孤高の王と巫女への讃歌   作:grotaka

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長らく続いた休止期間も、ついに終了です。

それでは第七話、スタートです!


第七話 「王達の会談」

【草薙護堂】

 

 

 その手紙が送られてきたのは、アテナとの戦いが終わって三週間経った、ある休日の朝だった。

 

 

「お兄ちゃーん、お兄ちゃんに手紙だよー」

 

 妹の静花が持ってきたのは、茶色の封筒だった。中には手紙が入っているらしい。

 

「手紙?誰からだ?」

 

「知らない人。軍谷伊織って書いてあるけど……お兄ちゃんの知り合い?」

 

「いや、そんな知り合いは俺にはいないぞ……?」

 

 首を傾げながら封筒を受け取ったところで、護堂は不意に思い当たった。軍谷伊織――聞き覚えのある名前だ。それも、護堂のもう一つの顔(・・・・・・・・・)に関係があったはず――。

 

 (エリカに聞いてみるか……)

 

 とりあえず中身を確認する事にして封を切る。そして中の手紙を見た直後、護堂の目が丸くなった。

 

 内容はこうだ。

 

 

『拝啓 草薙護堂殿

 

 今回初めて、こうして手紙を送らせて頂く。

 

 初めまして、草薙護堂。私の名は軍谷伊織という。現在、貴方の治めるこの国に逗留させてもらっている者だ。

 

 訳あって貴方より先にこの国に入り、休養を取っているのだが、この件は貴方の即位を知らぬまま私が行動した結果だ。その点について、まずは謝罪させて頂きたい。

 

 ついては、唐突で申し訳ないのだが、貴方との間に会談を設けさせて頂きたいと思う。

 

 私も貴方に色々とお頼み申し上げたい事がある。また貴方も私に対し言いたいところは多数あろう。それらを話し合う場として、一度お会いしたい。

 

 会場は、この国の魔術機関に要請して準備させた。明後日の午後六時、◯◯◯◯にお越し頂きたい。

 

 返事は不要、当日に指定した場所に来て頂けるだけで充分だ。是非お越し頂けるようお願いしたい。

 

 追伸

 

 会場はレストランだが、金は持ってきて頂かなくて結構だ。代金は全て私が持つ故、存分に食事をお楽しみ頂ければこれ以上の事はない。

 

 是非貴方の騎士、エリカ・ブランデッリも伴われてのお越しをお待ちしている。

 

 軍谷伊織 草々』

 

 

 いきなりの話に、護堂は少しばかり呆気に取られて手紙を読み返していた。

 

 これは、すぐにでもエリカと話し合った方がいいだろう。護堂はポケットから携帯を取り出すと電話帳機能を開き、エリカに電話を掛けた。

 

 

 /◯/

 

 

「軍谷伊織様……約六年前、北欧で御即位なさったカンピオーネよ。しかもあなたと同じ日本出身のね」

 

 手紙を見せると、エリカは緊張に引きつった顔でそう言った。

 

「そうか、俺のお仲間だったのか……道理で聞き覚えがあったわけだ」

 

「というか、忘れていたことに驚きね。私達魔術師にとっては、ヴォバン侯爵と同じくらい忘れられない名前だっていうのに」

 

 呆れたような顔でため息をつかれた。

 

「忘れたの護堂? 軍谷様は、若い世代のカンピオーネ五人の中でも、特に危険なお方だって。あなただって知ってるはずよ、二年前トルコの黒海南岸に降りかかった"災厄"を……」

 

「………ああ、あれか」

 

 真実を知らないとはいえ、あの事件によってもたらされた"災厄"は誰でも知っている。何せニュースで放送されたぐらいなのだ。

 

「確か、核実験の失敗とか火山性有毒ガスの広範囲噴出とかいう風に言われてたけど……違うんだよな?」

 

「ええ。でも今はそこは重要じゃないわ。それを為した魔王、軍谷伊織様があなたとの会談を求めている、ということなのよ」

 

 いつもは優雅な言動や所作を心掛けているエリカが、この時はおかしなくらいに固い表情と物言いをしていた。それ程深刻な事なのかと、護堂は気を引き締める。

 

「軍谷様は、賢人議会を初めとしてヨーロッパ中の魔術結社を巻き込んで、世界に混乱をもたらし続けたお方よ。事件を起こす事にかけては他の方々に劣らないし、何より彼は智恵の戦士であるそうよ」

 

「智恵の戦士?」

 

「ええ。護堂、貴方達は基本的に自分の勘と感覚で戦っているんでしょう?」

 

「まあ、そうだな。俺には活用出来るような知識もないし。自分のやり方でやるしかない」

 

「そう。基本的には戦闘で魔術の知識なんて用いる必要がないのがカンピオーネ。こう言うと語弊があるでしょうけど、貴方達は自分の権能と野性の勘で戦う戦士というべきなの。――でも、軍谷様は違う。彼の権能について話した事はあったかしら?」

