私のご主人様   作:天神神楽

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レンの正体。

追記:UA100,000を越えました。皆様、ありがとうございました。


騎士様を追跡せよ~蓮華作戦~ その弐

 「レン、どこかお店に入りましょうか」

 今日は少し暑いので、ちょっと喉が渇いた。

 「うん。こちらに来るのは久しぶりだから、杏奈のオススメが知りたいな」

 「えぇ。取って置きのお店に招待するわ」

 レンにお薦めしたいお店といえば一つしかない。

 カランカランカランカラン…………。

 「こらこら」

 「お邪魔します、紫さん」

 「はい、いらっしゃい。それに珍しいお客様ね」

 「おひさしぶりです」

 「えぇ、久しぶりね。ふふっ、取って置きのケーキをご馳走しなくちゃね」

 紫さんの取って置き!!

 「ふふふ、紫さんと一緒にいる杏奈は可愛いね」

 「あぅ」

 流石にこうストレートに言われると恥ずかしい。

 「さ、こっちのテーブルへどうぞ。昔馴染みからとっても美味しい茶葉をもらったから、それをいれてあげるわね。それとそれに合うケーキも」

 「あ、あの、紫さん……」

 「分かってるわ。アップルパイも、ね」

 ぱぁぁぁぁ。

 喜びに顔を輝かせている間に紫さんが紅茶を淹れてくれた。うん、とっても香りが芳しい。

 と、レンが私のことをじっと見つめていることに気が付いた。

 「どうしたの?」

 「ん? こんなに可愛い杏奈、見逃したら勿体無いと思って」

 「もぅ……流石に照れるわ」

 「うん、そんな杏奈も可愛い」

 私も天然天然(そんなことないのに)と言われるが、レンはそれ以上だと思う。

 「あらあら、とってもお似合いね。はい、アップルパイとザッハトルテ。ザッハトルテも自信作よ」

 アップルパイは言わずもがな、そのザッハトルテは宝石のように輝いていた。

 一口口にしただけで、口の中に幸せが広がり、紅茶を口に含めば、その幸福は全身を駆け巡る。

 幸せな一時に浸っていると、紫さんの姿が一瞬ぶれたかと思うと、空いていた席にキョトンとしたソフィアさんと柊さんが座っていた。

 ……。

 …………。

 ……………………へ?

 「「へ?」」

 

Another side ソフィア

 

 な、何なんですの!? あの超絶甘々空間は!?

 「な、なんて美しいのでしょう! あぁ、今日は何と素晴らしき日なのでしょうか」

 柊さんはもうフルスロットルだ。

 「しかし、あの杏奈さんがこんなに可愛らしくなるなんてびっくりですね」

 「確かにそうですね。私は新しい杏奈様を見ることができて嬉しいですが、ソフィアさんは見たことがなかったのですか?」

 「えぇ。私が杏奈さんのお部屋に行くときは、必然的に凰のお屋敷となりますから、杏奈さんはいつもの杏奈さんですね」

 杏奈さんとは初等部からのお付き合いですが、その頃から杏奈さんは従者として振る舞っていた。とはいっても、今思えば年相応なことも色々としており、可愛らしかったが。

 「それにしても、あのお方はどなたなのでしょうか。ソフィアさんも知らないのですよね?」

 「えぇ。あれほどまでにお美しい殿方ならば噂にもなりそうなものですけど」

 それに、舞姫様が一切動じていなかったことも気になる。

 「でも、どのような会話をなさっているのでしょうか?」

 「柊さん……いえ、確かに気になりますね」

 流石にお店の中に入ってはバレてしまうだろう。

 柊さんの言う通り、お二人のお話は聞いてみt……。

 

 

 その次の瞬間、私と柊さんは、杏奈さんとレン様と同じテーブルについていた。

 

 …………………………………………へ?

 

Another side end

 

 「「女性っ!?」」

 びっくり。

 ともあれ、事情を説明するとソフィアさんと柊さんは大声で叫んだ。

 「はい。レン……蓮華はれっきとした女性です。レン、自己紹介をしてあげて?」

 「はい。クレメンス様と柊様、でしたね。私は瀬織蓮華(せおりれんげ)と申します。訳あって離れていましたが、凰家にメイドとして仕えております」

 レン、蓮華が挨拶すると、柊さんがふと気が付く。

 「あら、瀬織様といえば」

 「はい。吉祥家と同じく、代々凰のお家に仕えております。私は執事長に同行しておりましたので、離れていたのです」

 蓮華は、白夜様や母さんに同行しながら修行を続けていた。歳は一つ下だが、私が一番気を許せる相手だ。

 「それにしても、瀬織様はお美しいですわ。男性と見間違えたのにも拘わらず、その美しさに目眩がしてしまいましたもの」

 確かに蓮華は美しい。日本人ながらもお母様やお婆様譲りの金髪と碧眼は宝石のようだし、スタイルも素晴らしい。

 しかし、男性と間違えた、ですか……あ。

 「そういえば今日は少し悪ふざけをしていました。少々お待ちくださいね」

 そう断って蓮華は荷物を持ってお店の奥に入ってしまった。

 そして数分後。

 「これなら女性に見えるでしょうか?」

 どたぷ~ん。

 と言わんばかりの擬音が聞こえた。

 「こ、これは……」

 「す、凄いです」

 ソフィアさんと柊さんも顔を真っ赤にしていた。

 そう。蓮華はとにかくスタイルがいい。大きいにも拘わらず引き締まって見える。先程のようにさらしを巻いていたときは特に男性らしいが、今のように女の子Verになってもそれは損なわれず、むしろ柔らかさが加わり、女性人気が倍率ドン。

 「訓練の時には少し邪魔なのですが、藤姫様が褒めて下さいましたので、普段はこのままなんです」

 「あら、舞姫様の妹様にですか?」

 「えぇ。この度、藤姫様の専属となることが決まりましたので、帰国したのです。来年からは皆様の後輩となりますね」

 蓮華が戻ってきたのは、藤姫様の専属となることが決まったからである。これまでは私がそれを兼任していたが、高校生活も忙しくなるだろうと、白夜様や旦那様が提案なされた。

 「私も可愛い後輩が出来て少しワクワクしていますよ」

 蓮華は数少ない私の後輩だ。そんな彼女が学園の後輩となるならば、それ以上の喜びはない。

 「ふふふ、私もこんなに綺麗な先輩が出来て嬉しいな」

 あら、嬉しいことを言ってくれますね。

 「…………蓮華様を可愛いと言えるのなんて、杏奈さんだけですよね(ヒソヒソ)」

 「…………えぇ。それに、杏奈様のような方がお一人増えると思うと、来年が末恐ろしくなります(ヒソヒソ)」

 お二人とも、何をヒソヒソ話しているのだろう。

 

 


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