彼女の秘密を知った俺は逃げられない   作:whiterain

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どーも、whiterainです!
ごらん頂いた皆様ありがとうがざいますm(_ _)m

あっ、まだ見てないか

この先、後書きはKeyさんに押しつけ・・・任せたので挿絵も後書きの方に載せていきたいと思います。

というわけで2話目でございます。

今回からはテスト編ということで適当に流して・・・真剣にテストを書いていきたいと思います。

作中に数学の問題が出てきますが、多分合ってると信じてます。
もう、だいぶ忘れているので・・・

来月には第七特異点が始まるから、今月中に執筆頑張らないといけません!
whiterainは全国のマスターの皆様を応援しております

次回更新は11月21日2時00を予定しております


2話 テスト-1

『はぁ・・・・』

 

目を醒まして、ため息が出る。

今日から、俺の高校生活はどうなってしまうのだろう?

 

「陽詩くん!」

 

『どうした小豆?』

 

いつもは家の前で待っている小豆が気付けば部屋まで入ってきていた。

 

「陽詩くんが全然出てこないからだよ

 遅刻しちゃうよ?」

 

『え?』

 

時計を見れば、急がなければ遅刻する時間だった。

ため息をつきながら自分の高校生活を憂いてだけでこんなに時間が経っていることに気付けないとは。

 

『まずいな、急ぐぞ小豆』

 

とりあえず、なるようにしかならない以上、今は学校に行くしかない。

 

「あっ、陽詩くん待って」

 

急いで部屋から飛び出した俺の後を小豆が追うように部屋から飛び出す

 

『急げ小豆!』

 

「私、そんなに早く走れないよ!」

 

走れば走るほど、小豆との距離が離れていく。

無理もないか、小豆は運動が得意な訳でもないし、体力があるわけじゃない。

 

小豆を置いていけば、確実に間に合うかも知れないが。

 

『そんなこと出来ないよな!』

 

「あっ!」

 

小豆の手を掴み、引っ張るように走る。

これでもギリギリかもしれないが、間に合う可能性もある。

 

俺は小豆の手を引っ張って走り続けた。

 

 

 

 

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『はぁはぁ・・・小豆大丈夫か?』

 

「だ・・だいじょう・・・ぶ」

 

何とかチャイムと同時に教室に飛び込むことが出来た。

俺は、息が乱れた程度だが、小豆には無理をさせたと思う。

 

吐きそうになってたりとかしなければ良いのだが。

 

「悠木君、おはようございます」

 

『あ・・あぁ、おはよう』

 

自分の席に向かう途中、まさか宮瀬から挨拶されるとは思わなかった。

変に勘ぐられないために、教室では声を掛けてこないと思ったのだが。

 

『さすがに疲れたな』

 

机に突っ伏していると横のミスターから声を掛けられる。

 

「朝からトレーニングか! さすがだな」

 

今日も変わらずズレている。

 

『そんなわけ無いだろ?

 昨日色々あって考え事があったんだよ』

 

「何があったんだ?」

 

『いや、それがな・・・ん?』

 

ポケットでスマホが震えた。

着信音は消しているが、まぁバイブレーションくらいならポケットに入れておけば目立たないだろうと無くしていない。

 

チャイムがなったがまだ教師が来ていないため、ポケットからスマホを出す。

 

『メール?』

 

開くとそこには昨日アドレスを交換したばかりの宮瀬からのメールだった。

 

[余計なことを言うと、潰しますよ?]

 

潰す!?どこを!?

 

恐る恐る後ろを振り返ると、宮瀬がマフラーで口元を隠し、イイ笑顔でこっちを見ていた。

良い笑顔でなく、イイ笑顔だった。

 

余計なことを言ってはいけない!

何か底知れぬ恐怖がそこにはあった。

 

『いや、まぁ、大したことじゃねぇよ?』

 

「さては、あれだな?

 俺と同じく明後日のテストに向けて勘を養っているんだな?」

 

『あはは、そんなわけ・・・今なんて言った?』

 

「勘を養う?」

 

『違うその前だ!』

 

「明後日テスト?」

 

『何だそれ聞いていないぞ!?』

 

 

テストなんて全く聞いていない。

昨日もそんなことは言ってなかったはずだ。

 

ならテストなんてあってたまるか

 

「何を言ってるんだよ?春休み前に言ってたろ

 いや、陽詩は寝てたんだったか?」

 

『寝たかは知らんが記憶にはない・・』

 

「ま、テストなんて勘で何とかなるだろ

 おっと、来やがったな」

 

 

ミスターの言うとおり、教師が来たようだが俺の頭の中は今日初めて聞いたテストの存在で

いっぱいだった。

 

 

HRの時は

 

担任「明後日はテストですから、しっかりと勉強してきてくださいね」

 

 

1時限目 

 

教師Aより

 

「明後日はテストだからしっかり勉強しろよ?」

 

2時限目

 

教師Bより

 

「テストだが赤点は取るなよ?私の評価に関わるんだからな」

 

3時限目

 

教師Cより

 

「テストは青春だ!!いま、お前らは何を言っているんだと思っているだろう?

