北方の白き少女 Heart of the admiral   作:ハルバーの懐刀

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孤立させられる経験をしたからこそ、彼女の心情が書けたのかもしれません。



No.07 ワナデオイカケッコ

島の入り江を照らし出す朝日。

その光が貨物船の船室の一つに差し込んだ。

 

「・・・ンゥ・・・ンー!」

 

幼子の声が部屋から発せられる。

破けたシーツだけを纏う白い肌の少女。

 

「フゥ・・・アッ・・・」

 

纏っていたシーツがはだけてしまい、白髪で大事な部分は隠れているが、少女の上半身がむき出しになる。

少女は慌ててズレ落ちたシーツで胸辺りを隠した。

 

(早く着替えよう・・・)

 

彼女は顔を赤らめながら身近に畳み置いていた服を着用する。

 

 

 

着替えと朝食(ヤシの実)を終えた少女は部屋の真ん中で寝転がっていた。

 

(そういや・・・忘れかけていたけど・・・なんでこうなったのかな?)

 

少女は今までの出来事を思い返す。

 

 

何もない海で目覚めてから、元の自分とは異なる身体となり・・・。

 

 

何も分からず攻撃され、己の持てる限りの能力で戦って・・・。

 

 

そして、以前の記憶に覚えのある存在“艦娘”を目撃し・・・。

 

 

少女は彼女たちを手助けし始める。

 

 

(私は・・・こんなことをしていて・・・いいのだろうか?)

 

少女の疑問は次第に得体のしれない不安へと変わっていく。

誰も教えてくれないその答えを必死で探し出そうとする。

 

『ザザ・・・』

「ハッ!?」

 

そんな不安を募らせる彼女の耳に無線機の音が入ってきた。

それにより、少女は先程の考えが頭から消えてしまう。

 

「ウ~~~ン♪」

 

彼女は寝たままの体勢から、左側へ寝転がるように回転していった。

いつものように起き上がり、ミトン手袋の右手で音量の摘みを弄り出す。

 

『こちら・・・艦隊の榛名で・・・』

「ハルナ?」

『しょう・・・任務中、敵の襲撃に・・・名が中破し・・・た。至急救援を!』

「オオー!? タイヘンダー!」

 

そこまで聞いた少女は部屋から飛び出していった。

 

 

 

残された無線機からまだ声が響いていることを知らずに・・・。

 

『これで・・・ったので・・・姉さま?』

『Goodネ・・・る名ー! これで・・・てくるはずネー!』

『二人とも無線・・・切って! 目標に聞こ・・・で控えてください!』

『Oh! しまっ・・ネー! 加賀。早く切・・・・・・』

 

 

 

 

 

島を離れた少女は海上で留まり、飛ばした艦載機たちの視界を見ていた。

 

(今日はどうなるかな?)

 

少女は持ってきた資材を確認し、艦隊の位置を捜索する。

 

「・・・ンッ・・・ミツケタッ」

 

本日の発見者はクロ。

海上に3人の艦娘たちが立っているのが見えた。

 

「アッ・・・」

 

それは少女の記憶に見覚えのある姿だった。

2人は弓胴着に飛行甲板と和弓を持つ正規空母の艦娘。

 

青い袴で頭の左側の髪を結っている女性。

一航戦で名高いベテランの空母“加賀”

 

もう一人は赤い袴で長髪の女性。

大食いのイメージが強い、同じ一航戦の“赤城”

 

最後の3人目は少女が数日前に助け出した艦娘“大和”である。

 

「ヤマト・・・カガ・・・アカギ?」

 

そこで彼女はある不自然さに気付く。

まず、艦娘たちはどこも損傷しておらず、無傷で元気な姿だった。

 

それと無線では、“ハルナ”という艦娘が救援要請をしていた。

クロの視界には空母2人と戦艦1人しかいない。

その彼女の姿がどこにも見当たらないのである。

 

「バショ、チガッタ?」

 

少女は件の艦隊ではないと思い込む。

 

『ミ゛ャアアアッ!?』

「ッ!?」

 

そんな彼女の耳にクロの叫び声が響いた。

何事かと思って少女がクロの視界を覗くと、一機の艦載機が通り過ぎる光景が見えた。

 

「エッ? マサカ・・・」

 

少女はそこであることを予想した。

あの無線連絡は呼び寄せるための囮。そして、今通り過ぎた艦載機は何かを探している。

考えられるのはただ一つ。

 

(私・・・罠に嵌った!?)

