彼女の秘密を知った俺は逃げられない   作:whiterain

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Merry Christmas!
Whiterainです

FGOの魔神柱を狩りながらで、投稿が間に合ったことホッとしてます。
マーリンも無事当たったことですし、良いクリスマスになりそう(*´∀`)

さて、今回のクリスマスの話はもしかしたらのIFの世界の話ですので時系列、人間関係の模様は全く本編と関係ありません。

それと挿絵が本来は予定無かった短編なので、Keyさんの方も時間がなくラフになっております。(前に言ったように私が急に書こうと思ったので)

前置きはこれくらいにして、クリスマス短編どうぞ!


番外 聖夜の贈り物

『寒いな・・・』

 

この寒いのに俺は何故トナカイのコスプレで外に立っているのだろう?

 

「陽詩さん、しっかりと働いてください

 私たちの生活が掛かっているんですよ!」

 

隣を見ればサンタのコスプレをした祈がいる。

道行く人が祈を見ていく。

俺から見ても似合ってるしな。

 

冬まで宮瀬 祈と関係を深め、今ではこんなにも親しくなった。

名前で呼び合える良い関係になったと言えれば良かったのだが・・・

 

この生活というのは普通一般人の考える生活と、祈の考える生活は別物である。

 

『生活っても、求めてるものがな・・・』

 

「何言ってるんですか?」

 

疑問を浮かべているが、相変わらずの威圧感。

これを何度くらったことか。

 

『何でもない・・・ケーキいかがですかー?

 クリスマスの必須のお供、これが無くちゃ初めらない

 恋人がいる貴方も居ない貴方もケーキは貴方を裏切らない!

 ケーキはいかがですか?』

 

「美味しいケーキはいかがですか?」 

 

本当に何でケーキ屋でバイトしてるんだろ?

 

「私が1人で居たら危ないでしょ?」

 

『人の心を読むなって!』

 

祈が何故、人を巻き込んでまでケーキ屋のバイトを始めたのかは少し前に戻る。

 

 

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「何と言うこと・・・・」

 

祈はパソコンを見ながら戦慄していた。

 

いつもならこの場所でアニメ鑑賞会やら読書やらと行われているところだが今日は違った。

 

「最近確認を行っていたわ・・・

 これは私の怠慢が招いた問題よ」

 

『何を見てるんだよ?』

 

後ろからのぞき込んでみれば

 

『うわ、エロゲかよ』

 

「これ以外にも!」

 

祈はそう言ってタブを次々と変えていく。

どれもゲームというのには変わりなかったが。

 

中には俺が買おうと思っていた物もあった。

 

『それで、何がそんなに驚愕なんだよ?』

 

「知ってたなら・・・話題に挙げなさいよ」

 

『は?』

 

「お金が足りないのよ・・・」

 

使いすぎたか。

俺らのオタク趣味に限った話しではないが、趣味というのはお金がかかる。

それはどんな趣味でも変わらないと思う。

 

そして、高校生の持てる財力なんてたかが知れている。

いや、親友とその婚約者っていう例外もいるけど。

 

「限定版を取らないわけにはいかないのよ」

 

『お前、本当に俺より凄いよな』

 

俺にはそこまでの拘り無い。

ましてや、仕送りで一人暮らししている身としてはそこまで出来ない。

 

俺はどこかの、塩水をおかずに砂糖水を飲んだり、1/64なのに1/67のカップラーメンという

バカでFな人とは違うのだ。

 

「どうしたら・・・・」

 

『いや、まだ発売まで猶予あるんだから普通にバイトすれば良いんじゃないの?』

 

俺はこの時に迂闊に言ってしまったことを後悔している。

何か売れば良いんじゃない?とかお金をとりあえず借りるという案を提案すれば良かったのだ。

 

「バイト・・・この時期なら・・・そうよ!」

 

祈は不意に立ち上がり、いつも通りの不審者地味た変装をすると

 

「陽詩出かけるわよ!」

 

『えっ?ちょっとどこに行くんだよ!?』

 

俺を引っ張って外へと駆けていった。

 

 

 

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「ここよ」

 

『いやここって言われても、どこだよここ?』

 

連れてこられたのが、今いるケーキ屋だった。

 

「私の知り合いがやっているケーキ屋でクリスマスが近付くと人手がいるから

 短期募集かけるの」

 

『へぇ・・・それで?』

 

「陽詩の言ったようにバイトでお金を稼ぎ、目指せ限定版よ」

 

『いや、だから俺が聞きたいのは何で俺までここに来たのってこと』

 

