死にたくない凡人の物語   作:はないちもんめ

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初投稿です。
気になる点は多々あると思いますが、暖かい目でお守り下さい。


0.0 落とし物を拾うときは気を付けましょう

 

あー、平和だ。

 

 

思考を完全に放棄してそんなことを思う。

人間は余りに予想外のことが起こると、一周回って逆に冷静になるらしい。

 

 

ついさっきまで、俺がいた場所とは全く違う景色を見て、今更過ぎる問いを自らにぶつける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何でこんなことになったんだっけ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

特に大した特徴もなく、特技もない私立聖祥大学付属小学校の3年生であるこの俺長峰雄太は、学校からの帰り道をスタスタ歩いていた。

 

いや、何の特徴もないと言っては語弊があるか。

信じてもらえるとは思わないし、言う必要もないと思っているので誰にも言っていないが、実は俺には前世の記憶がある。

 

とは言っても、別に死んだとかいう話ではない。気づいたら赤ん坊になっていたのだ。

もちろん最初はパニックになったが、人間とは不思議なもので、そんな普通ではありえないことでも時が経つと意外とすんなり受け入れられるようになっていた。

 

人間とは適応する動物だというが、いやはや大したものである。

 

とはいえ、小学校に入学してから同じクラスに高町なのはの姿を目にした時は流石に飲んでいた水を吹き出しかけてしまった。

 

”え?ここってリリカルなのはの世界なの?”

 

その事実に当初は、当惑したが暫くすると特に問題がないことに気が付いた。

 

正直、リリカルなのはについてはそんなに詳しくないが、確か概ねハッピーエンドで終わった物語だったはずだ。

 

とすると、別段俺が何かしなくともこの世界は表面上は平和に過ごせるはずである。

 

今の自分と同い年の女の子たちが傷だらけで必死になって戦うことに、男として思うところがないわけではないが頭脳も体力も運動神経も標準程度(ちなみにやや目つきは良くないが、容姿も身長も普通)の自分が加わったところで高町たちの助けになるとは、とてもじゃないが思えない。

 

ぶっちゃけ、足を引っ張る気しかしない。

 

そんなわけで、我ながらひどい男だとは思うが、俺は特に何かするわけでもなく、高町との仲を良好にするわけでもなく、ただただ平凡に小学校生活を楽しんでいた。

 

だから今日もそんな当たり前の一日を過ごすのだと思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、この瞬間までは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

助けて.......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰かの声が聞こえた気がした。

 

そして同時に高町が3年生であることを思い出し、これが原作の始まりの合図であることを悟った。

 

 

さて、どうするか

 

 

時期的にこれがユーノからの念話であることは分かった。

確かユーノは怪我をしているはずだが、それは高町が何とかしてくれるだろう。

 

ユーノも男に助けられるよりも女に助けられる方が嬉しいだろーし

 

それよりも問題は確か今日の夜に現れるはずのジュエルシードの暴走体だが.....

 

正直に言ってしまえば、俺がそこに行く必要は全くない。

 

俺が何もせずとも上手くいくのは原作が証明している

 

とはいうものの、改めて考え直してみれば高町が無事で済む保証は全くないのだ。

 

なぜなら、この世界に高町がいるからといって、この世界が原作通りに進むとは限らないのだから。

 

もう少し高町と仲良くなり、原作との共通点を探し出しておけばと少しだけ悔やんだが、まあ後の祭りだろう。

 

そんな気持ちを抱いたまま夜になり、ベットに入ったわけだが

 

 

 

 

 

気になって全く寝られない!!!!

 

 

 

 

 

このままぐだぐだと眠ることもできずにベッドの上で過ごしているよりも、高町が暴走体を倒した姿を遠目で見て安心した方が良いと思い、上着を着て双眼鏡を手に取り、両親にばれないようにこっそりと家を抜け出した。

 

目指すはユーノが預けられているはずの動物病院

 

この時の行動を将来の雄太が振り返った時にいつも思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの時大人しく家で寝ていたら、あんなに苦労することはなかったのに

 

 

……と。

 

 

 

 


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