なかなか痩せないし、その腹いせです。
今回はカかなり雑だし久々で調子が出ない、ちょくちょくおかしいところがあるので、休日に修正します。
お腹減った……
「そうか、それでは食堂に行くとしようか」
私はアリーナで走り回って減ったお腹の音がなりそうなのを押さえて、そう呟く。
隣には実体化したセイバーが並んで歩いている。
「おっと」
セイバーがふとそう呟いて、ナニカを掴む。
その手には小さな矢のようなものが二本掴まれている。これは一体何なのだろうか?
「あのサーヴァントの不意打ちによるものだ。毒が塗ってある、マスターを暗殺しようとしたのだろう……恐らくはサーヴァントの独断か、あのマスターがそんなことはしないだろうしな」
……今私は暗殺されようとしていたの!?その事実に私の体が震える。もしもセイバーがその事に気付いていなかったら死んでいただろう。
ありがとう、お陰で命拾いしたよ。
「いや、どうということはない。今ここで貴様に死なれては困る。私が強者と戦えないだろう?」
セイバーはそう言って小さく笑って歯を見せる。相変わらずのバトルジャンキーのようだ。
だけれどそんなセイバーだからこそ、この短い間に分かったことがある。それは戦いにおいては信用できるということだ。
私が相手のサーヴァントの真名を見破り、それを基にしてセイバーが戦う。私の命は9割がたセイバーが握っている。だからこそ、セイバーが少しでも戦いやすいように環境を整えるのは、私の仕事なのだ。
「まあ、それは置いといて客の様だぞ?」
セイバーがそう言って指差した先には、褐色の少女が居た。メガネが似合っており、知的な印象の少女だ。
誰だろうか?私は知らない。
「初めまして、ミス白野。私はラニ、ラニと申します」
そう言って彼女……ラニは手を差し出してきたので、私はその手を握る。
それで何かようなのだろうか?私達は初対面だし、廊下でこんな人とすれ違ったりしたら、間違いなく記憶に残っている。
「突然ですが、貴女の星を見せて欲しいのです」
星……?それはアレだろうか?空にピカピカ輝いてる星のことだろうか?私はラニの言っている意味がわからずに、くびをかしげる。
「星とは、貴女の運命のようなものです。平たく言えば、占いです」
占いかぁ、運勢の星とかいうものだろうか、でも私は占いとかいうのはあんまり信じていない……まさか、宗教の勧誘!?私はそんなものには引っかからないからね!
そう言って構えるが、ラニは呆れたようにため息をついている。
「……いいえ、宗教とかそういったものではありません。私は貴女の星に興味があるだけです」
なるほど……要するに私の運命とかそういったモノを見るという認識であっているのだろうか?だけど、それは魔術よるものなのだろう。凛から聞いた話では魔術師はとうの昔に殆ど居なくなったと聞いたけれど……
「確かにその通りです。ですがアトラス院はまだ魔術を使用することができ、私はアトラス院によって製造されたホムンクルスです。ココには、心というものを学ぶために来ました。そこで貴女を見つけたのです。貴女の心も星も非常に興味深いのです」
ラニはそう言って、私に近寄る。
私は驚愕する、それはラニが魔術を使えることと、何よりもホムンクルスだということだ。彼女はどこからどう見ても立派な人間だ。どう見ても作り物だということは分からない。
「そう言っていただけると、マスターも喜びます。貴女の星を見せてください。対価はもちろん払います、そうですね……敵のサーヴァントの情報などは如何でしょうか?」
私はラニの言葉に、思わず詰め寄る。だって敵のサーヴァントの情報が分かるのならば、それは大きな利点だ。さあ!私の星なんていくらでも見ちゃって!
「え、ええ……ありがとうございます。ですが……サーヴァントの情報を読み取るには、そのサーヴァントの所持品などが無いと出来ません」
そう言ってラニは私の体を押し戻す……しかし、サーヴァントの所持品か、そんな物は持って……
その時、私の頭はある事を思い出す。それはあのアーチャーが不意打ちしてきた時、矢をセイバーが掴んでいたということだ。私はセイバーの方を見る。
セイバー!あの矢どこにやった!