「貴方が提案したから私が来たのに、貴方が来ないわけにいかないじゃない?」

 

確かに提案したのは俺だが、だからといって俺まで一緒に来ないといけない理由は無いと思う。

お金に困ってる訳でもないし・・・

 

『ちっ、付き合うから早く行くぞ』

 

どうせ、逃げれないなら早く終わらせるに限る。

俺はここでも選択を間違えていた。

無理にでも逃げれば寒空の中立つことは無かったのだ。

 

「こんにちはー、お久しぶりです藍さん」

 

「あら、祈ちゃん今日はどうしたの?」

 

ケーキ屋の店長さんは新田 藍さんと言ってニコニコした綺麗なお姉さんだった。

祈とどんな関係なのかは詳しくはわからないが、中学の頃にお世話になったらしい。

 

「バイトは2人で良いの?」

 

『いいえ、俺は「はい、私たちの2人で」おい』

 

「あらあら、仲良いのね」

 

『そんなことな「ええ、彼は私のことを良く理解してくれる良いお友達です」おぅ・・・』

 

また話させて貰えないぜ。

いえ、良いお友達と言ってくれることについては嬉しく思っております。

 

『ところで、俺は別に「それじゃ、2人ともこっちに来てね」貴方もですか』

 

何だろ、ここからは逃がして貰えないのだろうか?

 

「ほら、陽詩さん行きましょう?」

 

『なんでさ・・・』

 

裏の事務所に案内されて、仕事内容について説明された。

簡単に言えば、売り込みと接客をしてくださいということ。

藍さんはクリスマスに向けたケーキ作りで忙しくなるため、バイトが必要になるとのこと。

 

「それじゃ、これからクリスマスまでお願いね」

 

「わかりました」

 

『あー、はい』

 

「あ、2人とも制服はこれよ」

 

藍さんがそう言って取り出したのは2つの異なる制服。

 

いや、制服と言って良い物なのだろうか?

 

『すいません、俺の目にはトナカイとサンタのコスプレ衣装にしか見えないんですが?』

 

「こっちのトナカイの方が悠木君で、こっちのサンタの方が祈ちゃんよ」

 

この人話し聞かねー。

 

『おい、祈はあんなの着れるのか?』

 

「私にはあの変装があるのでサンタの衣装くらい「勿論、あの格好は禁止よ?」え?」

 

そりゃ、そうでしょうよ。

あんな格好で接客業をやらせるような店があったらビックリだ。

 

『良いじゃないか祈、俺も着るから着ようぜ?』

 

耳元で、限定版が掛かってるぞというのも忘れない。

 

「うーん・・・でも・・・さすがに」

 

祈は藍さんの持つサンタ衣装をチラチラと見ながら葛藤している。

さすがの祈も限定版がかかっていても悩む領域らしい。

 

「いえ、藍さんがお困りなら私は恥ずかしいですが・・・そのサンタ衣装着ます!」

 

綺麗事を言ってるけど、絶対そんなことは考えてない。

頭の中にあるのは限定版の事だけだろう。

 

「したら、悠木君は向こうで着替えてきてね」

 

『あ、わかりました』

 

藍さんの手からトナカイの衣装を受け取って、指示された場所へ向かう。

 

『うわ・・・サイズがピッタリだ』

 

ピッタリ過ぎて正直引くレベルだ。

俺の為に作られたと言ってもおかしくないサイズ感。

 

「悠木くん着替え終わった?」

 

『終わってます』

 

「じゃあ、お披露目ね」

 

元居た場所に戻ると、少し恥ずかしがった祈が居た。

 

「何ですか?何か言いたいんですか?」

 

サンタの衣装が今の恥ずかしがる祈とマッチしてもの凄く可愛く感じる。

 

『いや、似合ってると思うよ

 可愛いんじゃないかな』

 

「何言ってるんですか!?

 バカじゃないんですか!」

 

まぁ、こう言われるだろうとは思っていたが。

 

「祈ちゃん、彼氏に褒められて恥ずかしかったのよねー」

 

『「彼氏じゃありません!!」』

 

「あら息ピッタリ」

 

祈に目を合わせて、お互いに頷く。

お互いにわかっていたのだろう、この人に否定しても無駄だということ。

だって、何言っても通じる気がしないんだもん。

 

「それじゃあ、頑張っていこうね!」

 

『「おー・・・」』

 

ぐだぐだ感半端ないな。

 

 

 

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そんなこんなであの日から働き続け、今日24日を迎えた。

 

『何で24日のクリスマスイブにこんなことしてるんだろ・・・』

 

恋人が居る人は今日という日を満喫していることだろう。

実際、ケーキを買いに来ている人にはカップルも数多くいた。

 

「私だってそれは同じですよ」

 

『いや、祈には買うという目的があるでしょ?』

 

俺なんてほとんど、祈の付き添いにしかなってない。

まぁ、口で嫌々とは言うが本気で嫌なら全力で逃げるが。

 

逃げれるかは別として・・・

 

「陽詩さんだって、良いのではないですか?」

 

『どこがだよ?』

 

「イブに可愛い女の子と過ごせてますよ?

