モンスターハンター Re:ストーリーズ【完結】   作:皇我リキ

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人と竜の違い

「ファンゴの討伐……?」

「あぁ、渓流近くの村の畑を荒らすファンゴの討伐。今回はこれだな」

 アランが持ってきたクエストは、珍しく討伐クエストだった。

 

 

 ファンゴっていうと、二本の牙を持った牙獣種のモンスターです。

 モンスターの危険度としては低いけど、狩猟の技術がない人にとってはとても危険なモンスターだ。

 

 

「討伐しなきゃダメなのかな……?」

「それを決めるのは依頼主だが、どうなるかは俺達次第だ。それに教えたい事もある」

 教えたい事?

 

「アランがそう言うなら、頑張る!」

「……そうか」

 こうやって、アランに色々教えて貰えるのが私は嬉しい。

 

 

 今回はどんな事を教えてくれるんだろう。そんな期待で胸がいっぱいだ。

 

 

 

「……報酬金低いニャ」

「狩場も近いから、素材が沢山転がってるらしい。頼んだぞ、ムツキ」

 報酬金は……その、ごめんなさい。

 ちゃんと討伐クエストもこなさないとね。うぅ……。

 

「もー好きにしろニャ。ボクが居なかったら二人ともビンボー生活だからニャ! 分かってんのかニャゴラぁぁ!!」

 そう言いつつもテキパキと支度を整えてくれるムツキに私達は支えられてると思います。

 

 

 いつもありがとう、ムツキ。

 

 

   ◇ ◇ ◇

 

「な、見てくれよ。酷いだろ?」

 見渡す限りの荒らされた畑。

 

 

 育てた野菜は喰い散らかされ、地面にはモンスターの足跡が沢山残されていた。

 

 

「間違いない。ファンゴの足跡だな」

「俺もこの目ではっきり見たんだ。間違いないよ。……ったく、困ったものだ」

 そう言うのは、依頼主でこの畑のご主人であるご老人。

 

 若い頃から村で畑仕事をしているベテランさんらしくて、実年齢よりも若く見える元気なおじいさんです。

 畑はモガの村にあった農場よりも広くて、そんな広さの畑を一人で管理しているのは凄いと思いました。

 

 

「今期の収穫は殆どパーだ、畜生め」

 おじいさんは溜息を吐きながら座り込む。畑を荒らされてしまったのが、かなりショックみたい。

 

「しかしニャ、村からも少し離れてるしファンゴもそこに食える物があれば食べちゃうと思うニャ」

 そう言うのは、周りを見て回ってきたムツキ。

 

 確かにムツキの言う通り、この畑は村から少し離れていてどちらかと言えば自然の一部に近い場所だった。

 だからムツキの言ってる事は正しいんだけど、それを何とかしたいから私達はこのクエストに来たんだよね。

 

 うーん、どうしたものか。

 

 

「それが困るから退治してくれって頼んだんじゃないか」

「んにゃ、確かに」

 やっぱり退治するしかないのかな?

 

 

「毎年毎年、この時期になるとすぐこれだ」

「毎年ハンターに依頼を?」

「その通りさ。報酬が少ないって言って、最近はクエストを受けてもらえるのも遅いんだよ。それでこのありさまさ」

 畑を荒らしてるのは確実にファンゴだし、それを防ぐ明確な方法が討伐しかないのなら仕方がない。

 もしかしたら何か方法があるのかもしれないけれど、私には何も思いつかないです。

 

 

「それじゃ、クエストの方頼むよ。何かあったらまた呼んでくれ」

「ここに簡易キャンプを作る許可だけくれないか?」

「おう、問題ないぜ。ファンゴだけ何とかしてくれれば、それでいいからな」

 そう言っておじいさんは村に戻っていった。

 

 

 さて、テント張ったりしなきゃ。

 

 

 

 いつかガーグァが畑を荒らしていたクエストで使ったテントを設置。

 この野営用の簡易テントはムツキが作ったんです。畳むと小さくなる椅子とか、なんか色々凄い。

 

 

「キノコがいっぱい取れたからニャ、今晩はキノコスープニャ!」

 ファンゴを待つ事数時間。中々現れなくて、日も沈んでしまったから夜ご飯にする事になった。

 ムツキ特性キノコスープが、冷えた身体に染み渡る。頑張ろうって気になるよね。

 

 

「ねぇ、アラン。……やっぱりファンゴは退治するしかないのかな?」

 ファンゴを待っている間考えていた事が、ふと私の口から漏れた。

 ずっと考えていたんだけど、やっぱり答えは見つからない。

 

