問題児たちが異世界から来るそうですよ? 出来損ないの陰陽師の異世界録   作:カオス隊員

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第八章

 

 

俺はガルドの刺客を片付けた後、十六夜に報告するために本館に足を踏み入れたのだが、どこで集合とか決めていなかったのを思いだして、一つ一つ部屋を調べていくことになってしまったのだ。探し歩いて三〇分ぐらい経ち、最上階の大広場っぽい所に行くと中から十六夜とジンの話し声が聞こえてきたので俺はノックもせずに室内にずんずんと入っていった。

 

 

「おう、お前ら。何か面白いことでも起きたか?」

 

 

「龍騎さん!?聞いてくださいよ!十六夜さんが」

 

 

「ちょっと待てって。一旦、落ち着いてから話せ」

 

 

興奮し、大声で叫ぶジンを宥めつつも十六夜に視線を向ける。その視線の意図を理解したのか十六夜は普段通りの軽薄な笑いを浮かべながら成果を発表しだした。

 

 

「こっちは作戦通りにいったぜ?お前は?」

 

 

「残念ながらこっちは失敗。ガルドの直属の部下だったから意味なかったしな。肉体言語で帰ってもらったよ」

 

 

………まあ、ガルドの元には一生帰れないけどな。内心苦笑しつつ、俺の成果を発表するとジンは不思議そうな顔で俺に問いかけてきた。

 

 

「………それどういうことですか?」

 

 

「言葉通りだよ。お前達と同じように子供達が眠っている別館にガルドの部下が現れたんだ。目的は子供達の誘拐」

 

 

「なっ………!?み、皆は無事なんですか!?」

 

 

「俺が何の為にあっちに行ったと思っているんだ?ちゃんと追い払ったよ。子供達は全員無事だ」

 

 

「よ、良かった………」

 

 

ジンは自分の知らないところで起きていた事に驚愕し、子供達の安否を気にかける。俺がちゃんと子供達の無事だと言うと緊張の糸が切れ脱力しかけるジン―――が、何か引っかかるとこがあったのか再度俺に問いだしてきた。

 

 

「龍騎さん………さっき何て言っていました?」

 

 

「え?『子供達は全員無事だ』」

 

 

「違います。もっと前です」

 

 

「『俺は神崎龍騎。まぁ、よろしくな』」

 

 

「戻り過ぎです!それ、一番最初に挨拶した時に言ったことですよね!?」

 

 

「『ジン!死ぬなっ!ジィィィィィィィィィィィィィィィィィィンッ!!』」

 

 

「何で僕が死んでることになっているんですか!?」

 

 

「『黒ウサギ………まさかお前が犯人だったなんて』」

 

 

「僕が死んだの黒ウサギのせいだったんですか!?」

 

 

「『続きはWEBで』」

 

 

「意味が分からないですよ!?いい加減ふざけないでください!」

 

 

「なぬっ!?俺からボケを取ったら何が残るというんだ!?」

 

 

「知りませんよ!?」

 

 

と、ここでツッコミ疲れたジンが息を荒らげながら肩を落とす。十六夜に視線を向きなおすと今のやり取りをケラケラと楽しそうに笑っていた。うん、満足そうで何よりだ。

 

 

「さっきから俺が全部言っていることを否定しやがって………『こっちは失敗』とか『お前達と同じ』とか別に俺が言ったことなんてどうでもいいだろう」

 

 

「今、さらっと答え言いましたよね?というより、どういうことですか!?何故こっちにも襲撃があったことを知っているのですか!?」

 

 

ジンが凄い勢いで詰め寄ってくる。いくらジンが子供でも男に寄られても嬉しくないんだが………って、流石にふざけるのはここまでにしておくか。

 

 

「知ってるも何も館周辺にガルドの手先が隠れていたと最初から分かっていたからだ。それがどうかしたか?」

 

 

