遥か意識は灰燼に   作:バナナ暴徒

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評価ありがとうございます。嬉しかったです。
さて最終話です。非常に短いですが、後書きが長めです。


遥か意識は灰燼に

 夢というものはどのような状況下で見ることができるのかというのはよく知らない。流石にレム睡眠ノンレム睡眠はわかるが、意識が無い状態で夢は見ることができるのだろうか。世間一般では恐らく見ることができ無いということになっているのではないだろうか。脳が動いていないからとかで。だが、本当にそうなのだろうか。もし脳が動いていなくとも、その深層では意識が存在し続けるということはないのだろうか。今現在の技術では観測できない意識。その存在がなければ今の俺のこの状況は説明することができないのだが。いやもしかしたら俺は意識があるのかもしれない。だがやはり体感として意識無いような感覚があるのだ。もしかしたら俺は既に死んでいて、ここは所謂死後の世界というやつかもしれない。俺本人としては否定したいところだが、否定できる材料もないので気分が悪い。やはり世の中には未だ科学で証明できないことも多いということか。いずれできるようになるのかもしれないが、今現在の話だ。さて、現実逃避ばかりしてはいられない。俺は今の状況に改めて目を向けた。

 

 今俺はどこか見覚えのある場所に倒れている。いや見覚えのある場所とかオブラートに包んでも意味が無いか。俺は今いつも夢の中で見ていたあの石造りの街の市場に倒れていた。四肢がある感覚はあるが、まるで何かに縛りつけられたかのように動かすことはできなかった。それならと諦めて俺はそのまま空を仰ぐ。情けないことこの上ない。あんなカッコつけたのにあっさり刺されてバッタリだ。カッコつけるとろくなことが無いな。これからはカッコつけるのは無しだと思い、これからがあるのかとセルフツッコミをかます。普段なら溜め息をついているところだ。正直な話、かなり虚しくなってきた。いつまでこのままなのだろうか。どのくらい経ったのだろう。何時間か何分か。自分の感覚では少なからず時間が経った頃、突然空が赤く染まり始めた。一瞬日が暮れるのかと思ったが、それはおかしいと思い直す。太陽はまだ高い。それにあまりに色の変化が激しすぎる。ゆっくりと眼球だけ動かして状況を確認しようとすると、炎が見えた。石造りの街なのに炎に包まれている。その様子はまるで地獄だった。その炎は地を這ってこちらの方へも走ってきている。ふと思う。コレがラグナロクとかいうやつか?思い返してみれば確かに贄となる人の指定とかはなかった。これはどうやら俺がなってしまったようだ。普段なら苦笑いの一つでもこぼしているところだ。炎が体を包んでいく。圧倒的な熱量に包まれてすぐにでも燃え尽きそうだ。不思議と苦痛はない。少しずつ少しずつ俺は灰になっていく。

 

 

 俺は有罪だ。(I am guilty.)

 

 

 

 遥か遠い場所で俺の意識は灰燼に帰す。




ここまで読んでいただき、ありがとうございます。恐らく釈然としない終わり方だと思いますが、一応あと3つか4つ続編があり、それでこの物語は完結となります。今回は第一部が終わったみたいな感じでしょうか。 この主人公の支離滅裂な思考、オカルト否定派、情緒の不安定さの理由もいずれ書かせて頂きます。
次は来年の3月位に始められたらと思っています。書くときになったら活動報告にでも書こうかと思います。
これからの予定ですが、今年中に短編を1つか2つあげて、来年から何かの二次創作を書こうかと思っています。
お疲れ様でした。

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