Interview for Usamin
アイドルという職業は、きらびやかな芸能界でも少し、特殊な職業かもしれない。
というのも、数多くのライバルひしめく業界において競争を勝ち抜き、毎週末のステージで自らのパフォーマンスをファンに見せつけ、合間にはテレビやラジオ、本誌のような雑誌の取材を受けなければならない。
学生と二足のわらじを履くアイドルも数多くいる中で、彼女のような存在は今では珍しいのかもしれない。
頭にはトレードマークのうさ耳。そしておなじみのメイド服姿で出迎えてくれた彼女こそ、ウサミンこと安部菜々さんである。
プロフィールにある年齢は、永遠の17歳。出身は東京から電車で1〜2時間ほどのところにあると言われるウサミン星。スリーサイズなどは割愛させていただくが、小柄で優しい笑みを浮かべる彼女は、とてもではないが他アイドルと共に
最近引っ越した、という新居こと、ウサミン星の衛星はコンクリート打ちっぱなしのモダンで機能的なデザイナーズマンション。大きな窓から日光が入り込み、明るく暖かい。部屋を見回せば、落ち着いた色合いのシックな家具がならんでおり、ビビットな色合いの衣装を着こなすイメージとは真逆だ。だが、モノトーンのメイド服で我々の向かいに座る姿は、不思議と溶け込んでいた。
今でもプロダクション内にあるカフェで給仕をしているというウサミンは、食器にも気を使っている。スウェーデン製だという飾り気のない真っ白いカップは、ウサミンブレンドのコク深いコーヒーによく合う厚手の飲み口のもの。保温性にも優れているようで、インタビューの間、ずっと暖かいままでいてくれた。
ダイニングと一続きになっているリビングには65インチの液晶テレビ。サラウンドシステムも備えており、最近はストリーミングサービスを使ってジャズを聞きながらゆっくりと過ごすことも多いらしい。
「私がジャズなんて、柄じゃないかなー、なんて思ったりもしますけど」と謙遜しつつも、ウッドベースとピアノの落ち着いた響きが好きだと語ってくれた。そうしてコーヒーやお酒を飲みながら台本を読んだり、スケジュール確認をしたりして寝るのがウサミンのマイブームのようだ。
ファッション誌などで彼女を見かけることは少ないが、私服を見せてもらうとまたまたテレビで見るイメージとのギャップに驚かされる。
もちろん、明るい色合いのパーカーやミニスカートもあるが、シックなカーディガンや長めのスカートなど、落ち着いたアイテムも多い。最近はそういうお仕事や落ち着いた雰囲気を求められる場面も多いので、とは彼女の言だが、ファストファッションから一流ブランドまで、幅広いジャンルを着こなすことが容易ではないのは言うまでもないだろう。
最後に案内されたのは駐車場。止まっているのは白い外車で、されるがままに車に乗るとなれた手付きで左ハンドルの車を出発させた。
日も暮れて、薄明かり差す道で快音を奏でるのは、イタリア アルファロメオのジュリエッタ。キャメルレザーのインテリアも相まって、分かる大人の乗り物感が強い。
コーヒーの淹れ方を教わっているうちにしばらく走り、海の見える駐車場に車を止めるとエンジンを止めたウサミンは、黙って静かな車内から海を眺めはじめた。
「吸い込まれそうな黒があるでしょう? 昼に見るときれいな水平線が、暗くなると黒の境界線になって。蘭子ちゃんから勧められて、夜の海を見てみたらとっても心地よかったので、今でも時々見に来るんです」
ウサミンにも、心を落ち着ける時間は必要で、迷ったり不安になったら黒の境界に全部吸い取ってもらうんだ。そう語るウサミンは、一人の安部菜々という女性に戻っていった。
短くてすみません
なんか書いては消し、書いては消しでまとまらなくて