暇つぶしにどうぞ
今日は終業式、本来ならば午前中で終わり、そのまま我が家へと帰宅し、明日からの連休に胸を躍らせることができる最高の日なのだが、残念なことに奉仕部の活動があるらしく、俺の午前中での帰宅は儚い夢となった。
由比ヶ浜と雪ノ下はお昼を外で食べるらしく、部室には午後から来るらしい。
俺はというと小町が作ってくれた弁当があるので校内で食べることにした。
教室はまだ残ってる奴らがうるさいので、たまには誰もいない部室でのんびり食事でもしようかと奉仕部の部室に向かう。
扉を開けようと思って鍵を借りてくるのを忘れたことに気づくが、ドアに手をかけると何故か鍵がかかっていなかったのでそのまま扉を開けて部室に入る。
雪ノ下が開けていったのだろうか?
いつもの自分の席に座り弁当を広げて昼食をとる。ふと机を見るとコーラが1本置いてあることに気づいた。
この部室でコーラなんて飲むのは由比ヶ浜? いやでもあいつがコーラ飲んでるとこ見たことねえしな……となると平塚先生あたりか? あの人なら飲みそう……、まあ勝手に触るとあとが怖いしそのままにしておくことにした。
そのまま昼の準備をして弁当を開けたところで扉をノックする音が聞こえた。
「失礼しまーす。私もここでお昼一緒していいですか~」
最近よく奉仕部に顔に出すようになった一色いろはだ。
「あれ?今日先輩だけですか?」
「ああ、雪ノ下と由比ヶ浜なら今日は外で食べるってよ」
「へえ……」
聞いてきた割にはどうでもいいような返しするのなこいつ。
「じゃあ先輩と二人きりですね♪」
にこっと笑顔でこちらを向く。こういう仕草でこいつは何人の男を落としてきたんだろうか。まあ残念ながら俺には聞かないけどな。
「はいはい、あざといあざとい。つうかお前自分のところで飯食えよ」
「え~、だって私も教室だと仲いい子あんまりいないですし。ここなら落ち着いてご飯食べれますし?それに先輩もいますし!あっ、今のいろは的にポイント高い!」
「さらっと自虐ネタいれんのな……、てかもって何だよもって。俺までいないみたいじゃねえか。まあいないけど。それに最後の小町のパクリだし可愛くない」
「むぅ……」
その顔があざといんだよ。むぅとか言葉に出しちゃう奴初めて見たわ。ちょっと可愛いじゃねえかこの野郎。あれ、俺さっきと言ってること違うじゃん。
「ところで先輩。このコーラ誰のですか?」
机の上に放置されてるコーラに気づいたのか尋ねてきた。
「知らん。俺が来た時には置いてあったぞ?」
「ふむふむ。ちょうど喉渇いていたのでいただきますね♪」
なんでこいつは誰のかもわからないものを勝手に飲もうとするわけ? 人のものは取ってはいけませんってならわなかったの?
「お、おい自分で買ってこいよ。誰のだかわかんないぞ」
「大丈夫ですよー、誰のかわかったら後で私買ってきますし♪ いただきまーす」
「俺は止めたからな」
一色が机にあるコーラを飲み始める「ん? なんか味が……」とか聞こたがそんな得体の知れないコーラ飲む奴が悪いと思い食事に戻る。
カランっと缶が落ちる音が聞こえ目線をそちらに向けるがそこにいたはずの一色の姿がない。
「い、一色?」
出て行った様子はない。あいつ何? 瞬間移動でも使えるの?と思って立ち上がると机の影には見知らぬ幼女がいた……
「ん…ん?」
「何が起こった……」
そこには一色のであろうぶかぶかの制服を着た? 幼女。
な、何が起こったのか俺にもわからねえ!!
