王道と邪道   作:ふぁるねる

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作戦実行

「これはこれはクルシュ様。お久しぶりでございます」

 

 恭しく頭を下げる目の前の人物を見る。

 垂れ下がる耳があんまり可愛くて触りそうになるが、手を引っ込める。鎮まれ、俺のモフリストソウル。

 

 この男こそが、この監獄の看守長。

 そして魔女教襲撃、スバル殺害の首謀者だ。

 安易に手を出しては危険かもしれない。

 

 ここは監獄にある看守長室。

 監獄の入り口は既にくぐった。

 扉を開ければ、犯罪を起こした罪人達の収容所だ。

 親の仇のような相手……。いや自分の仇か。とにかくこの男は、人の命をまるで紙屑のように扱う非人道的倫理観を持った奴であることがわかっている。

 無意識でギュッと強く握っていた拳を抑え、怒りを押し込める。

 

「ああ。壮健であったか?」

 

 クルシュは、古い友人に会うかのように気さくに話しかけた。

 いや、古くから知っている仲なのだろう。さきほど奴も「久しぶり」と言っていた。

 クルシュは嘘を見破ることが得意だと言っていたが、平静を装うことも得意らしい。

 普通ならば、古い友人が怪しい宗教の狂信者だと知らされて普通に接せるものではないはずだ。

 

「それはもう、おかげさまで。して、なぜこのような場所に?」

「面会がしたい。以前私が捕らえた中流貴族の当主の弟だ」

 

 クルシュは義侠心溢れるその性格と、『風見の加護』というまさに性格を体現したような能力で、王国貴族の黒い部分を暴いてきたのだという。

 今回はスバルと看守長を二人にするため、このように自然な形を取って席を外してもらう。

 

「どれどれ……あぁ、この方ですね。ご案内しましょう。おい!」

 

 看守長はペラペラと手元の分厚い資料をめくる。どうやら囚人のリストのようだ。

 目当ての囚人を見つけると、懐から小さな鏡のようなものを取り出して呼びかけた。電話みたいなものだろうか。

 

「クルシュ様を51番独房にご案内しろ」

「手続きはいらないのか?」

「クルシュ様であれば不要でございます。ささ、こちらへ。……そちらの方は?」

 

 看守長はクルシュを手招きすると、ようやくスバルの方へと意識を向けた。スバルはここまで無言を貫いてきた。下手に口を動かせば、要らないことまで言ってしまいそうだからだ。

 

「私の従者だ。ここに置いておく」

「はぁ」

 

 クルシュはそれだけ言うと、扉をぱたんと閉じて退室していった。おそらく外に案内役の看守が来ているのだろう。クルシュには、ある程度の時間が経ったら戻ってきてもらうことになっている。

 

「それでは、ゆっくりしていてください」

 

 看守長はクルシュを見送るなりスバルにそう言って、執務机へと向かった。片付けなければならない事務作業があるのだろう。

 

 スバルは一つ深呼吸を入れて、ジャージのポケットの中に忍ばせていた携帯電話を操作する。

 長いこと使っていた相棒だ。ガラケーなのでボタンがあることが幸いした。これならば画面を見ることなく目当ての機能まで操作できる。

 最後にピッとボタンを押したことで、スバルの前準備は終了だ。

 もちろん、これは録音だ。

 いくら看守長の正体を暴いたと言ってもクルシュに伝わらなければ意味がない。そのために、携帯電話の録音機能を利用する。

 投獄された過去二回のループでは身ぐるみを剥がされていたため、携帯電話も取り上げられていたが今回はそうはならなかった。

 

「行ったか……」

「それでは私は業務の方に戻りますので」

「待てよ」

 

 あまりに似合わないメガネを掛けようとした看守長の手を止める。老眼なのだろうか。

 

 さて、始めよう。

 ここからはスバルと看守長の舌戦だ。

 スバルは魔女教徒のふりをして、看守長自身の口から魔女教徒である証拠を押さえる。

 主導権は常に握る。しかしそれは悟らせない。言葉の一つ一つに気を配れ。ここが分水嶺だ。

 

