北方の白き少女 Heart of the admiral   作:ハルバーの懐刀

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あの御方、菊月(偽)さんが復活されたので・・・。
こちらも頑張らねばと、ちょいと機関部に熱が入りました。
それでも今回は番外ということもあり、短めな話になっています。



番外編
No. 05.3 オーイ!


白き少女が轟沈する大和を救出した日から翌日。

 

 

 

彼女は簡易エレベーターを作り上げてから、昼間の太陽に照らされる島の内部を探索していた。

 

ちょうどいい水場である滝壺を見つけ、水浴びをした帰り道に“それ”は発見された。

 

 

 

 

 

「・・・ンゥ?」

「ミャ?」

 

少女と彼女の右肩に乗っかる黒い球体(タマ)が見つめるもの。

 

草の生える地面に、座布団ぐらいの大きさがある“謎の穴”が空いていた。

 

「・・・・・・・・・マックラ」

 

暗視が可能な少女の目でも、穴の底すら見えない暗闇。

不気味な感じのする穴に、彼女は興味を示してしまう。

 

「オーイ!」

『オーイ! オーイ、オーイ・・・ィ・・・』

 

少女の呼び掛けが木魂し、穴の中へと消えていった。

すぐに耳を澄ましてみるも、返事の声や跳ね返ってくる様子は全くない。

まるで異次元に繋がっているような穴である。

 

「ウーン・・・」

「ミャ?」

 

考え込む少女とそれを見つめる黒い艦載機。

しばらく悩んだ末に、彼女は白いワンピースの左側ポケットから空っぽのヤシの実を取り出す。

 

「エイッ」

 

少女はそれを躊躇なく穴の中へ投げ入れた。

コミカルな落下音がし、その音が途絶えた瞬間・・・なんと投げ入れた実が凄い勢いで戻って来た。

空っぽの実は覗いていた少女の額に直撃する。

 

「アタッ!?」

「ミャッ!?」

 

乾いた打撃音が鳴り響き、少女は当たった額を右手で摩った。

彼女は痛みや当てられたことより、何故戻って来たのかで頭が混乱していた。

もう一度覗いてみても、穴の中は何も見えないままである。

 

「エート・・・ンショ」

「ミャ?」

 

少女が次に左ポケットから取り出したもの。

それは“アカギノエサ”と勝手に命名した赤灰色の石ころだった。

右手に持つそれを穴の中へと放り入れる。

 

「エイッ・・・・・・ウワッ!?」

 

またも入れたものが勢いよく戻って来たが、それは2つに増えていた。

少女は咄嗟に両手で1個ずつ掴み取り、それを交互に見ながら疑問の声を出す。

 

「エッ? エエッ!? ナンデ?」

「ミャ、ミャア?」

 

不思議な現象に戸惑う白き少女。

彼女は何も考えずに戻って来たその2つを再び穴の中へ投げ入れた。

 

「ソレッ!・・・・・・ウワァッ!?」

「ミャア!?」

 

今度は少女の頭と同じくらいの大きさをした赤灰色の塊が出てくる。

辛うじて両手で受け止めた彼女は、手で抱えるそれと穴を交互に見返した。

 

「ドォ~ナッテルノ?」

「ミャ、ミャア・・・?」

 

最早、謎過ぎるその穴の存在。

その時、白き少女はあることが頭の中で思い付いてしまう。

 

 

先程、投げ入れた“アカギノエサ”が徐々にその量を増やされたこと。

この出来事で彼女は『他の資材も増えるのでは?』と思い付いたのだ。

 

 

早速、少女は大きくなった赤灰色の塊を左ポケットに仕舞い込み、代わりに金属製のコップと燃料入りドラム缶を取り出す。

 

「ヨイショ」

 

いつも通りに重いドラム缶を軽々と持ち上げて、コップに少量の黒い液体を注いだ。

彼女はドラム缶をポケットに入れて、右手に燃料入りのコップを持ち上げる。

 

「・・・ミャ?」

 

右肩に乗る黒い艦載機のタマが見守る中で、少女がコップの中身を穴の中へ垂らし始めた。

彼女は最後の一滴まで垂らし、真っ暗な穴の中を覗き続ける。

 

「・・・?」

 

何も起きないと思われた瞬間、少女の顔に黒い液体が噴水のように噴き上がった。

それは先程のコップ1杯分ではなく、まるでバケツを引っ繰り返した程の量である。

 

「・・・」

 

少女は無言のまま黒くなった顔を高速で左右に振った。

掛けられた燃料を飛ばし、元に戻ったその白い顔が怒りの表情になっていた。

 

「ムゥゥゥゥゥ・・・!」

 

まるで忍耐のゲージが壊れるほど怒ったらしく、顔の所々に怒りの四つ角が出来ていた。

彼女は右肩に乗っていたタマを左手で掴み、その口の中へ右手を突っ込ませる。

 

「ミャ!? ブッ!?」

 

艦載機の口の中から取り出したのは、爆撃に使う黒い爆弾だった。

彼女はそれを穴の中へ勢いよく投げ入れる。

 

「テイッ!」

 

3秒もしない内に穴の中から爆発音と衝撃波が響いてきた。

少女は黒煙が出る穴を一瞥し、その場から歩き去っていく。

 

「フンッ!」

「ミャ、ミャア・・・」

 

黒い艦載機も浮遊しながら少女の後に付いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白き少女が去った後。

 

黒い煙の上がる穴から何かがゆっくりと出現する。

 

 

 

それは黒色でテカる丸っこい物体らしきもの。

 

その正面らしき場所には、白く丸い目が2つと白い四角の口が付いている。

 

絵にするとこんな感じである。→( ゜□ ゜)

 

 

 

それのあちこちには爆発で焦げた跡があり、少々煙が上がっていた。

顔を出したそれが穴の周りを見回すように、キョロキョロと頭を振り動かす。

 

「・・・キュ?」

 

やがて、両目を線のように細めてから、未だに煙の上がる穴の中へと引っ込んでいった。

 




時系列でいうと、5話と6話の間での出来事です。
まぁ、お遊びな展開ということで、少々ド○フなことになっていますがw
受けるかどうかも不明ですね。
取り敢えず、番外はまだ用意しています。
そうですね・・・番外の見所は次の次辺りですかね。
その辺りからちょっと面白展開な物語を考えています。
次回作の物語は、少し悩んでいる所があるので、もうしばらく待っていただくことになります。
出来る限り、早めに投稿できるよう頑張ります。

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