幼女も何が起こったのか分かっていないのかキョロキョロしている。
するとドアが開かれる音が。
「やっはろー! いやぁ、お昼美味しかったよ~、ヒッキーもくればよかったのに!」
「そうね、あそこの料理を比企谷君に食べさせるのは勿体無いけれど」
といつもどおりの挨拶をする由比ヶ浜と、いつもどおり俺のことを罵倒する雪ノ下が部室に来た……、のはいいのだが、いや俺からするとこの状況はよくないんだけどさ。
だって部室に目の腐った男子高校生と何歳かわからんがぶかぶかの制服を纏った幼女が二人きりでいるんだぞ? 俺なら即通報待ったなしだわ。
「ゆ、由比ヶ浜さん、急いで警察に通報を……」
「ヒッキー……」
やめて、そんな目で見ないで! 確かにこの状況は完全に俺が悪人に見えるけど! 俺は神に誓って何もしてないわけで、いや本当に。
「ま、待ってくれ二人共……。言いたいことはわかる。でもだ、俺は何もしていない」
「犯人はそう言うわ。私もあなたがこんなことをするとは思っていなかったわ。でも流石に状況が状況よ。あなたはリスクリターンの計算と自己保身に関してだけはなかなかのものだと思っていたのに……」
「だ、だから話を聞け! まずそこの幼女だがそいつは一色の可能性が高い」
「「?」」
二人揃ってキョトンとした顔するなちょっと可愛いじゃねえかと思っちゃっただろ。
「犯罪に手を染めて頭までおかしくなってしまったのかしら……」
「ヒッキー……、さすがにこの子をいろはちゃんっていうのは無理があるよ……」
「ちがうんだ、さっきまでここにいたのは俺と一色なんだ。それで一色がそこにあったコーラを飲んだら体がちっちゃくなってたんだよ」
「「…………」」
ジト目でこちらを見る二人。
あれなんで二人共無言なの? なんとか言ってよバーニー。
「なんでヒッキーがいろはちゃんと二人で奉仕部にいるの……?」
そこかよ!?
「いや、俺が昼飯食ってたら一色が、私もここでお昼食べますー、みたいなことを言ってだな、そんで机の上にあったコーラを飲んだんだ」
「つまり、あなたは一色さんがコーラを飲んだから幼児化したと?」
「ああそうだ」
「どこのコナン君かしらね、それは。APTX4869でも入っていたのかしらね」
「俺だって信じたくねえけどこれが真実なんだよ」
つうかお前コナン知ってたのかよ、まじ意外なんだが。
俺と雪ノ下が口論的な何かをしていると、話の中心である一色?(幼女)がおどおどとしながら口を開いた。
「おにーたん……、おねーたん喧嘩……しないで……?」
な、何この可愛い子……
ほんとに一色? あれ、天使に見えるんだけど? 俺の天使は戸塚と小町だけだったのにまさかの3人目!?
雪ノ下と由比ヶ浜もよじょはす(今考えた)に見惚れている。
「大丈夫だよ~? 喧嘩してないよ? えっと、お名前はなんていうのかな~?」
流石、由比ヶ浜空気の読める子! よじょはすと同じ目線になるようにしゃがみこんで話しかける。パンツ見えそうなのは黙っておこう。
「いっしきいろは!」
ほらやっぱり一色だ。……一色!? 本当に一色なのかよ。なんでこんな天使があんな小悪魔に育っちゃったんだよ。
「たはは……、ほ、ほんとみたいだね?」
由比ヶ浜は自分の髪の毛のお団子をくしくしと触りながら告げる。
どうやら信じてくれたようだ。
