Fate/kaleid stage   作:にくろん。

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にくろん。です。
書きたかったFate二次。入り組んだ設定大好きな型月ファンのお目汚しになってしまうかと思いますが、自分の欲望に忠実に書いていきたいと思います。


もう一つの作品がスランプなんだよ…

それでは、よろしくお願いします。


1話 運命の夜ー岸波白野の場合

体は剣で出来ている

I am the bone of my sword.

 

 

 

 

血潮は鉄で心は硝子

Steel is my body,and fire is my blood.

 

 

 

 

幾たびの戦場を越えて不敗

I have created over a thousand blades.

 

 

 

 

ただ一度の敗走もなく、

Unaware of loss.

 

 

 

 

ただ一度の勝利もなし

Nor aware of gain.

 

 

 

 

担い手はここに独り

Withstood pain to create weapons,

 

 

 

 

剣の丘で鉄を鍛つ

waiting for one's arrival.

 

 

 

 

ならば我が生涯に意味は不要ず

I have no regrets.This is the only path.

 

 

 

 

この体は、

My whole life was

 

 

 

 

無限の剣で出来ていた

"unlimited blade works"

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん、んーーーー」

 

朝が来た。この世に奇跡的な生を受けて一般人として生きてきたけど、昨日それもぶち壊された。

 

 

『おっはよーはーくのんー。いい夢見れたー?』

 

 

この緑色のヘンテコステッキのおかげで。

 

…落ち着け私。もう記憶の彼方で思い出せない日々はもっと大変だったはず。

とりあえず、昨日のことを思い出してみよう。

 

 

 

 

私こと岸波白野はいわゆる転生者だ。

でも、前世の記憶なんてほとんどない。覚えているのは、月の聖杯戦争で優勝したこと、あの世界を閉じる報酬として並行世界に転生という形で命をもらったこと、そして四人の従者たちと戦い抜いたこと。

実際は一人しか従者はいなかったらしい。でも、転生するのに()というデータが足りなくて優勝した別の世界線の私を混ぜ合わせたーとか聞いた。おかげで、彼ら四人のことと月の聖杯戦争での優勝者ということしか前世の記憶は持っていない。でもぶっちゃけ今の私には関係ない。

私のすり合わせでもう二度と戦いの記憶は戻らなくなっていても、あの日々をともに駆け抜けた4騎のことは鮮明に覚えている。

たとえ違う私でも、彼らのことを覚えていたら、それは岸波白野なのだ、と最近思えるようになった。

 

 

で、今の私は穂群原小学校5年1組に所属している。

小学生超楽しい。友達とアニメの話をしたり、外で遊んだり、友達をいじり倒したり、前は経験できなかったことを思う存分楽しんでいる。

 

今日もそうだ。

親友の一人はお兄ちゃんと下校する———ってダッシュで帰ったけど、近所の公園で龍子や雀花たちと遊んで帰宅した。

 

 

「ただいまー」

 

私に親はいない。設定上は私を産んだ時にそのまま亡くなったということになっているらしい。親戚もいないので町にある孤児院がわりの教会で育てられた。といっても、あの神父たちに育てられたなど死んでも思いたくないが。

だって、親代わりの神父は世界各地を仕事とか言って放浪しなかなか帰ってこないし、姉代わりもちょっと人として問題のある性格をしているのだ。姉ももともと外国に住んでいて、たまに冬木に来ると思ったら、いつの間にか保健室で養護教諭をしているし。自由すぎるだろ我が家族。

 

というわけで、姉の意向もあって私は今アパートで独り暮らしをしている。家事?あの家族に揉まれてできないわけがない。小学校低学年のころには料理もマスターした。師は親友のメイドとお兄ちゃんだ。

 

冷蔵庫の中身をチェックして今夜の夕食を考える。平日だし手の込んだものは作らなくていいよねー。

 

 

RIRIRIRIRIRIRIRI

 

 

