ダンジョンに池袋最強の男がいてもいいのだろうか   作:バキュラø

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前回の投稿でたくさんの感想をいただきました。ありがとうございます。
まあ大半がやられベートについてでしたがw


ロキファミリア

「ゴフッ……」

 静雄に吹き飛ばされたベートは、二度ほど地面を跳ね、壁に叩き付けられ静止した。まず間違いなく、重症であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あいつ、やりやがった。ロキファミリアに手を出しちまった」

 

「マジかよ…」

 

「ウソでしょ」

 

「シズオ君に私もあんな言葉でかばわれてみたい……」

 

 その光景に、豊饒の女主人にいた他の冒険者たちが凍り付いた。

 一部の女性客は別だったようだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだ、テメーら……」

 ベートが吹き飛ばされた瞬間、静雄の首元にティオネ、ティオナが両刃の剣を、レフィーヤが杖を突き付けていた。

 

「貴方、何をしたか、わかってるの?」

 

「むかついたから殴っただけだ」

 

「あんたそれ、『ロキ』ファミリアにケンカ売ったって、わかって言ってんの?!」

 

「そんなモノ知るか‼っていうか、人に刃物を向けてるって~ことはよォ~俺を殺そうとしてるってことだよなぁ‼‼そうするってことは、俺にどんなことをされても文句はいえね~よなぁ‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼」

 静雄は武器を向けられたことにより、怒りを再燃させた。

 ここオラリオに来てからキレることの少ない静雄だったが、それは決して静雄が気が長いということを意味するものではない。むしろ、彼は短い部類の人間である。

 

「ッ!」

 その迫力に当てられ、武器を突き付けていた三人が少し、たじろいた。しかし第一級冒険者である彼女たちは、すぐに武器を握り直し、闘争心をあらわにする。

 

 あわや戦いが始まるのかと周りが身構えたその時、

 

 

 

 

 

 

 ゴンッ

 

 

 

 

 

 

「ッ痛て!ミアさん。何するんすか‼」

 ミアの仲裁(鉄拳)が静雄の頭に炸裂した。

 彼はその拳を受け、かなり痛そうにしていた。普通のヒューマンなら痛いどころの威力では済まない勢いではあったが。

 

「シズオ、もうそこでやめときな。シルを貶したのは、アタシたちも怒ってる。でも言った奴はぶん殴っただろう。それであいこにしときな。」

 

「でもよ…」

 

「シズオ」

 

「………うっす」

 静雄は、ミアの言葉にしぶしぶながら従った。

 

「ちょっと待ちなさい‼まだ私たちの話は終わってな………」

 だが、パレオのような服を纏う少女たちは納得がいかない様子だった。

 

「やめ、武器しまい三人とも。もう終わりにしときや。せっかくの酒がマズーなってしまうわ。」

 

「ロキの言う通りだ三人とも。元々の非はこちらにあるんだ。それにベートを止め切れなかった我々も同罪だ。彼の怒りに報復するのは筋違いだ」

 

「でも、リヴェリア……」

 彼女たちは、ロキと呼ばれた男装をした神物とリヴェリアと呼ばれていたエルフの女性にたしなめられるが、不満げな顔は変わらなかった。

 

「いいかい、きみたち。やめるんだ、三人はわかってくれるよね」

 

「はい!あなたのティオネはもうやめます‼あんたたちも分かったわね」

 

「そうかい、分かってくれたならうれしいよ」

 ティオネは、フィンの一言と笑顔でイチコロだったが。

 

「……まぁ、それはいいけどあんた達いいのかい?」

 そんな様子の彼らにミアは呆れながらそう言った。

 

「なにか他にあるん、ミアかあちゃん?会計と弁償ならきちんとするで?」

 

「さっきのオオカミ小僧は、シズオの奴に殴られてからほったらかしにしてるけど」

 

「「「「「「「しまった。すっかり忘れてた‼」」」」」」」

 

 彼らは代金を支払い、ベートを回収してその場を後にするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 帰り道、ロキとフィンは皆で歩く後方で話を続けていた。

 無論、静雄のことである。

 

「なかなか面白そうなのが出て来たやんか、なぁフィン?」

 

「そうだね、ロキ。彼はオラリオでは見ない顔だった。都市外のファミリアの有力者で特徴に合うものはいないし、どこかの神物の隠し玉だったりするのかな?かなりの強さを持った傑物みたいだね。」

 フィンは顎に手を当て、考えるようにしながら自らの主神の言葉に答えていた。

 

「なんや、フィン、アンタも気付かへんかったんか?あいつからは神の恩恵(ファルナ)の気配がせんかった、つまり」

 そんな様子のフィンにロキは面白がるような口調と態度でそう言った。

 

「つまりは、ステータスを持たないと?じゃあ、あの強さは?」

 

「さあ、そこまでは神の力(アルカナム)使えん今のウチにはさっぱりや。元第一級冒険者でステータスが消されてるだけなんか、魔道具で隠してるんか、憶測だけならいくらでもできるんやけど………」

 

「警戒しておく必要があると?」

 

「いやいや、警戒まではせんでええよ。多分やけど、こっちから仕掛けん限り、向こうも何もしいひんやろーし……せいぜい、気に留めておくぐらいやな」

 腰に手を当て体をそらしながら、軽い口調でそう言った。

 

「そうか。では、リヴェリアとガレスには話しておくよ」

 

「頼むわ。でもホンマになんもない子供なら……ファミリアに欲しいなぁ」

 そういい、薄い笑みを浮かべるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




『全く、最近静ちゃんがいなくて、池袋が平和だと思ったらこんな中世ヨーロッパみたいな世界に来てたんだね。なんだか平和に暮らしているみたいだけど、化け物のキミがいつまで、ヒトの中に溶け込んでいられるか、楽しみだね』

「毎回毎回、一体なんニャ。ここはミャーのコーナーニャ‼よそ者の身勝手な侵入者は尻尾をまいてどっか行けニャ‼」

『そうかい、キミがそう言うならそうしよう。でもね、キミは俺の行動を身勝手だと断じているけれど、キミの行動はどうかな?このコーナーとやらを自分が任されているかのように語っているけれど、誰の許可も取ったわけではなく半ば強引に居座るキミは身勝手ではないのかい?』

「そんニャこと…」

『そんなことないって本当にキミは誓って言えるのかな~なんで人が言葉を話せるか知ってる?少なくとも共通の認識に則って話し合って物事を進めていくためだよ。それなのにキミは勝手にコーナーを乗っ取るような真似をして随分利己的だとは思わないのかい?』

「うう、そんニャ~」

『そうやって身勝手な……まったく危ないなあ、静ちゃん。自動販売機を投げないでくれるかな。今キミは画面を見ているようなもので、こっちへ干渉できないことになってるんだから。世界の法則っていうのはね、そう簡単に変えちゃいけないものなんだよ?』

「今すぐにゴミ虫野郎を殺せない世界の法則なら、世界の方が間違ってるんだろうよッ‼」

「あぶないなあ。公共のものを壊したら税金の無駄遣いだってわかるよね?まあいいや、面白いことも分かったからこれで帰ることにするよ。じゃあね静ちゃん」

「あ、こらクソ臨也‼まちやがれ‼‼‼‼‼‼」

次回 兎を探して

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