「本人がそう言ってるのならそうなのかもしれないけれど……、正直信じたくないわね……」
雪ノ下は額に手を当てながらそう言う。
そりゃそうだ。俺だってこんな天使があの一色だとは思いたくない。
「とりあえずこのままだといろいろまずいでしょうからちょっと待ってて」
「何がまずいんだ?」
「あなた、この子の服を見て分からないのかしら? それともわざと?」
雪ノ下に言われ気づく。そういえば、ぶかぶかの制服を身にまとっているだけでこれはよろしくない。動けば簡単にずり落ちそうだ。
「簡単な服を拵えてくるから面倒を見ていてちょうだい」
そう言い、雪ノ下は部室をあとにした。
1時間後、雪ノ下が戻ってくる。よじょはすはというと、今は由比ヶ浜の膝の上でスヤスヤ眠っている。
よじょはすが着替えるため「廊下に出ているように」と雪ノ下に言われ、俺は一旦外に出た。
「もういいわよ」
雪ノ下の声が聞こえたので部室に戻る。体操着を少し改造してよじょはすが着れるサイズにしたようだ。コイツほんとなんでもできるな。
しかも雪ノ下曰く、これで現在の一色に戻ったとしても一応そのまま着れるらしい。
そんなもん1時間でどうやって作ったんだこいつ。
そんなことを考えていると足元に何か違和感を感じた俺は下を向いた。すると足元にはよじょはすが抱き着いており、可愛らしい笑顔で俺に問いかける。
「おにーたん、おなまえは?」
やばい何この子、マジで可愛いんだけど……
「比企谷八幡だ」
そう言い、よじょはすの頭を撫でる。ああ、柔らかい。髪の毛もサラサラしてて癖になるなこれ。
よじょはすも嬉しそうだし、俺も撫でてて幸せになる。これこそwinwinの関係ってやつなのではないだろうか?
「じゃあ、はーくん! あのねはーくん、だっこ~♪」
うん、こんな天使にお願いされたら断れないな。俺は悪くない。天使が悪い。いや天使が悪いわけないから俺が悪いのか?
「たかいたかいしてー!」
「おーほれほれたかいたかいー」
キャッキャッと喜ぶよじょはすマジ天使。こいつ、このままずっと戻らないでいてくれないかな
雪ノ下と由比ヶ浜の視線が若干怖いが天使にお願いされたんじゃ断れないしな。仕方ない。
「随分と比企谷君に懐いているようね」
「ヒッキー何故か小さい子に懐かれるよね……」
何故かってなんだよ。
「いいなぁ……あたしもしてほしいな……」
由比ヶ浜さん? 聞こえてますよ? 難聴系主人公じゃないからね俺? もう少し抑えてくれないと聞こえちゃうから!
少し疲れたのでよじょはすを膝の上に座らせる。なんか自然にこの態勢にしたときまた二つの目線から殺気が放たれた気がしたけど気にしないでおこう。
「はーくん、あのね、あれはなあに?」
よじょはすの指の先には一色の携帯があった。
「あれは携帯電話って言ってな、近くにいない人とお喋りできる機械だ」
「わあ、すごいすごい! わたしもほしいな」
まあ、あれは元々一色のだしなぁ、そう思いそこにあった携帯を手渡す。
よじょはすは喜んでその携帯を触ってるがロックを解除できないようでう~う~言ってる。かわいい。
「まだ一色には早かったな」
そう言うと膝を叩かれる。痛くない、気持ちい。なんか変なのに目覚めそう。
「はーくん! い・ろ・は!」
「ん?」
「いろは…、って…、よんで……?」
ズッキューーーーーーーーーーーン!