 

 

 

「見つけました」

 

サイドテールの女性がそう呟き、飛ばしている偵察機“彩雲”の視界を共有し始める。

発見した黒い球体が慌てる姿に、彼女は思わず笑みを浮かべた。

 

「追い込みます。赤城さん」

「了解です!」

 

彼女の隣に居た長髪の女性も、艦載機の一つである“零式艦戦52型”で追跡を開始する。

2機の艦載機に追われる黒い球体はやって来た後方へ逃げ出した。

 

『ミ゛ャアアア!』

「猫の鳴き声みたいですね」

「アレは三味線にもできません」

「つまり中身も食べられないのですか・・・」

 

冷静に追いかける加賀と少し涎を零す赤城。

後方で待機する大和はそんな二人を見て心配になっていた。

 

「大丈夫でしょうか・・・」

 

 

 

「ド、ドウシヨウ!? ドウスル!?」

 

少女はクロの視界を見ながら逃走する方法を考える。

相手は昨日見た空母たちより、有名で手強い一航戦。

生半可なやり方では見抜かれる可能性もある。

 

(そうだ! アレを・・・)

 

彼女はある思いついた作戦を実行することにした。

 

まず、視界を戻して、左ポケットから木箱を取り出す。

その木箱に紐を括り付けながら、飛行する3機にある指示を伝えた。

 

 

 

 

 

2機の艦載機が逃げる黒い球体を追い掛ける。

それは上空から降下し、海上が見える高度で飛行し続けていた。

 

「雲を使わないようですね」

「二航戦と同じ手は通用しません」

 

飛龍の話を聞いた2人は雲で撒かれないよう、2機の艦載機で追跡することを決めていた。

 

「このまま主のところまで行ってくれれ・・・えっ?」

「赤城さん? どうし・・・」

 

いきなり赤城の言葉が止まった。

そのことに加賀が不審に思っていると、黒い球体の向かう先にあるものが彼女の目に入った。

 

追い掛ける黒い球体と全くそっくりの球体がそこにも居たのだ。

しかもそれは紐を咥えて何かを引っ張っていた。

その紐の先には海面に浮く木箱があり、蓋がないので中身が丸見えである。

木箱の中には赤灰色の石ころが大量に入っていた。

 

「ぼ、ぼ・・・」

「赤城さん?」

「ボォォォォォキィィィィィィィィィィィィィィ!!!」

 

突如、赤城が叫びながら走り出した。

まるで何かを見つけたかのようにはしゃぐ赤い空母。

加賀と大和は飛び出していった彼女に呆気にとられる。

 

「赤城さん!? ど、どうしたのでしょうか!?」

「・・・やられました」

 

加賀は相手のとった方法をすぐに予測した。

追手である2機を撒くために、相手は空母の好物であるボーキサイト(エサ)を用意したのだ。

結果、少し空腹気味の赤城が食らいつくこととなる。

 

(相手を釣るつもりが、まさか向こうも同じ釣りをしてくるとは・・・)

 

彼女は予想外の出来事に下唇を噛みそうになるが、その高ぶる気持ちを抑えた。

 

「ですが・・・まだ甘いですね」

 

 

 

 

 

追手の艦載機が1機減り、残った1機がクロを追い続ける。

少女はその光景を見ながら安堵した。

 

(なんとか赤城が釣れた・・・後はタマとミケを合流させれば・・・)

 

彼女は3機揃えば残り1機をなんとか撒くことができると思っていた。

 

「タマ、ミケ、クロ、シマニイクマデ、ニゲキッテ」

『ミャ!』

『ミャフ!』

『ミ゛ャ!』

 

大食いの赤城ならば食いつくであろう“アカギノエサ”による囮作戦。

それでなんとか数を減らすことに成功する。

 

「アトハ、ワタ・・・ッ!?」

 

少女は目を開けた直後、遠くからやって来たものに驚愕した。

 

「見~つ~け~た~!」

 

まるで水平線の彼方から一瞬でやって来た艦娘。

うさ耳リボンに露出度の高いセーラー服と超ミニスカート。

背中にはリュックのような魚雷発射管を背負い、後頭部・左脇・左手に顔が描かれた砲塔を所持している。

 

(島風!?)