 それにクリスマスだって一緒です」

 

すごい、否定してやりたい。

どこに可愛い女の子が居るんだと。

 

それでも、実際に可愛いと思ってしまう以上そんなことは言えないのが辛いところなんだよなぁ・・・

 

『こんなバイトじゃ無く祈と2人きりで過ごしたかったよ』

 

否定できないなら手法を変えるしかない。

自分で言ってて恥ずかしくなるが、今更祈相手に恥ずかしがっても仕方ない!

 

いや、そう思わないとこんなの出来ないぜ!

 

「なぁ・・・!?」

 

ある程度付き合ってわかったことだが、祈はストレートに言われることに慣れていない。

猫を被ってるのがバレていない相手には隠せるが、慣れた相手に面と向かって言われると

今のように顔を真っ赤にして

 

「何言ってるの!?バカなの!?何言ってくれちゃってるの!?」

 

『本性混ざってるぞ』

 

処理オチすると、咄嗟に隠しきれない部分が出てくる。

 

「何のことですか?」

 

『一気に変えたな・・・』

 

客の居ない間はこんな感じに祈と話しながら客引きをする。

案外、仲の良い友達とやるバイトってのは楽しいかもしれない。

 

こんな感じに働けるのは藍さんのところだけかもしれんが・・・

 

「お疲れさまでした」

 

『お疲れ』

 

冬になれば日が短く、暗くなるのも早い。

そんな中、女の子を1人で帰すわけにはいかなく、バイトを初めてからこんな風に毎日家に送っている。

さすがに段々と通い慣れてきた道だ。

 

「明日で最後ですね」

 

『そうだな』

 

感慨深くなるほど、働いている訳でもないので特に思い入れは無い。

そのため、ただ淡々と答える。

 

「寒くならないと良いのですが・・・」

 

祈は手に息をはぁーとかけて手を温める。

 

『手、寒いのか?』

 

「だからって、手を繋いだりはしませんよ?」

 

『そんなこと言ってないじゃん!?』

 

別にただ思ったままに言っただけであって、そんな考えは欠片も無かった。

既に慣れたことだが、こいつはギャルゲーとかの発想にだいぶ浸食さてていると思う。

 

「狙ってたのでは?」

 

『違うって!ほら、もう家着いたぞ?』

 

この丁度良いタイミングでの到着。

なんとも素晴らしい。

 

「それでは別の機会にしますか・・・また明日」

 

『お、おぅ』

 

その別の機会が訪れないことを永久に祈る。

というか俺別に悪くないと思うのだが・・・変なつもりで言った訳じゃあるまいし。

 

『さて、ちょっと寄ってくか』

 

家まで送り届けた帰りに、服屋に寄った。

どうも祈を見ていると自分の首もとが寒くなってくる。

 

『良い物があれば良いんだけど・・・うん?・・・これ良い感じだな』

 

そのモノを手に取り、レジに持って行く。

ただ、それはマフラーではなく、何故か綺麗にラッピングされていた。

 

 

『寒いな・・・本当に』

 

それを鞄に仕舞い、明日に備えるべく早めに家に帰った

 

 

 

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「陽詩さんお疲れ様でした」

 

『本当だな・・・さすがクリスマス当日と言うべきか』

 

予想じゃイブの方が人は多いかと思ったんだが・・・

この店にはイブより当日の方が買いに来る人は多かった。

 

『これで、目的の金額には達したんだろ?』

 

「はい、おつりが来るくらいですよ」

 

『なら、とっとと帰ろう』

 

「そんなに急いで帰りたいんですか?

 あ、誰かと約束してるとか」

 

そんな誰かと約束してるようなことあったら、もう少し楽しそうにしていたと思う。

というわけで、

 

『俺が聖夜を過ごす相手は君だよ・・・いや君しかいないんだよ』

 

「それは嬉しいです!私も貴方のことだけを想って、今日という日を一日千秋の思いで待ち続けてきました」

 

『な・・・!』

 

何恥ずかしいこと言ってる!