効果音を付けるならこうだろうか。
破壊力ありすぎてヤバイ。ていうかこの子本当に幼女? なんか計算尽くされた角度の上目遣いと、言い回しのような気がするんだが。となれば一色はこの頃から小悪魔だったのか? あいつあざとさ歴何年だよ……
「……いろは」
「えへへ~、はーくん……」
そう呼びながら俺の頬にすりすりと自分の頬を摺り寄せてくる。小さい子の肌は柔らかくて気持ち良くて、俺は間違った道に進むのではないかと思ったところで前の方からの2つの殺意を察知し我に返る。
「はーくん、はーくん~、ふみゅぅ」
我に返った俺に追い打ちをかけるようによじょはすが攻めてくる。
あ、やばいもう俺ロリコンでいいや……
「比企谷君考え直しなさい、まだ間に合うわ。」
え、何、もしかして心読まれた? 怖いんだけど。
「何をだ。俺は至って正常だ」
「ヒッキー、そんな顔で言われても説得力ないよ?」
そう言い、由比ヶ浜は手鏡を俺に渡す。
やばい、こいつ誰? 鏡にはクッソニヤけたキモイ男が映っている。あ、これ俺だわ(白目)
よじょはすが携帯を弄っているとピッっという音が鳴った。どうやら何処か押してしまったのか。
急に音が鳴り、よじょはすは携帯を伏せて顔を俺の胸にうずめる。音にビックリしたのだろうか可愛い。そう思い、頭を撫でていると、よじょはすが顔を上げて目が合う。そして俺の膝から降り、「はーくん」と言い俺を手招きする。
俺がよじょはすの目線に合わせるようにしゃがみこむと……
「わたしね…、はーくんだいすきなのっ、はーくんはわたしのことすきぃ?」
愛の告白をされました。これはあれだ天使には嘘をつけないな、うん。
「俺もいろはのこと好きだぞ」
視線が怖いんだけど小さい子と遊んでるだけだからな、多めに見てくれよ……なんて思っていると
「はーくん、だいすきっ、えいっ」
一瞬のことで俺にも何が起きたかわからなかったが、どうやら天使が俺の唇を奪っていったみたいだ。え、まじで何が起きたのか理解できてないんだけど。
「くぁwせdrftgyふじこlp!?」
女生徒二人も「くぁwせdrftgyふじこlp!?」ってなっている。流石にお前らは動揺しすぎだろ。
「えへへー……、はじめての、ちゅー、だよ?」
幼い子が顔を赤らめ上目遣いでこちらを除く。そんな仕草に俺は一発KOされてしまったわけで。
天使愛してます!!
「お、おう、俺も初めてだけどな」
「ヒッキーの初めて……、あたし狙ってたのに……」
だから声が漏れてますよ由比ヶ浜さん。なんなの? わざとなの? ドキドキしちゃうし勘違いしようもないからやめて!!
「……」
雪ノ下は機能停止している。
「じゃあはーくんといろははおつきあいするの!」
かわいいなー。お付き合いとか知ってるのか。そういうところは一色なんだなー。
「そうだな、いろはがあと10歳くらい大きなったら考えような。今お付き合いするといろいろ法律的なというかはーくん捕まっちゃうから」
「10さい……?」
「そうそう、15歳以上になったら」
「うん! じゃあ、いろはが16歳になったらお付き合いしてね? ぜったいだよ、やくそく!」
そう言いながら小指を伸ばしてこちらに向ける。これは指切りげんまんをしようということなのだろうか。
「ああ、約束だ。指切りげんまん、嘘ついたら針千本飲ます」
「やったぁ、えへへ。早くおおきくなりたいなっ」
本当、可愛すぎるんだけど。なんでこんな天使があんな小悪魔になっちゃうの? 堕天使なの?
後ろで由比ヶ浜が「ヒッキーそれって……」なんて言ってるけど子供相手にショック受けすぎだろ。
しばらくするとよじょはすは俺の膝の上で眠ってしまった。
「疲れたんだろうな」
「いや、あたしのほうが疲れたよ……、精神的に」
「同感だわ……」
スヤスヤと眠っているよじょはすの顔を見ながら俺は思う。守りたいこの寝顔!! とその時だった。
膝の上で寝ているよじょはすに違和感が。なんかでかくなってきてない? 大丈夫?
