【完】ACE COMBAT SW ‐The locus of Ribbon ‐   作:skyfish

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なんだ・・・この異常なUAとお気に入りの数は


それでは本編どうぞ


第5話「入隊と交流と」

試験飛行を終えシャーリー、エイラ、サーニャに飛んでいるとき見た上空からの景色を伝えて、坂本少佐と共にミーナ中佐がいる部屋に入った。

 

「それであなたの処遇についてなんだけど、これからどうしようと考えているのかしら?」

 

ミーナ中佐の言葉で今の自分がおかれた現状を再確認した。ここは自分がいたところとは違う世界である。

 

「さあな。この世界どこにいても俺には分からないことばかりだ。君たちにとって俺がじゃまなら相棒と共に去るつもりだが行く当てがない」

 

メビウス1はそう答えた。最も相棒をここに置いていく訳にはいかない。ここに残すことはないが、あいつに乗って飛んでいき別の滑走路に着陸すれば無用な混乱が広がり面倒くさいことになる。

 

「・・・最悪、機体を破壊するしかないかな」

 

メビウス1は自身が一番やりたくもないことを口にした。あの機体をここに置いて出ていけば絶対に分解されて隅々まで解析されるだろう。ただ、この世界の技術者たちがおそらく約50年後に生まれるであろう最新鋭技術の結晶ともいえるF-22Aをすべて理解できるとは思えないが、この時代にとって俺や相棒の存在は危険すぎる。

 

「そこでこちらからの提案ですけど」

「なんだ?」

「あなたを第501統合戦闘航空団ストライクウィッチーズの臨時特殊戦闘隊員として迎えたい」

 

ミーナはメビウス1にそう告げた。

 

「・・・元の世界に帰るまでの間、居場所を提供する代わりにいっしょに戦ってくれ、と解釈していいのか」

「ああ、そういうことになるな。どうする?」

 

坂本少佐に再度聞かれたが、拒否はしなかった。ただ

 

「ひとつだけ条件がある。俺の機体に誰も触れさせないことを呑んでくれれば」

「ええ、それでいいわ」

 

2人はソファーから立ち上がり握手を交わした。

 

「改めまして、第501統合戦闘航空団ストライクウィッチーズ隊隊長、ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケです。メビウスさん、あなたを歓迎します」

「ISAF空軍第118戦術航空隊メビウス隊隊長、コールサインはメビウス1。しばらくの間よろしくお願いする。」

「それでは改めて自己紹介させてもらおう。ストライクウィッチーズ隊所属の坂本美緒だ。主に隊の戦闘指揮官を担当している。階級は同じだから好きなように呼んでくれ」

「会って1日しかたっていない人にいきなり呼び捨ては悪いからな。坂本少佐と呼ばせてくれ」

 

坂本少佐とも握手を交わした。

 

これでメビウス1は臨時とはいえ、ストライクウィッチーズの一員として彼女たちと共に空を飛ぶことになった。

 

ブリーフィングルームでは、メビウス1といっしょに飛んでいた3人、シャーリー、サーニャ、エイラの話を聞こうと他のメンバーたちが集まっていた。

途中でミーナ中佐と坂本少佐、メビウス1が入ってきたためお開きとなった。

 

「もうすでに知っているかも知れませんがさっそくだけど皆さんに紹介したい人がいます」

「昨日助けたウィッチのことだな。一体どこのウィッチなんだ?」

 

バルクホルンがメビウス1を睨みながら言う。その程度で怯みはしない。

 

「それがかなりややこしくて説明すると話が長くなるのだけど」

「簡単に言うと、我々とは違う世界のウィッチだそうだ」

 

坂本少佐の言葉でざわつく。因みにミーナ中佐と坂本少佐は俺が本当は男であることを知っているが、余計な混乱を避けるため自分は女性ということで話を進めた。

 

「まずは自己紹介が先ね。お願い」

「ISAF空軍第118戦術航空隊メビウス隊隊長、コールサインはメビウス1。階級は少佐だ。本日付で第501統合戦闘航空団の臨時特殊戦闘隊員として入ることになった。メビウスと呼んでくれ」

 

聞いたことのない名前の軍隊名に皆が話し始める。

 

「あいさふ?」

「聞いたことない国だな」

「ねーねー。アイサフってどんな国なの?」

 

皆がそれぞれで話している中、髪がツインテールの女の子が質問してきた。

 