そうしたら、セイバーは私の剣幕に押されたのか、少したじろぎながらも言う。
「ああ、アレなら投げ返した」
……私の耳はどうにかしてしまったようだ。その辺に捨てるか、仕舞っておくならば分かる。だけど、投げ返したというのは、一体全体どういうことなのだろうか。
「拾ったモノは元の持ち主に返さねばならんだろう?こう……
その言葉に私は唖然とする。セイバーが何故イチ⚪︎ーを知っているかは兎も角、ボールでもないあの小さい矢を投げて、しかも肩とお腹に命中させるとか、どれだけの力と技術がいるのだろうか。
「なに、私のクソ……ではなく師匠に刀だけではなく、他の武器も使っておけと言われてな、暗器の類も少々齧っているだけだ」
成る程……つまりセイバーは刀の他にも様々な武器も使えるということか。なら他にもクラス適性はありそうだ。だけど今気になった部分がある。それは師匠の事をクソと言ったことだ。セイバーにそこまで言われるような人というのは、少々きになる。
「気にしなくて良い。それよりもだ……」
セイバーはそう言いながら、物陰へと移動して手を突っ込む。その手には、アーチャーの襟首が掴まれていた。
「テ、テメエ!何しやがる!」
私は目をこすって、再び目の前の光景を見る。そこにはやはり、アーチャーの襟首をつかんでいるセイバーと、暴れているアーチャーがいた。
そして、私は一拍子置いて叫ぶ。
アーチャーァァァァ!?なんでこんな所に隠れているの!?まさかまた私を殺そうと!?
「いや、恐らくは傷の手当と解毒だろうな、イチイの毒は強力だ。だから効きが来る前にここで隠れて解毒をせざるを得なかったのだろう」
セイバーはそう解説する。成る程、確かに自分の毒で動けなくなるというのは、なんともおマヌケな光景なのだろうか、アーチャーはそうなる寸前だったのだろう。
「まあ、それは置いといて、アーチャー。何か所持品を出せ」
「ふざけんな!誰が出すか!」
「まあまあ、そう言わずに、ホレ、飛んでみろ」
セイバーはそう言ってアーチャーに手を差し出す。飛ぶとか、それは一体いつの時代の不良なのだろうか。
というか、さっきからノリがCCCのものになっているよ!?それはまだ早いから!
……って、私は何を口走っているのだろうか。CCCとは一体なんなんだろうか。
「確かにこの辺にしておくか、ではアーチャーよ、行っても良いぞ」
セイバーはそう言ってアーチャーを解放する。
そして解放されたアーチャーは、短剣、恐らくはアレにも毒が塗ってあるのだろう。を取り出してセイバーに切り掛かるが、セイバーはそれを軽々と奪い取って懐にしまう。
「チ、クソが!テメエ次は殺すぞ!」
「ああ、楽しみにしているとも」
アーチャーは舌打ちをしながら、霊体化して行く。
そしてセイバーは、懐から短剣を取り出して、私の方に差し出す。
「ホレ、所持品を奪い取ったぞ」
所持品……?私はセイバーの言葉に少々考え込んで、思い出す。ラニにサーヴァントの所持品を差し出さなくてはいけない事を。今の今まですっかりと忘れていた。
「それでは早速……」
ラニはそう言って、集中するように眼を閉じる。邪魔をしないように、静かにしていよう。
そして中庭の噴水の中に、ある男の映像が浮かび上がる。それは緑色のマントを纏った男だ。間違いなくあのアーチャー。
「深い森の中……とても暗い色、時に汚名も負い、暗い闇に潜んだ人生……賞賛の陰には、自らの歩んだ道に対する、苦渋の混じった……そんな色、緑の衣装で森に潜み、陰から敵を射続けた……」
それはあのアーチャーの人生なのだろう。私はそれを見て、悲しいと思った。隠れ続け、卑怯者として、闇から敵を射続ける。
そんな彼の生き様は、マスターであるダン・ブラックモアとは余りにも対照的なものだ。
「だが彼は英雄に憧れていたようです」
ラニがそう呟く、英雄に憧れた……彼はもう英雄なのではないだろうか、こうしてサーヴァントとして召喚されているのだから。
「いいや、それは違うだろう。奴が言いたいのは、まあ……ダンのような騎士の生き様はだろう」
「その通りです。ですが……」
それは最後まで叶わなかった。最後まで村人に知られることはなく、ひっそりと死んだ……
「ふうむ?」
セイバーが、顎に手を当てて何やら考えている。だがすぐにその疑問は晴れたようで、私を見る。
「アーチャーの真名が分かったかもしれん」
……え?私はセイバーの言った言葉に驚く、だってあの情報でアーチャーの真名が分かったというのだから、今の手がかりは、アリーナで使ったあの毒の木と、ラニの占いぐらいだ。それだけでわかるものなのだろうか?