 

「今回は犯人がファンゴで、そもそもこの辺りがファンゴの周回エリアである以上は衝突は避けられないだろうな。畑の主の主張もある」

「うーん……そっか」

 アランの言う通りだよね。……うーん。

 

 

「……ミズキはどう思う?」

 私が悩んでいると、突然アランはそんな事を聞いてくる。

 私がどう思うか。私の答え。

 

 

「……ここは元々ファンゴさん達の場所だったんだし。……私達人間が、ここは私達の場所だから出て行けって言うのはなんか変な気がする……かな?」

「……ほぉ」

 私の言葉を聞いたアランは少し目を見開いて、小さな声を落とした。

 

 

「わ、私変な事言ったかな……?」

「……いや、そんな事はない」

 そう言ってアランは私の頭を撫でてくれる。

 

 

 もし畑の被害を抑えられて、ファンゴ達も救える道があるのなら、私はその道を進みたかった。

 

 

「ミズキはこの場所がファンゴ達の場所だったと思ってるんだな」

「えと……うん、だって、そうじゃないの?」

 元々この世界はモンスターの世界で、ここだって彼等の縄張りだったから畑が出来てもこの辺りに近付いて来てるんじゃないかな?

 

 勝手に縄張りを奪って、畑にしているのは私達人間だから。もう少し遠慮するべきなんじゃないかって、私は思う。

 

 

「縄張りを奪ってるのは私達なんだし。それで邪魔だから殺しちゃえとか、害獣だっていうのは……なんだかズルい気がする、かな」

「それがミズキの答えか?」

「……うん」

 少し控えめに返事をすると、アランは小さく笑いながらまた頭を撫でてくれた。

 自身はないけど、アランが嬉しそうって事は間違ってはいないって事なのかな……?

 

 

「そうだ、縄張りを奪ってるんだよ俺達は」

「そうだよね……。だったら───」

「いや、そうじゃない」

 ただ、アランは瞳を閉じて首を横に振る。

 

 どういう事……?

 

 

「縄張りなんだ、ここは」

 テントの外を見回しながら、アランはゆっくりと口を開いた。

 風が吹いて彼の銀色の髪が靡く。赤い瞳に映っているのは、森の中に沈んで行く太陽だ。

 

 

「ここは人間がモンスターから奪った、俺達人間の縄張りだ。……この意味は分かるか?」

「んーと、私達も……モンスターと変わらない生き物だから、それぞれの縄張りがある?」

「そうだ」

 人間もモンスターと同じで、縄張りを持っている。

 人の住む場所を縄張りだと言うのなら───

 

 

「───モンスターの縄張り争いと一緒って事かな?」

「もしそう考えるなら、モンスター同士で争って縄張りを奪い合っているのと何も変わらない。この場所を人間が人間の力で手に入れたのなら、それは自らの縄張りと言っても間違ってはないだろう?」

 それはそうだけど……。

 

 

「でも、なんか人間ってズルい気がする……。武器を持ってモンスター達を追い出したりして」

「そうやって人間を特別扱いするのも、モンスター達からすれば要らないお節介かもしれないぞ?」

「……んぇ?」

 どういう事?

 

 

「モンスターからすれば、人間なんてちっぽけな物ニャ」

 少し冷めたスープを飲みながら、ムツキがそう言った。

 

「ミズキの言うズルだって、人間の力だ。俺達は火も吐けなければ空も飛べない。その代わりに知恵と勇気を持って戦う事が出来る。……お前は人間という生き物の能力を否定するのか?」

「それは……」

 うぅ……。

 

 

「逆に考えろ、リオレウスが火を吐くのをお前はズルいと思うか?」

「そ、そんな事は……。……そっか、そうだよね」

 私達も同じ生き物だから。

 

 

 モンスター達より上に立って、縄張りを奪っているなんて考えが、まずモンスター達に失礼なのかもしれない。

 

 

「でもな、ミズキ。お前も間違ってはいない」

「……え?」

「俺が今言ったのは、人間とモンスターが対等であるのが前提の話だ」

 ランプに火を付けながらアランはそう言う。

 

 同じ自然に生きる者として、私達人間もモンスターも変わらない。この世界の理の下に対等に存在する生き物という枠組みだから。

 

 

 

「ミズキの言っていたズルい、じゃないが。もし、人間がモンスター達と対等じゃなかったとしたら……どう思う?」

「対等じゃない……?」

「例えば、本当に人間がこの世界を支配してしまうような……モンスターの、他の動物の命を簡単に奪える存在だったとしら」

 それは、この世界の理を人間が担うとしたらという事。

 

 少し信じられないけど、他の生き物の恐怖は殆どなくて、この世界の殆どが人間の物になってしまうという事。

 

 

 もし、そうだとしら?