「ヒィィッ!?」

 

少女は素早く回れ右して、駆け足で逃げ出す。

 

「駆けっこしたいんですか? 負けませんよ?」

 

駆逐の艦娘が逃げる白き少女を追い掛けていく。

 

これも加賀の考えた策の一つ。

艦載機で索敵すると同時に、高速での航行が得意な島風・金剛、榛名をそれぞれ別な方向へ向かわせた。

 

白き少女は知らずに、空と海上の大規模な捜索範囲の中へと入り込んでいたのだ。

 

「コ、コナイデー!!」

「待ちなさ~い!!」

 

無我夢中で走り逃げる少女。

それでも相手は最高速度40ノット(およそ時速72km)を誇る最速駆逐艦。

徐々にお互いの距離が縮まっていく。

 

「おっそーい!」

(速すぎる!? これじゃあ、逃げ切れない! こうなったら・・・)

「トウッ!!」

「おうっ!?」

 

不意に白き少女が海面へと飛び込んだ。

そのまま海中へ潜り込み、白い姿が段々と見えなくなっていく。

 

(此処まで追って来られないはず・・・)

 

幸いにも潜水艦の艦娘は見当たらず、海中まで追って来る駆逐艦も居ないだろうと少女は思っていた。

 

「私と同じ黒パン・・・じゃなくてっ! ずーるーいー!!」

 

海上に残された島風は、少女が海中へ潜ったことに腹を立てた。

あと少しで捕まえられたはずの目標に逃げられたから当然である。

 

「こっのー!」

 

駆逐の少女が前屈みになり、背中の魚雷発射管を逃げられた方向へ向けた。

 

「五連装酸素魚雷!行っちゃってー!」

 

先端が黒い魚雷が5本発射され、それらは全て海中の中へと進んでいった。

 

 

 

(んぅ? 何の音?)

 

白き少女が謎の音に気付き、頭だけ後方へ振り向く。

 

「ブクゥ!? ギョライ!?」

 

彼女のすぐ後ろから5本の魚雷が接近してきたのだ。

それらはまるで横一列のように並んで迫ってくる。

 

「ヤバイ!」

 

今から回避しようにも、近過ぎる上に広範囲な爆風を受ければただではすまない。

焦る少女はすぐさま左ポケットから燃料入りドラム缶を取り出し、自身の後方へ放り捨てた。

 

一発の魚雷がドラム缶に命中し、他の魚雷を巻き込む程の大爆発を起こした。

爆発の中心に近かった少女が爆風による急な海流に流される。

 

「ドヒャアアアッ!?」

 

 

 

「おおおうっ!?」

 

海上にいる島風もその大爆発による巨大な水柱を目撃した。

その衝撃は周辺一帯にまで響き渡る。

 

『なっ、何事!? 各艦、状況報告を!』

『私の方は何もないネー! 加賀ー!』

『は、榛名は、何もないです!』

『もぐもぐもぐ・・・こじゅま、はがぎ・・・』

『赤城さん。早く戻って来てください』

『島風さん、そちらは?』

 

様々な通信が飛び交う中、島風の通信機に大和の質問が入った。

駆逐の少女は気まずそうな顔で返答する。

 

「えっと・・・その・・・目標を見つけたんだけど・・・」

『・・・それで、その目標は何処に?』

 

加賀の問いに彼女はさらに委縮しながら答えた。

 

「走って追っかけたら・・・逃げちゃって・・・」

『あなた、まさか・・・目標に攻撃したの!?』

「だ、だって~! 追い掛けっこしてたのに、海の中へ逃げたんだもーんっ!」

 