慣れた手つきで麻婆豆腐を作って食べ、お風呂を沸かしている間にマジカルブシドーを見ようと思ってDVDデッキを操作していると電話がかかってきた。

 

「もしもし、岸波です」

「私。カレン」

「あ。お姉ちゃん。どーしたのー?」

「今日遠坂のご息女が帰国するのは前に話したわね?ちょっと仕事の手が離せないから貴女が代わりに迎えに行って頂戴」

「凛姉のお迎えね、わかったよ。確かうちで遠坂邸のカギを預かってるんだよね」

「ええ、教会の方にあるわ。場所はあの子にも父から伝えてあるらしいけど、教会の奥の私室らしいから頼むわ」

「…毎度思うけど、無人の教会って…」

「大丈夫よ。あんな神父でもいる時は一応真面目だし、利用する人は私が保健教師って知ってるから夜にしか来ないわ」

「それでいいならいいんだけど…」

 

電話を終え、教会の鍵を持つ。あ、お風呂冷める…仕方ないか。

 

 

梅雨前のこの時期は過ごしやすい。軽装でバス停に向かう最中、空で光が瞬いた。

 

「ん?花火かな?まだシーズンには早いと思うんだけど」

 

その光は何回も場所を変えて現れる。何回か見ているうちに、ようやく鈍い私でもわかった。

あれは魔力のぶつかり合いだ。

何かが起こっている。

そう思うと駆けだしていた。

 

今の私は相棒たち(サーヴァント)もいなければマスターでもない。それでも駆けだしていた。

 

…実際は3歩ぐらいで思いっきりこけたけど。

 

 

「いっったぁーーー!」

 

何かが激突した頭を押さえて起き上がると目の前になんかヘンなのが浮いていた(・・・・・・・・・・・)

 

ソレは丸い輪っかを中心に緑のリボンを結んだような形をしていた。輪っかの中には2つの正方形がそれぞれ逆回転していて、周期的に八芒星(?)を描いている。

 

『はーい、一発目でアタリを引いたぜ流石僕!姉さんたちに自慢しよーっと!ハローお嬢さん、僕と契約して魔法少女になってよ!!』

 

 

 

 

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・・逃げる。もちろん全力ダッシュだ。

 

 

そんなセリフをのたまうやつにいい奴なんていない。これが私の持論だ。小学生で見るもんじゃない(トラウマ)アニメからの教訓である。

 

謎の物体が全力で走る私に追いついてくるーーーって!

バカな!?学年最高速をイリヤと争ってる私に追いつくなんて―——

 

『ハイ確保ーー!』

 

捕まった私は新都の人気のない公園でそいつと相対するのでした、マル。

 

『まだまだ終わらないよー?』

「ナチュラルに心を読んだわね…で、あなた?でいいのかな、一体何なの?」

『あらま、意外と冷静だね。まあいいや、僕の名前はマジカルエメラルド。愛と正義のマジカルステッキですよー。さあ、僕を手に取って悪と戦いましょう!』

「そう。私は岸波白野。残念だけどお断りするわ」

『えー何でーー(僕にとって)楽しいよー魔法少女ー』

 

 

『羽エフェクトで空を飛んだりー』

 

定番ね。

 

『必殺ビームで敵を倒したりー』

 

イリヤ好きそうだなー。あ、マジブシ結局まだみてないなー。

 

『意中の相手に恋の魔法をかけたりー』

 

……

 

『並行世界に干渉したりとか!』

 

思わずつかみかかった。

 

『お、やっと反応してくれたねー』

「答えて。どういう意味?」

 

『自己紹介の途中だったのになぁ。まあいいや、改めて。

初めまして、岸波白野さん。僕は宝石翁の造り出した魔術礼装カレイドステッキの第三機。最後にして最新のステッキ、名をマジカルエメラルドといいます。以後よろしくね』

 

 

 

 

 

 

「つまり」

 