 

 

「俺達人間の勝手が、生き物の縄張りを荒らし尽くして生態系を崩壊させるかもしれない。それはもう自然の理を超えていて、簡単には治らないだろう」

 目を伏せて、アランは小さくそう言った。

 

「私達が自然から離れてしまったら……」

 それはきっと、間違いなんだと思う。

 

 

「……それがあの書士隊の言っていた事だ」

 人間はその力で道を切り開いてきた。

 

 でも、切り開き過ぎて道が道として機能しなくなったのなら。

 人は道を踏み外してしまうかもしれない。

 

 

 

「だから、答えは俺にも分からない。……今、人間はモンスター達と対等か? それを考えて行動しなければ、俺達も間違える事になる」

「……それだけは、寂しいね」

 私達はまだ自然の理の中にいるのかな?

 

 

 もし違うのだとしたら、とても寂しいと思う。

 

 

 この自然の中に生きる私達だからこそ、こうやってモンスター達とどう関わるか考えられるんだって思うから。

 だから、もし人間が世界の理から外れてしまっているとしたら。私達ハンターという存在そのものが間違いだ。

 

 ───きっと、そんな事はない。

 

 

 少なくとも、今この世界では、私達人間とモンスターは対等に生きている。

 

 

 

 私はそう信じたい。

 

 

 

「ミズキ、お前はどう思う?」

「私は───」

 

 

    ◇ ◇ ◇

 

 特有の臭みの抜けた香ばしい匂いは、とても食欲を誘った。

 ムツキが軽快な音楽を流しながら焼いた肉を切り分けて、私はお皿に並べていく。

 

 

「……頂きます」

 手を合わせて、私は小さくそう呟いた。

 

 日は完全に沈んでいて、空には星が輝いている。

 それでも暗いこの場所を焚き火が照らしていて、そこだけが明るいのがまた不思議な光景だ。

 

 

 

 こうやって火を使うのも、人間の力なんだと思う。

 

 

 

「……まぁ、確かに俺達はズルいのかもな」

 上手に焼けたお肉を一口食べてから、アランはそう言った。

 瞳に映る火が、ゆらゆらと揺れている。

 

 数時間前、日が沈んだ頃に現れたファンゴ達数匹を私達は討伐しました。

 

 今食べているのは、そのファンゴ達の肉をムツキが調理してくれた物です。

 本当は凄く臭みがあるんだけど、ムツキが上手く調理してくれたおかげでとても美味しい出来上がりだ。

 

 

 私もそのお肉を食べながら、少し考え事をする。

 本当にこれで良かったのかなって。

 

 

「後味の悪そうな顔をしてるな」

「んにゃ? 血抜き失敗してたかニャ?」

「飯の話じゃない」

「まだ引きずってるのかニャ……」

 むぅ……。

 

 

「だって、親子だったんだもん……」

 私達が倒したファンゴ達は、親と子供達で出来た小さな家族だった。

 

 それでも私達は対等なんだと思いたくて、私はファンゴ達と戦ったんだけど。

 これから先の事を考えて逃す事は出来ないし、きっとファンゴ達も引く気はなかったんだと思う。

 

 

 本当にこれは正しい事だったのかなって、そう思うんだ。

 

 

 

「……モンスターだって、同じ事をする」

 ただ、アランは小さくそう呟く。

 

 

「……そう……だよね」

 アランの言う通り。

 

 モンスターだって、人間から縄張りを奪う事もあるんだ。その時、相手が家族だったとか、仲の良い仲間だったとか、きっと関係なく殺してしまう。

 だから私の考えは、人間を特別扱いした、ただのエゴなのかもしれない。

 

 

「なぁ、ミズキ。……モンスターと人間の違いはなんだと思う?」

「え? えーと……知能がある?」

 突然のアランの質問に私はそう答えた。

 

 火を使ったり、武器を使ったり、罠を使ったり、そういう事が出来るのは人間の知能の力だと思う。

 

 

「違うな」

 あれ?