「何でしょう?」

「犬っつっても仲間とか嗅ぎ分けられるわけじゃねえのな」

 

 手応えは薄い。

 こちらとしては、魔女教徒のフリをしてはいるがあまりなりきるのも良くはない。本物の魔女教徒同士で使う符丁などがあっては、すぐにボロが出る。あくまでさりげなく、切り札(福音)を出すのはまだ先だ。

 

「仲間……?」

「そう。仲間だ」

「人違い……いえ、犬違いでは? 私には何のことやら、さっぱり分かりませんね」

 

 くそ、と心の中で悪態を吐く。

 そう簡単には尻尾は見せないようだ。いや尻尾は見えてるんだけど。

 見た目以上に慎重な奴なのかもしれない。

 まだだ。まだ堪えるべき場面だ。

 

「それにしても、クルシュ様ってすげえよな」

「む……。そう、ですな。あの若さで家督を継いだのです。その才覚は幼い頃から飛び抜けておりました。だが」

「……?」

「いえ、何も……」

 

 難しい顔をする看守長から読み取れるのは怒り、か? 何か、いや誰かに憤りを感じている表情だ。

 頬を歪ませて笑う。これはもしかしたら、魔女教攻略の糸口になるやもしれない。手繰るとしよう。

 

「ああ? 何か言いたいんだったら言っとけよ。俺なら大丈夫だぜ? クルシュに雇われたのはつい先日。忠誠を誓ってるってのとは違うから、告げ口なんかしねえよ」

 

 クルシュに雇われてすらいないが、こんなものはどうでもいい。看守長から証言さえ引っ張り出してしまえばスバルの勝利なのだから。

 

「……ヴィルヘルム・トリアス。今は、アストレアでしたか」

「……」

 

 看守長は手をかけていた書類を横に退け、机の上に拳を置いた。

 

「奴を、剣鬼をクルシュ様が雇ったと噂で聞きました」

 

 徐々に強く握りしめられる拳。

 

「亜人戦争のことなら知っているでしょう?」

 

「私は、かの時代の敗北者です」

 

 遠い過去を思い出し、苦しむような表情を浮かべる看守長は額に一筋の汗を流した。

 

「もちろん王国に楯突くような真似はしませんし、逆にこうして仕事を任されていることに感謝しています」

 

「だが、あの男のことを許す気にはなれません! 戦争だからと納得はしていますが、あの男だけは!」

 

「私の兄と弟を殺したあの鬼だけは、許せないのですよ!!」

 

 そう、言い終えた看守長は乱れた呼吸を整えるように肩を上下させ、胸に手を当てる。

 スバルは凄まじい形相で机を見つめながら話し続ける看守長に気圧され、完全に萎縮してしまっていた。

 

「すみません。取り乱してしまいました」

「え、えーと」

 

 頭が混乱している。

 話は大幅に脱線したように思える。

 ヴィルヘルム・トリアス。アストレア。亜人戦争。どれもスバルの理解の及ばない言葉である。ここはスバルの生きてきた日本とは違う、異世界だ。知らない言葉が多くあることは当然だ。しかし二度の死を経て、死の原因やその背景にあるものについてはそれなりの知識を身に付けたつもりだった。それなのに、ここに来て新たな未知の言葉を浴びせられた。

 これはあまり喜べる事態ではない。最悪の場合、死の運命を回避するためのピースが揃わないという可能性すらありうる。

 

「ごめん、あんたの怒りは俺にどうこうできるもんじゃない」

「当然です。お忘れください」

「だがお互いやるべきことはわかってる、よな?」

 

 話を戻そう。

 スバルはこの男から、魔女教徒であることを自白させなければならない。

 こいつが何を思っていて、誰を憎んでいようが勝手だが、スバルが為すことは変わらない。

 スバルは魔女教徒で、仲間だということをそれとなく伝えなければならない。

 

「あんまり()()が適当だったもんで、よくわかんなかったけどな」

「記述……? わたしとあなたの間で文書のやり取りなどありましたか?」

 

 むぅ。

 ここまで匂わせておいて、これほどしらばっくれるとは予想外だ。福音の「記述」にまで触れたというのに、未だに尻尾は見せない。

 切り札を切るのは、そろそろか?