「ISAFは国ではなく、軍事同盟の名称だ。正確には独立国家連合軍“Independent States Allied Forces”・・・頭文字をとって“ISAF”だ」

「じゃあ、どこの国出身なんだ?」

「ミーナ中佐たちにも言っているが本名も含めて答えることはできない」

「所属以外は答えられないだと?我々をなめているのか!」

「トゥルーデ、落ち着いて」

 

トゥルーデと呼ばれる女性が机を叩き叫んだ。

 

「あんたが怒るのも分からなくはない。だが、俺がいたところは特殊部隊のような扱いになっていてな。命令なんだ。理解してくれ」

「なんで男口調なの?」

「あー・・・ガキの頃からこうなんだ。しかたがない」

「なぁなぁメビウス。お前のストライカーユニットなんて名前なんだ?」

「“F-22Aラプター”だ」

「Raptor・・・猛禽類。・・・かっこいい」

 

医務室にいた時と同じように目を輝かせるシャーリー。

 

「あのストライカーユニットは未来の戦闘機ではないかとうわさがあるのですが」

「あながち間違ってはいないわ。あのストライカーユニットはメビウスさんの世界のものですが、今より約50年後の技術だそうです」

「「「「「「「へ~」」」」」」」

 

目の前にいる女の子のほとんどが声を上げる。

 

「しつもーん。メビウスは何年にいたの?」

「この世界の未来ではないが2007年の空を飛んでいた」

「なんでもネウロイと交戦して破壊したが、なぜかこの世界に紛れ込んでしまったそうだ」

「そんなおとぎ話のような話があるんですか?」

「私も信じられないが、あのストライカーユニットの存在が何よりの証明だ」

 

そのあといくつかの質問に答えた後、連絡事項を告げてミーティングは終了した。

 

皆がバラバラに動き始める。シャーリーが近づいてきた。

 

「私たちの隊に入ったんだな。言い忘れていたけどリベリオン出身の階級は中尉だ。まあ国名何て言ってもメビウスには分からないか。よろしくな」

「いつまでここにいるか分からないが世話になる・・・うお?!」

 

いきなり背後から胸を掴まれた。後ろに目を向けると先ほどのツインテールの子がいた。

 

「にゃはは!うーん、エイラよりない」

 

どうやら俺の胸の大きさを調べたらしい。今は女の体になってるとはいえ気分がいいのもではなかった。お返しとして軽く頭に手刀をやった。

 

「いてっ」

「いきなり人の体を触るのは失礼だぞ。メビウスだ、よろしく」

「ロマーニャ空軍のフランチェスカ・ルッキーニ少尉だよ!よろしく!」

 

 

元気よくルッキーニは自己紹介する。メビウス1は彼女の頭をワシャワシャと撫でた。ただ心の中では別のことを気にしていた。

 

(ミーナ中佐から聞いてはいたが、最前線の基地で主な戦闘要員は女性。しかもこんな子供まで戦場に出なければいけないとは)

 

異世界の自分が言うのはお門違いだが、メビウス1はそう思ってしまう。

 

「スオムス空軍のエイラだ。よらしくナ」

「オラーシャのサーニャです。よろしくお願いします」

 

数時間ほど前にともに飛んでいた2人が自己紹介してきた。

 

「ああ、よろしく頼む」

「そういえばメビウス」

 

白髪長髪の女の子、エイラが近づいて小さな声で

 

「お前の機体、貸してもらえないか?」

 

と言ってきた。こいつもスピード狂の1人だったのか?

 

「シャーリーにも言ったが、あれは一人乗りだし俺以外動かせないぞ」

「そんなー・・・」

 

エイラは残念そうな顔をする。

 

「・・・サーニャと二人っきりで絶景見たかったのに」(ぼそっ)

「ん、何か言ったか?サーニャとなんだ?」

「どうしたのエイラ。私に何かあるの?」

「べっ、別になんでもないゾ!」

 

なんか顔真っ赤にしてエイラはサーニャと会話してた。

 

 

 

「ジェット機のパイロットだね。カールスラントのエーリカ・ハルトマン、階級は中尉だよ。よろしくね」

 

プラチナブロンドの髪をした女の子が話かけてきた。後ろには確かトゥルーデと呼ばれた女性が硬い表情をして立っていた。

 