 

 

「……モンスターと俺達の明確な違いは、ここだ」

 そう言ってアランが親指を向けたのは、彼自身の胸元だった。

 

「……こころ?」

「そうだ。モンスターにそれが無いとは……言わない。だが、俺達はそれを伝える術や心から来る感情が大きい」

 きっと、モンスターよりも私達はそういう事に敏感なんだと思う。

 

 

「だから、ミズキみたいに相手の事を思い過ぎて苦しむ事も出来る」

「……それは、悪い事なのかな?」

 この気持ちを大切にしたい。だから、悪い事だとは思いたくなかった。

 

 

「……それが、難しいんだ」

 ただ、アランは遠くを見ながらそう言う。

 

 

 

「お前みたいに、優しい気持ちでそうやって考える事が出来るのは絶対に良い事だ。それだけは断言してやる。……それでも、その気持ちに押し潰されたりして自分を殺すのはやめるんだぞ?」

「う、うん」

 私の頭を撫でながらそう言ってから、アランはこう続けた。

 

 

「……だがな、俺みたいな奴も居る」

「アランみたいな……?」

 どういう意味か分からない。

 

 それじゃまるで、アランが間違っているみたいな言い方だったから。

 

 

 

「その心で、ミズキみたいに優しい気持ちを持つ事が出来る奴も居れば……俺みたいに憎しみに囚われる奴だっているんだ」

「それが分かってるなら……自分を止められるんじゃないの? アランなら───」

「それが出来ないから、心って奴は厄介なんだ」

 アランは何処を見ながら言ったんだろうか。

 

 

 ここではない何処かという事だけは、分かる。

 

 

 

「普通の人間なら、自分の縄張りを荒らされたら相手を憎むんだよ。生き物として縄張りを守るとかそういう事の前に、相手を憎むという心が前に出てしまう。……それが、人間の厄介な所だ」

「それじゃ、心は……悪なのかな?」

 そんなのは、寂しい。けれど、その寂しいって気持ちも、心なんだ。

 

 

「お前の心は大切にしろ。でもな、心には別の部分もある」

「うぅ……難しい」

 私とアランで何か違うのかな?

 

 人それぞれで、こころは違うのかな?

 

 

「……今日は、それをミズキに考えて欲しかった。正直、俺にも答えは分からない。この感情は明らかに悪だと分かっていても、やっぱり俺はアイツを殺したい」

「アラン……」

「人間とモンスターが平等かそうでないかって話をしたな。……この事も踏まえて、お前に考えて欲しい。急ぐ必要はないから、ミズキの答えが俺は聞きたい」

 私の答え……。

 

 

「難しいね……」

「お前が進もうとしてる道はそういう道だ。……引き戻すか?」

 意地悪そうな顔でアランはそう言う。

 

 

 分かってるくせに、意地悪だ。

 

 

 

「私は前に進みたい、かな」

「そう言ってくれて良かった」

 そう言ってから、アランは再び食事に戻る。

 

 

 

 

 

 人間とモンスター(他の生き物)は平等だろうか?

 

 人間の持つこころがその答えのヒントなのかもしれない。

 

 

 

 

「ほら、冷めちゃうニャ」

 ムツキが焼き立てのお肉を私に渡してくれた。

 

 暖かい。

 

 

 

「……不味いかニャ?」

「ううん。とっても美味しいよ」

 歯応えがあるし、キノコのスープもあって夜の寒さが紛れる。

 

 

「キャンプってなんか、家じゃなくて落ち着かないから、色んな事考えちゃうよね」

「アランの家も自宅じゃないから本当は落ち着いたらダメなんだけどニャ」

「え、なんで?」

「そりゃ、男なんてケダモノだからニャ」

「おい、やめろ」

 なぜかアランは凄い汗をかいていた。

 

 そんなにお肉が熱かったのかな?

 

 

「アランは(けだもの)なの……?」

「なんでそうなる」

「私アランに襲われるのかな?」

「お前のそういう無意識な所が俺は嫌いだ……」

 アランはプルプル震えながらそっぽを向いてしまう。

 え、えぇ?! 怒られちゃったのかな……?

 

 

「アラン? お、怒らないでよぉ!」

「ぎゃはははは! やばいニャ、お腹が、プフッ、ぎゃはははは!!」

 なんでムツキは爆笑してるの?!

 

 

「……くそ」

 頭まで抱えて、物凄く怒ってるのだろうか?

