ユグドラシルでバランス崩壊がおきました   作:Q猫

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前回モモンガさんが股間を粉砕したらお気に入りが伸びた。
何を言っているか私もよくわからないがここが日本である証明のように感じた。

今回、千年桜さんより「ブランク・ルック」黒茶さんより「リリー」抹殺完了さんより「ユッタリぷりん」無農薬栽培マグロさんより「ししくれ」を採用させていただきました。
ご参加ありがとうございます。


防衛戦(1) ※るし☆ふぁー視点

「悪いけど、これだと俺は許可出さないな」

「……やっぱり下手だからですか?」

 

2ch連合侵攻前、モモンガさんから作成中のアバターを見せられた。

なんでもなるべくなら早く男性アバターに戻したいので助言が欲しいとのことだった。

確かに自作が必須と決めたが、誰かに手伝ってもらってはいけないというルールはない。

しかし、他人に迷惑をかけないことを第一にしているようなモモンガさんが助けを請うてきたのは意外だった。

しかもゲーム内では人に迷惑をかけることを生きがいにしているような俺にである。

 

「んー、上手い、とは言ってあげられないけど、それなりによくできてるとは思うよ」

「じゃあどこがダメなんですか?」

「これさ、モモンガさんが使いたいアバターじゃないっしょ? なんていうか、みんなから変えていいよって言ってもらうためだけに作ったように見える」

「でも許可を貰わないと変更できないんだから、まずはみんなが格好いいと言ってくれそうなものを作らないと……」

 

そんなことを言うモモンガさんに少しばかり溜め息が出る。

なんでこの人はそこで他人のことを考えてしまうのか。

メンバー全員、モモンガさんが女性アバターを嫌がっていることくらいわかっているのだ。

一応ルールだから最低限の期間さえ守ってくれれば、モモンガさんが変えたいと思うアバターにしていいと言うだろう。

もし、途中でどうしても嫌だと言ったって半数くらいは無条件で受け入れただろう。

もう半分だって条件付きでなら許可するだろうし、俺だって……許可しないこともない、はずだ。たぶん。

 

「まず自分が使いたいやつを作りなよ。それがみんなが合格出すレベルに達してなくても、そっちのほうがいい」

「え、合格できないなら作る意味ないじゃないですか」

「モモンガさんがまず自力で頑張る。そしたら別条件もうけて俺らが作ったげるよ」

「でもルール違反するんじゃ決めた意味が」

「確かにルール違反だけどさ。最後の最後に不満抱えたまんまゲームやることもないだろ」

「……嬉しいですが、いいんでしょうか」

「いいさ。俺たちだって最強の魔王様作成に関わりたい。でも努力はしてくれよ? モモンガさんが頑張るところに意味があるんだから」

「……はい」

 

どうやらモモンガさんは納得してくれたようだ。さて、他のメンバーに根回しするとしよう。

俺はるし☆ふぁー。しがない1クリエイターである。

 

 

*   *   *

 

 

「諸君! これは由々しき事態である! 計画改善のため忌憚のない意見を言ってほしい!」

 

2ch連合攻略後、俺は仲間を集めて会議を開いていた。

参加者はブランク・ルック、リリー、ユッタリぷりん、ししくれである。

共通点は悪ふざけが好きで人をおちょくることに命をかけられる馬鹿であるということだ。

ちなみに俺を含めてみんな2ch連合攻略には参加しなかった。

いたずらは事前の仕込が肝なので防衛のための仕掛け作りに精を出していたからである。

 

「うん、こいつはまずい。今まで考えてた計画の修正がいるね」

 

まずブランク・ルックが答えてくる。こいつは実社会でのストレス発散のために狡賢い悪妖精を演じているやつだが、身内の前では普通に話している。

 

「まったくまいっちゃうね。けっこう自信があったつもりだけど井の中の蛙だったってことか」

 

これはリリー。ネカマでサキュバスをやっている。

見た目は中々の美女だが中身が悪ガキなので残念の一言に尽きるな。一度誘惑ロールをしているのを見たことがあるが酷かった。あれでは誰も引っかかるまい。

 

「下手なギミックで対抗できないのがつらいな。かといって後追いは論外だ」

 

ユッタリぷりんが続く。本人は突撃マニアだが職業的に機械の製作と操作に長けているので俺らのいたずら用ギミックも担当してくれる。他のやつらは手伝ってはくれないのだ。結果は楽しむくせに。

 

「インパクトが違ったよね。同じコンセプトじゃまず勝てない」

 

おどろおどろしい声でししくれが溜息をついた。こいつの声は素でこんな感じである。

不気味さの演出が大好きなので本人は重宝しているようだが。

 

「本当にな。どうにかしてあれを超えるネタを出さなければ俺たちの敗北だ」

 

俺たちは顔を見合わせて頷きあう。

 

「打倒! 『俺らの剣』だ!」

「「「「おう!」」」」

「出て行ってください」

 

一致団結したところでモモンガさんとたっち・みーに摘み出された。

やはり玉座の間で会議はダメだったか。

 

そんなわけで、俺たちは決意を新たに仕掛けを作成した。

俺らの剣を作成した同士、いや心の師匠に恥じないよう全力で取り組んだのだ。

 

 

*   *   *

 

 