エメラルドに話を聞くこと数分。ようやく理解できた。

「エメラルドたちカレイドステッキは並行世界に干渉できる魔法使いの作った魔術礼装だから並行世界の住民がわかるってこと?で、ばらされたくなかったらおとなしく従えって?それに誘い文句に並行世界への干渉とか言ってみたけど、実は礼装単体じゃそこまでできないと」

『実際並行世界を感知できるのは僕だけだけどね。さすが最新型ってとこかな!それでも礼装だけで並行世界に干渉出来たらこの世は第二魔法を習得した魔法使いのオンパレードになっちゃうよ。脅すつもりもないよ。でも、僕を使役できる人って少ないからね、岸波さんにお願いしたいんだ』

「他を当たって」

『姉さんたちが冬木で任務だから無理だよー。僕はあくまでバックアップだけど、宝石翁のジジイにしか使われたことないし適正者がいるなら思う存分動いてみたいじゃん?おっさん以外にも使われたいじゃん!とくに相手が女の子なら!』

「でも…」

『それに。悩んでる暇はないみたいだよ?』

 

なんで?

って返事をする間もなくエメラルドとの間に黒いナニカが通り過ぎていく。

 

「きゃあ!?」

 

慌てて近くの木の裏に隠れる。え。え。なに今の。

 

”やっと見つけましたわバカステッキ。どうせ壊れないのですから全力で壊しに行って差し上げますわ!”

 

どこから聞こえてくるのかわからない。

何かを通したみたいな声は、相手の情報をつかませない。

黒いナニカがエメラルドを狙って…流れ弾あああ!

 

『うわ、ほんとに壊す気?』

”この程度では壊れないでしょう?少しおとなしくなったところを確保させてもらいますわ”

 

そうこうしている間に木々の間を駆け抜ける。黒いナニカは周りに着弾して木や地面をえぐっていく。

 

『あらー最初からクライマックスってやつだねー』

「ちょ!なにこの状況!?」

『悪の幹部が正義のアイテム()を奪おうとしているんだよ!』

「じゃあエメラルドがどっかいって!」

『ええーそんなの捕まったら終わりだよ?ここはひとつ!岸波ちゃんが一肌脱いで僕を助けてよ!』

 

と、今身を潜めていた木の横の木に黒いのがぶつかって幹からへし折れた。

 

……うん。覚悟を決めよう。そして後で契約解除してもらおう。

 

「どうすればいいの?」

『お!やっと決心してくれた!じゃあ僕を手に取ってーーーそうそう!よっしゃーーーマスター登録完了!はりきって多元転身(プリズムトランス)いっくよーーー!』

 

 

 

『コンパクトフルオープン!!

 

 

 

 

境界回廊最大展開!!

 

 

 

 

鏡像転送準備完了(Die spiegelform wird fertig zum!)

 

 

 

 

万華鏡回路解放(Offnunug des Kaleidoskopsgatter!)

 

 

 

 

新生カレイドエメラルド  プリズマ☆ハクノ!!

 

 

爆誕!!!』

 

 

 

淡い緑の輝きが広がり、私の服が変わっていくーーーって、裸!?

え、え、まっーーーあ、服ができてきた!

 

全体的に薄緑の色彩。

レオタード調の下着?のうえにミニの着物をベースにしたと思われる衣装。ってなんでこんなに短いの!?

しかも短いくせにスリット!?見える…ってそのためのレオタードか、じゃなくて!

あ、この腕の部分みたことある。東●の博麗●夢だっけこの脇チラ。リアルで初めて見たー(棒)

あ、エメラルドに似たリボンが出てきた。おお、ポニーテールで髪の毛を結ぶのか。

おお、着物と同じ色合いのニーソっぽいのも出てきた。足にはそれよりも淡い色の羽の意匠をあしらったブーツを纏う。

 

 

そして私は魔法少女になった。

 

 

…なんだろうこの疲労感。

 

 

”なっ!マスター登録ですって!?しかも一般人を!くうううう!やってくれましたわね!”

 

あ、攻撃がやんだ。へいへい、ピッチャーびびってるー。

 

 

「仕方がありませんわ」

 

 

とまさに身を隠していた木の裏から声がした。

え、そんな近くまで接近されてたの!?

