【完】ACE COMBAT SW ‐The locus of Ribbon ‐   作:skyfish

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第20.5話「訓練……?」

「うーん…ここはこの部品と交換して」

 

格納庫。そこではシャーリーが工具箱片手に自身のストライカー、P-51Dの内部を改造していた。理由はもちろんより速く飛ぶこと。そして自分自身の力で音速の世界に行きたいからだ。

 

あのとき、メビウスにあの戦闘機に乗せてもらったとき感じたあの感覚。自分が目指す世界。あれを今度は自分がやってやるんだ。膨らむ思いに高揚しながらシャーリーはストライカーの改造を進めていく。と

 

「さすがにこのままはまずいんじゃねえか?」

「それは私も思っていますが整備の仕方なんて専門外ですし…」

 

ふと声が聞こえてきた。この声はホーマーとメビウスだ。一体何を話しているんだと思い、今日の改造を終わりにし、ストライカーを元に戻して声のほうへと歩いて行った。見ると私が音速の世界、さらにその倍のスピードの世界を見せてくれた機体、F-4Eの前に立ちなにやら二人は話していた。それに私も加わる。

 

「おーい。どうしたんだ?」

「うん? シャーリーですか。すこし問題があってね」

「なにが?」

「こいつですよ」

 

ホーマーが親指を突き立てクイッとF-4Eを指差す。一体何なのか分からないと言った表情をしたシャーリーを見てメビウス1が理由を話した。

 

「この前あなたを乗せた時アフターバーナーを使ったでしょう? その時のエンジンの消耗が大きくてね」

「ここじゃ修理なんてできないから、もしかしたら次が最後かもしれないだそうだ」

「え……次が最後なのか?」

「ああ」

「じゃあ今すぐ乗ろう!」

 

これを聞いた瞬間彼女の前からメビウス1が一瞬消えた。そしてスパァン! と軽快な音が頭から聞こえてくる。

 

「いったーーーーー!?」

「玩具じゃないとなんど言わせるの…」

 

シャーリーの頭を叩いたメビウス1は言った。実はシャーリーを乗せて飛んだあと大変だったのだ。他の人から私も乗せてと毎日言れるし、挙句の果てには「今度は自分が操縦するんだ!」と意気込むシャーリーが勝手に動かし始めるし(そのあと罰則を与えられたがまだ懲りていないのか)

 

「そうだいいこと思いついた。今から坂本少佐と一緒に訓練しましょう。剣道で、一対多を想定した近接戦型稽古100セット。あ、もちろんシャーリーは1人だから。あらゆる戦況を想定しなくちゃね。私と少佐でみっちり鍛えてあげるから。」

「いや待って!? 乗ろうって言ったのは反省するからそれ止めてほしい! どうやっても私勝てないよね!? ていうかいじめだよね!?」

 

命乞いするシャーリーを気にせずメビウス1は彼女の襟首を掴む。その時の彼女の顔は無表情だったが、口はとても笑っていた。

 

「じゃ、さっそく行ってみよ~♪」

「いやだーーー! 誰か助けてーーー!!」

「幸運を祈るぞ。シャーロット・イェーガー」

 

シャーリーの悲鳴が響き渡る。そんな彼女にホーマーは見本になる綺麗な敬礼をした。

 

その騒ぎの中

 

ガシャァーーーー-ン!!!

 

「うじゅあーーーー!!?」

 

なにか良くないことが起こっていたことを知る者はいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

某国の戦闘機部隊の隊長がこんなことを言っている

 

「機体なんて消耗品。パイロットが生きのこってりゃ万々歳だ」

 

彼のいう事は俺たち戦闘機乗りの常識だ。今更言われる必要はない。

 

いつの時代でも戦闘機には莫大な値段がかかるものだ。俺たちの世界で戦闘機一機に数百億かかるのは当然である。だが、それよりも一番重要なのはパイロットの命だ。一般的に操縦ができるようになるまでに3年、そこからベテランのパイロットになるまで10年かかる。どんなに高性能な機体が生まれても、それを扱うことができる人がいなくてはただの鉄の塊だ。だから俺たち操縦者は生き残れるようにいつも必死だ(まあ、中には例外が存在するが)

 

例え長年の相棒でもその時になれば俺はラプターを見捨てるだろう。いくらエースパイロットと言われても明日には墜ちているかも知れない。そうならないように常日頃から努力をする。今日も―――

 

「な、なんでこんなの履くんですか~!?」

 