 

「……これを見せれば分かるか?」

 

 スバルは羽織っていたローブの裏から、黒い装丁の本を取り出す。

 スバルが見た魔女教徒の『福音』を、記憶だけを頼りに再現した偽の福音だ。こいつさえあれば、看守長も認めざるを得ないだろう。スバルは魔女教徒であり、仲間であることを。

 

「っ……」

 

 一瞬、看守長の顔が硬直し顔色が青ざめる。

 すぐに視線を真下に落とし、何かを考えるかのように顎に右手を置く。左手は机の下だ。ぶつぶつと何か言葉を発しているようだ。

 

「なるほど」

 

 少しの間を置いて、看守長は顔を上げてにこやかに笑った。

 

「それはもしや『福音』ですか……?」

「……っあ、ああ。そうだぜ? これが俺の『福音』だ」

 

 それを聞くなり看守長は硬くなっていた表情を柔らかくして、口元を緩めた。どうやら魔女教徒と認められたようだ。

 

「そうならばそうと、早く言って欲しかったですね」

「クルシュに聞かれたらことだからな。少し間を取らせてもらった」

「なるほど、なるほど」

 

 うんうんと頷く看守長からは、疑うような表情は見られない。うまいこと信用されたようだ。しかし福音というものは、それだけ信用に足るものなのだろうか。

 何はともあれ、計画の第一段階は満たされた。あとはこいつが魔女教徒である証拠を掴み、然るべきところに突き出すのみである。

 

「なれば、あなたも魔女の寵愛を受けし者。まさかクルシュ様の従者に、とは」

「大変だったぜ? あいつに嘘は通じねえからなぁ」

「……それで?」

 

「それも何も、お前にも記述が出てるはずだろ? 俺も今までは福音に従ってクルシュの従者を続けてたけど、ついに新しい記述が来た」

 

 監獄に魔女教徒達が襲撃をかけたのは、福音に記述があったからだとスバルは推測している。

 一回目のループでは、スバルを連れ去ろうとした魔女教徒が福音を開いていた。あれは記述を確かめるための行為だ。つまりそれ以前に福音に記述があり、その行動の結果が監獄の襲撃だったわけだ。

 

 つまり現在の段階で新たな記述がきている可能性は、かなり高い。すでに決行の日の二日前だ。奴の福音にも記述があることだろう。

 もちろん、スバルの持っている偽の福音には記述など無い。あるのはちっとも読めないこの世界の文字だけだ。というか喋れる割には文字は読めないのだな、と不便に思ってしまう。クルシュに保護されたら勉強してみよう。

 ともあれ、記述の無いスバルには記述の内容までは踏み込めないにしろ、記述があったことは確信を持って伝えられる。

 

「…………記述があったことは認めます」

 

 よし、と小さくガッツポーズを取りたくなるが、ぐっと抑える。

 これは僅かながらも看守長が魔女教徒であることを示す、重要な証言だ。

 

「が、私の福音にあなたの名はありません。これは一体、どういうことでしょう?」

「っ、別に関係ないだろ? 重要なのは記述に従うことだ。俺がいても問題は無い。人手が多いことに越したことはないしな」

 

 奴の福音に協力者・スバルの名が無いことは当たり前だ。

 本来は、投獄されて何もできない無力な少年であったはずなのだから。

 答えには詰まってしまったが、論点をずらしてしまえば問題はない。結局スバルの名がないことの答えは出ないが、これまでのやり取りで魔女教徒の奴らが福音を重要視していることは明らかである。ならばこの記述の内容に焦点をずらす。

