はやてに会うには、確かすずかがはやてと友達のはずだから紹介して貰うのもありだし、それが無理でも図書館を探せば会えるだろう多分。そもそも同じ街に住んでいるのだから、方法は幾らでもある。
問題はグレアム提督だ。この人に会うのは俺一人がどれだけ頑張っても不可能だ。誰かの助けがいる。まあ、誰かと言ってもクロノ達か猫姉妹のどっちかになるだろうが。
しかし、この選択肢はあってないようなものだ。何故なら、クロノ達に闇の書事件のことを言わずにグレアム提督の紹介をして貰うことなど、俺にはできないからだ。しかし猫姉妹であれば、多分この時期には、はやての近くを見張っているだろうから会うことは可能だ。…俺が無事で済む保証はないけど。
「猫姉妹には会った時に考えよう。今考えると会う勇気がなくなりそうだ」
頭を振って俺は嫌な想像を振り払う。
「つまり、実質はやてに会えればグレアム提督にも会える可能性が出てくるわけだ」
はやての近くにいれば、猫姉妹を見つけることも可能だろうし、魔力を持っている俺がはやての近くに行けば向こうから警戒して、近寄ってくるかもしれない。つまり、はやてに会うことはグレアム提督に会うことにも繋がる可能性があるのだ。
「なら、とりあえず、はやてに会うことが先か。しょーがない、そこら辺の図書館をしらみつぶしに当たってみるか。ダメそうなら、その時考えよう」
雄太は、そのような計画を立てて眠ることにした。
…こんな穴だらけの計画を計画と言って良いのかは非常に微妙だが。
「まあ、何とかなるだろう
…多分」
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