うちは一族として生き残る!   作:黒百合

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写輪眼が開眼したようである

次の日。

ヒビキの家にやってきたのは父親のギタンともう1人。

 

「・・・はじめまして。ヒビキです。」

「あら、行儀がいいのね?

はじめまして。花菱(はなびし) キリカよ。」

「当然だ。俺の娘だからなッ!!」

「はいはい。親バカはいいから。

で、この子の目の前で戦ってあげればいいの?」

「ああ、そのとおりだ。」

 

やってきたのは短く切りそろえられた赤い髪が特徴的で、少し垂れ目気味のスリムな女性だ。

小柄な割りに胸のあるミコトと違って胸もスリムだったりするのが・・・アレである。

 

「ふぅん。隊長の子供って言うからどんな子だと思えば、隊長の血を本当に引いてるのか疑わしくなるほどの可愛さね。」

「そうだろうそうだろう。」

「皮肉も通じんか。」

「ん?」

「べっつに~。んで、娘の見てる前で良いとこ見せたいとかそんなところ?」

「うむ!!」

「良いお返事で・・・ていうか私も暇じゃないのよ?」

「どうせ婚活だろう?一日くらい、いいじゃないか。」

「どうせって言うけどね・・・これがまた忌々しいことに昨今の男ってヤツはもうっ!!

胸胸胸胸とっ!!

二言目には胸とっ!!

そんなにたかだか脂肪の塊がいいのかってくらい連呼しやがるバカやろうばっかりで、このままだとホントに結婚できないくらいヤバイのよっ!?」

「・・・そうなのか?・・・そうだ。今晩は家に泊まっていくか?」

「え!?ちょっ!?

このタイミングでそれを言うってことはその・・・ふり―――」

「俺の娘を眺めてるだけでその荒んだ気分が晴れること間違いな―――」

「本気で殺しにいくから。」

「なんでっ!?」

 

そんな父とその部下と思える相手を見て少し不安げになるヒビキ。

一応父親はうちはだし、その部下であるキリカも優秀なはずだけれど、どこかそんな気がしない2人である。

もしくはこれが強者の余裕と言うものだろうか?

 

 

「と、とにかく、組み手だからな?殺す気でくるんじゃないぞ?」

「え~。」

「え~じゃないっ!!

もしヒビキに流れ弾が当たったらどうするんだ!!それに殺されたらもうヒビキのかわゆい姿が拝めなくなってしまうっ!!」

「そっちかい。・・・たく、このバカちんが。本気で殺したろか。

・・・とりあえず満遍なく、適当に。って感じでいいのかしら?」

「ああ、そんなもんだ。」

「幻術はめんどくさいから使わないでよ。」

「もちろんだ。

それでは傍から見て凄さが分からないだろう?

ぱぱ大好きとか言われたいからなぁっ!!

派手派手で、なおかつ弱い術を使えっ!!」

「・・・とんち?」

「いいからかかってこいっ!!

ほれ、ヘイヘイ!!」

「ふん、んじゃ小手調べに。」

 

といって瞬と消えるキリカ。

ヒビキはイキナリでびっくりした。

 

 

☆ ☆ ☆

 

やばい。

全然見えないよ?

ぱ、ぱぱに戦ってもらったのはいいけれど予想以上にハイレベルすぎる気がする。

 

「ほらほらどうしたどうしたっ!!」

「ふふふっ、ほれっ!!」

 

楽しげな2人の声が聞こえるだけである。

トンボや鳥とはまた違う動きやスピードで動くものだから目で追えるだけの物があっても、すぐに視界外へ2人は出て行ってしまう。

これは気合を入れて視なければならない。

僕には時間も猶予もあまりないのだ。

今日が終わったらまた次のパパの休みまでいつになることか。

 

二人が戦って10分ほどが経過しただろうか?

お互いに手加減しつつ戦ってるのでなんとか目で追える様になってきたし、忍の戦いにしては長いだろう。

まだまだ続くはずだ。

 

「火遁 豪火球の術っ!!」

 

よしきたっ!!

今度こそ印を・・・印を・・・印を見切って・・・やるつもりだったんだけどなぁ。

早いよぉ。

もっと遅くやってよ。

早すぎるよ。

 

「ちょっ!?

殺す気かっ!?」

「あっちを見てみろ。

ヒビキが俯いている。きっと地味で飽きたに違いないっ!!

多少なりとも派手にいかなくてどうするっ!?」

 

見切れなくて気落ちしただけです。

 

「だからってそれを使うやつがあるかッ!!アホっ!!ていうかそっちがその気ならこっちもその気でいくからねっ!!」

「おいっ!?

その印は・・・」

 

よしっ!

なんか知らんがあの印は始めから見れた。丁度、僕の位置からは良く見える。

えーっと忘れないうちにメモっておかなくては・・・仕込んでおいた紙にカキカキと。

亥、辰、未に、えーっと?