 

「いや、多分ないだろ。俺はそういう知識を仕入れたくないからな」

 

「でも今は聞きなさい。――軍谷様が持っていらっしゃる権能は、解っているだけで六つあるわ。とはいえ、六つ目の太陽神バガの権能はまだ解っていないそうだけど」

 

 ――『豊穣王の財宝(ユングヴィ・フレイ・イン・フロージ)』『魔術統べる神馬の女王(アイリッシュ・トライアッド)』『万障破る聖句の紡ぎ手(スペルマスター)』『劫火纏う不滅の聖鳥(ザ・ラプター・オブ・イモータルフェザー)』『殲滅の狂祭(ザ・ディザスター)』。

 

 この五つが、軍谷伊織とやらの権能であるらしい。

 

「どれもこれも、他の方々に劣らず、化け物じみた破壊力を持った権能ばかりなのだけど。その中の一つ――『魔術統べる神馬の女王(アイリッシュ・トライアッド)』が、軍谷様の異端さを表す権能よ」

 

「異端さ?」

 

「ええ。『魔術統べる神馬の女王(アイリッシュ・トライアッド)』は、三種類の力を強化する権能。その内の一つに、魔術を強化する力があるの。この力で強化された魔術は、元々が強力なものであれば、まつろわぬ神にすら通用するくらいにまで強化が可能なのですって」

 

「神様にも効くのか!?」

 

 まつろわぬ神やカンピオーネは内に莫大な呪力を蓄えているため、人間の魔術など簡単に弾いてしまう。特にカンピオーネの耐性は凄まじく、呪力を高めれば権能すらもある程度は弾いてしまえる程だ。

 

 それ故、人間用の魔術をそこまで強化してしまうというのは驚愕の一言に尽きた。

 

「ええ。さすがに力任せに強化すれば魔術が暴走してしまうらしいけど、軍谷様はその辺の調整も簡単にやってのけるから……」

 

 逆に、あえて暴走させて爆弾のように使う事も出来るらしい。それを食らった場合、軽く神獣五体は吹き飛ばせるとかいう触れ込み付きで。

 

「……何ていうか、凄く器用なんだな。その軍谷ってやつ」

 

「器用なんてものじゃないのだけどね……。おまけに軍谷様は、賢人議会において神童と評された程の魔術の天才。何というか、一番持っていて欲しくない方に厄介な権能が渡ってしまったという感じだわ」

 

「まあ、ドニの馬鹿と一緒で、そういう奴だからこそそんな権能になったっていう見方もあるだろうけどな……。どっちにせよ戦いたくない相手だよ」

 

「まあ……戦闘にならないように配慮すれば、避けられるかもしれないわね。……この国に、あのお方の興味を引くものがなければだけど」

 

「……どういうことだよ? 興味を引くものって?」

 

 緊張した面持ちから一転、苦々しげな表情になったエリカに護堂は眉根を寄せた。

 

「軍谷様は魔術の天才だけど、それに比例して神秘への興味も強いのよ。まあ同じ土俵でなら、コーンウォールのアレク王子には一歩譲るのだけど……」

 

「それがなんで問題なんだよ? 知識欲が強いのは珍しい事でもないんだろ?」

 

「それはそうだけど、問題はそれがカンピオーネだということよ。自然と神々を引き寄せてしまう、そんな性質を持った存在が宝探しなんてしたらどうなるか、解る?」

 

「あー……」

 

 嫌になるくらい理解出来た。そんなハチャメチャな輩が遺跡探検などしようものなら、十中八九神様絡みの何かが起きる。

 

「軍谷様の戦歴の四割くらいは、そういった事絡みで発生した戦いなのよ。だから、もしこの国にもそういうものがあったら……」

 

「……だいぶマズイな……」

 

 何から何まで、自分とは違う男。軍谷伊織がとことん厄介な存在ということが良く解った。

 

「まあ、会うだけ会ってみようぜ。他の連中――ドニの馬鹿なんかと違うんなら、とりあえず話し合いは通じるかもしれないしな」

 

「そうね。じゃあ明日、時間通りに行くとしましょう。――護堂、一応言っておくけど、腹が立ったとしても抑えて頂戴ね。東京を死の大地にしたくなかったら」

 

「解ってるよ。任せてくれ」

 

「……その言葉で安心出来ないのが、最大の悩みなのよね……」

 

 その会話で護堂とエリカの話し合いは終了となった。

 

 

 ――軍谷伊織と草薙護堂。日本出身の二人の魔王。この二人の初邂逅は、明後日に迫っていた。

 

 

 

  ◯  ◯  ◯

 

 

 

 会場に選ばれたのは、都内でも有名なホテルのレストランだった。

 

「……こんな都会のド真ん中なんだから、向こうも荒事をする気はないって事だよな?」

 