 

慌てて飛びのくと同時に黒いナニカが直撃するーーーって痛くない?

 

『無駄だよー。僕たちの魔術障壁なめないでよね』

「確認ですわ。契約したふりをして逃げられたら元も子もないんですもの。それに、ガンドの手加減はしましてよ」

 

出てきたのは金髪ドリルのお姉さん…すごく、大きいです…

ま、まだ小学生だもん!未来があるもん!

 

圧倒的戦力差に打ちひしがれていると、今度は懐かしい声が聞こえた。

 

「ルヴィア!あんたねぇ、いくら人払いの結界を張っているからって暴れすぎよ!どーすんのよこの惨状!」

 

そんなセリフとともに現れたのは黒髪ツーサイドアップの女性(あかいあくま)。約束を忘れていたことに焦るが、それ以上に知り合いの登場についに限界を迎えた。もういやこの状況。

 

「り、凛姉えええええ!!!訳が分からないし、めちゃくちゃ怖かったよおおおお!!」

 

勢いよく抱き着き泣く私を「え?は、白野?どういうこと?」凛姉は慌てながらなだめるのだった。

 

 

 

 

 

以上回想終了。

そうだった。あのあと落ち着いた私と凛姉、ルヴィアさんで教会に行って説明されたんだった。

今冬木の霊脈を乱しているクラスカードを集めなければうんぬんかんぬん。

エメラルドは私が並行世界からきたことを黙っていてくれた。

 

『だって、はくのんはマスターだよ?マスターの言うことは聞くよ?(従うとは言わないけどbyエメラルド内心)』

 

とのことらしい。

うんうん、どこぞの金ピカに聞かせてやりたい。

 

正直凛姉が魔術師ってことの方が驚いた。だって小さい頃から私を気にかけてくれてた姉貴分だもん。カレン姉よりも姉らしいし。でも、凛姉とカレン姉に面識はない。神父嫌いの凛姉は必要最低限しか教会に来なかったし、カレン姉も海外での生活が長かったから。だからこそ、あの神父に任せれないってよく家に招待してくれた。うん、いいお姉ちゃんだ。うっかりだけど。

 

エメラルドも契約は解除しないって言い張るし(もし解除したら並行世界関連のことを言いふらすって脅された。早まったかなあ…)、仕方なく私が凛姉たちに協力することになったのだ。

 

朝ごはんに昨日の残りの麻婆豆腐を食べているとエメラルドが話しかけてきた。

 

『はくのーん、今日の予定はー?』

「平日だから学校だよ。っていうか、さっきからそのはくのんって呼び方なーにー?」

『友好の印だよマスター!親しくなって連携を取りやすいように!はくのんも僕にあだ名付けていーよ?』

「ええー。うーんと…じゃあ、エメ!」

 

後片付けをして、制服に着替えながら答える。

 

『なんか嫌だ。却下』

「ねえワガママ過ぎない!?」

 

その後も何個か候補を上げていく。

だがまあ、

 

「じゃあ、今度こそ!ラルド!ふっ、我ながら下からとるとは秀逸なセンス!」

『もうそれでいいよ…何がどうなったらレックウザとか江頭とかが候補に挙がるんだよ…秀逸すぎるよそのセンス…』

「う、うるさいわね!いいからラルド、学校に行ってくるからお留守番よろしくね!」

『了解マイマスター。いってらっしゃい、はくのん』

 

このように私も楽しんでいるのだが。

なにより、あいさつする相手が家にいるのがうれしい。それがこんなやつでもね。

 

 

「いってきます!」

 

 

そう言って学校に向かう。

 

 

 

こうして私こと岸波白野の新たなる非日常が幕を開けたのだ。

 

…新たなるって、前のことは覚えてないんだけどね。

 




バトルシーン以外のキャラの絡め方に悩み倒す…

出したいキャラ全部出そうぜスタンスはさすがにきついか…

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