身体が徐々に成長し、あっという間に高校性の一色いろはに戻ったのだった。
というかこの状況まずいんですが。説明すると俺の膝の上に一色がいて対面座位、違うな、向き合っていてもう何かヤバイ、説明以上。
「ふえっ!?」
いやいや、俺が「ふえっ!?」だよ。まあ俺が言ってもキモいだけなんだが。
「ええと、その……、なんだ、とりあえずどいてくれ」
「は、はい……」
だから視線が痛い痛い! 怖いから睨まないで、これは不可抗力だからさ。
「ほ、ほんとにいろはちゃんだったんだね」
「信じがたいけれど、この目で見てしまったし信じるしかないわね……」
「え、えっと一体何が?」
状況が把握できてない一色。まあ無理もないだろう。雪ノ下が今までの説明をしてくれた。
「そんなことがあったんですか……」
「何も記憶ないの?」
「ですね、コーラ? を飲んだところまでは覚えているのですが」
「まあ知らない方が幸せだということもあるのだし、無理に思い出す必要はないわ」
「で、ですかね~」
若干気まずいなぁなんて思っているとドアが開く。
「いやー、会議が長引いてしまった」
「平塚先生。入るときにはノックをしてくださいと……」
「すまんすまん。ところで机の上にあったコーラのようなもの知らないか?」
「あっ、ええと」
どうやらあの奇妙な飲み物は平塚先生のものだったらしい。
「平塚先生、そのコーラのようなものはなんなんですか? 一色さんが飲んでしまい幼児化してしまったんですが」
「やはり飲んでしまったか。すまない。すぐ戻るつもりで置いておいたのだが。あれは知り合いの教師のチュウさんという方が作成した若返りの薬なんだ。完成したと聞き是非譲って欲しいとお願いしたら2本頂いたのさ」
先生……、いくらアラサーだからってそんな薬に手を出すなんて。
ギロリと睨まれる。あれ平塚先生にまで俺の心わかるの? 俺ってそんなにわかりやすい?
そして……。
「まぁしかし、一色の姿が変わってないということはもう元に戻ったということか。どうだった一色、若返ってみて」
「いや……、なんというか、き、記憶がなかったのでーと言いますか、そんな感じなので、か、感想とかはナイデスネー」
急にどうしたんだ一色のやつ完全に棒読みなんだけど。
「ん? そんなことはないだろう? 私も試しに1本飲んでみたが、若返るのは身体だけで記憶などは現在のままのはずだぞ」
「「「え!?」」」
奉仕部3人の声がハモった。それもそうだ。幼児化した一色は言動も幼く、心も幼児化していたと思っていたのだから。
身体しか若返らないということはさっきまでの行動は全て、今現在の一色の意志で行っていたということになる。つまり……。
そこで俺は思考停止した。
「一色さん……?」「いろはちゃん……?」
二人は今まで聞いたことのないような冷たい声で一色を呼ぶ。
「ひっ……、あ、わ、わたし生徒会の仕事があるのでこ、これで失礼しますーー!!!」
「「待ちなさい!!!」」
そう言うと一色は猛ダッシュで逃げていった。
* * * * *
私は携帯の録音機能を起動し再生ボタンを押す。
「わたしね…、はーくんだいすきなのっ、はーくんはわたしのことすきぃ?」
「俺もいろはのこと好きだぞ」
「はーくん、だいすきっ、えいっ」
「くぁwせdrftgyふじこlp!?」
「えへへー……、はじめての、ちゅー、だよ?」
「お、おう、俺も初めてだけどな」
「じゃあはーくんといろははおつきあいするの!」
「そうだな、いろはがあと10歳くらい大きなったら考えような。今お付き合いするといろいろ法律的なというかはーくん捕まっちゃうから」
「10さい……?」
「そうそう、15歳以上になったら」
「うん! じゃあ、いろはが16歳になったらお付き合いしてね? ぜったいだよ、やくそく!」
「ああ、約束だ。指切りげんまん、嘘ついたら針千本飲ます」
「やったぁ、えへへ。早くおおきくなりたいなっ」
再生が終わる。さっきからずっとこれの繰り返し。
「えへへ……」
さて、先輩、私は今先輩の言う16歳にです。約束は守ってもらいますからね?
何か言ってきたらこの録音を再生させて証拠として提出しよう。
そう考えるとウキウキして今日は眠れそうにない。