「それは早計よ、護堂。あまり被害が出ないような、何らかの襲撃を受けるという可能性も考慮すべきだわ」

 

「いや、それはさすがに警戒し過ぎだろ……」

 

 割と気楽そうな表情の護堂は、警戒心剥き出しなエリカをなだめながらホテル内に入り、二階にあるレストランまで階段を上っていく。

 

 ここまで、魔術的な仕掛けやら怪しい何かがあるという事はなかった。エリカ曰く「こちらを監視している人員はいる」らしいが、これは日本の魔術結社――正史編纂委員会とか言うらしい――の構成員だと、事前に軍谷伊織の手紙に書かれていた。

 

 魔術に関してはズブの素人である護堂だが、呪力の気配を感じる事は出来る。そして、護堂もエリカも呪力の気配を気にし過ぎていた。

 

 ――だから、彼らは気づいていなかった。彼らのすぐ後ろを歩く青年の存在に。

 

「――灯台下暗し」

 

「「うわあっ!?」」

 

「一つの事に気を取られ過ぎていると、他の事は疎かになる。俺は確かに魔術であれこれするのは得意だが、それだけが取り柄とは思わないで欲しいな」

 

 護堂とエリカが、思わず飛び退いて見やった先には、一人の青年が笑みを浮かべて立っていた。

 

 細身の長身、秀麗な風貌。全体的にスマートな印象を受けるが、ただ一つ、妖しく煌めくワインレッドの瞳が彼に神秘的な輝きを与えている。

 

「やあ、二人とも。いきなりの誘いによく応じてくれた。感謝するよ。――軍谷伊織、君の同族だ。以後お見知り置きを」

 

 紅の瞳に悪童めいた輝きをちらつかせながら、今回の交渉相手――軍谷伊織が登場した。

 

 

 /◯/

 

 

「さあ、まずは食おう。ここ、とある御仁からのオススメで選んでみたんだが、随分有名なトコだったみたいだな?いや、これだけ豪勢なレストランに入るのは久しぶりだよ」

 

 軽く自己紹介を交わしてから席に着くなり、軍谷は実に朗らかな笑みでお喋りを始めた。

 

「やっぱり、上海のレストランは料理は美味いが店の衛生面はまだまだだな。店の見た目より味で勝負!って姿勢は買うが、日本人としてはそういう所への気配りもして欲しいとは思う」

 

「フランスじゃ、凝ったレストランより普通の食堂みたいなレストランで食う料理の方が美味かったりもするんだよな。逆に手を抜いているレストランを見つける方が難しかったりもしたなあ」

 

「そうそう、スペインでは日本人の開いたレストランに良く通ったんだ。外国人向けに改良した日本料理っていうのは、やっぱりオリジナリティがあって感慨深いな」

 

「「…………」」

 

 なまじ、恐ろしく狷介な男だと想像していただけに、笑顔で各国のレストランについて語る目の前の軍谷は、護堂とエリカには目を疑わんばかりのものだった。

 

「……ず、随分と料理について思い入れがあるのですね。少し意外です……」

 

「え?ああ、まあな。あまりに食事に拘り過ぎて、一時期、仲間に『腹ペコ王』なんて呼ばれたし」

 

「は、腹ペコ王……」

 

 エリカの頬がさっきから引きつりっ放しだ。まあ当然だろう、あれだけ悪名高い魔王として語られていた人物のプライベートがここまで抜けているなどと、一体誰が想像出来ようか……。

 

「ま、誰だって食えるなら美味いものを食いたいじゃないか。俺はその辺の欲求が人より強いんだ――って事にしておいてくれ」

 

「「は、はぁ……」」

 

 二人揃って呆けた声を上げてしまうのは、今は堪忍しておいて欲しいところだ。

 

 と、

 

「……あ、しまった。すいませーん」

 

 話に夢中になって注文していなかった事に今気づいたのか、軍谷が慌ててウェイターを呼んだ。

 

 そして、ここでも護堂は驚愕する事になる。

 

「……えーと、君達はさっきの注文でいいな?じゃあ俺のは――」

 

 一拍、

 

「――カルボナーラ三皿にクリームソースのペンネ三皿にマリナーラ二枚にクワットロ・フォルマッジ二枚に生ハムとチーズのサラダ一皿にスープリゾット三皿にオッソ・ブーコ四皿に――」

 

「「――――!?」」

 

 最早言葉が出なかった。凡そ人一人が注文するとは思えない数に、二人だけでなくウェイターも目を点にして軍谷を凝視する。

 

「……あ、あの、お客様?」

 

「ん?何ですか」

 

「えっと、その……お一人で召し上がられるのですか?」

 

「はい」

 

 ……その一言の力強さは、聞く側に自分の耳を真剣に疑わせる程であった。

 

 

 ――そして、一時間後。

 

「……はー、食った食った……」

 