    テストなんかで学校生活がバラ色になるのか!?そんなのなるわけがないとも思うだろう?

    俺もそう思う」

 

4時限目

 

教師?より

 

「テストニハモテパワーガジュウヨウデス!」

 

などなどとテストの話しが必ずあった。

 

「あれ・・・?個性的な教師は無視するの?」

 

『あぁ、小豆じゃないか』

 

確かに変な教師がいた気はするが、全然気にならなかった。

1日でどう赤点を回避するか?

 

回避できなければ、再試→補習の流れは免れない。

 

「大丈夫だよ、陽詩くんなら」

 

『だから知らなかったんだ・・・このままじゃミスターと同じく

 補習の未来が・・補習が迫ってくるんだ!』

 

「陽詩くんの中では水田くんは補習なんだね」

 

小豆が苦笑いするが、そんなおかしいことだろうか?

ミスターが補習じゃなかったら誰も赤点なんて取らない(決めつけ)

そんな中で、もう1人の赤点候補が声をかけてくる。

 

「そりゃ、そうでしょミスター君だよ?」

 

『・・・美夏も人のこと言えないだろ?』

 

ミスターはミスターで勘で答えるアホだが、美夏は美夏で珍回答を生むバカである。

 

「陽詩は私のことをバカだと思ってるでしょ?」

 

『当たり前だろ?違うなら”どんより”って言葉を使って文章を作ってくれ』

 

それを聞くと美夏は何を簡単なことを聞いてくれているんだろうとやれやれと手を横にあげる。

 

「私はうどんよりそばが好き!」

 

『「・・・」』

 

何で彼女が進級出来たのか・・・いや、なぜ入学出来たのかが分からない。

 

「私の完璧な答えに驚きを隠せないようね」

 

「・・・美夏ちゃん」

 

小豆が慈しむ笑みで美夏の肩に手を置く。

 

「一緒に勉強しようね」

 

「うん・・・」

 

『あぁ・・・えっと、ところで小豆は俺に何か用があったんじゃないのか?』

 

「あっ、うん・・・今日は私美夏ちゃんと一緒に勉強会するから一緒にどうかなと思って」

 

『勉強会か』

 

確かにテストすら知らなかった俺にはありがたい話しだ。

受けない理由が無いと、答えようとしたとき再度スマホが震えた。

 

着信 宮瀬 祈

 

『電話か・・・ちょっと、ごめん』

 

小豆達に断り、少し離れたところで電話に出る。

 

「まだ学校にいますね?」

 

『あぁ・・・』

 

「では、昨日の教室で待ってます」

 

『あっ! ちょっと今日は・・・切れたし』

 

テストが近いから小豆達と勉強会したいし、出来れば行きたくないのだが、宮瀬はテスト大丈夫なのだろうか?

多分大丈夫なんだろうなぁ

 

だけど、行かなければ何を言われるかわかったものじゃない。

 

『ごめん、小豆今日はちょっと無理そう』

 

「そう・・残念」

 

本当に悲しそうに肩を落とす小豆に罪悪感に苛まれる。

 

「ちょっと、陽詩」

 

『あー、明日みんなでやろう

 ミスターに正紀と絵里香も呼んでさ』

 

美夏に言われるまでも無く、小豆をこのままにしていけるほど薄情なつもりはない。

 

「うん、明日は一緒にやろうね」

 

少しくらいは小豆も嬉しそうにしてくれたと思う。

あんまり、時間をかけると宮瀬からまた催促の電話が来るかも知れない。

 

『じゃあ、ごめん

 また明日一緒にな』

 

小豆達に別れを告げて、俺は昨日の空き教室に向かった。

 

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「来ましたね」

 

『そりゃな・・・で、今日は何のようだ?』

 

「早いうちに決めておくことを決めないと、貴方は要らないことを話してしまいそうだから」

 

スマホを指さし、今日のことだと宮瀬は告げる。

 

『良いけどさ、協力関係って言っても俺は宮瀬のオタクのことを黙っておくだろ?』

 