「確かにそれは問題ないです。僕が言っているのは『こっちは失敗』という言葉………何で十六夜さんが僕達を“打倒全ての魔王とその関係者”になるように行動をしたということを知っているのですか?それにその言い方だとまるで」

 

 

「俺も十六夜と同じようにしようとしていた………それが何か問題でもあるのか?」

 

 

「………龍騎さんも自分の趣味の為にコミュニティを滅亡に追いやるつもりですか?」

 

 

しれっと答える俺にジンの口調が厳しくなる。てか、こいつなんか勘違いしてね?俺は勘違いを正すため声をかけようとするが、その前に十六夜に右手で制された。すると、十六夜は一歩前に出て自分の考えをジンに伝えだした。

 

 

「いいや。これはコミュニティの発展に必要不可欠な作戦(・・)だ」

 

 

「作戦?………どういうことです?」

 

 

俺を睨みつけないで下さいジン君。今、説明しているのは十六夜だから。睨みつける相手間違っているから。

 

 

「先に確認したいんだがな。御チビは俺達を呼び出して、どうやって魔王と戦うつもりだったんだ?あの廃墟を作った奴や、白夜叉みたいな力を持つのが“魔王”なんだろ?」

 

 

十六夜の追求にぐっとジンは黙り込んでしまった。しばし考える素振りをし、ジンは自分が考えていた方針を語りだす。

 

 

「まず………水源を確保するつもりでした。新しい人材と作戦を的確に組めば、水神クラスは無理でも水を確保する方法はありましたから。けどそれに関しては十六夜さんが想像以上の成果を上げてくれたので素直に感謝しています」

 

 

「おう、感謝しつくせ」

 

 

ケラケラ笑う十六夜をジンは無視して語り続ける。

 

 

「ギフトゲームを堅実にクリアしていけばコミュニティは必ず強くなります。たとえ力のない同士が呼び出されたとしても、力を合わせればコミュニティは大きくできます。ましてやこれだけ才有る方々が揃えば………どんなギフトゲームにも対抗できたはず」

 

 

「期待一杯、胸一杯だったわけか」

 

 

全く悪びれた様子がない十六夜にとうとうジンは我慢できずに口調を崩して叫びだした。

 

 

「それなのに………それなのに、十六夜さんと龍騎さんは自分の娯楽の為だけにコミュニティを危機に晒し陥れるような真似をした!!魔王を倒すためのコミュニティなんて馬鹿げた宣誓が流布されたら最後、魔王とのゲームは不可避になるんですよ!?そのことを本当に貴方達は分かっているのですか!?」

 

 

ジンは叫ぶと同時に大広間の壁を強く叩きつけた。余程俺達の行動が腹に据えかけたのだろう。………だが、俺達も考えなしに行動を起こしたわけではない。それを伝えるため俺はジンに話しかける。

 

 

「おい、待てってジン。俺達だって」

 

 

「龍騎さん!貴方も大切な時にはふざけるばかりじゃないですか!コミュニティは………箱庭の世界はそんなに甘くないんです!もうちょっと皆の為に後先考えて」

 

 

「黙れ、ジン=ラッセル」

 

 

俺は冷徹な声音と侮蔑の視線に興奮して話を聞かなかったジンは僅かに怯む。………子供を怯えさせるのは気が進まないがジンには今から現実をたっぷりと教えてやる。

 

 

「そんな机上の空論で再建とか誇りとか………お前本気で取り返す気あんのか?」

 

 

「なっ!?僕はちゃんとコミュニティのことを考えて最善な計画を」

 

 

「無理だな。それでは一生かかっても名も旗も魔王から取り返せない」

 

 

ジンの反論を一刀両断する。ジンが怒りを込めて睨みつけてくるが無視し、そのまま続ける。

 

 

「先代のコミュニティが魔王と戦って敗けてしまったんだろ?それなら魔王に勝つためには戦力は少なくとも倍以上は必要になる………お前、一体何年(・・)かけるつもりだ?」

 

 