 山と積まれた皿を、台車を使ってウェイター二人が下げて行った後、食後のコーヒーを味わいながら軍谷は幸せそうな顔で笑っていた。

 

「……良く食うんだな」

 

「ああ。俺は食える時には食っておく主義なんだ」

 

「いやいやいや、もうそんな次元じゃなかった気が……」

 

 もう驚く事にも疲れた護堂は、ややげんなりした様子で軍谷を流し見た。

 

 初めの警戒はどこへやら。今はこの青年の異常過ぎる実態に呆れ返るしかない。

 

 だから、

 

「――さて。では、本題に入ろうか」

 

 唐突に変わった空気に、全身が引き締まる。

 

「俺達二人の魔王の間で取り交わされる、違える事無き協定を、早速話し合っていこうじゃないか」

 

 先程の緩い雰囲気は微塵もない。そこにあるのは、研ぎ澄まされた剣のような鋭い威圧感と、王者の気風。

 

 喉を鳴らし、護堂は密かに拳を握り締めた。

 

 

「――さて、先日伝えた通り、今日君と話し合いたいのは、今後俺がこの国に逗留させてもらう間の、俺達の事についてだ」

 

 事前に伝えておいたのか、護堂達が食事を終えて尚席を離れないのを、ウェイター達は見咎める事もなく皿を下げていった。

 

「俺の“癖”についてはブランデッリから聞いているだろう?」

 

「……ああ、聞いてるよ。立ち寄った国に何日か滞在して、気に入れば何ヶ月か居座るんだろ。……そこにカンピオーネがいようがいまいが関係無く」

 

「御名答」

 

 仏頂面のまま護堂が答えると、軍谷はくつくつと愉快そうに笑い頷いた。

 

「でもまあ、カンピオーネがいる国なら一応は協定を結ぶようにはしているんだ。……成立した事がほとんどないんだがな」

 

「ほとんど……?」

 

「ああ。三回中二回。相手が悪かった」

 

「誰とだ?」

 

サルバトーレ・ドニ(イタリアの馬鹿)リーリス・ボレツカヤ(ロシアのイカレ女)だ」

 

「…………」

 

 後者は良く解らないが、前者の馬鹿さ加減は良く解っているので、「そうだろうなあ」と内心で軍谷に同情してしまった。その横でエリカも微妙に引きつった笑みを浮かべている。

 

「まあ、話を聞く限り、君とはそういう事にはならなさそうだと思っている。だからそのつもりで、よろしく頼む」

 

 その言葉に、物憂げであった護堂の意識が覚醒した。

 

「そ、そういう事にならなさそうっていうのは……!?」

 

「編纂委員会の人から話を聞いたんだよ。なんでも君は、あのアテナ相手に平和的に(・・・・)お帰り願ったそうじゃないか。変わってるなと思って」

 

「どういう風に!?」

 

「え、ああ、まあ俺達は神様相手には喧嘩を売るのが普通だからな。まさか平和交渉をしに行く奴がいるとは思わなかったよ。平和主義の神殺しなんて、異端にも程があるってな」

 

 いきなり食いついてきた護堂に瞬きしつつ、軍谷は興味深そうに護堂を見据えた。

 

「やはり、生ぬるい現代日本の社会で生きてきたからか? あの老狗と違うのは、やはり生きてきた環境の差か? ――いや、まだ断定するには早い。俺達の本質が露呈するのは戦場だ。まずはそこからか――」

 

 途中から、軍谷の物言いが独り言のように思案口調に変わった。護堂の本質を見抜かんとするように、エリカやその他の存在には目もくれず、護堂だけを食い入るように見つめる。

 

「……お、おい、軍谷?」

 

「(実際の所、アテナとの第二回戦ではこれでもかと東京を破壊していたわけだしな……コロッセオを壊したのも、明らかな格下相手に勝つためとか……本番になれば躊躇しないのか?)」

 

「ちょ、おい、何ブツブツ言ってるんだよ割と怖いぞ。おいってば、聞いてるか?」

 

「……ん?ああすまない、聞いていなかった」

 

「おい」

 

「まあ、それはさておいて」

 

 さして気にした様子も無く、軍谷はピッと人差し指を立て、本題に入ろうと切り出した。失礼な奴だ。

 

「まず、君達に伝えなければならない事がある。それは、俺が既にこの国の魔術組織――正史編纂委員会とか言ったか――と契約を結んでいる事だ。……ああ、別にこの国の支配者になるとかそういうのじゃない。簡単に言うなら、この国で起きたまつろわぬ神絡みのことの対応をする代わりに滞在費を供出してもらって、さらに俺に監視役を付けて、という内容だ」

 

「まあ、アンタが日本に来た時は、俺の存在については知らなかったんだし、そこはまあ構わないけど」

 

 カンピオーネに監視役というのは、まああのドニにもアンドレア・リベラという執事兼監視がいる訳だし、変わった事ではないのだろう。

 