「ええ、私も貴方がオタクであることは知っているけど、それは隠しているの?」

 

『まぁ、隠してると言えば隠してるけど、俺がバレたときと宮瀬がバレたときじゃ衝撃は段違いだけどな』

 

俺の場合は中学の時のことを顧みて、オタクであることを隠した方が彼女が出来るんじゃないかと思ったから

隠しているだけだ。

中学の時は、運動神経も良いし、顔も悪くないのに何でモテないのかと話していた時に、オタク具合がドン引きするレベルで

出てるからじゃないか?と言われたことがある。

 

そのため、高校では隠すことにしたが、ミスターや小豆は知っていることだ。

 

「私は貴方にバレたことも衝撃だわ・・」

 

『なら、何でマフラー着けてるんだよ?俺が見えたのが偶然とはいえ目立つだろ』

 

「良いじゃない・・私は極度の冷え性なの」

 

顔を赤くして目線を逸らす祈。

そんなに冷え性なことを恥ずかしがるだろうか?

それに、何でマフラーなのか?

 

『マフラーで意味があるのか?』

 

「あるの! 今は関係ないでしょう!?」

 

祈の大声に、少しビックリしながらもこれ以上追求しない方がいいだろうと思った。

そんなに深く気になるわけでもない。

 

『そんなに大声出すと、誰かに気付かれるぞ?』

 

「誰が出させたの・・」

 

勝手に大声出したんだろと口に出せばまた繰り返しになるのだろう。

余計なことは言わないに限る。

 

『とりあえず、宮瀬について話さなきゃ良いんだろ?』

 

「ええ、あと私も教室では・・・悠木君とはこんなに話させていただきますが

 変な反応はしないようにお願いします

 

『変える必要あるのか』

 

別にどっちで話したところで特に変わるようには思えないが。

 

「私が貴方だけ、こんな話し方をしたら特別な関係に思われるでしょ?

  それに私は品行方正な優等生で通しているの」

 

なら、俺にも丁寧に話してくれれば良いのでは?

とか、品行方正なら制服にマフラーはどうなの?

いや、言ったところで疲れるから嫌だ、冷え性なのみたいなことを言われる気がする。

 

『いや、まぁわかったよ』

 

「あとは、私の話に付き合って」

 

『それじゃ、さっきの話しと矛盾しないか?』

 

特別な関係を疑われたくないと言っておいて、話しに付き合えとはどういうことだろうか

 

「普段教室でと言うことでは無いの、昼休みや放課後と言った時間にこの場所でですよ」

 

『それは構わないが・・・』

 

ここに来る生徒だっているのでは無いだろうか?

メールなり電話なりもあるのだから、別にそんなことする必要も無いだろう。

 

「バレる可能性を言っているのなら、ここの教室なら大丈夫でしょ

 端の教室ですし、誰も使っていないことも確認済み」

 

『まぁ、宮瀬がそう言うなら信じるが・・・とりあえず、明日からで良いか?

 今日は早く帰りたいのだが』

 

明日からテストだと言うのに、こんなところで時間を使ってはいたくない。

それこそ、赤点を取ったら目も当てられない。

 

「何かあるの?」

 

『天下の宮瀬祈様には関係無いかも知れない話しだが、俺は明日からのテストですら赤点かもしれないんだ』

 

「言葉に刺があるわね、そんなに難しいものでは無いでしょ?」

 

これが、優等生宮瀬祈か

難しいものじゃない?

全国の赤点に苦しむ学生達(ミスターと美夏は除く)に謝って欲しい。

 

『天下の宮瀬祈様とは頭の出来が違うのですよ・・・』

 

「喧嘩売ってる?潰しますよ」

 

『ごめんなさい! まぁ、苦しむ人の気持ちも分かって欲しいってことだ』

 

「普段からしていれば苦労しないでしょうに・・・良いわ」

 

祈は自分の鞄に近づき、ノートや筆記用具を取り出す。

 

「私が貴方に勉強を教えてあげる・・今日1日あれば赤点の回避じゃ当たり前に、平均点くらいは簡単に取れると思う」

 

『マジで!良いの?』

 

こちらとしては願ったり叶ったりの話しだ。

学年有数の秀才たる宮瀬に習えば、1人でやるよりも進むだろう。

 

これなら、行けるかも知れない。

いや、これだけで協力関係を結んだ意味がある。

 

「貴方が再試や補習になったら私の話し相手がいなくなるからよ」

 

