ダンジョンに池袋最強の男がいてもいいのだろうか   作:バキュラø

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そういえば、前々回のデート回は他の話数の三倍近くアクセスがありましたw嬉しい限りです。

それでは、どうぞ







結論

「なんやそれ、じゃあ、その植物型のモンスターはガネーシャのとこのじゃないゆうんか?」

 怪物祭の夜、ロキファミリア本拠地、黄昏の館では事後処理に出たガレスを除く、幹部とロキが今回の顛末のすり合わせを行っていた。

 

「その場にいたティオネ達や後から合流したアイズの話を纏めたガネーシャの団員が言ってるわけだから確かだろうね。それよりも……」

 

「そうだな、その植物型のモンスターの特徴に合致するモンスターを我々の団員ですら知らないという話の方が問題だろう。ギルドにも、確認を取らせているが、おそらく…」

 

「十中八九、新種だろうね、……遠征の時の酸を吐く芋虫といい、新たな階層に進出したわけでもないのに、これだけ短期間に出てくるのは、ちょっとイレギュラーだね」

 

「フィンの言う通りや。こりゃあ、少し探り入れてみる必要がありそうやな」

 ロキは自らの眷属達の言葉に頷きながら、情報に聡い神達の顔を思い浮かべる。

 

 

 

 

 

「ロキ、今回はそれだけじゃないんだ」

 

「なんや、まだ面倒なことがあるんかいな、ママ~助けてーなー」

 

「誰が、ママだ‼」

 そのロキの物言いにリヴェリアは心底、いやそうに答える。

 このような物言いが、ロキの眷属(こどもたち)からの尊敬を皆無にする一端なのだが、本人は気付いていない。

 

「ハハハ、違うよロキ。植物型を倒した者についてさ」

 

「なんや、ティオネ達が片付けたんやないんか?」

 

「どうやら、酒場の時の彼が関わっていたようでね」

 もったいぶるような言い回しと、楽しげな笑みを浮かべ、フィンは話し始めた。

 

「ほーそれでどうなったん?」

 

「…一瞬」

 

「は?」

 

「正確には、手折った魔石灯で真っ二つ、らしいね」

 

「……ウソやろ?」

 

「ティオネ達やアイズも見てるんだ。まず間違いないだろうね」

 

「なんやそれ…ますます、訳わからへん」

 

「彼はやはり、どこかの高レベルの元冒険者……ということではないのか?」

 

「それやったら、そんなことできる時点で有名になってるはずやし……そないな奴やったら、武器の一つや二つ持ってるやろ………魔石灯使う冒険者なんて聞いたことないわ」

 リヴェリア達は、それぞれに静雄について意見を挙げていくがこれといったものは、ついにあがることはなかった。

 

「どちらにしろ、彼に本格的に興味が湧いてきたね」

 フィンはむしろ、強者の登場にうれしそうに笑みを浮かべるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなオラリオ最強派閥の一角に目をつけられたとは露知らず、静雄は居眠りをしていた。

 とある一室で。(・・・・・・)

 

 

 

 

「………………ん…」

 私は……確か、モンスターに攻撃をもらってしまって、それから………どうなったのでしょうか。よく覚えてはいませんが、豊穣の女主人の私の寝室に運ばれているということは、助かった、のですね。

 そういえば、何か重いような…………………………なんだ、シズオじゃないですか。よかった、彼も無事だったのですね………………………

 

 

「ひゃあ‼‼‼」

 な、なぜ、シズオが、私の寝台に!?イエ、状況的に判断して、看病してくれていたのでしょう………よ、よく見れば椅子から寝台によりかかって寝ているだけのようですし。

 

「起きませんね……」

 シズオを起こしてしまうのも悪いですし、もう少し横になっていましょう。

 す、すこし、寝顔を見るぐらいなら………よく見るとシズオの顔は、エルフに負けず劣らず整った顔立ちをしていますね。い、意外と髪もサラサラです…………って私は一体何を⁉

 

「…リュー?起きているのですか?入りますよ~」

 

「ひゃ、ひゃい。ん、オホン。ど、どうぞ…」

 

「加減は、どうですか?」

 

「…はい、随分と体調は戻ってきていると思います」

 

「リュー、あまり無茶をしないでくださいね……」

 また、シルに心配を掛けてしまったようですね。こんなことでは、いけませんね。まだ彼女には、恩に報いきれていないのですから。

 次からは、けがを負わないようにするか、もしくは…

 

「心配には及びません……」

 

「そうですか…」

 

「はい…」

 

「それはさておき…随分とお楽しみだったみたいですね?」

 

「シ、シル?わ、私はまだ、何もしていませんよ……」

 な、なにを…‼‼

 

「まだ、ということは、私が来ていなければ、ナニするつもりだったんですね~?…スミマセン、気付くのが遅れてしまって……今出ていきますから、ごゆっくり~」

 

「シル‼待ってください‼‼‼誤解です‼‼」

 

「またまた~仲良く手をつないでるじゃないですか~ハア、私もベルさんと早くそうなりたいものです」

 