 とはいえ、軍谷の場合は本人の言い方からするに、自分で付けさせたようだ。自分から監視されたいというのも変わった話である。彼なりの考えがあるのだろうとは思うが、生憎護堂にはさっぱりだった。

 

「ありがたい。――で、これを踏まえた上で、俺が君達に要求したい事は二つある。まず一つは、俺がこの国でしばらくの間滞在する事を許可して欲しいということ。そしてもう一つが、俺に仕事の依頼をして欲しいということだ」

 

「……は?」

 

 護堂は思わず眉を潜めた。

 

 滞在の事は、予測していたことだから特に問題はなかった。自分は別にこの国の支配者という訳でもないし、軍谷にとっては故郷なのだから好きにすればいいという話だ。

 

 だが、仕事の依頼というのは考えてもみなかった。一体どういうことなのだ?

 

 困惑した眼差しでエリカの方を見やる護堂だが、彼女の方も目を丸くし口をわずかに開けたまま固まってしまっている。今のは、彼女も知らない内容なのだろうか。

 

 軍谷からは、冗談を言っているような様子は見られない。真剣な眼差しで、こちらをひたと見据えている。

 

「えっと……依頼っていうのはどういうことなんだ? 俺があんたに何を頼めばいいっていうんだ?」

 

「色々あるよ。例えば、並の魔術師じゃ手に負えない魔道具の管理や封印、解呪、処分なんかが解りやすいところだな。他にも遺跡調査だったり神獣狩りだったりも請け負っている」

 

「……あれ? でもそれって、魔術結社とかに対してしてることじゃないのか?」

 

「ああ、その認識は間違っていない。俺はこの国の管理者である君を、ビジネス相手として交渉を持ち掛けている――そういう風に考えてくれ」

 

 ビジネス相手。まさか同族から聞くとは思っていなかった単語に、護堂の眉がピクリと動いた。

 

「あんた、本当にらしくないカンピオーネだな。これがドニなら、いちいち交渉とかしないでお構いなしに来るっていうのに」

 

「あれと比較するのはやめてくれ。いくら同族だからとはいえ、あんな馬鹿の思考回路と少しでも類似しているところがあるなんていう事実を突きつけられたらたまったもんじゃない」

 

「そこは全力で同意するよ」

 

 沈痛な表情で首を振る軍谷に、護堂は心の底から謝罪した。何があったかは知らないが、軍谷もドニに振り回された事があるようだ。同じ体験をした身としては、何の冗談でもなく本気で共感出来た。

 

「まあ、事を不用意に荒立てるのは俺の好きなやり方じゃないからな。俺が我を張る所はここじゃない、だからこういう交渉事でも、俺はあくまで理性的に話をつけるようにしてるのさ。――さて、話を戻そう。依頼についてだが――」

 

「恐れながら、軍谷様」

 

 と、ここでエリカが口を挟んだ。護堂が視線をやると、彼女も同じように目だけでこちらを見た。「任せて」ということらしい。

 

「我が主に代わって質問致しますが、その依頼に、まつろわぬ神の討伐は含まれるのでしょうか?」

 

 その言葉に、護堂は心の中でしまったと舌打ちした。だが、それはエリカに対するものではなく、自分に対してである。

 

 護堂は決して血の気の多い人間ではない――と、少なくとも自分では思っている。だから、積極的にまつろわぬ神と戦おうとはしない。それは同族であるカンピオーネに対しても同様だ。

 

 だが、だからと言ってこの軍谷にそれを押し付ける……というか丸投げする気もないのが、正直なところである。何せ、相手は一般人の世界でも世界的に取り沙汰されるような大事件を起こした、張本人なのだから。

 

 それについさっき言っていたではないか、まつろわぬ神絡みの事件に対処する代わりに報酬を貰う契約を交わした、と。つまり、今の段階で決めておかねば軍谷は勝手に行動するかもしれないのだ。

 

「御身はこの国の魔術組織と契約を交わしたと仰いました。この国を襲う災厄について自分が盾となり矛となると。――ですが、それは双方が我が主、草薙護堂がカンピオーネであるという認識が無かった状態での話。こうして草薙護堂が日本に君臨する以上、我が主と軍谷様、どちらが神に立ち向かうのか……それはハッキリさせておいた方がよろしいのでは?」

 

「ああ、その事か……。そうだな、確かに取り決めはしておいた方がいいか」

 

 軍谷はそういえば、くらいのノリで頷くと、視線を再び護堂にやった。

 

「草薙護堂、一つ質問がある」

 

「何だよ?」

 

「例えばの話だ。もし、誰か身近な人――君の家族や親しい友人が、まつろわぬ神に殺されたとして、その神と俺が戦っているとする。その時、君は傍観者に徹する事が出来るか? 言い方は悪いが――指を咥えて、仇が俺のような赤の他人に討たれるのを見ている事は出来るか?」