 

「……わかりました。あなたも魔女に愛される者。共に愛に報いましょう。では、あなたの福音には何と?」

「え?」

 

 右フックを避けたと思ったら、次はアッパーが飛んできたような衝撃だ。これは想像していなかった。

 

「あなたの福音には何と記述されていたのです?」

 

 まくし立てるように続ける看守長に、目を泳がせるスバル。

 

「えーと、そうだ。お前が俺を認めても、俺はまだお前の福音を見てない。記述にはお前が魔女教徒でお前に協力しろって書いてあるけど、この目で見るまでは信用ならん」

 

 咄嗟に浮かんだのはやはり問題点をすり替えることだ。

 

「重要なことは福音の記述に従うことなのでしょう? 私が魔女教徒としてあなたの協力者になると福音に書いてあるのならば、私が福音を持っているかどうか、あなたが気にする道理は無いと思いますが?」

 

「ぐっ……」

 

 痛いところを突かれた。

 確かに福音が重要だと言ったのはスバル自身だ。それをそっくり返されてしまえば、口を噤む以外のことはできない。

 くそ、こいつが魔女教徒であることの証言がなかなか掴めない。小さな武器は幾つか手に入れたが、なにより決定打に欠ける。

 

「わ、っかったよ。俺はあんたのことは気にしない。さっさと指示を出してくれ」

「やることはわかっているのでは?」

「まあ、な。監獄の倒壊だろ? 手伝えることなら何でもやるぜ?」

 

 まあ仕方がない。

 こいつがいくらしらばっくれようと、その時になれば証拠はいくらでも出てくるはずだ。今は粛々と時機を窺って、その時になったらとっちめてやる。今はまだ我慢の時期だ。

 

 

「ということですが。クルシュ様?」

 

 

「…………………あ?」

 

 看守長が発したその名前には、スバルは凍りつく。

 なんで。どうして。ちょっと待て。

 

『…………ああ、まんまと嵌められた、というわけか』

 

 少しだけノイズの混じった音で聞こえてくる声は、少しだけ聞き慣れてきた声だ。芯の通ったその力強い声に救われたこともあったし、打ちのめされたこともある。

 次に聞くときは、祝勝の時だとばかり……。

 

「どういたしましょう?」

 

 看守長は、机の下から小さな鏡を取り出した。それは確か、さきほど案内係に声をかけるために使っていた鏡だ。鏡に映るのは看守長のブルドッグ顔ではなく、緑髪の麗人クルシュ。

 

「……………………おい」

『内乱未遂罪か?』

 

 鏡越しに聞こえてくるクルシュの声はすでにスバルに向けられたものではなく、軽蔑すら混ざっていない。

 

「魔女教徒であるなら、それだけで罪深いものです」

「ちょっと待てよ…………」

 

 ふつふつと怒りが湧き上がってくる。

 何なんだ、この展開は。想定していたものと違う。クルシュと話していたものと違う。どうしてこうなった? 何が起こっている?

 

『そうだな、卿に任せるとしよう』

「わかりました」

『残念だ、ナツキ・スバル。まさか貴様が本物の魔女教徒だとは』

「どういうことだよ…………!」

 

 なぜ、なぜそんなことを言う!?

 スバルが魔女教徒だと?

 クルシュは頭がおかしくなったのか?

 

『突然現れた正体不明の男の言葉を信じるほど、お人好しに育った覚えはない』

「でもっ! 加護で!」

 

 スバルの言葉はクルシュの持つ『風見の加護』で真実だと知れたはずだ。

 看守長は魔女教徒だという事実は、紛れもない真実。これは絶対に揺るがない! 揺らいではいけない!

