うちは一族として生き残る!   作:黒百合

20 / 35
あとがきに主人公の挿絵ラフがあります。
書き直すかも。


それぞれの戦い ヒビキ

「・・・警戒しておけ。」

 

男たちはヒビキ達が眠る、石で出来たキャンプに接近していく。

キャンプはカマクラのように半円形で、出口には虫除け用のゴザが立てかけられている。

 

その周りには二十数人の忍たち。

二十数人という大所帯はこの付近で潜伏していた盗賊じみた忍のほぼすべてであった。

それらの18数人がキャンプを等間隔で囲い込み、残り2,3人で直接侵入する。

その手筈で、男たちは配置についていく。

 

「・・・。」

「大丈夫だ。」

 

手によるサインで周りへの確認を取り、リーダーらしき男がこくりとうなずく。

それと同時に2、3人が同時に入り込む。

 

「まずいっ!?これはっ・・・」

 

キャンプが爆発した。

中にいた二人が爆発四散。

死亡した。

と同時に、キャンプの石に仕込まれていた手裏剣が爆発の勢いで石礫(いしつぶて)と共に周りに飛び散っていく。

 

「なっ!?

くそっ!!

起爆札かっ!!ぐっ・・・手裏剣がうっとうしい!!」

「ばかなっ!?

気付かれていただとっ!?」

「ぐあっ!?石が・・・いてぇっ!」

「ばか、気を抜いていやがったからだっ!」

「やつらはどこに・・・あっちだっ!?」

 

男たちは半ば動揺しながらもすぐに周辺を見渡し、感知タイプによる忍が指を指した方向には二つの赤い光がほんのりと見える。

それは月明かりに照らされて、ほんのり暗闇に浮き上がる写輪眼であった。

 

「写輪眼を直接見るなっ!

幻術にかけられあれ・・・?」

「ぐっ・・・幻術に・・・」

「見るなと言ったろうがっ!!」

「見てねぇよっ!!見てねぇけど・・・あぐ。」

 

その後、数人がバタバタと倒れ伏していく。

 

「これはただの幻術だぞっ!」

「ちっ!写輪眼に注意を持っていかれ過ぎだっ!!

おまえらぁっ!!いったん落ち着・・・ぐあああああああっ!?」

 

土遁、心中斬首の術によって土の中に首だけを残してすべて埋まるリーダー。

 

「なっ!?

リーダーっ!!」

「助けねぇとっ!!」

「それは後だっ!!

まずは散開しろっ!!

まとめてやられるぞっ!!」

 

その言葉によって散開する男たち、だが、それこそが狙いである。

 

「こ、ここまでくれば・・・あんなにやれるなんて・・・聞いてねぇぞ。

・・・ん?」

「貴方には()の糧になってもらう。」

 

そこには完全な写輪眼を手に入れたヒビキがいた。

緊張と、人を殺すという覚悟をしたことによる高揚のせいだろう。

顔はひきつっており、口調、特に一人称が前世のものに戻っていた。

それだけで彼の、いや、彼女の心中の振れ幅がすごいのであろうことはわかる。

 

「・・・あん?

どけ、クソガキ。

今回は見逃してやる。」

 

男は冷静であった。

一見舐めた言葉であったが、その程度の安い挑発に乗るほど馬鹿でもないし経験が浅いわけでもない。

何か命がけの任務を受けているわけでもない彼としては、すぐさまここから逃げ出して、また別の場所で金のネタを探すほうがいいのだ。

戦争は激しくも長かった。死体回収の場は別にここだけではない。

うちはであるものの、子供の、おそらく下忍でしかない目の前の少女とやりあっても勝てるとは思う。

しかし、今さっきの手腕を見るに何がしかの手立てがあるのかもしれない以上、極力リスクは避けておきたいところである。

それにほかの奴がくるかもしれない。

 

ここで勝てば確かに一人のうちはの遺体を手に入れることはできるが、命あっての金だ。

 

男は慎重に逃げることを考えた。

 

「・・・見逃してもよかったんだけれど・・・あなたの持っているそれに用がある。

それはなんだ?」

「ん?