 

「そんな事、出来る訳ないだろ」

 

 有無を言わさぬばかりの語気で、護堂は即答した。何を当たり前の事を聞いているんだと、わずかながら憤りもした。

 

「俺の大切な人に手を出した奴を、放っとく事なんて出来るかよ。絶対に痛い目見せて後悔させてやる。それに、俺は易々と何かを奪われるつもりはないしな」

 

「――奪われた時は?」

 

「そん時は取り返せばいいだけだろ? ――それに、最初の話に戻るけど、アンタがその神様と戦ってるなら好都合じゃないか。俺も加勢して一緒に戦えばいい」

 

「その提案は承諾し兼ねるが、――まあ、言いたいことは解ったよ」

 

 軍谷は、ニヤリと愉快そうに笑った。とはいえ、またしても腹に一物抱えていそうな笑みだったが。

 

「解った、ならこうしよう。君が戦える時は君が戦い、俺は君からの要請があれば戦う事にしよう。俺はあくまで、君の主権を尊重するように動く」

 

「――お待ちください、軍谷様」

 

 また、エリカが口を挟んだ。今度は軍谷も怪訝そうな顔になる。

 

「そのお言葉と我が主への譲歩は大変ありがたいもので御座いますが、もし御身の因縁の敵がこの国に現れた場合は、どうなされるおつもりですか?」

 

「殺す」

 

 即答だった。

 

 そこには、一片の感情も含まれていなかった。ただそこにあるから殺す、殺す事が当然であり一切の理由も主義も必要ないという、狂気じみた無があった。

 

 ぞくり、と背筋が震える。それは恐怖というより、敵愾心を刺激されたのに近いものだった。そして横のエリカは、青い顔をして固まっている。

 

「それは俺の獲物だよ。俺以外の存在がそれに手を出していい訳がないだろう。東欧の老狗だろうが中国の魔教教主だろうが例外じゃない、それは俺だけに許された行為だ。もし他人がそれを手にかけようものなら、そいつは必ず血祭りに上げてやる」

 

「「………ッ」」

 

 心なしか、軍谷の眼光が赤みを増して、血の色に染まっているように見える。

 

 だが、

 

「……というのは、まあ冗談だがね」

 

「……じょ、冗談?」

 

「ああ。そんな事したら契約違反じゃないか。持ち掛けられる側はともかく、持ち掛ける側が破っちゃあ意味がない」

 

 やや大仰に肩をすくめて見せる軍谷。いい加減なように見える仕草だが、別にふざけている訳ではないのだろう。

 

「……冗談にしちゃタチが悪すぎるぞ。本気かと思ったろうが」

 

「はは、悪い悪い。――まあ、俺達カンピオーネは感情のままに生きる存在だからな、何が起こるか――何を起こすか解らない。だから絶対はないものと思ってくれ。そして、俺が契約違反をした場合は、容赦無く俺を攻撃してくれて構わない」

 

「こ、攻撃って――」

 

「物理的にだろうが精神的にだろうが政治的にだろうが、何でもいい。君が俺に対して一番有効だと思った方法で俺を弾劾し、この国にいられないようにすればいいんだ。実際、契約違反をして、国外追放みたく追い出された事だってあるし」

 

「お、おいおい……」

 

 自分からそんな事を告白するのは、さすがに開けっぴろげ過ぎではないだろうか――。そんな護堂の心中を知ってか知らずか、軍谷は肩をすくめる。

 

「君だって、やりたくてコロッセオやスフォルツェスコ城を破壊した訳じゃないだろ?自分で言っちゃなんだけど、俺にも、本意じゃなかったけど言い逃れ出来ませんっていう事はあったんだ。だから、契約を交わしたとはいえ、警戒は解かないでくれ。いいか?」

 

「……解った」

 

 よし、と軍谷は頷き、改めて自分達に真剣な表情で向き直った。

 

「確かに、俺には幾らか因縁の敵ってのがいるのは確かだ。そいつらを討ち果たして復讐したいって気持ちもある。その感情に流されるままに、君との契約を破る事はないとは言い切れない。――だから、その場合は、君も好きなように動いてくれていい。疲弊した俺をぶちのめすなり、戦闘に介入して漁夫の利を得るなり、何だってしていいんだ」

 

「随分、思い切りがいいんだな」

 

「契約は契約だからな。遵守するのは当然だが、破った場合の事も考えて然るべきだ。――それに、俺みたいな奴を好き勝手戦わせて、自分の国をメチャクチャにされたくもないだろう?」

 

 横で、エリカが身体を強張らせる。護堂も、ややへの字気味だった口元を引き結んだ。

 

 自嘲気味に語って見せている軍谷だが、さすがに分かってきた。こいつはこちらを煽っているのだ。

 