「えっ………?」

 

 

「十年、二十年、下手したら三十年はかかるな。そうなったら俺達は完璧に戦力外になるだろうな。そうなると、五十年、百年………もしかしたら一生返ってこないこととなる」

 

 

「あっ………」

 

 

ようやくジンは自分の計画が穴だらけだと気付いたようだ。だが、俺は更に畳み掛けるように言葉を放つ。

 

 

「ギフトゲームに参加して力を蓄える?そんなの大前提だ馬鹿野郎。十六夜が聞いているのは()()()()()()()()()()かだ。それにコミュニティを大きくするのにも名と旗印がいる………だが、俺達にはそんなものは無い。コミュニティの象徴も無く、“ノーネーム”のままだと口コミも効果無し。だから俺達………箱庭のことを知らない俺達という戦力をわざわざ異世界から呼んだんだろ?」

 

 

「………………」

 

 

「沈黙は肯定とみなすぞ。今、俺達の現状は信用が出来るものが無いんだ。腹立たしいが“サウザンドアイズ”の女性店員が俺達を客として扱わなかったのは正しい判断だ。そんな奴らを信用したところで良くて無利益、最悪危険に巻き込まれる可能性だってあるからな。お前はそんなハンデを背負いながら先代のコミュニティを超えなくてはならないんだぞ?」

 

 

「先代を………超える………!?」

 

 

ジンは驚愕に満ちた顔になっていく。“打倒魔王”を掲げる限り、絶対避けては通れない壁………。それをジンは成し遂げなければならないのだ。言い返すことも出来ないジンに、呆れたように追い打ちをかける。

 

 

「その様子だと何も考えていなかった………いや、目を逸らし続けていたことだな」

 

 

「………っ」

 

 

悔しさと責任の重さに俯きだすジン。………だが、更に俺は残酷な現実をジンに突きつける。

 

 

「ジン=ラッセル。お前、自分で皆の為にと言っただろ?その通りだ。リーダーである以上、コミュニティの子供達の命は全てお前が握っていることになる。お前が仕切り、行動することで仲間が死ぬことだってある―――リーダーはそれ程重大な責任と覚悟が付き纏うんだ」

 

 

「………………」

 

 

「それを背負いきれないと言うならば―――黒ウサギ、十六夜、飛鳥、耀………誰でもいい。リーダーを明け渡せ。覚悟も無い奴がやっても足手纏いだ。」

 

 

………とりあえず俺が言いたかった事は全て言い切った。これで潰れるのならそこまでの器だったということだ。もし、潰れたとしたら違うプランに立て替えておかなければ………。

 

 

「………………せん」

 

 

「うん?なんか言ったか?」

 

 

ジンから何か聞き取れたが、顔が俯いているのと小声で何を言っているのか分からなかった。俺はちゃんと聞き取ろうとジンに近づこうとする―――と、ジンは俯いていた顔を上げた。

 

 

「誰にも譲りたくありませんと言ったのですよ!確かに僕は成り行きでリーダーになりました。それに僕は黒ウサギに負担ばかりかけて甘えていたことも認めます。しかし、僕だって生半可な気持ちでリーダーをやっているのではありません!龍騎さん達の様に強力なギフトや知能は持っていません………ですが!この気持ちだけは………コミュニティを再建する気持ちだけは誰も譲りたくないんです!!」

 

 

俺から目線を逸らさずに言い切ったジン。その瞳には先程はなかった覚悟を宿していた。………これは嬉しい誤算だな。数日は悩み尽くすと思っていたんだが、まさかたったこの場で言い切るとは………こいつ、育て次第ではもしかしたら化けるかもな。だが、ここで褒めても成長もしないし、責任の重さを自覚したのに無駄になるかもしれない。俺は敢えてジンに厳しくすることにした。

 

 

「なら、これからそれを行動で俺を納得させろ。俺が認めない限り、“リーダー”なんて呼ばないからな?子供だからと甘い評価はする気はない。それを承知でお前はこれからもリーダーと名乗るか?」