最速の艦娘は相手がズルをしたと主張した。

そんな彼女の言葉に、加賀が呆れながらも説教する。

 

『指令内容の目標への攻撃は禁ずると、あなたは聞いていなかったのですか?』

「うっ・・・」

『命令無視な上に言い訳をしますか・・・帰投後、里子提督に貴方を懲罰するよう申しておきます』

 

加賀の冷ややかな言葉を聞いた島風が青ざめた。

 

「ひっ!? い、いやっ!! ちょ、懲罰は・・・“アレ”だけはやめてぇぇっ!!」

『もう遅いです。帰ったら覚悟なさい』

「そ、そんな・・・」

 

涙目になる彼女はその場で崩れるようにしゃがみ込む。

その隣で浮かぶ顔つきの連装砲が悲しげな表情で寄り添った。

 

 

 

通信を終わらせた加賀がため息を吐く。

仲間の空母が餌に釣られ、目標を見つけるも最速の駆逐艦がそれを攻撃。

折角の彼女の策がほとんど台無しである。

 

「ふぁがはん、はばいま!」

「・・・お帰りなさい」

 

赤城が木箱を片手に何かを頬張りながら帰ってきた。

そんな空母の彼女らの元へ、飛ばした艦載機が戻ってくる。

それぞれ飛行甲板に着陸後、彼女らにある報告がされた。

 

「結局、撒かれたようですね」

「みひゃいでしゅね」

「早く食べ切ってください」

 

加賀が冷静な態度で大和の方へ目を向ける。

戦艦の彼女は何故か自信に満ちた表情であることを口にした。

 

「加賀さんの予測通りにいきました」

 

 

 

 

 

島の入り江に白い姿が海中から現れた。

それはまるで元気がなく、とぼとぼと貨物船に向かってゆっくりと歩いていく。

 

「ヒドイメニアッタ・・・」

 

あの大爆発後、白き少女はすぐに島へと泳ぎ帰った。

タマ達も逃げ切ったらしく、少女の後から遅れて無事に帰還する。

彼女は拠点である貨物船の船室に戻り、部屋の中心で寝転がった。

 

(撃たれた・・・)

 

少女は疲労よりも、艦娘から攻撃されたことに衝撃を受けていた。

彼女は身体が深海棲艦である以上、敵と認識されることは想像済みであった。

しかし、いざそれを体験してみると、少女の心は哀しみで一杯になる。

 

(これから先・・・どちらからも狙われるのかな・・・)

 

何とも言えない気持ちで少女の心が段々と苦しくなっていく。

 

『ザザ・・・』

「フエッ!?」

 

突如鳴る無線機の音に少女が飛び起きる。

あたふたと近寄って、いつも通りに音量の摘みを弄り出した。

 

『・・・がそうでしょうか?』

『間違いあ・・・せん。私が・・・た島です』

「エッ?」

 

聞こえてきたのは加賀と大和の声。

少女が気になったのは彼女らが話した内容である。

 

『各艦、島をほう・・・て! 絶・・・逃がさないように・・・』

「マサカッ!?」

 

 

 

島の入り江への入口付近に、3人の艦娘たちが到着していた。

加賀と赤城は大和がこの島に見覚えがあることを聞かされる。

 

「色々と調査する必要がありそうですね」

「食べ物の気配もします!」

「ま、まだ食べ足りないですか?」

 

赤城は木箱の中身を平らげた後、「デザートが欲しい」などと呟いていた。

 

「2人とも気を引き締めて。来る途中、潜水カ級の残骸がありました。敵がいるかもしれません」

「そうですね。大和さん、あの球体はこの島の何処へ逃げ込んだのですか?」

「えっと、中央の座礁した船の後部辺りだと言っています」

「船がある? そこに居る可能性があるのね」

 

加賀がまるで勝利したかのような笑みを浮かべる。

 