 基本的には緩く振る舞いつつ、時に過激な発言を以て護堂の意識を刺激する。そしてそれに対する護堂の反応を観察し、草薙護堂という人間を図る、といった具合だろう。

 

 話術としては程度の低いものだが、それをやるのが軍谷となると、また話が変わる。世間での悪名高さと、本人の飄々として食えない態度が合間って、嫌という程こちらに揺さぶりを掛けてくるのだ。

 

 とはいえ、護堂自身、何かまずい事を話したという自覚はないし、軍谷の方も積極的に探りを入れている様子でもない。今の所は策謀じみた何かを警戒する必要はないように思われた。

 

 ただ、軍谷から感じた強烈な殺意も、先程の自嘲に潜んでいる何かも、決して嘘ではない――護堂には、そんな確信があった。

 

 

 /◯/

 

 

「――よし、俺からの要求は以上だ。次は君からの要求を聞こうか」

 

 先程取り決めた事を粗方再確認した後で、軍谷がこう切り出してきた。

 

「俺が出した要求とその条件を受けるかどうかはとにかくとして、君達も俺に言いたい事があるだろ?だからそれを聞かせて欲しいんだ」

 

 ああなるほど、と護堂は相槌を打った。今までの軍谷からの要求、随分とこちらに譲った部分が多い内容ではあったが、しかしそれは実質的な話であって、それだけでは『こちらは一切の要求をしていない』という建前が成立する事になる。こちらの要求を聞くのは至極当然だろう。

 

 とはいえ、

 

「正直、何か突っ込むべき所があるとは思えないんだけどな……」

 

「――いいえ、そう判断を下すには早過ぎるかと思われます、我が主よ」

 

 ――またしても、エリカが口を挟んできた。何だか今日は、随分とエリカが神経を尖らせている。軍谷は相当魔術師に警戒されているらしいと、改めて実感した。

 

「神殺しを成し遂げたとはいえ一般の出、まだ未熟さを残す主を、自分が盾となってでも支える――例え誰もが畏れる大魔王の前であろうとも。素晴らしい覚悟だ、エリカ・ブランデッリ」

 

 面白いものを見た、という顔で、軍谷がエリカに目をやった。

 

「いや、君に気を遣わせて悪かったブランデッリ。――じゃ、君が主に代わって代弁する、俺への要求を聞かせてくれ」

 

「畏れ入ります。ではまず――」

 

 

 ――そこからの話は、細かい話をするまでもなく順調に進んだ。

 

 エリカが自分の代わりという形を取って出した要求は二つ。

 

 まず、軍谷が出した"仕事"の依頼についての修正。軍谷が受けた仕事の中で、まつろわぬ神や神獣が絡んでくるであろう事案に関してはこちらに連絡する事、というものだ。

 

 何でまたそんな事を、と護堂はエリカに問うたのだが、「今朝の話をもう忘れたの?」と小声で指摘されて黙らざるを得なかった。そういえば、確かにそんな事(・・・・)を聞いていた――。

 

 そして、軍谷伊織と草薙護堂、その片方だけでは対処し切れない事態が発生した場合、正史編纂委員会を間に置いて、軍谷と護堂が連携を取る事。

 

 護堂とエリカはまだ正史編纂委員会なる魔術組織の事を把握していないのだが、その辺りは軍谷が融通してくれるそうだ。それに、聞けば編纂委員会は媛巫女と深い繋がりのある組織とか。この間知り合ったばかりの友人、万里谷祐理に聞けば詳しい事が解るかもしれない。

 

 ともあれ、

 

「――さて、これでお互い言い合う事は言い合ったかな?じゃあ、今日はこの辺でお開きにするとしようか」

 

 軍谷のこの一言で、会合は終了という事になった。

 

 わずかばかり緊張が抜け、護堂はふう、とため息を漏らす。軍谷はそんな護堂を見て肩を竦めつつ、ゆっくり席を立った。

 

「色々気を遣わせて悪かった、草薙。俺も君がどんな奴か気になっていたから、つい試してみたくなったんだ――っと、この言い方も失礼か。ともかく、今日は俺の急な要請に応じてくれてありがとう。また何かの機会があれば、今度は会合とか堅苦しい事は抜きで、普通に食事しよう」

 

「……お、おう」

 

「……有り難き御言葉、恐悦至極で御座います」

 

 護堂とエリカは、揃って微妙な笑顔を浮かべた。あの桁外れな食事を見るというのは、色々と心が休まらない気がする。

 

 とはいえ、軍谷が砕けた調子で話し出したので、護堂も少しばかり緊張を解くことが出来た。隣のエリカも同様である。

 

 だから、

 

「……なあ、ブランデッリ。お前は草薙の為なら、まつろわぬ神や俺達カンピオーネとだって戦えるか?死ぬだろうと解っていても」

 

「はい。当然の事ですわ、私は草薙護堂の愛人であると同時に、騎士でもあるのですから」

 