 

 

「はい!絶対龍騎さんに認めるリーダーになってみせます!」

 

 

………うん。これなら間違った道に踏み外さず、冷静に物事を考えれるようになるだろう。後は、未熟な部分を俺がフォローするなりしたらいいだけだな。………さてと、俺の用は終わったのでそろそろ空気化になっている十六夜にバトンタッチしなきゃな。

 

 

「意気込みは良し………で、終わりたいところだが最後に一つ。もし自分が考えても妙案が思いつかない時は誰でもいいから相談しろよ?一人で考えたって良い案なんか浮かばねえしな………そうだろう十六夜?」

 

 

「ったく、やっと俺の出番かよ。説教長すぎなんだよ。校長先生かお前は」

 

 

「うっせい。言わないんなら俺が言うぞ?」

 

 

十六夜の愚痴に少しムカついたので急かすが、本人は肩をすくめるだけであまり効果がなかった。

 

 

十六夜はジンに近づき、ジンの肩を強く握り締め、悪戯っぽく笑い、

 

 

「確かに龍騎が言ったように俺達には名も旗印も無い………なら、後は()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

 

そう言うと、ハッと十六夜の意図に気付いた様に驚愕する。

 

 

「僕を担ぎ上げて………コミュニティの存在をアピールするということですか?」

 

 

「ああ。悪くない手だろ?」

 

 

自慢げに笑う十六夜の顔と不敵に笑みを浮かべる俺の顔を先程とは違う視線で交互に見つめてくる。そして、ジンはその作戦について真剣に考えだした。

 

 

「た、確かに………それは有効な手段です。リーダーがコミュニティの顔役になってコミュニティの存在をアピールすれば………名と旗に匹敵する信頼を得られるかも」

 

 

そう。それが俺達がコミュニティを再建を可能にするために考えついた作戦なのだ。まあ、相談も無しで俺と十六夜が互いに勝手に察し、実行したものだけどな。

 

 

「けどそれだけじゃ足りねえ。噂を大きく広めるにはインパクトが足りない。だからジン=ラッセルという少年が“打倒魔王”を掲げ、一味に一度でも勝利したという事実があれば―――それは波紋になって広がるはず。そしてそれに反応するのは魔王だけじゃない」

 

 

「そ、それは誰に?」

 

 

「同じく“打倒魔王”を胸に秘めた奴らに、だ」

 

 

ジンが息を呑んだのが分かる。十六夜が言うことは大いに有り得るからだ。魔王は娯楽の為に力のあるコミュニティに戦いを挑む。その結果でコミュニティを崩壊させられた者は星の数ほどいるだろう。その中に魔王に敗れ去った実力者が再起を図りながら“打倒魔王”を胸に秘めている奴がいる可能性はかなり高い。そこに“打倒魔王”を掲げる実績のあるコミュニティが現れば無反応とはいかないだろう。

 

 

「僕の名前でコミュニティの存在を広める………」

 

 

「そう。今回の一件はチャンスだ。相手は魔王の傘下、しかも勝てるゲーム。被害者は数多のコミュニティ。ここでしっかり御チビの名を売れば」

 

 

「最低でも此処、二一〇五三八〇外門付近のコミュニティに小さい波紋が広がるかもしれない。それにガルドによって苦しむコミュニティに恩を売れば、更に噂は広がるだろうな」

 

 

「ま、御チビ様が懸念するように他の魔王を引き寄せる可能性は大きいだろうよ。けど魔王を倒した前例もあるはずだ。そうだろ?」

 

 

この館に来る移動中、俺は魔王について少し黒ウサギに聞いてみると“魔王を倒せば魔王を隷属させられる”ことが可能らしいのだ。これは魔王を倒した存在の証明になり、同時に強力な駒を組織に引き入れるチャンスなのだ。

 

 