これが加賀の考えた策の最後の一手。

最初の2機で追い詰めるのと同時に、実はもう1機“零式水上観測機”という偵察機が飛ばされていた。

飛ばしていたのは大和で、追跡が始まった時から遥か上空でその様子を見続けていたのだ。

 

「こちら加賀。3人とも、準備はいいですか?」

『YES! 問題ないネー!』

『榛名も大丈夫です!』

『・・・』

「島風、返事は?」

『・・・はい』

 

駆逐の艦娘から元気のない声が通信機に響く。

島の周りでは、右側に金剛、左側に榛名、向こう側に島風が海上で待機していた。

そして、島の正面である入り江の入口へと3人が向かう。

 

「目標は・・・どうしているのでしょうか?」

「ご飯を食べているのでは?」

「それは赤城さんだけです。きっと慌てているかもしれません」

 

 

 

 

 

一方の白き少女は・・・。

 

「ドウシヨー!? ドウシヨー!?」

 

加賀の予想通りに部屋中を右往左往に走り回っていた。

 

 

 

 

 

3人が入り江の入口へ入ろうとした時だった。

彼女らの通信機に緊急の無線連絡が入る。

 

『第1艦隊! 聞こえるか!?』

「長門さん!? どうかされましたか!?」

 

大和が左手を耳に当てて、長門に話し掛けた。

 

『第2艦隊が奇襲を受けた! 敵は鬼級を含めた艦隊らしい!』

「鬼級・・・」

 

その言葉に彼女は右手の拳を握り締める。

 

『場所は例の嵐があった海域だ! 私と第3も向かう! お前たちもすぐに行け!』

 

長門からの通信が切れた直後、大和が島付近の艦娘たちに指示を下した。

 

「皆さん! 任務を変更します! 第2艦隊の救援へ!」

『What!? 目標はどうするデース!?』

「仲間の救援が優先です! 全艦集結せよ!」

「聞こえましたか? 榛名と島風も急いでください」

『了解です! 加賀さん!』

『りょ、了解・・・』

 

彼女らは旗艦のいる場所へ集結後、全速力で島から離れていった。

 

 

 

 

 

「・・・タスカッタ?」

 

少女は部屋の中で艦娘たちの話を大まかに聞いていた。

またも深海棲艦に襲われた艦隊。その彼女らの救援に大和たちも向かうことになる。

しばらくの間は島へやって来ないだろうと、少女は思った。

 

「・・・」

 

本当ならば彼女は助けに行きたいと思っていた。

けれども、少女は彼女らに攻撃されたことで、また撃たれるのではと恐れてしまう。

ここは大和もいる艦隊に救援は任せて、自分は待機しようと考える。

 

「フゥ・・・」

 

静かになった部屋の中に、白き少女は座った状態で佇んでいた。

 

「・・・」

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・デモ・・・」

 

「ソレデモ、タスケタイ!」

 

数分経ってから、少女は生前にやってきたことを思い出す。

 

艦娘たちを指揮する提督。

たとえ極短い間とはいえ、人のために戦ってくれる少女たちと共に過ごした日々は忘れられなかった。

元人間であるならば、彼女らを手助けしたい。

 

そんな思いが不安で落ち込んだ少女の心に火を付けた。

 

「ンショ!」

 

少女は左ポケットからいつもの如く、燃料入りドラム缶を取り出して飲み始める。

 

「ンキュ、ンキュ、ンキュ、ンキュ・・・」

 

いつもより多めに飲み込み、身体が火照りそうなほど体温が上昇した。

 

「クゥ~!・・・マッテテ!」

 

彼女はドラム缶を仕舞い込み、部屋の窓から飛び降りる。

海上へ着地後、島風ほどではないが、疾風のような速さで航行し出した。

 

「イッテキマス!!」

 

白き少女は島の外へと飛び出していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰も居なくなったはずの島の木陰に、黒い右手のようなものがひらひらと手を振る仕草をする。

 




部屋で慌てるほっぽちゃんは、この小説を書き始める前から思い付いていたシーンでした。
ワ○オが火を付けられた時のBGMが流れそうな光景ですw
さぁ、前半的な話は書いた。後半戦・・・いくぞ!

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