これか?」

 

男は手に荷物を持っていた。

それは誰かの体の一部であり、土が付着していることから埋められていたことが分かった。

 

「それを置いていくなら見逃す。」

「・・・ちっ。うぜぇな。」

 

ここは戦争跡である。

原型をとどめない遺体や、誰のものか特定できない遺体、巻き込まれた人たちを埋めた慰霊碑がここにはある。

男はそこから遺体をひっくり返して回収したのだ。

はずれが多いものの、時にはあたりを引くこともある。

ダメもとで状態の良い死体を回収しておくのだ。

大部分は土に還ってしまっているため、骨のみだがそれでもそれなりの価値にはなる。

 

逃げる際に落としたものを拾ったために、そのまま手に持っていたのがヒビキの目に留まったというわけである。

 

「てめぇになんか関係あるのか?」

「ない。

ないけれど・・・見過ごせるほど平和な時代には生きていない。」

 

父であるギタンの墓が荒らされていたら?と思うとヒビキにとっては許せないことだった。

それは人の気持ちを踏みにじる行為だ。

実際に戦争の一端を垣間見つつも、身内を殺され、墓を参ったことのあるヒビキとしては強い不快感を抱いていた。

 

「・・・くくく、なんだ?

身内の誰かが死んだのか?

まぁ、あの戦争は確かにひどかったからなぁ。

忍としてここにいるってことは、父親も忍で、先の戦争で死んだってことかね?

なら、気持ちはわからないでもない。が・・・」

「・・・っ!?」

「甘めぇよ。」

 

背後に瞬身の術で回り込む男。

ヒビキは瞬時にクナイを背後に打ち付けるが、男の手刀の方が早い。

 

「ぐっ!?」

「甘すぎる。

ほんとに戦争経験者ですかぁ?

んな感傷持ってる暇があったら、忍術使え忍術っ!」

 

手刀でよろめかせた後、男はクナイを取り出して首から上を刈り取ろうとする。

体ごと運ぶよりも写輪眼がある頭ごと回収したほうが手荷物が少ない。

冷静であるがゆえに、これはいけると判断した男のそれは悪手だった。

 

「さよならだ。」

 

そもそもこうして話し合うこと自体が甘い。

忍たるもの、問答無用で殺せばいいものを。

バカなガキだ。とほくそえんでいた時である。

 

「なっ!」

 

クナイはヒビキの体を切り裂いた。

切り裂いたのだが、それは煙を立てて消えてしまった。

 

「それなら忍術を使おう。」

「ばかなっ!?

こんなガキが影分身を・・・がはっ!?」

 

背後から現れたヒビキによる螺旋丸を直接受けて吹き飛び、木々にぶち当たり、吹き飛ばしながら男は沈黙した。

内臓はズタズタ。骨も至る所がへし折れており、打ち身がほぼ全身に。

即死と言っていい体だ。

なんとか息をしているものの、死ぬのは時間の問題である。

 

「・・・次。」

 

男が持っていた骨を回収して、ヒビキはその場を消えた。

 

 

☆ ☆ ☆

 

「ちっ、ただのガキかよ。

よくもやってくれたな・・・このクソガキが。」

 

そしてある男が逃げた先にはタマモが立ちはだかる。

 

「あなた方を見逃すわけにはいかないです。」

「ほう?

そいつはどうして?

俺たちは別に誰かに迷惑をかけたわけじゃないぜ?」

 

と、男は飄々と語りながらも自身にとってのベストな距離を取ろうとする。

 

男は感知が可能である。

専門の感知タイプには劣っていても、周辺数百メートルは分かる程度には心得ていた。

ゆえに一人待ち受けるタマモの前に姿を現したのである。

おそらくこいつらは散り散りに逃げていく自分たちを各個撃破していくのだろうと見抜きつつも、やはり手ぶらで帰るのはいかんせん、認められなかった。

ゆえにヒビキ達の中でも一番チャクラの小さかったタマモを狙って、逃げようとしたところをたまたま出くわした、という状況を演技しつつ、男は虎視眈々と狙っていた。

致命的な隙を。

 

「・・・死体を遊ぶのはだめです。

それに私たちに襲い掛かってきました。」

「ではなにか?