2ch連合がやってくる日になった。連合は再建されていないが掲示板を使って連携して攻めて来るんだからそれでいいだろう。

そう、あいつらの行動は全部掲示板で決まるのでこちらに筒抜けである。

楽に思えるかもしれないが意味のないレスも多く目的の情報をあさるのは結構大変だ。

しかもギルド武器破壊はやはりインパクト絶大で、関連スレ含めてものすごい加速してたので追跡は想像以上に面倒だったそうだ。

一番加速してたのが「モモちゃんを愛でるスレ」であったことはモモンガさんには秘密にしておこうと思う。

俺やペロロンチーノはこっそり画像を投稿しておいた。

 

今回の襲撃において、俺たちは極力戦闘に参加しない。

基本的に追加した階層や改修した守護者やらモンスターがどの程度機能するかを確認するためである。

深海は地底湖と氷河の間。空中庭園は氷河とジャングルの間に設置されている。

 

つまり、

1~3:墳墓

4:地底湖

4.5:深海

5:氷河

5.5:空中庭園

6:ジャングル

7:溶岩

8:荒野

となっているわけだ。

 

氷河は「濡れ」状態だと冷気ダメージが加速する仕様があるので地底湖の後だったのだが、今回確実に「濡れ」状態にできる深海が追加されたのでシナジーが期待できる。

ちなみに「濡れ」状態は乾かせば普通に解消するし、そもそも状態異常の一種と認識していない人間もいるくらいマイナーなものだ。

単体だと濡れた衣服が不快になるくらいでしかないからな。

空中庭園はジャングルの空に当たる部分と設定されたためにこの位置になった。

落ちてもジャングルに行けるわけじゃないから気分的なものだが。

どちらも守護者は配置したものの調整が完璧と言い切れない部分があるため、なるべく到達して生贄、もとい試験に参加してほしいものである。

 

 

*   *   *

 

 

第1から第3までは墳墓が続く。出てくるモンスターはアンデッドばかり。

多数のデストラップをしかけてあり、ここでどれだけ削れるかが後の防衛を左右する。

つまりは罠を仕掛ける俺たちの腕の見せ所というわけだ。

そのはずだったのだが。

 

「……なんかあれですね。前からあるトラップの突破率高くないですか?」

「これはあれだな。以前の攻略情報見つけてきたのか対策してるなあ」

「新しいやつは割としっかり引っかかってますもんね」

「あの初見殺しに引っかからないってことは確実に対策してるねえ」

 

ギルド拠点では監視魔法対策に引っかからず内部を確認する手段がある。

どこでも使えるわけでなく特定の部屋からになるので、本来はそこに司令塔をおいて防衛するのだ。

しかし今回はみんなで見物である。

 

「なんで改修しなかったんです?」

「ん、まあ本番に取っておきたかったってのと、何も変わっていないと思わせておいて新階層のインパクトを上げるためだな」

「でもそれなりに色々用意はしたよ。あ、ほらそろそろ差し掛かるよ」

 

リリーが用意したのは奈落を横断する5本のロープがあるエリアだ。

低位の飛行魔法は強制解除されるので、種族的な飛行能力かコストの高い高位の飛行魔法を使う必要がある。

そうでなければ楽しい綱渡りだ。

ブランコ、というか滑車に一本縄をたらしただけのものが用意されているので力技ができないやつでも一応攻略はできる。

自動で戻すなんて親切設計ではないので誰かが戻ったり、自前のロープをつけて引き戻したりしなけりゃいかん。

そしてランダムで途中で止まることがある。ロープの上にスライムがPOPして動きが止まるのだ。

弱いから魔法でも攻撃でも一撃だろうが両腕しか頼るものがない中、攻撃のために片手を空けるのは結構勇気がいる。

それに心情的に自分を唯一支えるロープを巻き込んで攻撃するのは怖かろう。

飛行型のモンスターも標準配備だしここはコスト消費覚悟で高位の飛行魔法が一番楽だろう。

序盤で使いたくはなかろうがそういった葛藤をさせるのも目的である。

 

案の定、侵略者たちは一旦立ち止まった。

なにやら議論していたが、一人が痺れを切らしたのか飛行魔法を使って飛び立ち、そして落ちていった。

脳筋乙。あいつは恐怖公行きだな。恐怖公もあのゴーレムもレベルアップさせたから後でどうなったか見ておこう。

一番手が落ちたからか、侵略者たちは飛行が全般にダメだと判断したようだ。これは嬉しい誤算。

確かに全飛行を解除する仕掛けはあるにはあるんだが、くそ高いので使用許可がでなかったのだ。

一部ダンジョンには普通に存在するから誤認したのかもしれん。

侵略者には防衛側の事情が完全にはわからないことを念頭に置くべきだな。

 

手にスライムがくっついて慌てて落ちる者。火力を出しすぎてロープを焼ききる者(ロープは短時間で復活する)味方の援護射撃に驚いて手を離した者。

中々阿鼻叫喚である。

 

さて、ここは序盤も序盤。空中庭園までこれるやつはどの程度いるかな?




意外にトラップを考えるのが大変です。
心を折るような、即死するようなと色々あるのに中々形にできない。
今回のは遅延・分断目的のトラップになるのかな。
対岸では少人数になったところに襲撃が仕掛けられています。

後、どうしようか悩んだのですがまたアンケート。
困ったら聞いてみるのが一番。

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