「△♯…※――――――――‼‼‼???」

 言われてみれば確かに。シズオが眠っていたことに動揺して気付かなかった。

 そ、それより、なぜ手を握られているのでしょう……いえ、別に嫌な訳では……むしろ、彼の手は暖かく、力強くて安心します。………………………って、わ、私は何を思っているのですかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼

 

 

 

 

「お‼リュー起きたのか?…ん、二人して何騒いでるんだ?」

 そんな現状を作り出した本人は、全くそれを理解していなかったが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああそれか。いや昔から幽が、俺の弟が病気になった時は、手を握ってやってたんだよ。その時からの癖でな。わりィ、いやだったか?」

 

「…いえ、そんなことは」

 

「さっきから大丈夫か?顔が赤いが?」

 

「だ、大丈夫ですから、気にしないでください‼‼それと、顔を覗き込むのはやめてください」

 

「お、おう」

 まったく、どうしてこう、自然に彼はこういう事が出来てしまうのでしょうか。……こちらばかり気にしていて何かこう、悔しいです。

 いつか、絶対にシズオには、私が味わった羞恥を知ってもらいます‼

 まあ、その前に、今は扉のところで笑いを堪えているシルに仕返しをしましょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リューが起きてから数日後、同じく寝かされていた女神ヘスティアも意識を取り戻したのだが。

 

「どこのガキだ、こいつは?」

 

「ガキとは、まったく失礼なウエイター君だね、キミは‼‼‼‼ボクは神様なんだぞ~‼‼」

 

「神、さま?こんなちんちくりんが?」

 

「ちんちくりんゆーな‼‼‼」

 ぷんすか、という擬音が聞こえてきそうなこの女神は、怒っていても、ほとんど恐怖も威厳も感じさせることはなかった。

 

「落ち着いてください神様‼それにシズオさんも、そういう事を言うのはやめてください‼‼‼」

 

「ほう、ベルもなかなか言うようになったじゃないか」

 静雄は腕を組み、感心したような笑みを浮かべてベルを見る。

 

「え、いや…これは―――」

 

「さすが、シルの伴侶になる男だな」

 

「突然、何言ってるんですかシズオさん‼‼‼」

 

「ひどいです、ベルさん‼私にあんなことまでさせておいて――」

 シルは泣いたように顔を手で押さえる。

 もちろん、嘘泣きである。

 

「シルさんまで⁉」

 

「なんだってー‼‼どういうことだい、ボクは聞いてないぞベル君‼‼‼‼‼‼‼」

 ぽかぽかと叩く姿は、とても神には見えず、むしろ駄々をこねる子供のようだった。

 

「ベル君の浮気者~超浮気者~‼‼‼‼」

 その声は一階の店にまで届き、ミアが怒鳴りに来るまで続くこととなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふふ、ベルは、順調に成長したようね。わざわざ外に出た甲斐があったわ」

 彼の成長がよほどうれしいのか、フレイヤは蕩けるような笑みを浮かべた。

 

「どうやら、そのようです」

 

「これも、すべてあなたの狙い通りなのかしら?」 

 フレイヤは、傍に控えるオッタルではなく、黒ずくめのフードを被った男に話しかける。

 

「まさか、確かに提案したのは私ですが、神であるあなたにすら見通せない未来のことなんてわかりませんよ。これから面白そうなことになるのは、確かでしょうけどね」

 彼は、いかにも芝居がかった口調でそう告げる。

 

「それで、貴方が調べたいことは分かったのかしら?」

 

「ええ。それにしても、まさか、静ちゃんがあんなところにいるなんて思いもしませんでしたけどね。どうせなら、あの気味の悪いモンスターに八つ裂きにされて、消えてくれるなら、俺も万々歳だったんですけどねぇ~まぁ、トラックに轢かれてもびくともしない、対物ライフルに撃ち抜かれても死なないんだから、あの程度の奴なら倒せて当然と言えば当然か…」

 

「そう………それにしても、あなたには私の魅了が効かないのね」

 

「そんなことありませんよ。ただ、貴方という人に魅了されるのが畏れ多いだけですから」

 黒ずくめの男は、フレイヤの問いに肩を竦めながらそう答えた。

 

「ふーん。そういう事にしておいてあげましょうか…それで、あの子はもらってもいいのかしら?」

 

「ええ、是非、そうしてください。あんな化け物で良ければどうぞ、お好きに…」

 

「あら、友達をあっさり売ってしまうのね」

 

「その方が、静ちゃんも退屈しないで済むんじゃないかと思いましてね。こっちに来て随分、穏やかにしていたみたいですから。そろそろ、彼にも教えてあげないといけませんから。休日は終わりだ‼ってね」

 そう言い、フレイヤとはまた違った、嗤いの表情を見せるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




モンスターと静雄って結局、どっちが強いの?

結論、静雄の圧勝‼‼‼‼‼

ということで、いったん一区切りつけようと思います。この後、閑話を少し挟んで、二章に行きたいと思います。

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