「今のコミュニティに足りないのはまず人材だ。()()とは贅沢言わないが、俺の()()()は欲しい。けど伸るか反るかは御チビ次第。他にカッコいい作戦があるなら、協力は惜しまんぜ?」

 

 

ニヤニヤと笑みを浮かべる十六夜の顔をジンは見つめ直す。その瞳には先程の怒りはなかった………が、大きな不安要素があるせいか賛同の声は出てこなかった。しばし待つと、ジンはある提案を提示してきた。

 

 

「一つだけ条件があります。今度開かれる“サウザンドアイズ”のギフトゲームに、十六夜さんと龍騎さん二人で参加してもらっていいですか?」

 

 

「なんだ?俺達の力を見せろってことか?」

 

 

「それもあります。ですが理由はもう一つあります。このゲームには僕らが取り戻さなければならない、もう一つの大事な物が出品される」

 

 

俺達“ノーネーム”が取り戻さなくてはならない物………。名、旗、そして―――。

 

 

「昔の仲間………ということか?」

 

 

「はい。それもただの仲間ではありません。元・魔王だった仲間です」

 

 

“元・魔王”という単語に十六夜の瞳が光る。軽薄な笑みが凄みを増し、危険な香りがする雰囲気を漂わせ始めた。俺もその事実に内心驚愕しながら眉をしかめる。

 

 

「おいおい………。元・魔王が仲間だったってそれの意味する事は多いぞ?」

 

 

俺の問いにジンは頷き返す。

 

 

「はい。お察しの通り、先代のコミュニティは魔王と戦って勝利した経験があります」

 

 

「そして魔王を隷属させたコミュニティでさえ滅ぼせる―――仮称・超魔王とも呼べる超素敵ネーミングな奴も存在している、と」

 

 

「超魔王ってダサくねえ?せめて魔神の方が良いと思うぜ?」

 

 

「そ、そんなネーミングで呼ばれてはいません。魔王にも力関係はありますし、十人十色です。白夜叉様も“主催者権限”を持っていますが、今はもう魔王とは呼ばれていません。魔王はあくまで“主催者権限”を悪用する者達の事ですから」

 

 

それを悪用されるようになって“魔王”という言葉が出来たのだとジンは語る。

 

 

「ゲームの主催はその“サウザンドアイズ”の幹部の一人です。僕らを倒した魔王と何らかの取引をして仲間の所有権を手に入れたのでしょう。相手は商業コミュニティですし、金品で手を打てればよかったのですが………」

 

 

「貧乏は辛いってことか。とにかく俺達はその元・魔王様の仲間を取り戻せばいいんだな?」

 

 

ジンは頷き返す。確かにそれが出来たらコミュニティの再建はかなり近づくだろう。やらない手ではないな………。

 

 

「はい。それが出来れば対魔王の準備も可能になりますし、僕も十六夜さんの作戦を支持します。ですから黒ウサギには内密に………」

 

 

「あいよ」

「了解」

 

 

まあ、あの黒ウサギもかなり心配性だからこんな話を聞いたら怒り狂いそうだしな。そんなことを思っていると十六夜が席を立った。大広間の扉を開けて自室に戻ろうと扉を閉める―――前に何か思いついたのか軽薄な笑みを浮かべながらジンに声をかけた。………なんか嫌な予感がする。

 

 

「明日のゲーム、負けるなよ」

 

 

「はい。ありがとうございます」

 

 

「負けたら俺、コミュニティを抜けるから」

 

 

「はい。………え?」

 

 

予感的中。盛大に爆弾を落とした十六夜はそのまま扉を閉め、大広間から出て行った。………さて、俺も爆弾が爆発する前にさっさと退散しますか。呆然としているジンに気付かれないように気配を消しながら大広間から退出する。

 

 

『えええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?』

 

 

静寂な十六夜の夜、本館の大広間から叫び声が本館内に響き渡ったのだった。………強く生きろ、ジン。

 

 

 

 


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