宮藤の大声が海岸に響き渡った。ここは基地の海岸岩場周辺。そこでは501部隊の皆が集まり訓練を行っていた。それはストライカーを履いた状態で泳ぐこと。

 

「はっはっはっ、当たり前だ! これは訓練なんだからな!」

 

 その二人の前には、地面に竹刀を突き立てている坂本が立っていた。ものすごくいい笑顔で宮藤とリーネに話す。

 

「戦闘中にもしも海に落っこちても大丈夫なようにするためだ」

訓練って……、遊べるって言ったじゃないですか~!」

「心配しなくてもいいわよ。この訓練が終わったら、思いっきり遊んでいいから。……最も、遊ぶだけの体力が残っていたら、の話だけれど」

「そんな~…」

 

ミーナの言葉に宮藤はがっくりと肩を落とす。そして坂本に襟首を掴まれる。

 

「つべこべ言わずさっさと飛び込めぇ!」

「あああぁぁーーー……!!」

 

放り投げられた二人はきれいな放物線を描きながら海に突っ込んだ。

 

「あれでいいのですか?」

 

それを傍観していたメビウス1が口を出した。他の皆が水着姿なのに対しメビウス1だけはいつものスタイルだが上はYシャツだった。さすがにこの暑さの中ジャケットを着る気にはなれない。

 

「あいつは初めてストライカーを履いた時も、飛ぶことが出来たんだ。そう考えれば泳ぐことなど簡単だ」

「……なあミーナ。私の勘違いかも知れないけど何分経った?」

「もう一分過ぎているわ」

 

そうしている間も海はとても穏やかだ。やがて水中から泡がぶくぶく出てきたかと思うと宮藤とリーネの顔が水面から現れた。

 

「うぷ、わぐ、げぼ」

「げほ、はあ、がぼ」

「いつまでやってるか~」

「いや、あれはいた状態でいきなり泳ぐのはどうかと思う」

 

出来て当たり前だという美緒にメビウス1はツッコミを入れた。

 

「しかしストライカーを履いたまま泳ぐ訓練をするとか、ウィッチも結構つらいことあるのね」

「なに他人事のように言ってるんだ? メビウスもやるんだぞ」

「……………………………………………………え?」

 

 

 

 

 

数分後―――

 

 

 

 

 

「止めてくれ! これって訓練じゃなくてただの拷問だと思うんですけど!?」

 

メビウス1は半分涙目になりながらミーナたちに懇願していた。彼女はいまラプターに似たストライカーの擬似体を履かされている。

 

「お前だけがやらないのでは訓練にならないぞ。それに折角作ったのだから使わないわけにはいかないだろう」

「くそ! つーか誰ですかこれ作ったのは!? 形どころか色彩まで本物そっくりとかクオリティ高すぎでしょう!」

「ホーマー曹長以下整備班の人たちが一晩でやってくれたわ。本物いじれないうっぷんを晴らすと言ってたわね」

 

あいつらぁーーー! と整備班の人たちを恨む。それにどんだけラプターいじりたいんだあの人たちは!

 

「とにかくだ……バルクホルン、やれ」

「了解した。メビウス……がんばれ」

「ちょ、待―――!」

 

メビウス1のことなど有無言わさず、バルクホルンは能力の怪力を使いメビウス1を海へと放り投げた。

 

綺麗な放物線を描きながら飛ばされるメビウス1。ちょうど放物線の頂点を過ぎたところでなんとかしようと試みる。

 

「こんなの脱出装置で……て無い!?」

 

そうなのだった。これは外見のみはF-22に似ている。だから脱出装置なんてあるはずがない。今度は履いているものをどうにかして脱ごうと試みるがうまくいかない。

 

そして無意識に大声で言ってしまう。

 

「メビウス8! 今ならお前のことを尊敬するぞーーーーーーがばぼ!!!」

 

つい同僚のことを口にして、顔面から海に突っ込んだ。

 

 

 

「メビウス8とは誰の事だ…?」

「メビウスさんの同じ部隊の人かしら?」

 

聞こえてきた誰だかのことが少しばかり気になるミーナほかストライクウィッチーズの皆さん達。

 

 

 

1944年7月30日14:00

 

ブリタニアは平和だ

 




短いですがいかがだったでしょうか?

最後まで読んでいただきありがとうございました

(´0w0)≪ハッ!?≫

(r゚∀゚)r≪どうした?≫

ヽ(0w0)ノ≪今隊長に尊敬すると言われたような≫

(L。□_□)(r゚∀゚)r( ゜v゜)(´・h・`) ≪ないない≫

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