頬が熱い

予想していなかったカウンターに思わず俺の方の顔が赤くなっていると思う。

 

「さすがに、連日来れば予想出来ますよ?」

 

『悪かったよ・・・』

 

両手を挙げて降参を表す。

 

「でも、もう少し一緒に居ても良いんですよ?」

 

『何かの冗談か?』

 

「いいえ、さっき藍さんに私たちの分のケーキを貰ったので一緒に食べましょう」

 

『お、良いね・・・場所は?』

 

「陽詩さんの家で」

 

『まぁ、いいか』

 

そのまま祈と2人俺の家に向かう。

冗談で言っていた聖夜は本当に祈と過ごすことになった。

 

しかも2人きりだぜ!

それこそ、クラスメイトにバレたらそれこそボコボコにされちまうな

 

「少し待ってて」

 

『ん?あぁ』

 

祈はそのままケーキを持って俺の部屋に入った。

 

『その間に紅茶でも入れるか・・・』

 

台所に行き、カップに紅茶を入れそのままソファに腰掛ける。

 

『本当に、疲れたな』

 

ちょんちょん

 

後ろから背中を突かれ、振り返れば

 

「Have yourself a merry little Christmas!

サンタの贈るケーキはいかがですか?」

 

『うわっ! それどうしたんだよ?』

 

祈はバイトの時に着ていたサンタの衣装を着て、片手にケーキを持ってこちらに微笑みかけていた。

 

「今日だけ、借りてきたのよ」

 

『よく貸してくれたな・・・というかよく着たな』

 

「1年で今日しか着る機会は無いし、恥ずかしいけど嫌いじゃないのよ」

 

『まぁ、嫌いには見えないわ』

 

オタク魂溢れる祈で、実際容姿も良い祈ならこういう格好はものすごく似合う。

 

「それじゃ、食べましょ」

 

『おう、砂糖とかは好きに使ってくれ』

 

「ありがと」

 

『まさか、祈と本当にこんな風にクリスマスを過ごすとは思わなかった』

 

当初の予定なら、バイトを終えて帰ってきたらバタンキューだと思っていた。

 

「ふふ、貴方に渡したいものもあったから」

 

祈はそう言うと紙袋をこちらに渡した。

 

『何これ?』

 

「開けてみて」

 

祈に言われたままに紙袋を開けるとチェックのマフラー。

 

『これは・・・』

 

「一応手作りなのよ、今日まで付き合ってもらって送ってもらってた御礼よ

 それと今日はクリスマスだから」

 

『祈サンタからのプレゼントってことか』

 

まさか、祈からマフラーが貰えるとは。

しかも手作りと言われると尚更嬉しい。

 

『だが、祈からもらうだけもらってお返しを出来ないなんて男が廃るよな』

 

どうにか祈に渡そうと隠していたものを祈に渡す。

 

「手袋?」

 

昨日買ってきたラビットファーの手袋。

マフラーを買おうと思ったが、この手袋を見て更に祈の冷たそうな手を見たとき、買わなきゃいけないと思った。

 

それにこれは祈に良く似合う。

 

『祈に良く似合うと思ってさ・・・』

 

「お互いにプレゼントを用意してたのね」

 

別にそんな気配をだしていたわけじゃないのに、お互いにプレゼントを用意していた。

クリスマスということを差し引いてもなかなか無い偶然だ。

 

それでも、本当に良いクリスマスになった。

 

『祈、Merry Christmas!』

 

「陽詩、Merry Christmas」

 

 

その帰り道、片手をポケットに入れて歩く少年の首には手作りのマフラーが、隣を歩く少女の両手にはラビットファーの手袋があった。

 

そして少年の片手は、手袋をはいた少女の手に包まれていた。




こんにちはKeyです!
町ではクリスマスムード一色ですね〜!
私はとりあえずケーキだけ食べました。
久しぶりに食べると美味しく感じますよね!笑

今回の挿絵なんですが前回のあとがきに書かせていただいたとおりラフ画になりました!
色つけに関してはまだ未定なのでいつか暇があればやっていきたいです!
こちらで出すかpixivの方で出すかはwhiterainさんと話して決めていきます!


【挿絵表示】


次回についてはそろそろ皆の設定画でも描こうと思っています!(今更ですが)
ただ量が少し多いのでラフ画で描けた人を載せていきます。しばらく色つけはお休みします、ごめんなさい(>_<)
それでは皆さん良い年末年始を!!」

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