 軍谷の問いにどういう意味があったのか。それを考える事もなく、エリカは答えたのだった。

 

 

 

  ◯  ◯  ◯

 

 

 

【軍谷伊織】

 

 

 草薙護堂との会合を終えた後、伊織はホテルから最寄り駅までの道を、通行人の波に紛れながら歩いていた。

 

 密かに監視を行っていた編纂委員会のエージェントから家まで送るという申し出があったのだが、それを断っての行動である。

 

「草薙護堂……思ったより変わった神殺しだったな」

 

 ある程度予測していた範囲内ではあったが、平時は本当に一般人という印象だった。まだ関係が浅い分そこまで細かい部分は見えていないのかもしれないが、交友関係を知らない現状では、「ちょっと目立ちやすい高校生」という枠からは出ていない。

 

 無論伊織はこれだけの条件で判断を下すつもりはない。よく言われている事だが、カンピオーネが本性を顕すのは戦場なのだ。顔を合わせる前、草薙護堂のカンピオーネとしての経歴を見た際に立てた「草薙護堂はヴォバン侯爵と同じ"獣"なのか?」という論題も、結果を出すつもりはさらさらない。

 

 

 ただ、一つ言える事がある。

 

 

「あのままじゃあ――いつかあいつは、大切なものを喪うだろうな」

 

 

『自分の大切な人に手を出した奴は、絶対に痛い目見せて後悔させる』

 

『安々と奪われるつもりはない。奪われたなら取り返せばいい』

 

 草薙護堂はそう言った。だが伊織はそれに賛同しない。

 

 どれだけ身構えていようが、奪われる時はあっさりと奪われるのが現実だ。それを奪い返そうとて、奪われたものが命であるなら奪い返せるはずもない。……死者を蘇らせるなら話は別だが。

 

 それに、大切なものを奪う者が、必ず敵であるなんて訳がないのだ。

 

 そう。奪う者は敵だけではない。それは、時に味方。時に奪われる者自身。――そして、時に自分。

 

 

『草薙護堂の為なら神やカンピオーネとも戦う』

 

 エリカ・ブランデッリはそう言った。だが伊織はそれに賛同しない。

 

 なるほど、自分の愛する者の為なら如何なる脅威にも立ち向かうのは、強固な絆と愛があればこそだろう。騎士として、賞賛されるべき勇気と忠節であろう。

 

 だが、所詮人の身である事に変わりはない。超常の存在に立ち向かえるのは同じく超常の存在のみ。神殺しを成し遂げ同じ地位にまで上り詰めるなら話は変わるだろうが、そんな事が出来る人間は限られている。そして、おそらく彼女はその中にいない。

 

 そんな人間が、超常者達の戦いに紛れ込んだとて、いつまでも無事でいられる訳がない。結局、彼女の勇気は無謀な試みに過ぎないのだ。

 

 草薙護堂のフォローをするだけに絞って動いたとしても、余波を食らう可能性はゼロではない。

 

 そして、例え身を呈して主を庇ったとしても。『自分の大切な人は守ってみせる』と言うような王が、彼女の死を目の当たりにしてどうにかならないはずはない。

 

 自らの命を以て主を護り、そして死よりも苦しい結末を迎えさせる。これではせっかくの忠義が報われないではないか――。

 

 

 絶対そうなると、言い切るつもりはない。だが、伊織はそうなるだろうと、漠然と考えた。

 

「――それは経験則から言ってる話か?」

 

 口を突いて出た言葉に、伊織は一拍置いて口元を自嘲気味に歪めた。そして、人の流れも構わず立ち止まり、背後のホテルを振り返る。

 

「――草薙護堂は、どうなんだろうな」

 

 今までにないタイプのカンピオーネ。彼は別の結果を見せてくれるだろうか。未練がましい自分に、諦めを付けさせてくれるだろうか。

 

 これからの日々が、少し楽しみになってきたかもしれない――。

 

 肩をすくめると、伊織は前へと歩き出す。程なくして、彼の姿は人波に紛れ、見えなくなった。

 

 




皆さん、大変ご無沙汰しております。grotakaです。
受験勉強による数ヶ月もの休止期間を終えて、帰って参りました。

活動再開の事は第三話〜第五話書き直しや活動報告で知っている人もいたと思いますが、今回の第七話を以て『孤高の王と巫女への讃歌』は更新再開です。また亀更新になったりしないよう、努力致します。

つきましては、主人公の権能の内容忘れた、でも読み直すのめんどくさい!という方がいるかもという要らん心配をしまして、だいぶ前に主人公の権能一覧を活動報告の方に載せておきました。内容は現在判明している部分のみですので、既に一度読んでくださっている方ならネタバレ率は低いかと思われます。

さて、それでは何ヶ月もの間待っていて下さった読者の皆さん、本当にお待たせしました。これからも是非よろしくお願い致します!

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