飢え死にしろと?

俺たち抜け忍にまともな金稼ぎができないことくらいわかるだろう?

同じ忍なんだ。」

「・・・う、でも・・・」

 

ここらで男は確信した。

男たちの共通の認識として、身のこなしから大人のうちはであるシスイ以外はただの下忍かと思っていた。

しかし、その下忍らしきやつらの中に二人、ヒビキとイタチの身のこなしが上忍相当だったのもあり、もしかしたら油断させるために変化の術を使っているのではないかという疑いがあったのだ。

タマモとてその二人には劣るものの、一人前レベルではあった。

そしてこのご時世である。

戦力として徴兵されていたという可能性も考え、警戒した故の先の襲撃だ。

さらにはそれを見事、察知されいまやどれだけの人数がこの近辺にいるのかも詳しくはわからない。

そのような状況を作り出したのだからきっとできる忍だと考え、逃げるための罠も作りつつタマモの前に姿を現したのだが、ちょっと殺気を向けるだけ、いやそれどころかただ敵意を示して相対するだけで萎縮する始末。

 

だからこそのガキ発言である。

変化ではなく、特に一端の経験があるわけでもなく。

本当にただのガキ。

実戦のじの字も知らないような青臭いガキである。

 

こんなガキにやられたとなると、はらわたが煮える思いだが、それでもこのガキに当たった自分はラッキーだとも考えた。

多少できようとも、こちらとて戦争経験者。

写輪眼の分のハンデは十分にカバーできる。

生け捕りだって可能だろう。

殺すつもりで行けば仲間が駆けつけてくる前に目の前の彼女から写輪眼を抜き取ることだって可能なはず。

 

リスクとリターン。

それを計算して、比較的低いリスクに十分なリターン。

男は本腰を入れてタマモを殺すことにする。

 

さらには精神性も未熟。

こちらの生活に同情しているようだが

実にバカな話である。

確かに同情に値するのだろうが、それはそれこれはこれだ。

彼らを殺す気で向かった以上殺されても文句は言えない。

確かに元をただせば、戦争が悪い。

しかしそれによって貧乏になった彼らが選んだのはてっとり早く儲けるためのこうした仕事である。

彼ら自身で選んだのだ。

そこに同情されるいわれはない。

 

そもそも仮に同情する事情があれども、助ける情も義理もない。

この場における”それ”はただの甘さだ。

それも非常に愚かしい、唾棄すべきくだらない甘さ。

忍失格である。

 

恨むなら、自分の里の教育方針を恨めと思いつつ、男は罠を作動させる。

手からは細い細いピアノ線。

光を透過するため、たとえ写輪眼でも目であるがゆえの物理的な理由で見えない。

これにチャクラや、わずかな付着物でもあれば気付けていたのかもしれないが・・・

 

 

 

隙のできたタマモに対してクナイが飛んでいく。

 

 

 

 





【挿絵表示】


巨乳です。
日本人は小ぶりな方が多いですが、それは昨今のダイエットブーム故。
この世界では戦闘が多いためによく食べ、よく寝る主人公は健康な成長をして、しかも中身男なのでダイエットにはあまり関心がありません。

全世界で太っていると聞いた時に太ってると感じる人が多い人は肥満大国アメリカではなく、日本人だそうです。
さほど太っていない、ただの健康的な肢体でもちょっとふにっとしているだけで太っている、と日本の女性は感じてしまうそうですね。
なおかつモデルさんも枯れ木のような足をびょーんと伸ばしている方が多いように思えます。
あれってもはやアンガールズ(やたらと細く長い芸人さん)を彷彿とするのは僕だけでしょうか?

男性はそういった足よりもむちっとしてる方が好きなんですよ?大体の場合。
もちろん趣向があるのでその限りではないですが、六割がたはそうだと思います。
もしくはむちっとしていても気にしないか。
でもってダイエットすると真っ先に減る脂肪は胸だそうで、そのため日本人女性や細い体系を維持するモデルさんには小ぶりな方が多いのでしょう。

そういったことがなければふつう程度には大きくなる、で、甘い団子が好きな主人公は自然巨乳になった、といういいわけでしたw

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。