これが顔を赤くして、顔を逸らしながら言ってくれればツンデレ最高!と言えるのだが。

現在の宮瀬は、普通に呆れて仕方ないといったようにしか見えない。

 

祈が俺の横に座る。

 

「それで、どこが分からないの?」

 

『言って良いのか?』

 

俺のテストに対するレベルは人様とはひと味もふた味も違う。

 

「それを聞かないと教えようが無いじゃない」

 

『まず!テストの範囲から知らないぜ!』

 

「・・・」

 

宮瀬のゴミを見るような目が辛い。

そりゃ、俺だってテストの範囲くらい調べようと思った。

 

だが、あとで小豆に聞けばいいやという気持ちと今更聞くのもヤバイよなという気持ちに揺さぶられ

気付けば今の状況になってしまった。

だからこそ、最初は勉強会に行きたかったんだ。

美夏だってどうせ範囲知らないだろうし(決めつけ)

 

「本当に駄目人間、良くそれで勉強しようとか言ってたわね」

 

『酷いな!確かに俺が悪いけどさ・・・それで範囲は?』

 

「そんなに難しいものじゃありません、ほぼ1年生の時の範囲ですし、宿題で出ていた物が殆どらしいですから」

 

『春休みの宿題から?なら何とかなるかな』

 

「これをやってみて」

 

a^3+b^3+c^3-3abc              

3次の因数分解。

これが3次の因数分解だということは分かる。

 

『俺は2個までが限界だぜ?』

 

「致命的ね・・・良い?」

 

宮瀬は自分のノートをこちらに寄せ、説明してくれる。

宮瀬が側に寄ったとき、髪から漂うフルーティーフローラルの香り。

 

自分とは全く違い、幼なじみとも違う良い香り。

近くにいること実感させられて恥ずかしくなる。

 

「ちょっと聞いてる?」

 

ボーッとしていた俺を宮瀬がジト目で見ている。

 

『あっ、ごめん』

 

「ちゃんと集中して」

 

集中してくださいと言われても、こんな近くにまだ慣れていない女の子

しかも、それがこんな美少女だと思うと気恥ずかしくなって集中出来る物じゃない。

 

でも、集中しないと赤点だ、ミスターと同レベルだと言い聞かせて無理矢理集中させる。

 

『もう大丈夫だ、頼む』

 

「良い、これは」

 

a^3+b^3+c^3-3abc   

=(a+b)^3-3a^2b-3ab^2+c^3-3abc

 

「まず、(a+b)^3を作るの

 そして・・・」

 

=(a+b)^3+c^3-3ab^2+c^3-3abc

={(a+b)+c}{(a+b)^2-(a+b)c+c^2}-3a^2b-3ab^2-3abc

=(a+b+c)(a^2+b^2+c^2+2ab-bc-ca)-3ab(a+b+c)

=(a+b+c)(a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca)

 

「こうなるのがわかる?」

 

『・・・』

 

「わかってないわね・・・」

 

『さっぱりだ』

 

「それで宿題どうやったのよ?」

 

『わからないところは飛ばして、適度に

 全部は無理だろ・・・というかこんな問題あったか?』

 

「最後の方であったわ」

 

最後の方の問題なんか解けた覚えがない。

というより、

 

『最後の方なら難しいのだろ!これ出来なかったら致命的なの!?』

 

「これが出来なかったら90点以上は取れないわ」

 

『いや、俺別に90点以上取れなくても良いんだが?』

 

そもそも、俺の頭じゃ90点なんて点数は夢のまた夢で

高すぎる目標は身を滅ぼすと思うわけでして

 

「そんな低い目標でどうするの!

 やるからには高得点は当たり前のこと

 だから今日はスパルタでやるから」

 

『ちょっ、いや!嘘』

 

今だけはマフラーがまるで蛇に見えて、宮瀬の笑顔は悪魔の笑みにしか見えなかった。

 

 

 




Keyです。
今回からあとがきを担当することになりました!
決して押し付けられたわけではありませんよ(笑)

今回は幼馴染みの柏田小豆になります

【挿絵表示】
 

とりあえず自分の担当している挿絵について話します!前回の挿絵と今回の挿絵について見てもわかりますが………かなり色つけが違います!
実はまだ勉強している最中なので色々試しながら描いています

少しずつ試して描いていく予定なので次も変わっているかもしれません。
遠い目でこれからも見てくれたら幸いです


次回についてです!
挿絵は元気いっぱいの美夏を描いていこうと思います。理由はwhiterainさんのお気に入りだからです(笑)
出来るだけ可愛く描いていきたいと思っているので応援よろしくお願いします

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