「ああ……恐らく奴の名はーーーーー」
成る程、確かに彼ならばうなづける。イチイの木、そして彼の生き様がそのまま当てはまる。
セイバーに真名当てられた……私の存在意義とは一体……私はそう内心思うが、そうすると、心が挫けてしまいそうなので、思考の隅に追いやる。
そして今私たちは食堂でお腹を満たしている。セイバーはカレーを、私はお蕎麦を食べている。心なしかセイバーはカレーを食べているとき……というよりは、洋食、中華を食べているときはかなり嬉しそうだ。多分生前は和食だけだったから、そういった類いの料理が珍しいのだろう。
「ちょ!旦那、痛たたたた!!自分で歩きますって!」
……なにか聞き覚えのある声が、私の耳に届いた。この声はアーチャー、何事かと声のした方を向いてみるとそこには、物凄い形相をしたダンに腕を引っ張られているアーチャーがいた。
ダンは誰かを探しているのか、周りをキョロキョロと見回している
――――あ。私と目があった。
そしてダンはアーチャーを引っ張りながら、私の方へと歩いてくる。この時私は確信する。ダンが探していた人は自分なのだと。
「食事中すまない、少々宜しいだろうか」
ダンはそう言って、私のもとに歩いてくる。勿論断れるわけがないので、私の席と向かい合った席に座ってもらう。
「アーチャーが粗相をして済まない」
ダンは席に座るなり、そう言って頭を下げた。あの不意打ちのことだろう。それ以外に心当たりがない。だけれどあれはセイバーが防いでくれたから、別にかまわない。
「そうか……だがそれでは私の気がすまない」
ダンそう言っては右手を掲げる。その甲にあるのは三画からなる紅い紋様、サーヴァントへの絶対命令権である令呪。
「校内において、
「は……?」
アーチャーは呆然とした顔で呟く。私も同様に、ダンのした事が信じられない。と呆然としている。
セイバーだけはどこか感心した様子だった。
「い……いやいやいや!何やってんすか?旦那ぁ!」
アーチャーはそう言ってダンに詰め寄る。確かにそれもそうだろう。この聖杯戦争において、実質二画しか使えない令呪を、こんな事に使ったのだから。
「ふむ……騎士道を貫くか?だがな、それは愚策だぞ?アーチャーは貴様を勝たせようとしたのだ。その行為には称賛を送るが、同時に非難も送ろう。本当にこの聖杯戦争を勝ち抜きたいのならば、そのような事はするな。全力で、使える全てを持ってかかってこい」
「………………」
セイバーはそう言う。その言葉にダンは何かを考えているのか、だんまりだ。
……というか、それよりも何やってんのさ、セイバー!
私はセイバーに非難を送る。それもそうだ、今の言葉でダンが本気を出す……なんていうことになっったら、手強いだろう。もしかしたら負けるかもしれない。
だがセイバーは笑うだけだ。
「……セイバー、貴様は戦士なのだな……純粋に戦いを楽しみたいという……だが、私は騎士としてこの聖杯戦争に参加した。どこか甘えがあったようだ。だから、騎士としてではなく、戦場を駆け巡る戦士として戦わせてもらおう。それが貴様への礼儀だろう」
ダンはセイバーの目を見て力強くそう言う。
……ちょ、ダンが本気出しちゃったじゃあない!何やっているの、セイバー!
「はははは、この程度乗り越えられないようならば、この先死ぬだけだろう?」
……う。それはまあ、ごもっともだろう。一回戦はシンジがここをゲームだと思って、舐めていた。だが、この先はそうはいかないだろう、本気で聖杯を取りに来た人達と戦うかもしれない。
「……では、お互い全力で戦おう」
ダンはそう言って去っていく。
……彼の目は、真剣だった。まるでこちらの全てを見透かして弱点を探すような……そう、言うなれば『戦士』の目だった。
……私も全力で戦わないと、いくらセイバーが強くても負けるかもしれない。負けたら、あるのは何も残せないまま死ぬ。それだけは嫌だ。だからわたしは戦う、生きるために、私が何者なのかを知る為に。
「……フム、取り敢えずは及第点といったところか」
セイバーはそう言って、皿に残っているモノを口に入れて霊体化する。
結局私がいくら話しかけようと、セイバーは実体化する事はなかった。
……これは一人でゆっくりと考えろという事なのだろうか?余計なお世話だと言いたい。覚悟は、ダンを殺して私が生きる為の覚悟は出来ている。
というか、寂しい。いつもならばマイルールの片隅でお茶を飲んでいるセイバーが居ないせいで、私一人だ。でも、明日は決戦なのだ。
幾ら何でも、当日になればセイバーは実体化するだろう。その時に文句を言ってやる。わたしはそう決めて、布団の中で眠る。
そして、決戦当日になった。セイバーは、翌日になって実体化した。朝食を食べながら何故ずっと霊体化していたのか。お陰で寂しかった。と文句を言ってやった。
そしていよいよ、会場に移動する。
その決戦会場は、戦場だった。あちこちに崩れた建物の瓦礫や、ひび割れた建物が乱立していた。だが、そんなものよりも、空気中にあのアリーナで見たモノ、毒が満ちている。
「これは短期決戦、もしくは基点を探すのが望ましいが……どうするね?マスター」
セイバーは私に問いかけてくる。そして私はしばらく迷うが、短期決戦と言っても、アーチャーとダンは既にどこか見えないところに潜んでいるだろう。
だから彼らを探すよりも、この毒の結界となっている基点を探して破壊したほうが望ましい。
「承知したぞマスター。では貴様も行こうか、離れ離れになると、あのアーチャーに攻撃を喰らうからな」
そういってセイバーは私の方に手を伸ばす。だが、セイバーの手が私に触れるよりも先に素早く叫ぶ。
おんぶで!