よし。

今度はしっかり印も見たしメモもした。

なんか強いっぽい術なのでどんな術か、キリカさんを見るといつの間にか複数になっていた。

ほほう影分身か?

いや、でもナルトがいつもやってる十字の印は見てなかったからおそらく既に使っておいたものだろう。

 

そしてさらに印を結ぶ。

これも忘れずにメモる。どうやらこっちが影分身のようだ。

さらに数が何倍に増える。

 

「水遁 水絞弾っ!!」

 

水で出来たサメが飛び出て、パパに飛び掛った。

なるほど。

原作でキサメが使ってた術ね。

ただ自分が水遁の素質を持っているのかどうかというのがネックだ。火遁を得意とするうちはには水遁術を扱う才はおそらく無い。

あると良いなと思いつつ。

というかそれそれの影分身がそれぞれの方向からあの術を使うとはなかなか強い人らしい。

多少なりともかじったからこそ分かる難易度。そしてチャクラの消費量。

チャクラ多いなぁ。

影分身に術を使わせようとするとその分のチャクラも一緒に練ってから影分身をしなくてはならない。

そう考えるとナルトのチャクラチートぶりが分かる。どこか落ちこぼれやねん。あれだけでかなりのアドバンテージがある。

大抵の相手には強い忍術ブッパでそれだけで勝てるだろう、多分。

 

閑話休題。

今いる分身は10人。

水絞弾の術がどれほどのチャクラを使うかは分からないにせよ、水で出来たサメが相手を食いちぎるべくある程度の誘導性(ホーミング)を持って体当たりをするという術なのだから、少なくは無いチャクラを消費してるはず。

それに分身一つから2~3匹のサメを射出してるし。

 

「ちっ!火遁 豪龍火の術っ!!」

 

そこにパパが同じく誘導性を持つ術、豪龍火で水のサメを焼き千切っていく。

しかし多勢に無勢。威力は豪龍火の方に分がありそうだがそれでもサメの数は30前後。

対して火で出来た龍頭は4,5ほど。三分の一にも満たない。

これは大怪我ではっ!?と心配した矢先だったが、それは無用だった。

 

水がいきなり高温にさらされたせいか、爆発して周りのサメも巻き込んで潰したのである。

水蒸気爆発と言うものだ。

すごい勢いで軽く、というかすごく命の危険を感じるレベル。

 

轟音が家の庭に鳴り響く。

周りの水蒸気に視界がさえぎられたが、幸い二人の姿を見失っては居ない。

そのままキリカは影分身を進ませ、パパを牽制。

ここでパパは写輪眼を発動させた。

分身を見切り、潰し、斬り上げる。

キリカの分身は次々に消えていく。

写輪眼相手ではどんなに早い攻撃も無意味。

写輪眼でも見切れないような常人離れしたスピードの攻撃を当てるか、死角から攻める、態勢を崩すような攻撃を組み立てる。

ざっと思いつく対策はこれくらいだろうか?

 

 

「さすが隊長っ!

でもこれでどうっ!?」

「おいっ!?

本気になってないからっ!?」

 

そうして使ったキリカが使った忍術は大きな大きな双頭の竜を出す術だった。

水で出来てるので水遁だろう。

もちろん印はカキカキ・・・っと。

 

双頭の竜がパパに迫るがパパはそこで目の色を変えた。

いや、模様を代えた。

 

「・・・万華鏡っ。」

 

思わず息をのむ僕。

でもこんなところで使っていいの?

訓練ですよ?これ。

視力減っちゃうよ?これ。

 

「ふははははっ!!

どうだっ!!この超写輪眼はっ!!」

「そ、それを使うのは卑怯でしょっ!?隊長っ!!」

 

その能力は凄まじかったとだけいっておく。

そして万華鏡のことは良く知らないんだね。パパは。

超写輪眼とか言っちゃってるし。

まぁ原作でも開眼するのは少ないって話。

それも仕方の無いことだろう。

いずれ目に悪いと言うのは勝手に気づくだろうから―――というか今日、気づくだろう。

なんか「目がおかしいな?」とか言いながら擦ってるし。

眼科に行けとだけ僕から言って置けば、親ばかなパパのことである。

きっとすぐに行くに違いない。

そこで聞かされるはずだ。そして気づくはずだ。

万華鏡のリスクについて。

 

 

なにはともあれ、良い勉強になった。

途中から印もしっかり見切れるようになったし。

 

 

「うん?

あ、ちょっ!?

隊長ッ!?」

「うん?なんだ?」

「あ、あれ、アレ見てくださいよっ!」

「家の娘を指差すなっ!任務をふや―――は?」

 

二人してこちらを阿呆のような顔で見てくる。

なんじゃらほい?

 

「何?」

「開眼してるじゃない・・・すっごい子ね。」

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!

なんとっ!さすが俺の娘・・・っじゃないっ!!

どうしてこんなことにっ!?」

 

 

なるほど。

どうりで。

途中から見失うことが無かったわけだ。

 

 

僕は開眼できたようである。

写輪眼を。

 


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