 

『魔女教徒は心まで操られているようだと聞いたことがある。嘘のようなことも、本当だと信じてしまうのだろう。そもそも『風見の加護』は嘘を見破るだけで、真実を見分けるものではない。私は加護で見たものを鵜呑みにするのではなく、加護で見たものをどう扱うかに重きを置く。そうやって今まで生きてきたのだ』

「まさに傑物。王たる器に相応しいですな。私も応援しておりますよ」

 

 うんうん、と頷く看守長はハンカチで自分の額を拭っている。見れば冷や汗をかいているようだ。

 

『しかし、卿も中々の演技だったぞ』

「いやぁ、やってみるもんですね。冷や汗でバレないかヒヤヒヤしてました」

 

「何でだよ!」

 

 称え合う彼らにスバルは座っていた椅子を蹴飛ばして、偽の福音を床に叩きつける。丹精込めて作ったカバーが外れた。

 

「俺は魔女教徒じゃねえ! 俺はただの人で、魔女教徒はこいつだ!」

 

 看守長を指差し、スバルの無罪を主張する。これは真実だ。絶対なのだ。

 

『ではなぜ、監獄の倒壊など言い出した? 看守長を丸め込んで囚人の解放でも起こす気だったか?』

「だからっ! ちがっ!」

 

 監獄の倒壊は、死に戻りから得た魔女教の狙いという事実。だが、それを証明する証拠は何一つとして無い。スバルの弁護は悉くが撃ち落とされる。

 

『そもそも彼は動かない。この四十年間、黙々と仕事に忠実に働いてきた男だ。大金でも靡かないだろう。彼が魔女教徒だったならば別だが貴様が怪しいと感じてすぐ、こうして私の元にいる案内係との対話鏡に即座につなげ、即興で演技を始めた。魔女教徒のはずがない』

 

「先ほど使った対話鏡を懐に持っておいて良かったです」

「対話、鏡……」

『対になっている魔法器(ミーティア)だ。片方の持ち主の映像と声を届けることができる』

「そんな、いつっ!?」

 

 携帯電話のような魔法の機械に驚く暇など無い。

 いつからスバルと看守長のやり取りは、クルシュに漏れていたのだ。

 

「あなたが福音を取り出した後です。ふむ。カモフラージュのつもりですか。偽の福音を、とは」

「……あの時っ」

 

 下を向いてブツブツと何かを言っていた時、顎に当てていた右手とは逆の左手で、対話鏡を操作していたのか。

 

「でもお前は! 魔女教徒のような発言を!」

 

 そうだ。こいつはスバルの言葉に賛同するように話を続けた。魔女教徒だという何よりの証拠になるはず!

 

「全部演技ですよ。さっきから言ってるじゃないですか。私は魔女教徒ではありません。福音なんて物も持っていません。あなたの福音を見た途端、足がブルブル震えるくらいでしたからね」

「なっ!?」

『そういうことだ。ちなみに、対話鏡越しだとしても私の加護は働く。彼は潔白だ。ナツキ・スバル。貴様はこの暗い牢屋で過ごせ』

「なんでだよ! おかしいだろ!? 魔女教徒のこいつじゃなくて、無罪の俺が捕まるんだよ!? ふざけんじゃねえ! ふざけんじゃねえぞ!!」

 

 喉が千切れるまで叫ぶ。

 これはあまりにおかしい。

 スバルの二度に渡る死はなんだったのか。

 目の前のこいつは十中八九魔女教徒で間違いはないし、スバルは誓っても魔女教徒ではない。

 ありえない。

 ありえない。ありえない。ありえない。ありえない。ありえない。ありえない。ありえない。ありえない。

 

「ありえないぃぃぃぃィィィイ!!」

 

『喧しいな。眠らせて牢屋に放り込んでおけ』

 

「はい。……すみませんね、私本当に魔女教徒ではないので」

 

 そう言った看守長はスバルの首に手刀を下ろす。

 視認できないスピードの手刀は一撃でスバルの意識を刈り取り、そのままスバルは暗闇に落ちていった。

 

 おかしい、あんまりだ、どうなっている、と叫びながら真っ暗闇へと落ちていく。

 


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