 ど、どうしよう。謝らないと……。

 

 

「ご、ごめんねアラン! 私アランの事を獣なんて思ってないよ! ちゃんと格好良い男の人だと思ってるよ!」

「……っ?!」

「ぷぎゃはぁぁぁっ! や、やめろニャミズキ! これ以上はボクのお腹が持たな、ぶふっ、ぶひゃひゃひゃっ!」

 なんでそんなに笑うのぉ!!

 

 

「もー! ムツキ! 私真剣なのに!」

「だ、だって、だってニャ? ぷふ、ぶふ……っく、ふふ」

「怒るよー!」

 もう怒った。ムツキの頬っぺたを引っ張ります。

 

 私はアランを怒らせちゃったって焦ってるのに!

 

 

「……ふふっ」

 そしたら何故かアランまで笑い出した。何故?!

 

 

「あ、アラン?!」

「はぁ……なんかもうバカらしくなって来たな」

 な、何が……?

 

 

 するとアランは一旦瞳を閉じて、何かを決意したかのように私の目を真っ直ぐに見る。

 どうしたのかな?

 

 

「ミズキ、俺はお前の事が好きだよ」

「……えーと、私もだよ?」

 アランがそう言ってくれたから、私もそう返しました。

 

 

 それで、何故か数秒間時間が止まったように誰も動かなくて。

 

 

 

「ぎゃははははは! ぴぎゃぁぁぁっ、ひ、ひぃっ、酷、酷過ぎるニャ、ひひゃぁぁっ」

 数秒後、ムツキが大爆笑。

 

 

「え、何……?」

「あぁ……そうだよな。そうだよなぁ……。俺が今どれだけ勇気を出したと……ふふっ、ふふふ……」

 あ、アランが壊れてる。

 

 

 ど、どうすれば。ぐぬぬ……。

 

 

 

「あ、アラン!」

「……なんだ?」

「私は、こころが特別な事だって思わないよ。モンスターだって、こころを持ってる。だから人間のソレが特別だなんて思わない。……だから、私は人間もモンスターも平等だと思う。……思いたい! それが、今の私の答え……かな」

 とにかく考えている事の整理をしたくて、私は思った事をとにかく口に出した。

 

 

 まだ考える事はあるかもしれないけれど、アランに色々教えてもらった今の私の答えはこうだと伝える。

 

 

 

 それを聞いて、アランは小さく笑った。

 

 

 

 間違ってるかな?

 

 

 

 

「……そうだな。少なくともこの世界では、俺達は平等だ。……俺もそう思う」

 そう言うアランは優しく微笑む。

 

 でも「ただ───」と言葉を繋げた。

 

 

「───ただ、この心は特別な物だと俺は思う」

 そう言って、アランは私の事を抱き締める。

 

 

「ふぇ……あ、アラン?」

 ど、どうしたのかな?

 

 ちょっと抱き締め方が強くて苦しいくらいだけど、なんでか暖かい。

 

 

「悪いだとか、良いだとかは分からない。この気持ちがこの世界の理からして正しいのかも、間違っているのかも分からない。……だが、この心は特別だ。俺はそう思う」

 アランは今どんな顔をしてるのかな……?

 

 

 とても優しい声が耳元で聞こえて、なんだか顔が熱くなった。

 

 

 

「……ミズキは、ミズキの答えと心を大切にしてくれ。俺はお前の側で、教えられる事を教えるから。……そしていつか、お前の答えを見せてくれ」

「……うん。頑張るね」

 なんでだろう。

 

 

 こころが熱いんだ。

 

 

 心臓が強く弾いて、頭がぼーっとする。

 

 

 

「……ったく、笑えんニャ」

 心地が良い。そんな事を思った。




畑に猪が出た、とか。害獣が───とか。
そんなニュースを見ると、私は偶に思います。私だけですかね。


さて、戦闘シーンをバッサリ切ったのでかなり短くなってしまいました。特に進展はありません()

イラストの紹介。

【挿絵表示】

エイプリルフールネタで「狩人の追憶」のティナちゃんと描かせて頂きました。ミズキちゃん。狩友Tシャツがとても似合う(親バカ)。
勝手にキャラをお借りして申し訳ないです。


あと私情ですが、アニメストーリーズが終わってとても寂しい週末を送っております。ストーリーズはこれから先賑わう事があるのかしら……?


さて、なんとこの二週間で評価を二つも頂きまして。評価者二十六人となる事が出来ました。後四人で三十になるので、評価等とてもお待ちしているのですよ……っ!

それでは、次回もお会い出来ると嬉しいです。

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