「ほら、トゥルーデ。自己紹介しなきゃ」

「・・・同じくカールスラントのゲルトルート・バルクホルン大尉だ。我々のじゃまだけはするなよ」

「じゃまするつもりはない。ただしばらくは共に飛ぶことになるかもしれないからな。よろしく」

 

なんか敵対意識でもあるのか俺のことが嫌いなようだった。

 

「ごめんね。実はあんたを助けた時トゥルーデ“こいつはネウロイかもしれない”て、疑ってたからさ」

「なるほど、まあしかたがないさ」

 

他人から見れば俺はネウロイと同様に分からない存在かもしれない。

 

次はメガネをかけたプライドの高そうな女の子だった。

 

「自由ガリア空軍所属のペリーヌ・クロステルマン中尉ですわ。メビウス少佐」

「この世界だと俺の階級は意味ないからな。メビウスと呼んでくれ。よろしくな」

 

そして、最後の2人に話をするのだが

 

「はじめまして、ブリタニア空軍のリネット・ビショップです。階級は軍曹です。よろしくお願いします」

「扶桑皇国海軍の宮藤芳佳です。階級はリーネちゃんと同じ軍曹です。えーと、よろしくお願いします!」

 

2人は初対面の、しかも異世界の人であるメビウス1を前で緊張して自己紹介した。

ただメビウス1は何の反応がなかった。

 

「・・・・・・・」

「あの・・・メビウスさん?」

「どうかしたんですか?」

 

2人の言葉でメビウス1は話を始める。

 

「あ・・・ああ、失礼した、ビショップさん。それと」

「宮藤芳佳です」

「宮藤さん・・・か。メビウスだ。しばらくの間よろしく頼む」

「「はい!」」

 

会話が終わったと2人は晩御飯の当番とのことで食堂のほうでと向かっていった。

メビウス1はその背中と眺めていた。ただそれは穏やかな顔ではなかった。

 

「どうしたメビウス?なにかあったのか?」

 

坂本少佐が話をしてきたが

 

「・・・いや、なんでもない」

 

メビウス1は言った。

 

だが坂本少佐はその洞察力でメビウス1の変化を見逃さなかった。

 

(宮藤を見てから様子がおかしかったな。しかし今日が初対面のはず・・・)

 

ここまで読み取った美緒だったが決定的な答えを出すことができなかった。

 

夕食までの間、メビウス1は自分に割り振られた部屋にいた。そこはウィッチーズが使用する部屋の一つだった。こんな体だからしかたがないにしても調子が狂う。

 

因みにミーナ中佐から「変な気は起こさないでください」と忠告されたが「この状態で何ができるんだ」と即答した。それを見ていた美緒が笑ったのは言うまでもない。

 

メビウス1はベッドに腰掛けていろいろ考えていたが最終的にどうやって元の世界に帰るかだった。

 

「偶然でここに来たとしてもまた同じことが起こるとは限らないし・・・。とにかくネウロイとやらを撃墜していくしかないか。もしかして、それが俺の使命だとでもいうのか?」

「半分だけ正解です」

「!?つっ!」

 

自分の独り言に背後から返事が返される。気配がなかったため驚くと同時に反射的にホルスターから拳銃を取り出し銃口を向けるが、手に持った瞬間拳銃が弾き飛ばされてしまった。

 

傷は見られなかったものの拳銃を持っていた右手は鈍い痛みがあった。

 

「いきなり物騒なものを向けるなんてひどいですね」

「・・・軍人相手に気配も出さずに背後に立つやつには十分すぎるサービスだ」

 

右手を抑えながらメビウス1は声の主を確認した。

そこには聖職者が身に着ける全体的に白い服を着た女性が立っていた。ただその体が少し光っているせいか、あまり直視できない。

 

「お前が俺をこの世界に連れてきた張本人か。目的は」

「ええ。あなたにここで起こる異変の排除を依頼します」

 

目の前にいるやつは無表情でそう答えた。そいつに俺は疑問をぶつける。

 

「ちょっと待て、俺があのまっくろくろすけを全て破壊するまで元の世界に帰らせないって言いたいのか」

「正確には違います。ここブリタニアで起こるネウロイとは違う異変の解決をお願いしたい。今は何も起こっていないが近いうちに起こるでしょう」

 

俺をここに飛ばしたり、よく分からないが近い未来の予言みたいなことをいったり、神様か何かかこの女は?