と。お姫様抱っこなんて、もうされるつもりはない。アレは流石に恥ずかしいから。
「そうか、では私の背中に乗るが良い」
セイバーはそういって、しゃがんで私に背中を見せる。私はセイバーの背中に乗って、腕をセイバーの首に回す。
「それでは行くぞ、精々振り落とされるな」
分かっている。手に力を入れて、セイバーが少しでもスピードを出せるようにする。
そして、セイバーが走りの構えをとった直後ーーー景色が流れる。
それはまるで電車に乗っているときに見える窓の外のようだ。お姫様抱っこの時は、風が来て余裕がなかったが、こちらは風があまり来ないので、周りを見回す余裕がある。
「おっと」
セイバーが軽くそう言った瞬間、金属音が鳴る。恐らくはあのアーチャーの矢をセイバーが斬ったのだろう。
それが何回か繰り返されるが、セイバーは走る。毒が濃いほうへと、そして見えたのが根元に矢が刺さったイチイの木。
あれがこの毒の結界の基点。セイバーがその木を斬り倒したら、今まで大気に満ちていた毒が嘘のように晴れる。
「ッチ、壊されちまったか、旦那どうするよ?」
セイバー達よりも遠くのビルの屋上ダンは立っていた。そこは戦場が見回せる場所であり、たとえ建物に隠れようとも、すぐに対応できる場所であった。ダンはこの戦場に来てからすぐにこのビルからセイバー達を監視していた。
「アーチャーは引き続き隠れながらの奇襲だ。矢を射った後に移動するのを忘れるな」
「大丈夫っすよ、そんな基礎的なことは心得てますし」
その判断は間違っていない。今は学園ではなく、戦場。故に勝利するために、生き残るために容赦はしない。
「そうか、ならば良い。宝具を同時発動しろ」
「オーケー、了解しましたっと」
ダンの名により、アーチャーは宝具を発動する。その宝具が同時に発動されれば、途轍もなく恐ろしいものとなるだろう。
「そんじゃあ、まずは『
その宝具を発動した途端、アーチャーの姿は完全に消える。更に、根元に弓が刺さった木が現れる。これは毒の基点。
辺りに毒を撒き散らし、相手の体力をジワジワと削るといった、かなり厄介なものだ。
そして、ダンとアーチャーは動き出す。『獲物』を仕留めるために、ここは戦場。
己が勝つためならば、汚い手も堂々と使い、それを罵られようとも、その罵しりを横目に敵を殺すか、己が殺されるかの地獄を再現した場所だ。
ーーーー一切の容赦も慢心も無い。
ノッブ「ちょ!アーチャーが本気出した!?コレ大丈夫なのか!?」
おき太「ええ、大丈夫でしょう……あ。今回はお試しで後書きに私達、織田信長ことノッブと、沖田総司ことおき太が登場します。台本形式になっておりますので、こういうのが嫌いな人は読み飛ばしてください」
ノッブ「誰に言っておるんじゃ?まあ、それは置いといて、今回ははくのんが何か決心しておったのぅ」
おき太「そうですね……それがこの後どう響くか見ものでしょう」
ノッブ「あと、セイバーの師匠……一体何者なのじゃ?」
おき太「えーと。手元の資料によると……え゛!?」
ノッブ「どうしたんじゃ?そんな顔して」
おき太「……えー。本気だすと、抑止力が動き出すくらいヤバいと……」
ノッブ「何じゃそら……」
おき太「こんなのがセイバーが生きていた時代には、セイバーが知っているだけで、3人ぐらいいたらしいです……」
ノッブ「ヤバすぎじゃろ、日本!」
おき太「そうですね……セイバーの師匠は後々、登場するらしいです。あと、このextra編に飽きたら、セイバーが死ぬ前の物語を書くらしいです」
ノッブ「ZEROはどうしたんじゃ?」
おき太「さあ?なんでも最終的にオルタが出てきてきりがないので、止めたらしいです。まあ、後で書くでしょう」
ノッブ「次回は連休に更新!それではの!」