 

「・・・言葉遣いがいささか以上にひどいですが、私はこの世界の神々のうちの1人と言っておきましょう」

 

こいつ、俺の心を読みやがった。

 

「これからですが、もし何か必要なものがあれば念じてください。ものにもよりますができる限りの支援をしましょう」

「じゃあ2つ」

 

こちらの願いを聞いてくれると言ったのですぐに口を動かした。

 

「なんでしょう?」

「俺の体を元に戻してくれ」

「無理です」

「じゃあ相棒を元に戻してくれ」

「許可できません」

 

真顔でこちらの要望を全否定する女神。

 

「なんでだよ」

「決まっています。そんなことしたら面白くないでしょう?」

 

無表情の顔が笑顔へと形を変える。

全力で殴りたい、この笑顔。だれかアヴェンジャー持ってきてくれ。

 

「そんなことするなら、あんたらがネウロイや異変の排除しろよ」

 

メビウス1の言葉に、女神の顔は厳格な表情になり

 

「ネウロイはこの世界が古くから存在した怪異です。この争いで何が起こっても我々はそのすべてを受け入れるだけです。仮に人類がネウロイの手により全滅されたとしても」

 

とはっきりと言った。

 

「ひどい神があったもんだな」

「どの世界も神とはそういうものですよ。それにネウロイ以外の異変はあなたのほうが詳しいでしょう?」

 

俺のほうが詳しい・・・?どういう意味だ。

 

「おい、いったい何を言ってるんだ?」

「それよりも何か必要なものはないのですか?」

 

こっちの話を無視したよこの女神様。仕方がないので気になっていたことを言った。

 

「そういえば相棒の整備はどうすればいいんだ。整備士を頼めばここに連れてくるのか?」

「その必要はありません。あれには私がすこし手を加えておきました。ミサイルの補給や機体の修復は魔力でできるようにしてます。ですがあまりにも被害が大きいとその分の魔力が必要です。あなたの命に係わりますのでお気をつけて。機銃の弾倉の補充はここの人間でもできますからこれはこちらが用意します」

 

相棒の整備に俺の魔力が必要とは・・・。まあ誰かに分からないまま整備されるのよりははるかにマシだろう。

 

「あといくつかある。他の機体が必要だ。相棒を定期的に休ませないと消耗が激しい。あと滑走路が短い気がするが・・・まあギリギリ着陸できたし飛ぶには問題は無いからいいか」

「分かりました。それではまたいずれ・・・」

 

そうして、女神はだんだんとぼやけていき消えていった。

 

「ああおい、ちょっと・・・必要な機体言ってないのに勝手に消えるなよ」

 

誰もいなくなった空間に向かってメビウス1の愚痴が響いた。

 

 

一方、ミーナは書類作業に追われながら上層部に報告する内容について頭を悩ませえていた。

 

(メビウスさんのことはどうにか誤魔化せるとしても、あの機体はどうしようもないわ。・・・とにかく、今はまだ目が覚めていないとしましょう。それに搭乗制限をかける必要があるわね)

 

追々どうにかしようと考えていたがその手が止まる。

 

「そういえば、彼、レシプロ機を動かせるのかしら?」

 

ふと疑問に思ったことを口にしていた。

 

翌日

 

(・・・ここってこんなに広かったかしら?)

 

輸送機用の滑走路を見てひとり考え込むミーナ中佐。

また普段使う戦闘機用の滑走路でも

 

「お前たち遅れているぞ。メビウスを見習え!」

「坂本さ~ん!滑走路長くなってませんか~!?」

「向こう側が遠い・・・」

「きっと気のせいですわ。きっと・・・」

 

訓練に参加したメビウス1はずっと後ろを走っている3人の声を聴きながら

 

(あの女、別にいいって言ったのに本当にやりやがった)

 

と心の中で思っていた。

 




私が好きな戦闘機はF/A-18です。小学のとき見た映画「インデペンデンス・デイ」に出た戦闘機がそれで、今でも記憶に残っています。

よく考えるとあの作品エスコンの要素含まれてますよね。敵から逃げる時に狭い峡谷飛んだりとか、敵宇宙母船から脱出のときに閉じる出口から抜け出る時とか。そう思うのは私だけでしょうか?

少し改変したのですが、見様によっては無理やり感があるかもしれません

最後まで読んでいただきありがとうございます

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